項目 | 情報 |
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CAS登録番号 | 127-19-5 |
名称 | N,N-ジメチルアセトアミド |
物質ID | R03-B-012-METI, MOE |
分類実施年度 | 令和3年度(2021年度) |
分類実施者 | 経済産業省/環境省 |
新規/再分類 | 再分類・見直し |
他年度における分類結果 | 2018年度(平成30年度) 2013年度(平成25年度) 2008年度(平成20年度) 2006年度(平成18年度) |
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項目 | 情報 |
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分類に使用したガイダンス(外部リンク) | 政府向けGHS分類ガイダンス(令和元年度改訂版(Ver.2.0)) |
国連GHS文書(外部リンク) | 国連GHS文書 |
解説・用語集(Excelファイル) | 解説・用語集 |
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OECD/eChemPortal(外部リンク) | eChemPortal |
危険有害性項目 | 分類結果 |
絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 爆発物 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 爆発性に関連する原子団を含んでいない。 |
2 | 可燃性ガス | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
3 | エアゾール | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 酸化性ガス | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
5 | 高圧ガス | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
6 | 引火性液体 | 区分4 |
警告 |
H227 |
P370+P378
P210 P280 P403 P501 |
引火点66℃ (closed cup)(GESTIS(Accessed June 2021))に基づいて区分4とした。 |
7 | 可燃性固体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
8 | 自己反応性化学品 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。 |
9 | 自然発火性液体 | 区分に該当しない |
- |
- | - | 発火点は400℃(GESTIS(Accessed June 2021))であり、常温で発火しないと考えられる。 |
10 | 自然発火性固体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない |
- |
- | - | 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 金属及び半金属(B,Si,P,Ge,As,Se,Sn,Sb,Te,Bi,Po,At)を含んでいない。 |
13 | 酸化性液体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。 |
14 | 酸化性固体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
15 | 有機過酸化物 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物である。 |
16 | 金属腐食性化学品 | 分類できない |
- |
- | - | データがなく分類できない。 |
17 | 鈍性化爆発物 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 爆発性に関連する原子団を含んでいない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 |
絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 急性毒性(経口) | 区分に該当しない |
- |
- | - |
