項目 | 情報 |
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CAS登録番号 | 76-44-8 |
名称 | 1,4,5,6,7,8,8-ヘプタクロロ-3a,4,7,7a-テトラヒドロ-4,7-メタノ-1H-インデン【ヘプタクロル】 |
物質ID | R02-B-125-MHLW |
分類実施年度 | 令和2年度(2020年度) |
分類実施者 | 厚生労働省 |
新規/再分類 | 再分類・見直し |
他年度における分類結果 | 2014年度(平成26年度) 2006年度(平成18年度) |
Excelファイルのダウンロード | Excel file |
項目 | 情報 |
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分類に使用したガイダンス(外部リンク) | 政府向けGHS分類ガイダンス(令和元年度改訂版(Ver.2.0)) |
国連GHS文書(外部リンク) | 国連GHS文書 |
解説・用語集(Excelファイル) | 解説・用語集 |
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厚生労働省モデルSDS(外部リンク) | 職場のあんぜんサイトへ |
OECD/eChemPortal(外部リンク) | eChemPortal |
危険有害性項目 | 分類結果 | 絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 爆発物 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 分子内に爆発性に関連する原子団を含んでいないため、区分に該当しない。 |
2 | 可燃性ガス | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。 |
3 | エアゾール | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | エアゾール製品でないため、区分に該当しない。 |
4 | 酸化性ガス | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。 |
5 | 高圧ガス | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。 |
6 | 引火性液体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。 |
7 | 可燃性固体 | 区分に該当しない |
- |
- | - | 不燃性 (ICSC (2003)) との情報より、区分に該当しない。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類できない |
- |
- | - | 分子内に自己反応性に関連する原子団としてスルホニル基を含むが、データがなく分類できない。 |
9 | 自然発火性液体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。 |
10 | 自然発火性固体 | 区分に該当しない |
- |
- | - | 不燃性 (ICSC (2003)) との情報より、区分に該当しない。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 区分に該当しない |
- |
- | - | 不燃性 (ICSC (2003)) との情報より、区分に該当しない。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 金属及び半金属 (B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At) を含んでいないため、区分に該当しない。 |
13 | 酸化性液体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。 |
14 | 酸化性固体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | フッ素及び酸素を含まず、塩素を含む有機化合物であるが、この塩素が炭素及び水素以外の元素と結合していないため、区分に該当しない。 |
15 | 有機過酸化物 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物であり、区分に該当しない。 |
16 | 金属腐食性化学品 | 分類できない |
- |
- | - | 固体状の物質に適した試験方法が確立していないため、分類できない。 |
17 | 鈍性化爆発物 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 爆発性に関連する原子団を含まないため、区分に該当しない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | 絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
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1 | 急性毒性(経口) | 区分3 |
危険 |
H301 | P301+P310 P264 P270 P321 P330 P405 P501 |
【分類根拠】 (1)~(5) より、区分3とした。 【根拠データ】 (1) ラットのLD50: 雄: 60 mg/kg、雌: 230 mg/kg (ATSDR (2007)) (2) ラットのLD50: 60~142 mg/kg (食安委 農薬評価書 (2013)) (3) ラットのLD50: 雄: 71 mg/kg (ATSDR (2007)、食安委 農薬評価書 (2013)) (4) ラットのLD50: 雄: 100 mg/kg、雌: 162 mg/kg (IARC 79 (2001)、ATSDR (2007)、食安委 農薬評価書 (2013)) (5) ラットのLD50: 105 mg/kg (ATSDR (2007)) |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分2 |
危険 |
H310 | P302+P352 P361+P364 P262 P264 P270 P280 P310 P321 P405 P501 |
