政府によるGHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 23135-22-0
名称 メチル-N’,N’-ジメチル-N-[(メチルカルバモイル)オキシ]-1-チオオキサムイミダート (別名:オキサミル)
物質ID R02-B-097-MHLW, MOE
分類実施年度 令和2年度(2020年度)
分類実施者 厚生労働省/環境省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 2006年度(平成18年度)  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(令和元年度改訂版(Ver.2.0))
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
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厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortal

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 区分に該当しない
-
-
- - 分子内に爆発性に関連する原子団として (N-O結合) を含むが、UNRTDGにおいて、UN 2757、クラス6.1に分類されていることから、優先評価項目の爆発物には該当しないため、区分に該当しない。
2 可燃性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
3 エアゾール 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - エアゾール製品でないため、区分に該当しない。
4 酸化性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
5 高圧ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
6 引火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
7 可燃性固体 分類できない
-
-
- - データがなく分類できない。
8 自己反応性化学品 タイプG
-
-
- - 分子内に爆発性に関連する原子団として (N-O結合) を含むが、UNRTDGにおいて、UN 2757、クラス6.1に分類されていることから、優先評価項目の自己反応性化学品には該当しないため、タイプGとした。
9 自然発火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
10 自然発火性固体 分類できない
-
-
- - データがなく分類できない。
11 自己発熱性化学品 分類できない
-
-
- - 融点が140℃以下の固体状の物質に適した試験方法が確立していないため、分類できない。
12 水反応可燃性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 金属及び半金属 (B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At) を含んでいないため、区分に該当しない。
13 酸化性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
14 酸化性固体 分類できない
-
-
- - フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であり、この酸素が炭素及び水素以外の元素 (N) と結合しているが、データがなく分類できない。
15 有機過酸化物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物であり、区分に該当しない。
16 金属腐食性化学品 分類できない
-
-
- - 固体状の物質に適した試験方法が確立していないため、分類できない。
17 鈍性化爆発物 分類できない
-
-
- - 爆発性に関連する原子団 (N-O結合) を含むが、データがなく分類できない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分1


危険
H300 P301+P310
P264
P270
P321
P330
P405
P501
【分類根拠】
(1)~(4) より、区分1とした。
なお、新たな情報源の使用により、旧分類から分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) ラットのLD50: 2.5 mg/kg (JMPR Report (2017)、GESTIS (Access on June 2020))
(2) ラットのLD50: 雌: 2.5 mg/kg、雄: 3.1 mg/kg (EPA Pesticides RED (2007)、HSDB (Access on June 2020))
(3) ラットのLD50: 2.5~3.1 mg/kg (US AEGL (2009))
(4) ラットのLD50: 5.4 mg/kg (EHC 64 (1986)、HSDB (Access on June 2020))
1 急性毒性(経皮) 区分3


危険
H311 P302+P352
P361+P364
P280
P312
P321
P405
P501
【分類根拠】
(1)~(5) より、区分3とした。
なお、新たな情報源の使用により、旧分類から分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) ウサギのLD50: 710 mg/kg (EHC 64 (1986))
(2) ウサギのLD50: 740 mg/kg (GESTIS (Access on June 2020))
(3) ウサギのLD50: > 2,000 mg/kg (JMPR Report (2017)、US AEGL (2009))
(4) ウサギのLD50: 2,960 mg/kg (HSDB (Access on June 2020))
(5) ラットのLD50: > 1,200 mg/kg (HSDB (Access on June 2020))
1 急性毒性(吸入:ガス) 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分2


危険
H330 P304+P340
P403+P233
P260
P271
P284
P310
P320
P405
P501
【分類根拠】
(1)~(3) より、区分2とした。
なお、ばく露濃度が飽和蒸気圧濃度 (0.0027 mg/L) よりも高いため、粉じんとしてmg/Lを単位とする基準値を適用した。

【根拠データ】
(1) ラットのLC50 (4時間): 0.05~0.065 mg/L (JMPR (2002))
(2) ラットのLC50 (4時間): 0.056 mg/L (US AEGL (2009))
(3) ラットのLC50 (4時間): 雄: 0.064 mg/L (US AEGL (2009)、HSDB (Access on June 2020))
(4) 本物質の蒸気圧: 2.3E-004 mmHg (20~25℃) (HSDB (Access on May 2020)) (飽和蒸気圧濃度換算値: 0.0027 mg/L)
2 皮膚腐食性/刺激性 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)、(2) より、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) 本物質はウサギの皮膚及び眼に対して刺激性を示さない (JMPR Report (2017)、US AEGL (2009))。
(2) 本物質のEPA OPPTS 870.2500に準拠したウサギを用いた皮膚刺激性試験で、毒性カテゴリーIV (適用72時間後において軽度の刺激性 (刺激性なし或いは軽度の紅斑)) と報告されている (EPA Pesticides RED (2007))。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1) のGLP準拠の試験成績より、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) 本物質はOPPTS 870.2400及びOECD 405に準拠したウサギを用いた眼刺激性試験 (GLP準拠) で、刺激性なしと報告されている。 (JMPR Report (2017)、US AEGL (2009))。

【参考データ等】
(2) 本物質はEPA OPPTS 870.2400に準拠したウサギを用いた眼刺激性試験 (非公表データ) で、毒性カテゴリーIII (角膜への影響あり或いはその他の症状は適用7日以内に消失する) と報告されている (EPA Pesticides RED (2007))。
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)、(2) より、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) 本物質はモルモットに対して感作性を示さない (JMPR Report (2017)、US AEGL (2009))。
(2) EPA OPPTS 870.2600に準拠したモルモットを用いた皮膚感作性試験で感作性を示さない (EPA Pesticides RED (2007))。
5 生殖細胞変異原性 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
区分に該当しない。

