政府によるGHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 36335-67-8
名称 O-エチル=O-(6-ニトロ-m-トリル)=sec-ブチルホスホルアミドチオアート (別名:ブタミホス)
物質ID R02-B-089-MHLW, MOE
分類実施年度 令和2年度(2020年度)
分類実施者 厚生労働省/環境省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 2006年度(平成18年度)  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(令和元年度改訂版(Ver.2.0))
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
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厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
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物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 分類できない
-
-
- - 分子内に爆発性に関連する原子団 (ニトロ基) を含み、酸素収支の計算値は-156と判定基準の-200より高いが、データがなく分類できない。
2 可燃性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体であり、区分に該当しない。
3 エアゾール 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - エアゾール製品でないため、区分に該当しない。
4 酸化性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体であり、区分に該当しない。
5 高圧ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体であり、区分に該当しない。
6 引火性液体 区分に該当しない
-
-
- - 引火点が192℃付近 (農薬工業会「住友化学」1984-I (1984)) という情報より、区分に該当しない。
7 可燃性固体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体であり、区分に該当しない。
8 自己反応性化学品 分類できない
-
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- - 分子内に爆発性に関連する原子団 (ニトロ基) を含むが、データがなく分類できない。
9 自然発火性液体 区分に該当しない
-
-
- - 150℃まで熱的に安定 (農薬抄録 (2009)) という情報より、常温で発火しないと考えられるため、区分に該当しない。
10 自然発火性固体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体であり、区分に該当しない。
11 自己発熱性化学品 分類できない
-
-
- - 液体状の物質に適した試験法が確立していないため、分類できない。
12 水反応可燃性化学品 区分に該当しない
-
-
- - 半金属 (P) を含むが、水溶解度が6.19 mg/L (25℃) (農薬抄録 (2009)) というデータが得られており、水と急激な反応をしないと考えられるため、区分に該当しない。
13 酸化性液体 分類できない
-
-
- - フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であり、この酸素が炭素及び水素以外の元素 (N及びP) と結合しているが、データがなく分類できない。
14 酸化性固体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体であり、区分に該当しない。
15 有機過酸化物 区分に該当しない(分類対象外)
-
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- - 分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物であり、区分に該当しない。
16 金属腐食性化学品 分類できない
-
-
- - データがなく分類できない。
17 鈍性化爆発物 分類できない
-
-
- - 爆発性に関連する原子団 (ニトロ基) を含むが、データがなく分類できない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4


警告
H302 P301+P312
P264
P270
P330
P501
【分類根拠】
(1)~(3) より、区分4とした。

【根拠データ】
(1) ラットのLD50: 雌: 630 mg/kg、雄: 790 mg/kg (食安委 農薬評価書 (2009)、農薬抄録 (2009))
(2) ラットのLD50: 630~1,070 mg/kg (農薬工業会「食品衛生研究」第47巻第2号 (1997))
(3) ラットのLD50: 雌: 845 mg/kg、雄: 1,070 mg/kg (食安委 農薬評価書 (2009)、農薬抄録 (2009))
1 急性毒性(経皮) 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1) より、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) ラットのLD50: > 5,000 mg/kg (食安委 農薬評価書 (2009)、農薬抄録 (2009))
1 急性毒性(吸入:ガス) 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
GHSの定義における液体であり、区分に該当しない。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
-
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- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-
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- - 【分類根拠】
(1) からは区分を特定できず、分類できないとした。
ばく露濃度が飽和蒸気圧濃度 (0.011 mg/L) よりも高いため、ミストとしてmg/Lを単位とする基準値を適用した。