【分類根拠】 (1)~(4) より、区分2とした。 【根拠データ】 (1) ラットのLD50: 119 mg/kg (食安委 農薬評価書 (2013)) (2) ラットのLD50: 119~250 mg/kg (CICAD 70 (2006)) (3) ラットのLD50: 雄: 195 mg/kg、雌: 250 mg/kg (ATSDR (2007)、食安委 農薬評価書 (2013)) (4) ラットのLD50: 195 mg/kg (Patty (6th, 2012)) |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 区分に該当しない |
- |
- | - | 【分類根拠】 GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類できない |
- |
- | - | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 分類できない |
- |
- | - | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 分類できない |
- |
- | - | 【分類根拠】 旧分類が根拠としたデータ (Patty 4th、1994) が確認できず、データ不足のため分類できない。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 分類できない |
- |
- | - | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない |
- |
- | - | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 |
4 | 皮膚感作性 | 分類できない |
- |
- | - | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 区分に該当しない |
- |
- | - | 【分類根拠】 (1)~(3) より、区分に該当しないとした。 【根拠データ】 (1) in vivoでは、本物質を経口投与したトランスジェニックマウスを用いた遺伝子突然変異試験、腹腔内投与又は経口投与したマウスを用いた優性致死試験において陰性の報告がある。また腹腔内投与したマウス骨髄の染色体異常試験で陽性の報告がある (食安委 農薬評価書 (2013)、ATSDR (2007)、CICAD 70 (2006)、IARC 53 (1991)、ACGIH (7th, 2001))。 (2) in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陽性/陰性、哺乳類培養細胞を用いる染色体異常試験で陽性、姉妹染色分体交換試験で陽性、不定期DNA合成試験で陽性/陰性、哺乳類培養細胞を用いる遺伝子突然変異試験で陽性/陰性の報告がある (同上)。 (3) 生体において問題となる遺伝毒性はないものと考えられたとの記載がある (食安委 農薬評価書 (2013))。 |
6 | 発がん性 | 区分2 |
警告 |
H351 | P308+P313 P201 P202 P280 P405 P501 |
【分類根拠】 (1)~(3) より区分2とした。 【根拠データ】 (1) 国内外の分類機関による既存分類では、IARCでグループ2B (IARC 79 (2001))、産衛学会で第2群B (産業衛生学会誌許容濃度の勧告 (2001年提案))、ACGIHでA3 (ACGIH (7th, 2001))、EPAでB2 (probable human carcinogen) (IRIS (1987))、MAK (DFG) で4 (DFG List of MAK and BAT Values 2019) に分類されている。 (2) 雌雄のラットに本物質を110週間混餌投与した慢性毒性/発がん性併合試験では、投与により発生頻度が増加した腫瘍性病変は認められなかった (食安委 農薬評価書 (2013))。 (3) 雌雄のマウスに本物質を24ヵ月間混餌投与した発がん性試験において、雌の肝細胞がんの発生頻度の有意な増加、雌雄の肝細胞がん及び結節性病変の合計の発生頻度の有意な増加が認められた (食安委 農薬評価書 (2013))。 【参考データ等】 (4) 雌雄のマウスに本物質と本物質の代謝物の混合物 (25:75) を18ヵ月間混餌投与した発がん性試験において、雌雄で肝細胞がんと結節性病変の合計の発生頻度の有意な増加が認められた (食安委 農薬評価書 (2013))。 |
7 | 生殖毒性 | 区分1B、授乳に対するまたは授乳を介した影響に関する追加区分 |
危険 |
H360 | P308+P313 P201 P202 P280 P405 P501 |
【分類根拠】 (1)~(6) より、ヒト及び実験動物で母乳を介した影響の可能性が示され、実験動物において、母動物毒性のみられない用量あるいは記載のない用量での出生後死亡率の増加等がみられ、また、児動物の発育への影響がみられていることから区分1B、授乳に対する又は授乳を介した影響の追加区分とした。 【根拠データ】 (1) オーストラリアのビクトリア州で行われた母乳調査では、母乳中ヘプタクロルエポキシド濃度とシロアリ駆除剤としての本物質使用との間に相関が認められた (CICAD 70 (2006))。 (2) 本物質及びその代謝物への乳児の最も重要なばく露源は、牛乳に比べてこれらをはるかに高濃度で含む母乳であると考えられた。1970年代に実施された大規模な国際的な調査で、ヒトの母乳中に含まれる本物質及びヘプタクロルエポキシドの平均濃度は2~720 ng/g脂肪であると判明した (CICAD 70 (2006))。 (3) 雌ラットでは、乳汁、血液、脂肪、組織中に認められた本物質及びヘプタクロルエポキシドの量は、本物質の投与量に比例していた (CICAD 70 (2006))。 (4) ラットを用いた混餌投与による3世代繁殖試験において、10 ppm投与群のF1世代で、生後2及び3週の児動物の死亡率が僅かに増加した。繁殖能に対する影響は認められなかった (食安委 農薬評価書 (2013))。 (5) 雌ラットの妊娠6~15日に強制経口投与し発生影響を調べた試験において、母動物毒性のみられない用量で児動物に出生後死亡率の顕著な増加が認められた (食安委 農薬評価書 (2013)、CICAD 70 (2006))。食安委 農薬評価書 (2013) では、この試験は発生毒性試験として観察項目が不十分なため参考資料としている。 (6) 雌ラットに妊娠12日から出産後7日まで強制経口投与した後に、児ラットに生後21日または42日まで直接強制経口投与した神経毒性試験では、発育遅滞、GABA作動性神経伝達の変化、ならびに認知機能をはじめとする神経行動変化が、全投与量で示唆された。