政府によるGHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 144-54-7
名称 N-メチルジチオカルバミン酸 (別名:メタム)
物質ID R02-B-114-MHLW
分類実施年度 令和2年度(2020年度)
分類実施者 厚生労働省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 2006年度(平成18年度)  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(令和元年度改訂版(Ver.2.0))
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
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厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortal

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に爆発性に関連する原子団を含んでいないため、区分に該当しない。
2 可燃性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
3 エアゾール 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - エアゾール製品でないため、区分に該当しない。
4 酸化性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
5 高圧ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
6 引火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
7 可燃性固体 分類できない
-
-
- - データがなく分類できない。
8 自己反応性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいないため、区分に該当しない。
9 自然発火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
10 自然発火性固体 分類できない
-
-
- - データがなく分類できない。
11 自己発熱性化学品 分類できない
-
-
- - 融点が140℃以下の固体状の物質に適した試験方法が確立していないため、分類できない。
12 水反応可燃性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 金属及び半金属 (B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At) を含んでいないため、区分に該当しない。
13 酸化性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
14 酸化性固体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 塩素、酸素及びフッ素を含まない有機化合物であり、区分に該当しない。
15 有機過酸化物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物であり、区分に該当しない。
16 金属腐食性化学品 分類できない
-
-
- - 固体状の物質に適した試験方法が確立していないため、分類できない。
17 鈍性化爆発物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 爆発性に関連する原子団を含まないため、区分に該当しない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4


警告
H302 P301+P312
P264
P270
P330
P501
【分類根拠】
(1)、(2) より、区分4とした。

【根拠データ】
(1) ラットのLD50 (本物質のアンモニウム塩 (CAS番号 39680-90-5)) : 雌: 402 mg/kg、雄: 412 mg/kg (本物質換算: 雌: 347 mg/kg、雄: 356 mg/kg) (食安委 農薬評価書 (2015)、農薬抄録 (2012))
(2) ラットのLD50 (本物質のアンモニウム塩 (CAS番号 39680-90-5)) : 雄: 706 mg/kg、雌: 744 mg/kg (本物質換算: 雄: 609 mg/kg、雌: 642 mg/kg) (食安委 農薬評価書 (2015)、農薬抄録 (2012))
1 急性毒性(経皮) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
(1) からは区分を特定できず、分類できないとした。

【根拠データ】
(1) ラットのLD50 (本物質のアンモニウム塩 (CAS番号 39680-90-5)) : > 628 mg/kg (本物質換算: > 542 mg/kg) (食安委 農薬評価書 (2015)、農薬抄録 (2012))
1 急性毒性(吸入:ガス) 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分4


警告
H332 P304+P340
P261
P271
P312
【分類根拠】
(1) より、区分4とした。

【根拠データ】
(1) ラットのLC50 (4時間) (本物質のアンモニウム塩 (CAS番号 39680-90-5)) : 雄: 1.98 mg/L、雌: 3.20 mg/L (本物質換算: 雄: 1.71 mg/L、雌: 2.76 mg/L) (食安委 農薬評価書 (2015)、農薬抄録 (2012))
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。旧分類が使用したデータは本物質のアンモニウム塩 (CAS番号 39680-90-5) の可能性があるため、情報の再検討により旧分類から分類結果を変更した。

【参考データ等】
(1) 本物質のアンモニウム塩 (CAS番号 39680-90-5) のウサギを用いた皮膚刺激性試験で、紅斑がみられたが、組織破壊により、判定は困難であった (食安委 農薬評価書 (2015)、農薬抄録 (2012))。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。旧分類が使用したデータは本物質のアンモニウム塩 (CAS番号 39680-90-5) の可能性があるため、情報の再検討により旧分類から分類結果を変更した。

【参考データ等】
(1) 本物質のアンモニウム塩 (CAS番号 39680-90-5) のウサギを用いた眼刺激性試験で、角膜と結膜に軽度の刺激性が認められたが、適用7日後には消失した (食安委 農薬評価書 (2015)、農薬抄録 (2012))。
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性 区分1


