政府によるGHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 7778-54-3
名称 次亜塩素酸カルシウム
物質ID R02-B-107-MHLW
分類実施年度 令和2年度(2020年度)
分類実施者 厚生労働省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 2006年度(平成18年度)   2009年度(平成21年度)   2013年度(平成25年度)  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(令和元年度改訂版(Ver.2.0))
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
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物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に爆発性に関連する原子団を含んでいないため、区分に該当しない。
2 可燃性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
3 エアゾール 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - エアゾール製品でないため、区分に該当しない。
4 酸化性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
5 高圧ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
6 引火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
7 可燃性固体 区分に該当しない
-
-
- - 不燃性 (GESTIS (Access on August 2020)) との情報より、区分に該当しない。
8 自己反応性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいないため、区分に該当しない。
9 自然発火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
10 自然発火性固体 区分に該当しない
-
-
- - 不燃性 (GESTIS (Access on August 2020)) との情報より、区分に該当しない。
11 自己発熱性化学品 区分に該当しない
-
-
- - 不燃性 (GESTIS (Access on August 2020)) との情報より、区分に該当しない。
12 水反応可燃性化学品 区分に該当しない
-
-
- - 金属 (Ca) を含むが、水溶解度が約214 g/L (20℃) (SIAR (2006)) というデータが得られており、水と急激な反応をしないと考えられるため、区分に該当しない。
13 酸化性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
14 酸化性固体 区分2


危険
H272 P370+P378
P210
P220
P280
P501
UNRTDGにおいて、UN 1748、クラス5.1、PGⅡに分類されていることから、区分2とした。
15 有機過酸化物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 無機化合物であり、区分に該当しない。
16 金属腐食性化学品 分類できない
-
-
- - 固体状の物質に適した試験方法が確立していないため、分類できない。
17 鈍性化爆発物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 爆発性に関連する原子団を含まないため、区分に該当しない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4


警告
H302 P301+P312
P264
P270
P330
P501
【分類根拠】
(1) より、区分4とした。

【根拠データ】
(1) ラットのLD50: 雄: 790 mg/kg (AICIS (旧NICNAS) IMAP (2015)、SIAP (2006)、SIAR (2006)、GESTIS (Access on August 2020)、HSDB (Access on August 2020))
1 急性毒性(経皮) 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1) より、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) ウサギのLD50: > 2,000 mg/kg (SIAR (2006)、HSDB (Access on August 2020))
1 急性毒性(吸入:ガス) 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分2


危険
H330 P304+P340
P403+P233
P260
P271
P284
P310
P320
P405
P501
【分類根拠】
(1) より、区分2とした。
なお、新たな情報源の使用により、旧分類から分類結果を変更した。
ばく露濃度が飽和蒸気圧濃度 (3.9E-010 mg/L) よりも高いため、粉じんとしてmg/Lを単位とする基準値を適用した。

【根拠データ】
(1) ラットのLC50 (1時間): 1.202~1.423 mg/L (4時間換算値: 0.301~0.356 mg/L) (SIAR (2006))
(2) 本物質の蒸気圧: 5.03E-011 mmHg (25℃) (est) (U.S.EPA: Mpbpwin v1.43) (飽和蒸気圧濃度換算値: 3.9E-010 mg/L)

【参考データ等】
(3) 製品 (本物質を32%含有) におけるラットのLC50 (1時間): > 176.4 mg/L (4時間換算値: > 44.1 mg/L (100%換算値: > 14.1 mg/L)) (農薬工業会「農薬時代」第162号 (1991))
(4) 製品 (本物質を32%含有) におけるラットのLC50 (3時間): > 158.3 mg/L (4時間換算値: > 118.7 mg/L (100%換算値: > 38.0 mg/L)) (農薬工業会「農薬時代」第162号 (1991))
2 皮膚腐食性/刺激性 区分1


危険
H314 P301+P330+P331
P303+P361+P353
P305+P351+P338
P304+P340
P260
P264
P280
P310
P321
P363
P405
P501
【分類根拠】
(1)、(2) より、区分1とした。

