項目 | 情報 |
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CAS登録番号 | 111988-49-9 |
名称 | チアクロプリド |
物質ID | R03-B-010-METI |
分類実施年度 | 令和3年度(2021年度) |
分類実施者 | 経済産業省 |
新規/再分類 | 再分類・見直し |
他年度における分類結果 | 2018年度(平成30年度) 2006年度(平成18年度) |
Excelファイルのダウンロード | Excel file |
項目 | 情報 |
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分類に使用したガイダンス(外部リンク) | 政府向けGHS分類ガイダンス(令和元年度改訂版(Ver.2.0)) |
国連GHS文書(外部リンク) | 国連GHS文書 |
解説・用語集(Excelファイル) | 解説・用語集 |
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OECD/eChemPortal(外部リンク) | eChemPortal |
危険有害性項目 | 分類結果 | 絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 爆発物 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 爆発性に関連する原子団を含んでいない。 |
2 | 可燃性ガス | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
3 | エアゾール | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 酸化性ガス | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
5 | 高圧ガス | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
6 | 引火性液体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
7 | 可燃性固体 | 分類できない |
- |
- | - | データがなく分類できない。 |
8 | 自己反応性化学品 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。 |
9 | 自然発火性液体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
10 | 自然発火性固体 | 分類できない |
- |
- | - | データがなく分類できない。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない |
- |
- | - | 融点が140℃以下の固体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 金属及び半金属(B,Si,P,Ge,As,Se,Sn,Sb,Te,Bi,Po,At)を含んでいない。 |
13 | 酸化性液体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
14 | 酸化性固体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | フッ素及び酸素を含まず、塩素を含む有機化合物であるが、この塩素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。 |
15 | 有機過酸化物 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物である。 |
16 | 金属腐食性化学品 | 分類できない |
- |
- | - | 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
17 | 鈍性化爆発物 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 爆発性に関連する原子団を含んでいない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | 絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
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1 | 急性毒性(経口) | 区分4 |
警告 |
H302 | P301+P312 P264 P270 P330 P501 |
【分類根拠】 (1)~(7)より、区分4とした。 【根拠データ】 (1)ラット(雄)のLD50:836 mg/kg(OECD TG 401)(食安委 農薬評価書 (2018)、CLH Report (2013)) (2)ラット(雌)のLD50:444 mg/kg(OECD TG 401)(食安委 農薬評価書 (2018)、CLH Report (2013)) (3)ラット(雄)のLD50:621 mg/kg(CLH Report (2013)、EPA OPP HED Risk Assessment (2003)、ACGIH (2019)) (4)ラット(雌)のLD50:396 mg/kg(CLH Report (2013)、EPA OPP HED Risk Assessment (2003)、ACGIH (2019)) (5)ラット(雄)のLD50:700~1,000 mg/kgの間(EPA OPP HED Risk Assessment (2003)) (6)ラット(雌)のLD50:300~500 mg/kgの間(EPA OPP HED Risk Assessment (2003)) (7)ラットのLD50:396~836 mg/kg(JMPR Report (2006)) |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分に該当しない |
