項目 | 情報 |
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CAS登録番号 | 108-67-8 |
名称 | 1,3,5-トリメチルベンゼン |
物質ID | R03-B-006-METI, MOE |
分類実施年度 | 令和3年度(2021年度) |
分類実施者 | 経済産業省/環境省 |
新規/再分類 | 再分類・見直し |
他年度における分類結果 | 2014年度(平成26年度) 2006年度(平成18年度) |
Excelファイルのダウンロード | Excel file |
項目 | 情報 |
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分類に使用したガイダンス(外部リンク) | 政府向けGHS分類ガイダンス(令和元年度改訂版(Ver.2.0)) |
国連GHS文書(外部リンク) | 国連GHS文書 |
解説・用語集(Excelファイル) | 解説・用語集 |
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OECD/eChemPortal(外部リンク) | eChemPortal |
危険有害性項目 | 分類結果 |
絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 爆発物 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 爆発性に関連する原子団を含んでいない。 |
2 | 可燃性ガス | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
3 | エアゾール | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 酸化性ガス | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
5 | 高圧ガス | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
6 | 引火性液体 | 区分3 |
警告 |
H226 |
P303+P361+P353
P370+P378 P403+P235 P210 P233 P240 P241 P242 P243 P280 P501 |
引火点44℃(closed cup)(GESTIS(Accessed July 2021))に基づいて区分3とした。なお、UNRTDG分類はUN.2325、クラス3、PGⅢである。 |
7 | 可燃性固体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
8 | 自己反応性化学品 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。 |
9 | 自然発火性液体 | 区分に該当しない |
- |
- | - | 発火点は550℃(GESTIS(Accessed July 2021))であり常温で発火しないと考えられる。 |
10 | 自然発火性固体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない |
- |
- | - | 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 金属及び半金属(B,Si,P,Ge,As,Se,Sn,Sb,Te,Bi,Po,At)を含んでいない。 |
13 | 酸化性液体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 酸素、フッ素及び塩素を含まない有機化合物である。 |
14 | 酸化性固体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
15 | 有機過酸化物 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物である。 |
16 | 金属腐食性化学品 | 分類できない |
- |
- | - | データがなく分類できない。 |
17 | 鈍性化爆発物 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 爆発性に関連する原子団を含んでいない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 |
絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 急性毒性(経口) | 区分に該当しない |
- |
- | - |
【分類根拠】 (1)、(2)より、区分に該当しない。 【根拠データ】 (1)ラットのLD50:5,000 mg/kg(MOE 初期評価 (2013)) (2)ラットのLD50:4,300~8,642 mg/kgの間(NITE 初期リスク評価書 (2008)) |
1 | 急性毒性(経皮) | 分類できない |
- |
- | - |
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 区分に該当しない |
- |
- | - |
【分類根拠】 GHSの定義における液体であり、区分に該当しない。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類できない |
- |
- | - |
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 区分に該当しない |
- |
- | - |
【分類根拠】 (1)、(2)より区分に該当しない。なおばく露濃度は飽和蒸気圧濃度(16.1 mg/L)より高いため、ミストと判断した。 【根拠データ】 (1)ラットのLC50(4時間):4,800 ppm(24 mg/L)(NITE 初期リスク評価書 (2008)、MOE 初期評価(2013)、REACH登録情報 (Accessed July 2021)) (2)本物質の蒸気圧は2.48 mmHgである (HSDB (Accessed July 2021))。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分2 |
警告 |
H315 |
P302+P352