【分類根拠】 (1)~(6)より、区分に該当しない。 【根拠データ】 (1)ラットのLD50:4,300 mg/kg(厚労省 リスク評価書 (2013)、MOE 初期評価 (2017)) (2)ラット(雄)のLD50:5,809 mg/kg(ACGIH (2018)) (3)ラット(雌)のLD50:4,930 mg/kg(ACGIH (2018)) (4)ラットのLD50:3,000~6,000 mg/kgの間(SIAR (2001)) (5)ラットのLD50:5,000 mg/kg(産衛学会 許容濃度提案理由書 (1990)) (6)ラットのLD50:4,800~5,830 mg/kgの間(AICIS IMAP (2013)) |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分に該当しない |
- |
- | - |
【分類根拠】 (1)~(5)より、区分に該当しない。 【根拠データ】 (1)ウサギのLD50:2,240 mg/kg(厚労省 リスク評価書 (2013)、MOE 初期評価 (2017)、産衛学会 許容濃度提案理由書 (1990)) (2)ウサギのLD50:2,100~3,600 mg/kgの間(SIAR (2001)) (3)ウサギ(雄)のLD50:2,100 mg/kg(AICIS IMAP (2013)) (4)ラットのLD50:> 2,000 mg/kg(厚労省 リスク評価書 (2013)、MOE 初期評価 (2017)) (5)ラットのLD50:7,500 mg/kg(SIAR (2001)) |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 区分に該当しない |
- |
- | - |
【分類根拠】 GHSの定義における液体であり、区分に該当しない。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 区分3 |
危険 |
H331 |
P304+P340
P403+P233 P261 P271 P311 P321 P405 P501 |
【分類根拠】 (1)より、区分3とした。なお、ばく露濃度は飽和蒸気圧濃度の90%(1,776 ppm)より低いため、蒸気と判断し、ppmVを単位とする基準値より判断した。 【根拠データ】 (1)ラットのLC50(1時間): 2,475 ppm (4時間換算値:1237.5 ppm)(MOE 初期評価 (2017)、厚労省 リスク評価書 (2013)、SIAR (2001)) |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 区分に該当しない |
- |
- | - |
【分類根拠】 (1)、(2)より、区分に該当しない。なお、ばく露濃度は飽和蒸気圧濃度(6.32 mg/L)より高いため、ミストと判断した。 【根拠データ】 (1)ラットのLC50(8時間):10.7~32 mg/Lの間 (4時間換算値:21.4~64 mg/L)(OECD TG 403)(REACH登録情報 (Accessed July 2021)、AICIS IMAP (2013)) (2)ラットのLD50(8時間):> 12 mg/L (4時間換算値:24 mg/L)(SIAR (2001)) |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分に該当しない |
- |
- | - |
【分類根拠】 (1)、(2)より、区分に該当しない。 【根拠データ】 (1)ウサギ(n=2)を用いた皮膚刺激性試験(OECD TG 404相当、閉塞、20時間適用、7日観察)において、全例で24時間後及び72時間後に軽度の紅斑がみられたが、7日以内に回復したとの報告がある(AICIS IMAP (2013)、REACH登録情報 (Accessed Aug. 2021))。 (2)ウサギ(n=2/群)を用いた皮膚刺激性試験において、最大で500 mg/kgの原液を適用したところ、皮膚刺激性はみられなかったとの報告がある(SIAR (2001)、AICIS IMAP (2013) REACH登録情報 (Accessed Aug. 2021))。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2 |
警告 |
H319 |
P305+P351+P338
P337+P313 P264 P280 |