警告
H317 P302+P352
P333+P313
P362+P364
P261
P272
P280
P321
P501
【分類根拠】
(1) より、本物質のアンモニウム塩 (CAS番号 39680-90-5) を用いたデータから、区分1とした。

【根拠データ】
(1) 本物質のアンモニウム塩 (CAS番号 39680-90-5) のモルモットを用いた皮膚感作性試験 (マキシマイゼーション法) で、陽性と報告されている (食安委 農薬評価書 (2015)、農薬抄録 (2012))。
5 生殖細胞変異原性 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)~(3) より、本物質のアンモニウム塩 (CAS番号 39680-90-5) を用いたin vivo、in vitro試験を含む標準的組合せ試験でいずれも陰性であった。本物質も同様と考えられることから、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) in vivoでは、本物質のアンモニウム塩を単回腹腔内投与したマウス骨髄細胞を用いた小核試験で陰性の報告がある。また単回経口投与したラット肝細胞を用いた不定期DNA合成試験において陰性の報告がある (食安委 農薬評価書 (2015)、農薬抄録 (2012))。
(2) in vitroでは、本物質のアンモニウム塩について細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞を用いる染色体異常試験においての陽性 (S9+)/陰性(S9-) の結果が得られている (同上)。
(3) 本物質のアンモニウム塩は生体にとって問題となる遺伝毒性はないものと考えられたとの記載がある (食安委 農薬評価書 (2015))。
6 発がん性 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
本物質の国内外の分類機関による既存分類及び発がん性に関する報告は得られていないが、本物質のアンモニウム塩及びナトリウム塩の動物試験結果 (1)、(2) から、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) 雌雄のラット及びマウスに本物質のアンモニウム塩 (CAS番号 39680-90-5) をラットには2年間、マウスには18ヵ月間強制経口投与した慢性毒性/発がん性併合試験では、投与により発生頻度の増加した腫瘍性病変は認められなかった (食安委 農薬評価書 (2015))。
(2) 本物質のナトリウム塩 (CAS番号 137-42-8) を雌雄のラットに2年間強制経口投与した慢性毒性/発がん性併合試験及びマウスに18ヵ月間強制経口投与した発がん性試験では、いずれの試験でも投与に関連した腫瘍発生率の増加は認められなかった (食安委 農薬評価書 (2015))。

【参考データ等】
(3) 本物質のナトリウム塩 (CAS番号 137-42-8) はEPAでL (Likely To Be Carcinogenic To Humans) (EPA Annual Cancer Report 2019 (Access on November 2020):2009年分類) に分類されている。
(4) 雌雄のマウスに本物質のナトリウム塩 (CAS番号 137-42-8) を2年間飲水投与した発がん性試験において、雌雄で脾臓の血管肉腫の発生率増加が認められたことから、EU EFSAは本物質には発がん性の限定された証拠 (R40, “Limited evidence of carcinogenic effect”) があるとしている (EU EFSA (2011))。
7 生殖毒性 区分1B