P332+P313 P362+P364 P264 P280 P321 |
【分類根拠】 (1)、(2)より、区分2とした。 【根拠データ】 (1)ウサギ(n=6)を用いた皮膚刺激性試験(OECD TG 404、4時間適用、6日観察)において、1時間後からごく軽度の発赤がみられ、144時間後には中等度から重度になった。1時間後から軽度の浮腫がみられたが、144時間後には消失したとの報告がある(NITE 初期リスク評価書 (2008))。 (2)本物質は実験動物で皮膚に対し刺激性を示す(NITE 初期リスク評価書 (2008))。 【参考データ等】 (3)ウサギを用いた皮膚刺激性試験(24時間適用)において、中程度の刺激性がみられたとの報告がある(NITE 初期リスク評価書 (2008))。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2B |
警告 |
H320 |
P305+P351+P338
P337+P313 P264 |
【分類根拠】 (1)、(2)より、区分2Bとした。 【根拠データ】 (1)ウサギを用いた眼刺激性試験(24時間適用)において、眼に軽度の刺激性がみられたとの報告がある(NITE 初期リスク評価書 (2008))。 (2)本物質は実験動物で眼に対し刺激性を示す(NITE 初期リスク評価書 (2008))。 |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない |
- |
- | - |
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 【参考データ等】 (1)本物質の異性体を含む混合溶剤の蒸気 (本物質:30%、1,2,4-トリメチルベンゼン:50%、その他含有の可能性ある物質1,2,3-トリメチルベンゼン、1-メチル-2-エチルベンゼン、1-メチル-4-エチルベンゼン)に7年間ばく露された37名のうち、最高濃度にばく露されたヒトの70%で喘息性気管支炎の発症報告があるが、ベンゼンの混入の可能性も否定できないとの報告がある(NITE 初期リスク評価書 (2008)、ACGIH (7th, 2001)、DFG MAK (2012))。 |
4 | 皮膚感作性 | 分類できない |
- |
- | - |
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 区分に該当しない |
- |
- | - |
【分類根拠】 (1)~(3)より、区分に該当しない。(1)でin vivoの陽性の結果があるものの、(3)のEPAの遺伝毒性物質の判断を下すには証拠が不十分であるとされていることから区分に該当しないと判断した。 【根拠データ】 (1)In vivoではマウスの骨髄細胞を用いた小核試験(単回腹腔内投与)で陰性及び、マウスの骨髄細胞を用いた姉妹染色分体交換試験(単回腹腔内投与)で陰性と報告された(NITE 初期リスク評価書 (2008))。その後の評価では、マウスの小核試験結果は陰性であるが、姉妹染色分体交換試験結果は高用量(730 mg/kg以上)では陽性と判断されている(US AEGL (2012)、Patty (6th, 2012))。ただし、腹腔内投与の投与量は最大でLD50値の80%に達し、SCE頻度増加の最大値も対照群のわずか1.5倍と報告された(REACH登録情報 (Accessed July 2021))。 (2)In vitroでは細菌復帰突然変異試験では代謝活性に有無に関わらず陰性であった(NITE 初期リスク評価書 (2008)、Patty (6th, 2012)、US AEGL (2012)、MOE 初期評価 (2013))。 (3)EPAはトリメチルベンゼンのいずれの異性体も遺伝毒性物質と結論を下すには証拠が不十分であるとの見解を示している(EPA Tox Review (2016))。 |
6 | 発がん性 | 分類できない |
- |
- | - |
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 |
7 | 生殖毒性 | 分類できない |
- |
- | - |
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。なお、(1)では発生毒性影響はみられなかったが、繁殖能に対する影響に関するデータがない。 【根拠データ】 (1)ラットを用いた吸入ばく露による発生毒性試験(妊娠6~20日)において、発生毒性はみられなかったとの報告がある(US AEGL (2012)、MOE 初期評価 (2013))。 【参考データ等】 (2)芳香族炭化水素化合物(C9、本物質8.37%含有)を被験物質とした吸入ばく露によるラットの三世代生殖毒性試験において、親動物及び児動物に多数の死亡(7/30例(F0雌)、6/30例(F1雌)、36/40(F2雄)、34/40(F2雌)))が報告された用量で、F0~F2全世代に交尾間隔の延長、F1雄に受胎率低下、誕生時の生存同腹児数の減少、児動物にはF1~F3全世代で体重の低値、F2には出生率の低下、及び生後4日の生存率低下がみられた(US AEGL (2012)、MOE 初期評価 (2013))。 (3)芳香族炭化水素化合物(C9、本物質8.37%含有)を被験物質とした吸入ばく露によるマウスの発生毒性試験(妊娠6~15日)において、親動物に1,500 ppmで死亡、臨床症状(歩行異常、努力呼吸等)、摂餌量減少、腹当たりの生存胎児数減少及び着床後損失の増加、児動物に口蓋裂、頭蓋骨の骨化遅延の増数がみられた。用量設定試験では、1,500 ppmまでのばく露濃度で奇形発生は認められなかった(US AEGL (2012)、MOE 初期評価 (2013))。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分3(気道刺激性、麻酔作用) |
警告 |
H335
H336 |
P304+P340
P403+P233 P261 P271 P312 P405 P501 |