【根拠データ】
(1) 次亜塩素酸イオンはアルカリ性を示すため、本物質は皮膚に対し腐食性を示す (AICIS (旧NICNAS) IMAP (2015))。
(2) 本物質への接触により刺激性或いは腐食性を示す可能性がある (SIAP (2006)、GESTIS (Access on August 2020))。

【参考データ等】
(3) 本物質は「皮膚を腐食する」といわれるが、その出典は確認できず、立証のための追加情報はない。 カルシウムカチオンと未反応の水酸化カルシウム (1%でpH = 12.0) のアルカリ性により、眼への深刻な影響が予想される (SIAR (2006))。
(4) EU-CLP分類でSkin Corr. 1B (H314) に分類されている (EU CLP分類 (Access on October 2020))。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分1


危険
H318 P305+P351+P338
P280
P310
【分類根拠】
(1)、(2) より、区分1とした。

【根拠データ】
(1) 本物質は皮膚腐食性 (区分1) に区分されている。
(2) 本物質への接触により、刺激性或いは腐食性を示す可能性がある (SIAP (2006)、GESTIS (Access on August 2020))。

【参考データ等】
(4) 本物質は「皮膚を腐食する」といわれるが、その出典は検索できず、立証のための追加情報はない。カルシウムカチオンと未反応の水酸化カルシウム (1%でpH = 12.0) のアルカリ性により、眼への深刻な影響が予想される (SIAR (2006))。
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
(1) の記載はあるが、データ不足のため分類できないとした。新しい情報 (1) が旧分類の根拠となったデータと相反するものであるため、分類結果を変更した。

【参考データ等】
(1) 健常ボランティアに対して実施されたRepeated insult patch testでは、アレルギー性接触皮膚炎の証拠は認められなかった (AICIS (旧NICNAS) IMAP (2015))。
5 生殖細胞変異原性 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)~(3)より、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) in vivoでは、次亜塩素酸ナトリウムを用いた試験として、マウス腹腔内又は経口投与の骨髄を用いた小核試験で陰性、マウス経口投与の骨髄を用いた染色体異常試験で陰性の報告がある (SIAR (2006))。
(2) in vitroでは、本物質を用いた細菌の復帰突然変異試験で陰性、哺乳類培養細胞を用いた染色体異常試験で陽性の報告がある (SIAR (2006))。
(3) AICISでは、次亜塩素酸のNa塩もCa塩 (本物質) も遺伝毒性のポテンシャルはないと考えられるとしている (AICIS (旧NICNAS) IMAP (2015))。
6 発がん性 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
本物質の国内外の分類機関による既存分類及び発がん性に関する報告は得られていないが、(1) の次亜塩素酸塩としての既存分類結果及び (2)、(3) の次亜塩素酸ナトリウムの実験動物での発がん性試験結果より、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) 国内外の分類機関による既存分類では、IARCで本物質を含む次亜塩素酸塩としてグループ3 (IARC 52 (1991)) に分類されている。
(2) 次亜塩素酸ナトリウム (CAS番号 7681-52-9) のラットを用いた104週間飲水投与試験、マウスを用いた103週間飲水投与試験において、腫瘍発生率の有意な増加はみられていない (IARC 52(1991))。
(3) 次亜塩素酸ナトリウムのマウスを用いた経皮経路での発がん性試験において、発がん性はみられていない (IARC 52(1991))。
7 生殖毒性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
本物質のデータはないが、(1) より、本物質は水溶液中で次亜塩素酸イオンとカルシウムイオンに解離することから、次亜塩素酸 (CAS番号 7790-92-3) のデータを基に分類を行った。(2)~(4) より、概ね生殖影響はないと考えられるが、器官形成期のみに投与した発生毒性のデータがないことから、データ不足のため分類できないとした。