危険
H360 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
【分類根拠】
本物質のデータはないが、本物質のアンモニウム塩 (CAS番号 39680-90-5)、ナトリウム塩(CAS番号 137-42-8) のデータを用いて分類した。繁殖試験では (1) より、親動物毒性がみられる用量で生存児数減少、死産児数増加等が認められた。発生毒性試験では (2) より、母動物毒性がみられない用量では胎児に低体重、骨格変異等がみられ、(3)~(6) より、複数の試験において母動物毒性がみられる用量で、胎児に吸収胚数増加、生存胎児数減少、髄膜瘤等がみられた。以上より区分1Bとした。なお、新たな情報源に基づき旧分類から分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) 本物質のアンモニウム塩のラットを用いた強制経口投与による2世代繁殖試験において、親動物では、雄で肝臓重量増加、雌で体重増加抑制がみられる用量 (15 mg/kg/day) で、児動物では雌雄で生存児数減少 (有意差なし)、死産児数増加 (有意差なし)、新生児生存率減少 (生後0日) (F1児動物のみ有意) が認められた (食安委 農薬評価書 (2015))。
(2) 本物質のアンモニウム塩を雌ラットの妊娠6~15日に強制経口投与した発生毒性試験において、母動物に毒性 (体重増加抑制等) が認められる用量で胎児に低体重、骨化遅延 (頸椎椎体)、骨格変異 (第7腰椎)) が認められた (食安委 農薬評価書 (2015))。
(3) 本物質のナトリウム塩を雌ラットの妊娠6~15日に強制経口投与した発生毒性試験において、母動物に毒性 (体重増加抑制等) が認められる用量で胎児に髄膜瘤等が認められた (食安委 農薬評価書 (2015))。
(4) 本物質のナトリウム塩を雌ラットの妊娠6~15日に強制経口投与した別の発生毒性試験において、母動物に毒性 (流涎、尿失禁、体重増加抑制等) が認められる用量で胎児に小上顎、口唇裂、内水頭症、骨格異常 (頸椎弓未骨化、頸椎体未骨化、胸骨分節未骨化の増加)、骨格変異等が認められた (食安委 農薬評価書 (2015))。
(5) 本物質のナトリウム塩を雌ウサギの妊娠6~18日に強制経口投与した発生毒性試験において、母動物に毒性 (体重増加抑制等) が認められる用量で胎児に吸収胚数増加 (有意差なし)、着床後胚損失率増加、生存胎児数減少 (有意差なし)、髄膜瘤及び二分脊椎が認められた (食安委 農薬評価書 (2015))。
(6) 本物質のナトリウム塩を雌ウサギの妊娠7~19日に強制経口投与した発生毒性試験において、母動物に毒性 (排糞量減少、体重増加抑制等) が認められる用量で胎児に全胚吸収 (9例)、早期子宮内死亡増加、着床後損失率増加、生存胎児数減少 (有意差なし)、髄膜瘤、骨格異常 (第7胸骨分節) 等が認められた (食安委 農薬評価書 (2015))。

【参考データ等】
(7) 本物質のナトリウム塩のラットを用いた強制経口投与による2世代繁殖試験において、親動物、児動物に体重増加抑制がみられているが繁殖能に対する影響はみられていない (食安委 農薬評価書 (2015))。
(8) 本物質のアンモニウム塩を雌ウサギの妊娠6~18日に強制経口投与した発生毒性試験において、母動物で体重増加抑制傾向及び摂餌量減少 (妊娠7~19日) が認められたが、胎児では投与の影響が認められなかった (食安委 農薬評価書 (2015))。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1 (神経系、呼吸器)