【根拠データ】
(1) ラットのLC50 (4時間): > 1.2 mg/L (食安委 農薬評価書 (2009)、農薬抄録 (2009))
(2) 本物質の蒸気圧: 6.3E-004 mmHg (27℃) (農薬工業会 (1984)) (飽和蒸気圧濃度換算値: 0.011 mg/L)
2 皮膚腐食性/刺激性 区分に該当しない
-
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- - 【分類根拠】
(1) より、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) ウサギを用いた皮膚刺激性試験において刺激性は認められなかった (食安委 農薬評価書 (2009)、農薬抄録 (2009))。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分に該当しない
-
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- - 【分類根拠】
(1) より、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) ウサギを用いた眼刺激性試験において刺激性は認められなかった (食安委 農薬評価書 (2009)、農薬抄録 (2009))。
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性 分類できない
-
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- - 【分類根拠】
旧分類では (1) のデータを基に区分外としたものと推察されるが、ドレイズ法は OECD TGとして登録されていない手法であるため、分類できないとした。

【参考データ等】
(1) モルモットを用いた皮膚感作性試験 (ドレイズ法) で陰性と報告されている (食安委 農薬評価書 (2009)、農薬抄録 (2009))。
5 生殖細胞変異原性 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)、(2) より、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) in vivoでは、マウスの骨髄細胞を用いた小核試験において陰性の報告がある (食安委 農薬評価書 (2009)、農薬工業会「食品衛生研究」第47巻第2号 (1997)、農薬抄録 (2009))。
(2) in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験において陰性の報告がある。一方、哺乳類培養細胞においてる染色体異常を誘発しないが、低頻度ながら倍数体細胞を増加させるとの報告がある (同上)。
6 発がん性 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
国内外の分類機関による既存分類はない。利用可能なヒトを対象とした報告はない。(1)、(2) より区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) 雌雄のラットに本物質を2年間又は2年1ヵ月間混餌投与した慢性毒性/発がん性併合試験では、発がん性は認められなかった (食安委 農薬評価書 (2009))。
(2) 雌雄のマウスに本物質を16ヵ月間混餌投与した発がん性試験では、発がん性は認められなかった (食安委 農薬評価書 (2009))。
7 生殖毒性 授乳に対するまたは授乳を介した影響に関する追加区分
-
-
- - 【分類根拠】
(1) より、親動物毒性がみられない用量で哺育期間中の生存児数減少が認められている。しかし、 (1)~(3) より、この他に繁殖能、出生時の影響、胎児に影響がみられないことから「追加区分:授乳に対する又は授乳を介した影響」とした。

【根拠データ】
(1) ラットを用いた混餌投与による3世代繁殖試験において、親動物毒性がみられない用量 (最高用量である300 ppm (雄: 24.37 mg/kg/day、雌: 31.60 mg/kg/day) で、哺育期間中の生存児数減少 (P、F1及びF2世代の哺育12及び21日) が認められた (食安委 農薬評価書 (2009)、農薬抄録 (2009))。
(2) 雌ラットの妊娠6~15日に強制経口投与した発生毒性試験において、最高用量である125 mg/kg/day で母動物毒性 (体重増加抑制、1 例にラ音、呼吸困難及び流涎) がみられたが胎児に影響はみられていない (食安委 農薬評価書 (2009))。
(3) 雌ウサギの妊娠6~18日に強制経口投与した発生毒性試験において、最高用量である80 mg/kg/dayで母動物毒性 (死亡及び体重増加抑制) がみられたが胎児に影響はみられていない (食安委 農薬評価書 (2009))。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1 (神経系)