【分類根拠】 (1)~(4)より、区分2とした。なお、(1)の知見は区分2Aを示唆するが、被験動物数が不十分であるため細区分せず、分類結果を変更した。 【根拠データ】 (1)ウサギ(n=2)を用いた眼刺激性試験(OECD TG 405相当、8日観察)において、24時間後に全例で中程度の角膜混濁及び結膜発赤がみられ、1例の影響は8日以内に回復したが、もう1例の影響は8日以内に回復しなかった(角膜混濁スコア:1.3/1.3、虹彩炎スコア:0.3/0、結膜発赤スコア:2/2、結膜浮腫スコア:0.7/1.3)との報告がある(AICIS IMAP (2013)、REACH登録情報 (Accessed Aug. 2021))。 (2)ウサギ(n=2)を用いた眼刺激性試験において、1例は重度の痛みを示したため、1分後に眼を洗浄した。洗浄した1例では角膜傷害、虹彩炎、結膜浮腫及び結膜発赤の影響がみられた。他の1例では中程度の角膜損傷が認められた。みられた影響は14日以内に完全に回復したとの報告がある(AICIS IMAP (2013)、REACH登録情報 (Accessed Aug. 2021))。 (3)ウサギに無希釈のN,N-ジメチルアセトアミドを点眼した場合、Smythらの評価方法でスコア3と評価された。これは狭い範囲で角膜壊死が生じていることを示唆する。なお、この角膜障害は可逆的である(厚労省 リスク評価書 (2013)、ACGIH (7th, 2018))。 (4)ウサギを用いた眼刺激性試験において、原液を0.1mL適用したところ、眼に軽度かつ回復性のある刺激を生じたとの報告がある(SIAR (2001))。 |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない |
- |
- | - |
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 |
4 | 皮膚感作性 | 区分に該当しない |
- |
- | - |
【分類根拠】 (1)、(2)より、区分に該当しない。 【根拠データ】 (1)本物質はモルモットでは感作性を示さない(ACGIH (7th, 2018)、SIAR (2001))。 (2)モルモット(n=7)を用いた試験において、0.1%溶液を皮内投与して誘導した4例及び50%溶液を経皮投与して誘導した3例の全例で惹起後の刺激性影響がみられたが、48時間以内に消失したとの報告がある(AICIS IMAP (2013)、REACH登録情報 (Accessed Aug. 2021))。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 区分に該当しない |
- |
- | - |
【分類根拠】 (1)、(2)より区分に該当しない。 【根拠データ】 (1)In vivoでは、ラットの骨髄細胞を用いた染色体異常試験(吸入ばく露、最高700 ppm、5日間連続)で陰性、ラットを用いた優性致死試験(吸入ばく露、最高200 ppm、5日間連続)で陰性であった。その他の優性致死試験として、ラット及びマウスの経皮投与(最高3,000 mg/kg)、マウスの吸入ばく露(最高2.53 mg/L)、マウスの腹腔内投与試験(680 microL/kg)でも陰性であった(SIAR (2001)、MOE 初期評価 (2017)、ACGIH (7th, 2018))。 (2)In vitroでは、細菌復帰突然変異試験で陰性、ほ乳類培養細胞(CHO)を用いた姉妹染色分体交換試験で陽性又は不確定、ヒト胎児腸細胞、又はヒト二倍体線維芽細胞を用いた不定期DNA合成試験で陰性の報告がある(SIAR (2001)、厚労省 リスク評価書 (2013)、MOE 初期評価 (2017)、ACGIH (7th, 2018)、IARC 123 (2020))。 【参考データ等】 (3)本物質にばく露(5~10 mg/m3)された作業者20人から採取したヒトリンパ球を用いた染色体異常試験において、染色体異常頻度の増加はみられなかったが、対照群が少なく(非ばく露作業者16人)、職業ばく露の研究報告としては集団のサイズが小さい(SIAR (2001))。AICIS IMAP (2013)、REACH登録情報(Accessed July 2021))。 |
6 | 発がん性 | 区分1B |
危険 |
H350 |
P308+P313
P201 P202 P280 P405 P501 |
【分類根拠】 (1)~(4)より、区分1Bとした。新たな知見に基づき、区分を変更した。 【根拠データ】 (1)ラットを用いた2年間吸入ばく露(6時間/日、5日/週)による発がん性試験(OECD TG451、GLP)において、最高濃度の450 ppmばく露では、雄に肝細胞腺腫、さらに肝細胞腺腫と肝細胞がんを合わせた肝腫瘍の発生増加が認められた。雌では腫瘍の発生増加は認められなかった(厚労省 がん原性試験 (2013)、厚労省 リスク評価書 (2013)、MOE 初期評価 (2017)、ACGIH (7th, 2018)、IARC 123 (2020))。 (2)マウスを用いた2年間吸入ばく露(6時間/日、5日/週)による発がん性試験(OECD TG451、GLP)において、最高濃度の300 ppmばく露では、雄に肝細胞腺腫の発生増加が認められた。雌では肝細胞がんと肝細胞腺腫、それぞれの発生増加が認められた(厚労省がん原性試験 (2013)、厚労省 リスク評価書 (2013)、MOE 初期評価 (2017)、ACGIH (7th, 2018)、IARC 123 (2020))。 (3)IARCは本物質の発がん性について、ヒトの証拠は不十分、実験動物での証拠は十分あるとして、グループ2Bに分類した(IARC 123 (2020))。 (4)本物質は厚生労働省化学物質による健康障害防止指針(がん原性指針)の対象物質である(令和2年2月7日付け健康障害を防止するための指針公示第23号)。 【参考データ等】 (5)国内外の評価機関による既存分類結果として、IARCでグループ2Bに(IARC 123 (2020))、日本産業衛生学会で第2群Bに(産衛学会許容濃度等の勧告 (2019))、ACGIHでA3に(ACGIH (7th, 2018))分類されている。 (6)ラットを用いた2年間飲水投与による発がん性試験では、投与に関連した発がん性は認められなかった(SIAR (2001)、Government of Canada, Screening Assessment (2009)、MOE 初期評価 (2017))。 (7)ラットに2年間、マウスに18ヵ月間吸入ばく露(6時間/日、5日/週)された試験では、いずれも350 ppmまでのばく露濃度で雌雄ともに腫瘍発生頻度の増加はみられなかった(IARC 123 (2020)、厚労省 リスク評価書 (2013)、Government of Canada, Screening Assessment (2009)、AICIS IMAP (2013)、MOE 初期評価 (2017) 、ACGIH (7th, 2018))。 (8)イタリアのアクリル繊維製造工場で 1年以上アクリロニトリルのばく露を受けた男性労働者 671人の調査(1959~1990年)では、571 人が本物質のばく露も受けていた。労働者の全死亡数には、地域の一般集団と比べて増加はなかった(コホート全死亡数:32人 vs 期待値:31.2人)が、小腸及び結腸のがんによる死亡数は期待値よりも有意に多かった(がん死亡数:4人 vs 期待値:0.38人)。しかし、小腸及び結腸のがんが有意に多かったのはばく露期間では1~4年の群、初回ばく露からの期間では1~9年の群であり、ばく露期間や潜伏期間がより長かった群での発生数増加はなかった。このため、ばく露との関連はないと考えられた(MOE 初期評価 (2017)、IARC 123 (2020))。 |
7 | 生殖毒性 | 区分1B |
危険 |
H360 |
P308+P313
P201 P202 P280 P405 P501 |
【分類根拠】 (1)~(6)より、区分1Bとした。 【根拠データ】 (1)ラットを用いた強制経口投与による試験(妊娠6~19日)において、400 mg/kg/dayで親動物に体重増加抑制、着床後胚損失数の増加、児動物に奇形を含む発生影響(体重低値、奇形の増加(心臓・大血管・口腔の奇形、67%は心血管系奇形))がみられたとの報告がある(MOE 初期評価 (2017)、厚労省 リスク評価書 (2013)、ACGIH (7th, 2018)、SIAR (2001)、産衛学会 生殖毒性物質の提案理由書 (2014))。 (2)ラットを用いた吸入ばく露による試験(妊娠6~19日、6時間/日)において、450 ppm及び600 ppmで親動物に体重増加抑制、肝臓相対重量増加、小葉中心性肝細胞腫大、胎児に450 ppmで体重低値、奇形(内臓系、骨格系)発生率の増加、600 ppmで450 ppmでみられた影響に加えて外表奇形発生率の増加、生存数減少(雄)がみられた。奇形では心室中隔欠損の発生数が最も多く、次いで総動脈幹遺残の発生数が多かったとの報告がある(MOE 初期評価 (2017)、厚労省 リスク評価書 (2013)、ACGIH (7th, 2018) 、産衛学会 生殖毒性物質の提案理由書 (2014))。 (3)ウサギを用いた吸入ばく露による試験(妊娠7~19日、6時間/日、7日/週)において、親動物に一般毒性影響がみられない199.5 ppm以上で、児動物に骨格変異、570 ppmでは体重及び胎盤重量減少、軽度な奇形発生率増加傾向(骨格・大血管:有意差なし)がみられた(ACGIH (7th, 2018)、Government of Canada, Screening Assessment (2009)、SIAR (2001))。 (4)ウサギを用いた強制経口投与(妊娠6~18日)による試験において、親動物に一般毒性影響(体重増加抑制)がみられる用量(282、472 mg/kg/day)で、胎児に奇形を含む発生影響(体重低値、肋骨癒合、口蓋裂、小眼症)がみられたとの報告がある(Government of Canada, Screening Assessment (2009)、SIAR (2001))。 (5)ウサギを用いた経皮投与(妊娠6~18日)による試験において、親動物に一般毒性影響がみられた用量(500 mg/kg/day)で、胎児に奇形を含む発生影響(体重低値、胸骨の変異、単眼症、臍ヘルニア)がみられた(Government of Canada, Screening Assessment (2009)、SIAR (2001))。 (6)日本産業衛生学会はヒトの症例や疫学調査の報告はないが、動物では胎児毒性や催奇形性が明白なことから、本物質を生殖毒性物質第2群に分類した(産衛学会 生殖毒性物質の提案理由書 (2014))。 【参考データ等】 (7)ラットを用いた吸入ばく露による生殖毒性試験(交配10週間前から哺育22日)において、最高濃度の300 ppmで母動物に肝臓相対重量増加、出生児には離乳時に体重低値及び肝臓相対重量増加が認められたが、受胎能に有害影響はみられなかったとの報告がある(MOE 初期評価 (2017)、ACGIH (7th, 2018)、SIAR (2001))。 (8)ラットを用いた吸入ばく露した結果(妊娠6~15日)、最高用量の282 ppmで母動物に体重増加抑制、胎児に体重低値がみられたが、奇形発生の増加はみられなかったとの報告がある(MOE 初期評価 (2017)、ACGIH (7th, 2018)、厚労省 リスク評価書 (2013)、SIAR (2001))。 (9)EU CLPではRepr. 1Bに分類されている。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分1(中枢神経系、肝臓)、区分3(麻酔作用) |
危険 警告 |
H370
H336 |
P308+P311
P260 P264 P270 P321 P405 P501 P304+P340 P403+P233 P261 P271 P312 |
【分類根拠】 (1)~(4)より、区分1(中枢神経系、肝臓)、区分3(麻酔作用)とした。ヒトへの影響に関する新たな情報源を用いて分類を精査し、分類結果を変更した。 【根拠データ】 (1)本物質の抗がん作用を期待して悪性腫瘍患者17人に経口投与した臨床試験において、100 mg/kg/day(1日間投与以上)で、中枢神経系の機能変化、400 mg/kg/day(3日間投与以上)で肝毒性、精神異常、明確な中枢神経系影響(幻覚、せんもう、精神錯乱、眠気)がみられたとの報告がある(ACGIH (2018))。 (2)本物質の抗がん作用を期待してがん患者15名に経口投与した臨床試験において、400 mg/kgで抑うつ、嗜眠、意識障害、幻覚がみられた。幻覚は数日後には全て回復したとの報告がある(厚労省 リスク評価書 (2013))。 (3)アメリカの化学工場で本物質及びエチレンジアミンを誤って閉鎖空間内で90分間経口及び吸入ばく露した男性労働者の症例報告では、せん妄、幻覚、皮膚火傷、蜂巣炎、両眼の結膜炎、肝臓の炎症、二次的凝固障害、横紋筋融解症、グレード2の食道炎がみられ、本物質の尿中代謝物であるNMAC(N-メチルアセトアミド)の尿中濃度は6日後に61 ppm(mg/L)であった。なお、男性は入院 13 日で全快して退院し、30 日後に職場復帰したとの報告がある(MOE 初期評価 (2017)、厚労省 リスク評価書 (2013)、ACGIH (2018))。 (4)台湾の合成繊維工場で本物質、エチレンジアミン、ジフェニルメタンジイソシアネートに3日間(4~6 時間/日)ばく露した男性労働者の症例報告では、入院1~4日目に幻覚と妄想、低酸素血症を伴った肺水腫とそれに起因する再発性全身性強直間代発作、肝障害、横紋筋融解症がみられた。脳波は4~7 Hz、20~80 microV の徐波を示し中程度の皮質機能障害を起こした。尿中NMAC濃度は入院時~5日目で4,609 mg/gクレアチニンから3,265 mg/gクレアチニンに、その後血液灌流治療を4日間行い4 mg/gクレアチニンまで減少した。尿中のNMAC 濃度と脳波は臨床症状と相関していたとの報告がある(MOE 初期評価 (2017)、厚労省 リスク評価書 (2013))。 |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分1(肝臓、呼吸器) |
危険 |
H372 |
P260
P264 P270 P314 P501 |
【分類根拠】 (1)~(4)より、区分1(肝臓、呼吸器)とした。なお、(4)でみられる慢性腎症はヒトへの外挿性が小さく、腎臓は標的臓器に採用しなかった。新たな情報源を追加し、分類結果を変更した。 【根拠データ】 (1)韓国のポリウレタン繊維製造プラントで本物質にばく露された労働者 440人を対象とした調査では、28人が本物質による肝細胞障害型の肝障害を発症し、高ばく露群(本物質の尿中代謝物であるNMAC(N-メチルアセトアミド)の尿中濃度が高い群)での発生率は低ばく露群よりも7~10倍高かった。また、肝障害の発生は、長期間雇用された労働者ほど少なく、ばく露期間が7ヶ月超では肝障害はみられなかったとの報告がある(MOE 初期評価 (2017))。 (2)韓国のポリウレタン繊維製造工場で1,045 人をモニターした調査では、38人(男性22人、女性16人)で本物質による肝細胞障害型肝障害がにみられた。