- |
- | - | 【分類根拠】 (1)より、区分に該当しない。 【根拠データ】 (1)ラットのLD50:> 2,000 mg/kg(OECD TG 402)(食安委 農薬評価書 (2018)、JMPR Report (2006)、EPA OPP HED Risk Assessment (2003)) |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 区分に該当しない |
- |
- | - | 【分類根拠】 GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類できない |
- |
- | - | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 区分4 |
警告 |
H332 | P304+P340 P261 P271 P312 |
【分類根拠】 (1)~(3)より、区分4とした。 【根拠データ】 (1)ラット(雌)のLC50(4時間):1.22 mg/L(食安委 農薬評価書 (2018)) (2)ラット(雌)のLC50(4時間):1.2 mg/L (OECD TG 403)(CLH Report (2013)) (3)ラットのLC50:1.223~2.535 mg/L(JMPR report (2006)) 【参考データ等】 (4)ラット(雄)のLC50(4時間):> 2.54 mg/L(食安委 農薬評価書 (2018)) (5)ラット(雄)のLC50(4時間):> 2.5 mg/L (OECD TG 403)(CLH Report (2013)) |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分に該当しない |
- |
- | - | 【分類根拠】 (1)~(3)より、区分に該当しない。 【根拠データ】 (1)ウサギを用いた皮膚刺激性試験において、皮膚刺激性はみられなかったとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2018))。 (2)ウサギ(n=3)を用いた皮膚刺激性試験(OECD TG 404)において、非常に軽度の紅斑が全例でみられたが、適用後72時間以内にすべて回復した(紅斑・痂皮スコア:1/1/0、浮腫スコア:0/0/0)との報告がある(ECHA RAC Opinion (2015)、CLH Report (2013))。 (3)本物質はウサギに対して皮膚刺激物ではない(JMPR Report (2006))。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分に該当しない |
- |
- | - | 【分類根拠】 (1)~(3)より、区分に該当しない。 【根拠データ】 (1)ウサギを用いた眼粘膜刺激性試験において、眼刺激性はみられなかったとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2018))。 (2)ウサギ(n=3)を用いた眼刺激性試験(OECD TG 405)において、結膜発赤及び浮腫が全例でみられたが、48時間以内にすべて回復した(角膜混濁スコア:0/0/0、虹彩炎スコア:0/0/0、結膜発赤スコア:0.6/0/0、結膜浮腫スコア:0/0/0)との報告がある(ECHA RAC Opinion (2015)、CLH Report (2013))。 (3)ウサギを用いた眼刺激性試験において、本物質はウサギに対して軽度の眼刺激性を示したとの報告がある(JMPR Report (2006))。 |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない |
- |
- | - | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 |
4 | 皮膚感作性 | 区分に該当しない |
- |
- | - | 【分類根拠】 (1)~(3)より、区分に該当しない。 【根拠データ】 (1)モルモットを用いたMaximisation試験において、皮膚感作性はみられなかったとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2018))。 (2)モルモット(n=10)を用いたMaximisation試験(OECD TG 406、皮内投与:5%溶液)において、惹起48時間後と72時間後の陽性率はともに10%(1/10例)であったとの報告がある(ECHA RAC Opinion (2015)、CLH Report (2013))。 (3)モルモットを用いたMaximisation試験において、本物質は感作性を示さなかったとの報告がある(ACGIH (7th, 2019)、JMPR Report (2006))。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 区分に該当しない |
- |