危険
H370 P308+P311
P260
P264
P270
P321
P405
P501
【分類根拠】
本物質のデータはないが、本物質のアンモニウム塩 (CAS番号 39680-90-5) 及びナトリウム塩 (CAS番号 137-42-8) のデータを用いて分類した。ヒトでの急性ばく露影響に関する報告はない。実験動物では、(1)~(7) より、区分1 (神経系、呼吸器) とした。なお、新たな情報の追加により、旧分類から分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) 本物質のアンモニウム塩を用いたラットの単回経口投与毒性試験において、356 mg/kg (区分2の範囲) 以上で自発運動低下、うずくまり、流涎及び流涙、腹臥位姿勢、下頸部、胸部及び肛門周辺の被毛の汚れがみられ、投与翌日から全ての投与群で体重増加抑制がみられた。死亡例では、胸水、腹水貯留、胃粘膜充血及び出血がみられた (食安委 農薬評価書 (2015))。
(2) 本物質のアンモニウム塩を用いたマウスの単回経口投与毒性試験において、228 mg/kg (区分1の範囲) 以上で自発運動低下、流涎、強直性痙攣、うずくまり、腹臥位姿勢、下顎部及び胸部周辺被毛の汚れがみられ、投与翌日から全ての投与群で体重増加抑制がみられた。剖検所見においては、胸水、腹水貯留、胃内ガス充満及び胃内漿液貯留がみられた (食安委 農薬評価書 (2015))。
(3) 本物質のアンモニウム塩を用いたラットの4時間吸入ばく露試験において、0.694 mg/L (区分1の範囲) 以上で自発運動低下、流涎、うずくまり、眼瞼下垂、呼吸数減少、鼻吻・口吻周囲の汚れ、被毛の汚れ及び腹臥がみられた。死亡例 (雄: 1.03 mg/L、雌: 1.63 mg/L (いずれも区分2の範囲)) で肺暗赤色、気管内泡沫、胃・腸内ガス、腺胃粘膜黒色斑、胸腺暗赤色斑、肝白色斑及び腎・脾の退色がみられ、生存例においては雄の1.63 mg/L (区分2の範囲) 以上で肺収縮不全、2.76 mg/L (区分2の範囲) の1例で胸腺萎縮、雌の2.76 mg/L (区分2の範囲) の1例で腺胃粘膜黒色点がみられた (食安委 農薬評価書 (2015))。
(4) 本物質のナトリウム塩を用いたラットの単回経口投与毒性試験 (影響がみられた最小用量の記載なし、死亡がみられ始めた用量: 雄: 440 mg/kg、雌: 552 mg/kg (いずれも区分2の範囲) 付近で影響がみられたと想定) において、全投与群で鎮静、眼瞼下垂及び流涎がみられた。死亡動物で痙攣、チアノーゼ、検体の胃内停滞、前胃粘膜の剥離及び肥厚、前胃粘膜下織の水腫がみられ、生存動物で、前胃粘膜の角化亢進、上皮細胞の増生及び軽度の粘膜下織の肥厚が認められた (食安委 農薬評価書 (2015))。
(5) 本物質のナトリウム塩を用いたラットの単回経皮適用試験 (影響がみられた最小用量の記載なし、死亡がみられ始めた用量: 雄: 5,700 mg/kg (区分2超)、雌: 871 mg/kg (区分2の範囲) 付近で影響がみられたと想定) において、鎮静、流涎、眼瞼下垂がみられ、死亡動物でチアノーゼ、痙攣、生存動物で塗布部位皮膚に痂皮形成、瘢痕性変化がみられた (食安委 農薬評価書 (2015))。
(6) 本物質のナトリウム塩を用いたラットの吸入ばく露試験 (ばく露時間不明、影響がみられた最小用量の記載なし、死亡がみられ始めた用量: 雄: 840 mg/m3、雌: 1,280 mg/m3付近で影響がみられたと想定) において、自発運動量減少、異常呼吸、四肢及び鼻部の発赤、前肢の腫脹及び痂皮、縮瞳、流涙がみられ、死亡動物では肺赤色又は赤色斑がみられた (食安委 農薬評価書 (2015))。
(7) 本物質のナトリウム塩を用いたマウスの一般薬理試験 (経口) において、100 mg/kg (区分1の範囲) 以上で毛づくろい低下、自発運動の軽度低下、300 mg/kg (区分1の上限) 以上で軽度な瞳孔拡大、流涙及び体温低下、1,000 mg/kg (区分2の範囲) で立毛及び体温低下がみられた (食安委 農薬評価書 (2015))。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1 (肝臓)、区分2 (血液系)