危険
H370 P308+P311
P260
P264
P270
P321
P405
P501
【分類根拠】
本物質のヒトでの急性ばく露影響に関する報告はない。実験動物では、(1)~(4) より、区分1 (神経系) とした。なお、新たな情報源の使用により、旧分類から分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) ラットの経口投与による急性神経毒性試験 (0、10、70 、500 mg/kg) では、70 mg/kg (区分1の範囲) 以上の雄で正向反射低下、下痢、雌で異常歩行 (つま先歩行) がみられ、500 mg/kg (区分2の範囲) の雄で異常歩行 (つま先歩行)、尿汚れ、自発運動量減少、雌で正向反射低下、下痢、尿汚れがみられた (食安委 農薬評価書 (2009))。
(2) ラットの単回経口投与試験において、385 mg/kg (区分2の範囲) で自発運動減少、呼吸異常、立毛、排尿、過敏、流涎、流涙、眼球突出、筋痙攣、四肢または全身性運動失調がみられ、別の試験では、500 mg/kg (区分2の範囲) で流涙、流涎、血涙、振戦、歩行失調、眼球突出、尿失禁、呼吸深大がみられた (食安委 農薬評価書 (2009))。
(3) ラットの単回経皮適用試験において、5,000 mg/kg (区分2超) で振戦がみられた (食安委 農薬評価書 (2009))。
(4) ラットの4時間単回吸入ばく露試験において、147 mg/m3 (区分1の範囲) 以上で自発運動減少、呼吸不規則、呼吸深大 (1,200 mg/m3のみ) 、流涎、流涙、鼻汁、尿失禁がみられた (食安委 農薬評価書 (2009))。

【参考データ等】
(5) 実験動物の経口投与での中毒症状は、過敏、流涎、筋攣縮などの中枢または末梢神経の興奮症状と四肢または全身的な運動失調であった (農薬工業会「住友化学」1984-I (1984))。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1 (神経系)


危険
H372 P260
P264
P270
P314
P501
【分類根拠】
(1)~(4) より、区分1 (神経系) とした。新たな情報を用いて検討した結果、旧分類から分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) マウスを用いた90日間の混餌投与試験の結果、250 ppm (37.5 mg/kg/day、区分2の範囲) 以上の雌雄で脳、赤血球コリンエステラーゼ (ChE) 活性阻害、雌でリン脂質及び総コレステロールの増加がみられたと報告されている (食安委 農薬評価書 (2009))。
(2) ラットを用いた混餌投与による90日間亜急性神経毒性試験の結果、100 ppm (5 mg/kg/day、区分1の範囲) 以上で脳、赤血球ChE活性阻害が、1,000 ppm (50 mg/kg/day、区分2の範囲) 以上の雌雄でつま先歩行、接触反応亢進、背骨の上方屈曲、体重増加抑制、食餌効率低下、雌で活動性増加、胴体の凹みがみられた (食安委 農薬評価書 (2009))。
(3) イヌを用いた経口投与による2年間慢性毒性試験の結果、12.5 mg/kg/day (区分2の範囲) 以上の雄で脳ChE活性阻害、雌で脳及び赤血球ChE活性阻害がみられた (食安委 農薬評価書 (2009))。
(4) ラットを用いた混餌投与による2年間慢性毒性/発がん性併合試験の結果、80 ppm (4 mg/kg/day、区分1の範囲) 以上の雌雄で赤血球ChE活性阻害が、300 ppm (15 mg/kg/day、区分2の範囲) の雌雄で脳ChE活性阻害、雌で赤血球数、ヘモグロビン、ヘマトクリット値及びMCVの減少がみられた (食安委 農薬評価書 (2009))。
10 誤えん有害性 分類できない
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- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性 短期(急性) 区分1


警告
H400 P273
P391
P501
藻類(ムレミカヅキモ)72時間ErC50 = 0.033 mg/L(農薬抄録, 2009)であることから、区分1とした。
11 水生環境有害性 長期(慢性) 区分1


警告
H410 P273
P391
P501
慢性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく(BIOWIN)、藻類(ムレミカヅキモ)の72時間NOErC = 0.01 mg/L(農薬抄録, 2009)から、区分1となる。
慢性毒性データが得られていない栄養段階に対して急性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく(BIOWIN)、甲殻類(オオミジンコ)の48時間EC50 = 1.9 mg/L(農薬抄録, 2009)から、区分2となる。
以上の結果を比較し、区分1とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない
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- - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。
  • 「分類結果」欄の「※」はJISの改正に伴い、区分がつかなかったもの(「区分に該当しない(分類対象外を含む)」あるいは「分類できない」、もしくはそのいずれも該当する場合)に表示するものです。詳細については分類根拠を参照してください。

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