【根拠データ】
(1) 本物質は水溶液中で次亜塩素酸イオンとカルシウムイオンに解離する (SIAR (2006))。
(2) ラットに次亜塩素酸を強制経口投与した1世代生殖毒性試験において、毒性の臨床徴候、血液学的変化、体重、精子数、精子運動性、精子形態、生殖器官の病理組織学的病変は認められず、受胎能、胎児生存率、同腹児数、胎児体重、開眼日、膣開口日に用量依存性の影響はみられていない (EURAR (2007)、AICIS (旧NICNAS) IMAP (2014))。
(3) 雌ラットに次亜塩素酸を交配前2.5ヵ月から妊娠期間中に飲水投与した試験において、母動物毒性、発生毒性はみられていない (EURAR (2007)、AICIS (旧NICNAS) IMAP (2014))。
(4) EURAR (2007) では、次亜塩素酸ナトリウム (CAS番号 7681-52-9) のデータはない。しかし、次亜塩素酸や塩素を用いた動物試験結果について、データは限られているが、次亜塩素酸ナトリウムは次世代の発生または受胎能に有害な影響を及ぼすことを示唆する証拠はないという結論を導くことが可能と報告されている。同様に、塩素処理された飲料水を摂取している集団に関する疫学研究からも、そのような証拠は得られていないとしている (EURAR (2007))。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3 (気道刺激性)


警告
H335 P304+P340
P403+P233
P261
P271
P312
P405
P501
【分類根拠】
(1)~(3) より、区分3 (気道刺激性) とした。(4) の中枢神経系に関するデータでは、具体的な症状等が不明であったため不採用とした。なお、情報の見直し及び新たな情報源の使用により、旧分類から分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) 労働者が本物質を錠剤 (用量不明) で摂取したところ、嘔吐と呼吸器系の症状 (respiratory complaints) がみられた (GESTIS (Access on August 2020))。
(2) 本物質には、鼻及び眼への刺激性がある (HSDB (Access on August 2020))。
(3) 本物質のミストを吸入すると、鼻、喉、上気道に中程度から強い刺激が生じると予想される (GESTIS (Access on August 2020))。

【参考データ等】
(4) 雄ラットの単回経口投与試験において、890~1,260 mg/kg (区分2の範囲) で、投与1時間後に中程度の中枢神経抑制、軽度から中等度の持続性食欲不振、下痢がみられた (AICIS (旧NICNAS) IMAP (2015)、SIAR (2006))。
(5) 本物質は水溶液中で次亜塩素酸イオンとカルシウムイオンに解離する。ヒト健康への影響は、粉末、水溶液、又は誤って生成した塩素ガスとの接触によって引き起こされる可能性がある。次亜塩素酸イオンの毒性について、本物質のばく露シナリオは次亜塩素酸イオンを生じる次亜塩素酸ナトリウム溶液又は塩素ガスと共通である (SIAR (2006))。
(6) 本物質は強酸と混合した場合に高濃度の塩素ガスを放出する (AICIS (旧NICNAS) IMAP (2015))。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない
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-
- - 【分類根拠】
本物質自体の情報はないが、(1) より、次亜塩素酸ナトリウム (CAS番号 7681-52-9) の情報に基づき検討した。(2)、(3) より次亜塩素酸ナトリウムの経口及び経皮経路の反復投与毒性は低いと考えられが、吸入ばく露による呼吸器への影響が不明であるため、分類できないとした。

【参考データ等】
(1) 本物質は水溶液中でと次亜塩素酸イオンとカルシウムイオンに解離する (SIAR (2006))。
(2) 次亜塩素酸ナトリウムを用いた飲水投与試験では、ラット、マウスに90日間及び2年間投与した場合も摂水量低下に伴うものと考えられる体重増加抑制がみられたのみである (SIAR (2006))。
(3) マウスに次亜塩素酸ナトリウム水溶液を51週間 (週2回) 経皮適用した試験で、投与に関連した影響はみられなかった (AICIS (旧NICNAS) IMAP (2015)、EURAR (2007)、SIAR (2006))。
10 誤えん有害性 分類できない
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- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性 短期(急性) -
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11 水生環境有害性 長期(慢性) -
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12 オゾン層への有害性 -
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分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。
  • 「分類結果」欄の「※」はJISの改正に伴い、区分がつかなかったもの(「区分に該当しない(分類対象外を含む)」あるいは「分類できない」、もしくはそのいずれも該当する場合)に表示するものです。詳細については分類根拠を参照してください。

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