【分類根拠】 (1)~(5)より、区分3(気道刺激性、麻酔作用)とした。 【根拠データ】 (1)マウスを用いた単回吸入(ミスト)ばく露試験において、5,000~9,000 ppm(25~45 mg/L、区分に該当しない範囲)で中枢神経系抑制を生じたとの報告がある(ACGIH (2001))。 (2)ラットを用いた単回吸入(蒸気)ばく露試験において、ロータロッド試験の成績及びホットプレート試験による痛覚刺激閾値の50%低下濃度(EC50)はそれぞれ963 ppm(4.82 mg/L、区分1の範囲)及び1,212 ppm(6.06 mg/L、区分1の範囲)であったとの報告がある(US AEGL (2012)、NITE 初期リスク評価書 (2008))。 (3)ラットを用いた単回吸入(蒸気)ばく露試験(24時間)において、2,240 ppm(4時間換算:8,960 ppm(44.8 mg/L)、区分に該当しない範囲)で麻酔作用から呼吸不全に伸展し、4/16例が死亡した。また剖検では肺のうっ血がみられたとの報告がある(US AEGL (2012))。 (4)マウスを用いた単回吸入(蒸気)ばく露による呼吸機能測定試験において、6分間ばく露におけるRD50(呼吸数が50%減少する濃度)は519 ppm(2.59 mg/L、区分1の範囲)であったとの報告がある(US AEGL (2012))。 (5)本物質は眼、皮膚、気道を刺激し、中枢神経系に影響を与えることがあり、液体を飲み込むと肺に吸い込んで化学性肺炎を起こすことがある。吸入や経口摂取すると錯乱や咳、眩暈、嗜眠、頭痛、咽頭痛、嘔吐を生じ、皮膚に付くと発赤や皮膚の乾燥、眼に入ると発赤や痛みを生じるとの報告がある(MOE 初期評価 (2013))。 【参考データ等】 (6)ボランティアに対して、本物質および本物質の異性体を吸入ばく露した実験では、2時間または4時間ばく露では25 ppmまで、8時間ばく露では30 ppmまで刺激影響も中枢神経症状もみられなかったとの報告がある(US AEGL (2012))。 |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分1(中枢神経系、呼吸器) |
危険 |
H372 |
P260
P264 P270 P314 P501 |
【分類根拠】 (1)より、ヒト症例における喘息を伴う気管支炎を呼吸器への影響と考え、区分1(呼吸器)とした。また(1)、(2)より、中枢神経系への影響が区分1の用量範囲でみられることから、区分1(中枢神経系)とした。よって、区分1(中枢神経系、呼吸器)とした。 【根拠データ】 (1)30%超の本物質及び50%超の本物質の異性体を含む塗料用シンナー(Fleet-X-DV-99)に数年にわたってばく露された塗装工27人とその助手10人を対象とした調査では、塗装作業時及び作業後に採取した空気試料中の高沸点炭化水素濃度は10~60 ppmであった。これらの労働者では、頭痛、疲労、眩暈、しびれ感が高率にみられ、喘息を伴った気管支炎は一般的で、胃腸症状も多くの労働者でみられた。この他、血液影響(赤血球数及び血小板数の減少、血液凝固時間の延長)がみられたが、溶剤に混じっていたベンゼンが原因の可能性も指摘されたとの報告がある(MOE 初期評価 (2013)、NITE 初期リスク評価書 (2008)、ACGIH (2001)、DFG MAK (2012))。 (2)ラット(雄)を用いた4週間吸入(蒸気)ばく露試験(6時間/日、6日/週)において、25 ppm以上 (ガイダンス換算値:0.033 mg/L/6時間、区分1の範囲)で受動回避行動の継続時間の短縮、能動回避行動の回数の増加がみられたとの報告がある(MOE 初期評価 (2013)、NITE 初期リスク評価書 (2008))。 【参考データ等】 (3)ラットを用いた90日間反復経口投与試験において、600 mg/kg/day(区分に該当しない範囲)で肝臓・腎臓重量の増加がみられたとの報告がある(MOE 初期評価 (2013)、NITE 初期リスク評価書 (2008))。 (4)ラット(雄)を用いた5週間吸入(蒸気)ばく露試験(6時間/日、6日/週)において、600 ppm(ガイダンス換算値:0.98 mg/L/6時間、区分2の範囲)で血清AST活性上昇がみられたとの報告がある(MOE 初期評価 (2013)、NITE 初期リスク評価書 (2008))。 |
10 | 誤えん有害性 | 区分1 |
危険 |
H304 |
P301+P310
P331 P405 P501 |
【分類根拠】 (1)~(4)より、区分1とした。 【根拠データ】 (1)本物質は炭化水素化合物である。 (2)20℃及び50℃での動粘性率はそれぞれ0.843及び0.630 mm2/sであるとの報告がある(REACH登録情報 (Accessed July 2021))。 (3)本物質を飲み込むと肺への誤えんにより化学性肺炎を生じるおそれがあるとの警告がある(HSDB (Accessed July 2021)、ICSC (2002))。 (4)本物質が肺に残留すると化学性肺炎を生じるとされるとの報告がある(産衛学会 許容濃度提案理由書 (1984))。 |
危険有害性項目 | 分類結果 |
絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性 短期(急性) | 区分2 |
- |
H401 |
P273
P501 |
甲殻類(オオミジンコ)48時間EC50 = 6 mg/L(NITE初期リスク評価書, 2008、CERI有害性評価書, 2006)であることから、区分2とした。 |
11 | 水生環境有害性 長期(慢性) | 区分2 |
- |
H411 |
P273
P391 P501 |
慢性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく(BODによる14日間分解度:0%(METI既存点検結果, 1980))、甲殻類(オオミジンコ)の21日間NOEC = 0.4 mg/L(SIAP, 2012)から、区分2となる。 慢性毒性データが得られていない栄養段階(藻類、魚類)に対して急性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく、魚類(キンギョ)の96時間LC50 = 12.5 mg/L(NITE初期リスク評価書, 2008)から、区分3となる。 以上の結果を比較し、区分2とした。 |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない |
- |
- | - | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 |
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