- | - | 【分類根拠】 (1)~(3)より区分に該当しない。 【根拠データ】 (1)In vivoでは、マウスの骨髄細胞を用いた小核試験(単回腹腔内投与)で陰性の報告がある(食安委 農薬評価書 (2018)、CLH Report (2013)、ACGIH (7th, 2019))。 (2)In vitroでは、細菌復帰突然変異試験、ほ乳類培養細胞(チャイニーズハムスターV79細胞)を用いた遺伝子突然変異試験及び染色体異常試験で陰性の報告がある(食安委 農薬評価書 (2018)、CLH Report (2013) 、ACGIH (7th, 2019))。 (3)In vitro及びin vivo試験結果での陰性の結果からは、本物質は遺伝毒性物質ではないと考えられている(JMPR Report (2006)、食安委 農薬評価書 (2018)、EFSA (2019)、ACGIH (7th, 2019))。 |
6 | 発がん性 | 区分2 |
警告 |
H351 | P308+P313 P201 P202 P280 P405 P501 |
【分類根拠】 (1)の既存分類結果、及び(2)~(4)の試験結果等から、区分2とした。 【根拠データ】 (1)国内外の評価機関による既存分類として、EPAでL(Likely To Be Carcinogenic To Humans)に(EPA OPP Annual Cancer Report 2020 (Accessed June 2021): 2012年分類)、ACGIHでA3に(ACGIH (7th, 2019))、EUでCarc. 2に(CLP分類結果 (Accessed June 2021))分類されている。 (2)ラットを用いた2年間混餌投与による慢性毒性/発がん性併合試験では、検体投与に関連した腫瘍性病変として、500 ppm 以上投与群の雄で甲状腺ろ胞細胞腺腫、同投与群雌で子宮腺がんの発生頻度が有意に増加した(食安委 農薬評価書 (2018) 、CLH Report (2013) 、ACGIH (7th, 2019))。 (3)マウスを用いた2年間混餌投与による発がん性試験では、検体投与に関連した腫瘍性病変として、1,250 ppm 以上投与群の雌で黄体腫の発生頻度が有意に増加した(食安委 農薬評価書 (2018) 、CLH Report (2013)、ACGIH (7th, 2019))。 (4)発がん性試験において、雄ラットで甲状腺ろ胞細胞腺腫、雌ラットで子宮腺がん、雌マウスで卵巣黄体腫の発生頻度増加が認められた。機序検討試験の結果から、子宮腺がんの発現には、本剤のアロマターゼ活性誘導作用によるエストロゲンの増加が関連している可能性が示唆された。また、卵巣黄体腫及び甲状腺ろ胞細胞腺腫の発生機序については明らかにならなかったが、いずれも腫瘍発生機序は遺伝毒性によるものとは考え難い(食安委 農薬評価書 (2018))。 【参考データ等】 (5)本物質が遺伝毒性作用を欠くことから、ヒト発がんに対する懸念のレベルは低下すること、腫瘍のプロフィルとして、少なくとも機序の一部は性ホルモンのかく乱を介した機序によると考えられるが、腫瘍発生が種特異的である(ラットとマウス2種間で部位共通性がない)ことを考慮するとCategory 2が妥当と判断された(CLH Report (2013))。EFSAは本物質の非遺伝毒性作用機構による発がん性に関して、子宮と卵巣の腫瘍は内分泌を介した作用機序により生じる可能性があり、甲状腺腫瘍は肝酵素誘導の結果と考えられるが、これらの腫瘍のヒトへの外挿性は否定できないとしている(EFSA (2019))。 |
7 | 生殖毒性 | 区分1B |
危険 |
H360 | P308+P313 P201 P202 P280 P405 P501 |
【分類根拠】 (1)~(3)より、区分1Bとした。なお、(1)~(3)では親動物に一般毒性影響(肝臓・甲状腺への影響、体重増加抑制など)がみられる用量であるが、親動物に難産による死亡又は切迫屠殺例、児動物に出生時生存率の低下、後期胚吸収数増加、骨格奇形など重篤な影響がみられた。 【根拠データ】 (1)ラットを用いた混餌投与による二世代生殖毒性試験(OECD TG 416、GLP)において、親動物では300 ppmで死亡3例、切迫屠殺1例、600 ppmで切迫屠殺3例がみられ、いずれも難産によるもので投与による著しい母体毒性のためと考えられた。P及びF1親動物の生存例では300 ppm以上で肝細胞肥大(雌雄)、甲状腺ろ胞上皮の肥大(雌)、600 ppmで甲状腺ろ胞上皮の肥大(雄)がみられ、F1及びF2児動物には600 ppmで出生時生存率の低下がみられたとの報告がある(食安委 農薬評価書(2018)、JMPR Report (2006)、CLH Report (2013))。 (2)(1)の二世代生殖毒性試験でみられた親動物の難産について、その再現性を確認するため、ラットを用いた混餌投与による一世代生殖毒性試験が実施された。その結果、300 ppmでは分娩困難例はみられなかったが、1,000 ppmでは雌6例が死亡又は切迫屠殺され、うち4例が分娩開始時又は分娩開始後24時間以内に死亡した(食安委 農薬評価書(2018)、JMPR Report (2006)、CLH Report (2013))。 (3)ラットを用いた強制経口投与による発生毒性試験(OECD TG 414、GLP、妊娠6~19日)において、50 mg/kg/dayで親動物に体重増加抑制、体重減少及び摂餌量減少、後期吸収胚数増加、児動物に低体重、四肢骨形成異常発生頻度増加、骨格変異発生頻度増加、骨化遅延がみられたとの報告がある(食安委 農薬評価書(2018)、JMPR Report (2006)、CLH Report (2013))。 【参考データ等】 (4)ウサギを用いた強制経口投与による発生毒性試験(OECD TG 414、GLP、妊娠6~28日)において、親動物に顕著な一般毒性影響(流産(2/24例)、全胚吸収(3/24例))がみられた用量で、児動物に着床後死胚率増加・骨化遅延がみられたとの報告がある(食安委 農薬評価書(2018)、JMPR(2006)、CLH Report (2013))。 (5)ラットを用いた混餌投与による発達神経毒性試験(GLP、妊娠0日~哺育22日)において、300 ppm以上で親動物に体重増加抑制、摂餌量減少、児動物に体重増加抑制(雌雄)、包皮分離遅延(雄)、膣開口遅延(雌)、500 ppmでは切歯の配列異常(雄)がみられたとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2018)、CLH Report (2013)、JMPR Report (2006))。 (6)ラットを用いた一世代及び二世代生殖毒性試験では、母体の死因になり得る難産の発生頻度増加と児動物の生存率低下がみられた。難産の作用機序(MoA)検討実験から、妊娠中に卵巣内のアロマターゼ活性の上昇がみられ、授乳中も持続することが示された。性ホルモンの変化が難産のMoAと提唱されているが、このMoAの因果関係は証明されていない。ただし、これらの動物での影響のヒトへの外挿可能性については否定できない(EFSA (2019))。 (7)EU CLP分類では本物質はRepr. 1Bに分類されている(CLP分類結果 (Accessed June 2021))。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分1(神経系) |
危険 |
H370 | P308+P311 P260 P264 P270 P321 P405 P501 |
【分類根拠】 (1)~(4)より、ヒトおよび動物において神経系への影響がみられることから、区分1(神経系)とした。 【根拠データ】 (1)本物質21.7%製剤(100 mL)の意図的摂取後の死亡1例について、初期に吐き気、嘔吐、興奮がみられ、間代性-強直性痙攣が摂取後2時間以内に生じた。頻脈と血圧上昇も早期に出現し、36時間以内に心不全で死亡した。これらの症状は本物質の薬理作用(ニコチン性アセチルコリン受容体刺激作用)と合致し、本死亡例はチアクロプリド中毒に起因しているとの報告がある(ACGIH (2019))。 (2)本物質を意図的に摂取した23歳男性は、チアクロプリド急性中毒症状として、てんかん重積状態、呼吸麻痺、横紋筋融解症、代謝性アシドーシス、急性腎障害がみられ、最終的に難治性ショックをきたし、死亡したとの報告がある(PubChem (Accessed June 2021))。 (3)ラットを用いた急性神経毒性試験において、11 mg/kg以上(区分1の範囲)で運動能及び移動運動能低下(雌)がみられ、22 mg/kg以上(区分1の範囲)で眼瞼下垂(雄)がみられ、53 mg/kg以上(区分1の範囲)で振戦、接近反応低下、瞳孔拡大(雌)がみられたとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2018))。 (4)ラットを用いた単回吸入(粉塵)ばく露試験において、0.48 mg/L以上(区分1の範囲)で緩徐呼吸、呼吸困難、ラ音、衰弱、紅涙、振戦、運動性低下、アパシー、被毛粗剛、低体温、立毛がみられたとの報告がある。なお、当該試験でみられた呼吸器症状は吸入ばく露試験における非特異的影響で、気道刺激性を示す症状ではないとされている(CLH Report (2013)、ACGIH (2019))。 |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分2(肝臓、甲状腺) |
警告 |
H373 | P260 P314 P501 |
【分類根拠】 (1)~(4)より、区分2の用量範囲で肝臓影響(好酸性-明細胞性混合型変異肝細胞巣等)及び甲状腺影響(ろ胞細胞肥大、色素沈着等)がみられることから、区分2(肝臓、甲状腺)とした。なお(1)でみられる神経系影響は、試験において本物質を急激にかつ大量に摂取したことによる影響であり、(2)のイヌの試験でみられる雄性生殖器影響は、同程度の用量で実施されたイヌの長期試験で影響がみられないことから標的臓器に採用しなかった。また(4)でみられる視覚器、骨格筋影響についても、(5)より本物質による特異的な影響でないと判断し、標的臓器に採用しなかった。新たな情報に基づき分類結果を変更した。 【根拠データ】 (1)ラットを用いた4週間亜急性吸入(粉塵)ばく露試験(6時間/日、5日/週、GLP)において、0.1 mg/Lおよび0.2 mg/L(90日換算:0.022~0.044 mg/L、区分2の範囲)でばく露期間中に体重減少、呼吸緩徐、運動性低下、筋弛緩、ラ音、流涎、散瞳、振戦 、筋緊張及び対光反射低下、体温低下、ばく露終了時に肺絶対・比重量増加(雄)、肝臓影響(肝細胞肥大、ALT増加(雌))、甲状腺影響(ろ胞上皮細胞肥大)がみられたとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2018))。 (2)イヌを用いた混餌投与による15週間反復経口投与試験において、1,000 ppmおよび2,000 ppm(34.9~68.0 mg/kg/day(雄)、34.7~65.3 mg/kg/day(雌)区分2の範囲)で雄に生殖器影響(前立腺絶対及び比重量増加、前立腺肥大・分泌能亢進、精巣精子細胞変性・ライデッヒ細胞増加、精巣上体精子細胞変性)がみられたが、雌に有害影響はみられなかったがとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2018)、CLH Report (2013))。 (3)ラットを用いた混餌投与による2年間慢性毒性/がん原性併合試験(GLP)において、50 ppm(2.5 mg/kg/day(雄)、3.3 mg/kg/day(雌)、区分1の範囲)で肝臓影響(肝細胞硝子滴変性、小葉中心性肝細胞肥大、好酸性-明細胞性混合型変異肝細胞巣等)及び甲状腺影響(ろ胞細胞肥大、コロイド変性、色素沈着、ろ胞細胞過形成(雌)、TSH増加(雌))、網膜萎縮(雌)がみられ、500 ppm(25.2 mg/kg/day(雄)、33.5 mg/kg/day(雌)、区分2の範囲)で子宮腺過形成、水晶体変性がみられ、1,000 ppm(51.7 mg/kg/day(雄)、69.1 mg/kg/day(雌)、区分2の範囲)で神経系影響(坐骨神経変性、脊髄神経根神経症(雌))、骨格筋影響(萎縮・変性・単核細胞浸潤(雌))がみられたとの報告がある。なお子宮腺過形成は、統計学的有意差は認められないが、検体投与の影響と判断された(食安委 農薬評価書 (2018)、CLH Report (2013))。 (4)マウスを用いた混餌投与による2年間がん原性試験(OECD TG 451、GLP)において、1,250 ppm(234 mg/kg/day(雄)、475 mg/kg/day(雌)、区分に該当しない範囲)で肝臓影響(肝細胞肥大・脂肪化・肝細胞壊死等)、血液/リンパ系影響(白血球数増加・腸間膜/顎下リンパ節空胞化)、雌に副腎影響(重量増加・X帯空胞化域の拡張)、卵巣影響(好酸性黄体化細胞増加)がみられたとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2018)、CLH Report (2013))。 (5)(3)のラット試験でみられた所見のうち、雌にみられた水晶体(線維)の変性(500 ppm以上)及び網膜の萎縮(50 ppm以上)の発現頻度増加は、ヒストリカルコントロールデータと比較すると投与に関連した影響ではなく、対照群の雌の生存率低下によるみかけの影響と考えられた。また、500 ppm以上の雌における神経系及び骨格筋の変性様変化の増加は、対照群と比べて最高用量群の生存率が相対的に高いため統計的有意差を生じたもので、結果的に加齢性変化の発現頻度の増加を招いたのでないかと考えられている(JMPR (2006))。 【参考データ等】 (6)ラットを用いた混餌投与による90日間経口投与試験(GLP)において、400 ppm以上(28.6 mg/kg/day(雄)、 35.6 mg/kg/day(雌)、区分2の範囲)で肝薬物代謝酵素活性(ECOD、EROD(雌)、EH、GST、UDPGT)、雄にTP増加、肝細胞肥大、肝細胞質変化(微細な顆粒状又は小胞の構造)がみられ、1,600 ppm(123 mg/kg/day(雄)、161 mg/kg/day(雌))で脾臓のマクロファージ活性増加、雄にT3及びT4増加、マイトジェン(LPS)刺激細胞の増加、雌に雄と同様の肝臓影響がみられたとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2018)、CLH Report (2013))。 (7)マウスを用いた混餌投与による90日間反復経口投与試験(OECD TG 408、GLP)において、50 ppm(19.9 mg/kg/day(雄)、27.2 mg/kg/day(雌)、区分2の範囲)で副腎X帯空胞化域の拡張傾向(雌)、250 ppm(103 mg/kg/day(雄)、139 mg/kg/day(雌)、区分に該当しない範囲)で肝臓影響(絶対及び比重量増加、小葉中心性/び漫性肝細胞肥大)、卵巣影響(好酸性黄体量減少、間質腺亢進)がみられたとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2018)、CLH Report (2013))。 (8)ラットを用いた混餌投与による90日間亜急性神経毒性試験(GLP)において、1,600 ppm(101 mg/kg/day(雄)、115 mg/kg/day(雌)、区分に該当しない範囲)で体重増加抑制、摂餌量減少がみられたが、神経毒性はみられなかったとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2018)、CLH Report (2013))。 (9)ラットを用いた4週間亜急性経皮投与試験(6時間/日、5日/週、OECD 410、GLP)において、1,000 mg/kg/day(90日換算:222.2 mg/kg/day、区分該当しない範囲)で肝臓影響(絶対/比重量増加、小葉中心性肝細胞肥大)、甲状腺影響(甲状腺ろ胞細胞肥大)がみられたとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2018)、CLH Report (2013))。 (10)イヌを用いた混餌投与による1年間慢性毒性試験(OECD TG 452)において、1,000 ppm(34.4 mg/kg/day(雄)、33.8 mg/kg/day(雌)、区分2の範囲)で肝臓重量増加と肝細胞のすり硝子様変化がみられたとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2018)、CLH Report (2013))。 |
10 | 誤えん有害性 | 分類できない |
- |
- | - | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | 絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性 短期(急性) | - |
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11 | 水生環境有害性 長期(慢性) | - |
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12 | オゾン層への有害性 | - |
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