【根拠データ】
(1) in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞を用いる染色体異常試験、遺伝子突然変異試験、不定期DNA合成試験において陰性の報告がある (JMPR (2002)、US AEGL (2009))。
6 発がん性 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)、(2) より区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) 国内外の分類機関による既存分類では、EPAでE (Evidence of Non-Carcinogenicity for Humans) (EPA Annual Cancer Report 2019 (Access on September 2020):1996年分類) に分類されている。
(2) ラット及びマウスに本物質を2年間混餌投与した発がん性試験では、両種とも投与に関連した腫瘍発生の増加は認められず、本物質はラット及びマウスにおいて発がん性はないと結論された (JMPR Report (2017))。
7 生殖毒性 区分2


警告
H361 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
【分類根拠】
(1)、(2) より、母動物毒性用量で児動物、胎児への影響がみられている。影響の程度が不明のためガイダンスに従い区分2とした。なお、新たな情報源の使用により、旧分類から分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) ラットを用いた混餌による2世代生殖毒性試験において、母動物では75 ppm以上で体重減少、体重増加抑制、摂餌量減少等がみられ、胎児では75 ppm以上で児動物の体重減少、150 ppmで同腹児数減少がみられた (JMPR (2002))。
(2) 雌ウサギの妊娠6~19日に強制経口投与した発生毒性試験において、母動物では2 mg/kg/day以上で体重増加抑制、胎児では4 mg/kg/dayで胎児生存率減少、全胚吸収 (2例) がみられた (JMPR (2002))。

【参考データ等】
(3) 雌ラットの妊娠7~16日に強制経口投与した発生毒性試験において、母動物では0.5 mg/kg/day以上で体重増加抑制、0.8 mg/kg/day以上で摂餌量減少、1.5 mg/kg/dayでコリンエステラーゼ活性阻害を示す臨床症状 (振戦、流涎、会陰部湿潤、下痢等) がみられ、胎児では0.5 mg/kg/day以上で胎児重量減少がみられた (JMPR (2002))。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1 (神経系)


危険
H370 P308+P311
P260
P264
P270
P321
P405
P501
【分類根拠】
本物質のヒトでの急性ばく露影響に関する報告はない。(1)、(2) より、区分1 (神経系) とした。なお、新たな情報源の使用により、旧分類から分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) 雄ラットの4時間単回吸入ばく露試験 (0.036 mg/L、区分1の範囲) において、激しい唾液分泌、顔面の線維束性収縮 (facial fasciculations)、鼻周辺の赤色分泌物 (red discharge around the nose)、流涙、眼球突出、呼吸困難、あえぎがみられた (US AEGL (2009))。
(2) ラットの単回吸入ばく露試験 (影響がみられた最小用量の記載なし、少なくともLC50値 (0.056 mg/L、区分1の範囲) 付近で影響がみられたと想定) において、赤色鼻汁、あえぎ、唾液分泌がみられ、ばく露後は嗜眠、筋緊張低下、振戦、痙攣、線維束性収縮 (fasciculations)、姿勢異常 (abnormal posture)、異常歩行、運動失調等がみられた (US AEGL (2009))。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1 (神経系)


危険
H372 P260
P264
P270
P314
P501
【分類根拠】
本物質のヒトでの反復ばく露に関する報告はない。実験動物では、(1)、(2) より区分1の用量で神経系への影響がみられていることから、区分1 (神経系) とした。情報の見直しにより、旧分類から分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) ラットの90日間混餌投与試験では、250 ppm (雄/雌: 14.9/19.9 mg/kg/day、いずれも区分2の範囲) で脳、血漿、赤血球コリンエステラーゼ (ChE) 活性阻害及び機能観察バッテリー (FOB) 項目の判定規準に基づく能力の低下がみられたとの報告がある (US AEGL (2009))。
(2) ラットの29日間混餌投与試験では、100 ppm (ガイダンス換算値: 5 mg/kg/day、区分1の範囲) 以上で血漿ChE活性の低下がみられ、さらに雄では赤血球ChE、雌では脳ChEの活性の低下もみられたとの報告がある (HSDB (Access on June 2020))。

【参考データ等】
(3) 本物質を含むカルバメート系殺虫剤中毒の臨床像は神経終末におけるアセチルコリンの蓄積に起因し、ムスカリン性、ニコチン性及び中枢神経系の症状を示す。軽症例ではムスカリン性及びニコチン性の症状のみが現れることもあるが、重症例では中枢神経系の症状によって呼吸不全、肺水腫を引き起こすことがある (HSDB (Access on June 2020))。
10 誤えん有害性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性 短期(急性) 区分1


警告
H400 P273
P391
P501
甲殻類(オオミジンコ)48時間EC50 = 0.321 mg/L(水域の生活環境動植物の被害防止に係る農薬登録基準の設定に関する資料, 2011)であることから、区分1とした。
11 水生環境有害性 長期(慢性) 区分1


警告
H410 P273
P391
P501
慢性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく(BIOWIN)、甲殻類(アミ科)の28日間NOEC = 0.0189 mg/L(EPA OPP Pesticide Ecotoxicity Database, 2020)から、区分1となる。
12 オゾン層への有害性 分類できない
-
-
- - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。
  • 「分類結果」欄の「※」はJISの改正に伴い、区分がつかなかったもの(「区分に該当しない(分類対象外を含む)」あるいは「分類できない」、もしくはそのいずれも該当する場合)に表示するものです。詳細については分類根拠を参照してください。

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