危険
警告
H372
H373
P260
P264
P270
P314
P501
【分類根拠】
本物質のデータはないが、本物質のアンモニウム塩 (CAS番号 39680-90-5)、ナトリウム塩(CAS番号 137-42-8) のデータを用いて分類した。いずれの物質もヒトでの反復ばく露に関する報告はない。実験動物では (1)~(4) より、両物質において区分1以上の用量で肝臓、区分2の用量で血液系への影響がみられていることから、区分1 (肝臓)、区分2 (血液系) とした。胃への影響も両物質でみられたが、刺激性に基づく所見と考えられたため標的臓器としなかった。新たな情報の追加により、旧分類から分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) 本物質のアンモニウム塩を用いたラットの90日間強制経口投与試験では、10 mg/kg/day (本物質換算値: 8.6 mg/kg/day、区分1の範囲) 以上で前胃角化亢進及び粘膜上皮肥厚、さらに雄ではナトリウム総排泄量増加、50 mg/kg/day (区分2の範囲) で流涎、総コレステロール増加、肝比重量増加、小葉中心性肝細胞肥大、さらに雄では尿量増加及びクロール総排泄量増加、血小板数増加、リン脂質、アルブミン及びA/G比増加、肝絶対重量増加、腺胃粘膜上皮過形成がみられたとの報告がある (食安委 農薬評価書 (2015))。
(2) 本物質のアンモニウム塩を用いたイヌの1年間カプセル経口投与試験では、3 mg/kg/day (本物質換算値: 2.6 mg/kg/day、区分1の範囲) 以上で嘔吐及び流涎、AST増加、さらに雄ではALT及びALP増加、肝単核細胞浸潤、15 mg/kg/day (本物質換算値: 13 mg/kg/day、区分2の範囲) では死亡又は切迫と殺 (投与21週までに雄全例、雌3/4) が生じ、これらの動物では肝単細胞壊死、肝単核細胞浸潤、胃粘膜上皮増生、肝単細胞壊死 (雄のみ)、白血球数増加 (雄のみ) がみられ、死亡又は切迫と殺前以外に雌でみられた所見として赤血球数、ヘマトクリット値 (Ht) 及びヘモグロビン (Hb) 減少、活性化部分トロンボプラスチン時間 (APTT) 増加、ALT、ALP、LDH及び総ビリルビン増加、肝単核細胞浸潤の報告がある。100 mg/kg/day (本物質換算値: 86 mg/kg/day、区分2の範囲) では投与3週までに全例で死亡又は切迫と殺が生じ、これらの動物では肝細胞空胞変性、胃粘膜上皮増生、血小板数増加 (雄のみ) がみられたとの報告がある (食安委 農薬評価書 (2015))。
(3) 本物質のナトリウム塩を用いたラットの13週間強制経口投与試験では、20 mg/kg/day (本物質換算値: 7.0 mg/kg/day、区分1の範囲) 以上で前胃粘膜角化亢進、60 mg/kg/day (本物質換算値: 20.9 mg/kg/day、区分2の範囲) 以上で平均赤血球容積 (MCV) 増加、前胃粘膜上皮過形成、雄ではさらにび漫性肝細胞肥大及び膀胱粘膜上皮過形成、雌では平均赤血球ヘモグロビン量 (MCH) 増加、赤血球数減少、200 mg/kg/day (本物質換算値: 70 mg/kg/day、区分2の範囲) 以上でHt、Hb 減少、脾臓の髄外造血亢進、さらに雄では赤血球数減少、血小板数増加、総コレステロール及びクロール増加、雌ではALP増加、尿の弱アルカリ化、び漫性肝細胞肥大、骨髄造血亢進、膀胱粘膜上皮過形成がみられたとの報告がある (食安委 農薬評価書 (2015))。
(4) 本物質のナトリウム塩を用いたマウスの13週間強制経口投与試験では、30 mg/kg/day (本物質換算値: 10.5 mg/kg/day、区分2の範囲) 以上で膀胱粘膜上皮過形成、100 mg/kg/day (本物質換算値: 34.8 mg/kg/day、区分2の範囲) 以上で前胃粘膜角化亢進及び上皮過形成、さらに雌では膀胱粘膜上皮過形成がみられたとの報告がある (食安委 農薬評価書 (2015))。
10 誤えん有害性 分類できない
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- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性 短期(急性) -
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11 水生環境有害性 長期(慢性) -
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12 オゾン層への有害性 -
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分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。
  • 「分類結果」欄の「※」はJISの改正に伴い、区分がつかなかったもの(「区分に該当しない(分類対象外を含む)」あるいは「分類できない」、もしくはそのいずれも該当する場合)に表示するものです。詳細については分類根拠を参照してください。

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