生後42日まで検体投与された雌ラットで顕著な影響が認められ、全投与群で、モーリス水迷路のプローブ試験における空間課題の習得遅延及び記憶再生の障害が認められた (食安委 農薬評価書 (2013)、CICAD 70 (2006))。 【参考データ等】 (7) 雌ラットの妊娠8日から出産後21日まで強制経口投与して、自然分娩させた児動物を生後1、3、6及び21日に検査し発生影響を調査した試験において、5.0 mg/kg/day投与群において、母動物2/7~8匹が死亡した。また、同群における分娩日児動物の体重は0.5 mg/kg/day投与群及び対照群と比較して有意に低く、1腹を除いた児動物は生後4日以内に全て死亡した。開眼日齢は検体投与量の増加に伴って遅延した (食安委 農薬評価書 (2013))。この試験データは動物数が少ないこと、母動物死亡が多いことから参考データとした。 (8) 交配前の雌ラットに5または20 mg/kgを1日おきに皮下投与した結果、20 mg/kgで平均妊娠期間の延長、離乳時まで生存していた児の割合の減少がみられた (CICAD 70 (2006))。 (9) ラットを用いた本物質/代謝物Iの混合物 (3:1) の混餌投与による3世代繁殖試験において、繁殖能に対する影響として同腹児数の減少が認められた (食安委 農薬評価書 (2013))。 (10) ヘプタクロルエポキシド (CAS番号 1024-57-3) は、区分1B、追加区分:授乳に対する又は授乳を介した影響の追加区分に分類されている (令和2年度GHS分類結果)。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分1 (神経系、呼吸器、肝臓、腎臓) |
危険 |
H370 | P308+P311 P260 P264 P270 P321 P405 P501 |
【分類根拠】 (1)~(5) より、区分1 (神経系、呼吸器、肝臓、腎臓) とした。なお、新たな情報源の使用により、旧分類から分類結果を変更した。 【根拠データ】 (1) 本物質の急性中毒により、嘔吐、頭痛、振戦、痙攣、腎臓障害、呼吸器の衰弱等をおこす。肝障害のあるヒトでは1~3 gの投与で重篤な徴候をおこし、死亡することがある (MOE初期評価第1巻 (2003))。 (2) 急性毒性の臨床症状は、活動性の低下、振戦、痙攣、運動失調及び脳波パターンの変化であった。病理組織学的検査では、重篤な肝障害が認められた (食安委 農薬評価書 (2013))。 (3) ラットの急性神経毒性試験 (単回強制経口、7、23、69、129 mg/kg) において、行動及び興奮性に及ぼす急性毒性症状は投与4時間後に最大となり、興奮性変化は24時間後にも観察された (食安委 農薬評価書 (2013))。 (4) ラットの単回経口投与試験において、60 mg/kg (区分1の範囲) で血清ALT及びアルドラーゼの増加、肝臓ALT及びアルドラーゼの減少、肝細胞の空胞化、核濃縮が認められた (ATSDR (2007))。 (5) ラットの単回経口投与試験において、7 mg/kg (区分1の範囲) で興奮がみられた (ATSDR (2007))。 【参考データ等】 (6) 本物質の代謝物であるヘプタクロルエポキシド (CAS番号 1024-57-3) の特定標的臓器毒性 (単回ばく露) は、分類できないである (令和2年度GHS分類結果)。 |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分1 (神経系、肝臓) |
危険 |
H372 | P260 P264 P270 P314 P501 |
【分類根拠】 (1)~(3) より、区分1 (神経系、肝臓) とした。新たな情報を用いて検討した結果、旧分類から分類結果を変更した。 【根拠データ】 (1) ラットを用いた14日間急性神経毒性試験において、本物質7~69 mg/kg/dayを混餌投与した結果、7 mg/kg/day (90日換算: 0.006 mg/kg/day、区分1の範囲) で1匹が最終投与直後に、23及び69 mg/kg/day (90日換算: 0.02及び0.05 mg/kg/day、区分1の範囲) で全例が投与期間中に死亡し、検体投与により行動変化、過剰興奮及び自律神経系への影響が認められたと報告されている (食安委 農薬評価書 (2013))。 (2) 本物質をマウスに10週間混餌投与した結果、9.3 mg/kg/day (ガイダンス値換算: 7.2 mg/kg/day、区分1の範囲) で体重減少、肝臓において肝炎、壊死、肉芽腫、うっ血が、19 mg/kg/day (ガイダンス値換算: 15 mg/kg/day、区分2の範囲) で起立・歩行困難、転倒が、37 mg/kg/day (ガイダンス値換算: 29 mg/kg/day、区分2の範囲) で腎臓における肉芽腫がみられた (ATSDR (2007))。 (3) 本物質を用いた混餌投与によるラットの110 週間慢性毒性/発がん性併合試験の結果、7.0 ppm (0.35 mg/kg/day、区分1の範囲) 以上の雌雄で小葉中心帯の肝細胞肥大、細胞質の均質化、細胞質顆粒の周辺偏在等の軽度な肝細胞病変がみられた (食安委 農薬評価書 (2013))。 【参考データ等】 (4) 米国における国民健康栄養調査 (NHANES) において、本物質で汚染された飼料を与えられた牛の汚染生乳製品に不特定期間ばく露されたヒトにおいて本物質代謝物の血清レベルの有意な上昇を示した。血清肝酵素活性レベルには変化はなく、臨床検査では肝腫大は検出されなかった。 この情報から、ヒトにおける本物質の肝臓への影響に関して意味のある結論を導き出すには不十分とされている (ATSDR (2007))。 (5) 本物質の代謝物であるヘプタクロルエポキシド (CAS番号 1024-57-3) は区分1 (肝臓) に分類されている (令和2年度GHS分類結果)。 |
10 | 誤えん有害性 | 分類できない |
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- | - | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | 絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性 短期(急性) | - |
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11 | 水生環境有害性 長期(慢性) | - |
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12 | オゾン層への有害性 | - |
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