なお、29人は初回ばく露から 2 ヶ月以内に発症し、潜伏期間が6ヶ月を超えることはなかった。また、再発例では、肝傷害の潜伏期間は初回より再発時は短くなっていた。38 人中21人の尿中NMAC濃度は未発症の労働者の尿中濃度よりも高かったとの報告がある(MOE 初期評価 (2017))。 (3)紡績部門で2~10年働いている41名の労働者についての調査で、本物質の吸収経路は皮膚及び吸入と考えられている。最も訴えの多い、或いは臨床的徴候として観察された症状は肝臓系であった。さらに、気管支や上気道、胃や神経系の異常、および関節痛の訴えも多くあった。BSP試験は肝障害を検出する最も高い検出法であり、この試験法で63%の受診者(19/30例)に肝障害があること、この肝障害と本物質のばく露期間との間に明確な関係があることが明らかになったとの報告がある(厚労省 リスク評価書 (2013)、SIAR (2001)、ACGIH (2018))。 (4)ラットを用いた2年間吸入(蒸気)ばく露試験(6時間/日、5日/週)において、90 ppm(0.32 mg/L、区分2の範囲)で肝臓影響(絶対・相対重量増加、γ-GTP の上昇、クッパー細胞の褐色色素沈着(雌))、腎臓影響(相対重量増加、慢性腎症(雄)、尿素窒素・クレアチニン増加、近位尿細管の褐色色素沈着(雌))、総コレステロール・リン脂質の上昇、トリグリセライドの上昇、カルシウムの上昇、平均赤血球ヘモグロビン量の減少(雌)、アルブミン・A/G 比の有意な低下(雌)が、450 ppm(1.6 mg/L、区分に該当しない範囲)で平均赤血球容積の減少、平均赤血球ヘモグロビン量の減少(雄)、肝臓影響(クッパー細胞の褐色色素沈着(雄)、肉芽形成、明細胞性小増殖巣の発生率増加)、腎臓影響(近位尿細管の褐色色素沈着、嚢胞・腎盂の尿路上皮過形成の発生率増加)(雄)、血小板・網赤血球比・白血球の増加(雌)、カルシウムの上昇(雌)がみられたとの報告がある(MOE 初期評価 (2017)、ACGIH (2018))。 【参考データ等】 (5)マウスを用いた2年間吸入(蒸気)ばく露試験(6時間/日、5日/週)において、60 ppm(0.21 mg/L、区分2の範囲)で赤血球数・ヘマトクリット値・リンパ球比・好酸球比の減少(雄)、好中球比の増加(雄)、尿素窒素・ナトリウムの上昇(雄)が、300 ppm(1.07 mg/L、区分に該当しない範囲)で肝臓影響(絶対及び相対重量増加、AST・ALT・ALPの上昇、好酸性小増殖巣)、腎臓影響(乳頭壊死、瘢痕の発生率増加)、血小板・網赤血球比の増加、脾臓・肺の絶対及び相対重量増加(雄)がみられたとの報告がある(MOE 初期評価 (2017)、ACGIH (2018))。 |
10 | 誤えん有害性 | 分類できない |
- |
- | - |
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 |
絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|
11 | 水生環境有害性 短期(急性) | 区分に該当しない |
- |
- | - | 藻類(デスモデスムス属)72時間ErC50 > 500 mg/L(MOE初期評価, 2017)、甲殻類(オオミジンコ)48時間EC50 > 500 mg/L、魚類(Leuciscus idus)96時間LC50 > 500 mg/L(いずれもSIAR, 2001、MOE初期評価, 2017)であることから、区分に該当しないとした。 |
11 | 水生環境有害性 長期(慢性) | 区分に該当しない |
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慢性毒性データを用いた場合、急速分解性があり(BODによる分解度(NO2):80%、(NH3):107%(METI既存点検結果, 1988))、藻類(デスモデスムス属)の72時間NOEC = 500 mg/L(MOE初期評価, 2017)から、区分に該当しないとなる。 慢性毒性データが得られていない栄養段階(魚類)に対して急性毒性データを用いた場合、急速分解性があり、魚類(Leuciscus idus)の96時間LC50 > 500 mg/L(SIAR, 2001、MOE初期評価, 2017)から、区分に該当しないとなる。 以上の結果を比較し、区分に該当しないした。 |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない |
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- | - | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 |
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