項目 | 情報 |
---|---|
CAS登録番号 | 60-51-5 |
名称 | ジチオりん酸O,O-ジメチル-S-[(N-メチルカルバモイル)メチル](別名:ジメトエート) |
物質ID | R03-B-027-METI, MOE |
分類実施年度 | 令和3年度(2021年度) |
分類実施者 | 経済産業省/環境省 |
新規/再分類 | 再分類・見直し |
他年度における分類結果 | 2018年度(平成30年度) 2006年度(平成18年度) |
Excelファイルのダウンロード | Excel file |
項目 | 情報 |
---|---|
分類に使用したガイダンス(外部リンク) | 政府向けGHS分類ガイダンス(令和元年度改訂版(Ver.2.0)) |
国連GHS文書(外部リンク) | 国連GHS文書 |
解説・用語集(Excelファイル) | 解説・用語集 |
厚生労働省モデルラベル(外部リンク) | 職場のあんぜんサイトへ |
厚生労働省モデルSDS(外部リンク) | 職場のあんぜんサイトへ |
OECD/eChemPortal(外部リンク) | eChemPortal |
危険有害性項目 | 分類結果 |
絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 爆発物 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 爆発性に関連する原子団を含んでいない。 |
2 | 可燃性ガス | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
3 | エアゾール | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 酸化性ガス | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
5 | 高圧ガス | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
6 | 引火性液体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
7 | 可燃性固体 | 分類できない |
- |
- | - | データがなく分類できない。なお、可燃性との情報(GESTIS(Accessed Aug. 2021))がある。 |
8 | 自己反応性化学品 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。 |
9 | 自然発火性液体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
10 | 自然発火性固体 | 区分に該当しない |
- |
- | - | UNRTDGにおいて UN 2783、Class 6.1 に分類されており、優先評価項目である自然発火性には該当しないと考えられるため、区分に該当しない。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない |
- |
- | - | 融点が140℃以下の固体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 区分に該当しない |
- |
- | - | 半金属(P)を含むが、水溶解度は25 g/L水(GESTIS(Accessed Aug. 2021))との測定データが得られており、水と急激な反応をしないと考えられる。 |
13 | 酸化性液体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
14 | 酸化性固体 | 分類できない |
- |
- | - | フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であり、この酸素が炭素及び水素以外の元素(P)と結合しているが、データがなく分類できない |
15 | 有機過酸化物 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | -O-O-構造を含まない有機化合物である。 |
16 | 金属腐食性化学品 | 分類できない |
- |
- | - | 融点が55℃以下の固体であるが、データがなく分類できない。 |
17 | 鈍性化爆発物 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 爆発性に関連する原子団を含んでいない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 |
絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 急性毒性(経口) | 区分3 |
危険 |
H301 |
P301+P310
P264 P270 P321 P330 P405 P501 |
【分類根拠】 (1)~(6)より有害性の高い区分を採用し、区分3とした。 【根拠データ】 (1)ラットのLD50:245 mg/kg(EFSA (2006)) (2)ラットのLD50:約 310 mg/kg(JMPR (1996)) (3)ラット(雌)のLD50:550 mg/kg(EPA OPP Human Health Risk Assessment (2015)) (4)ラット(雄)のLD50:358 mg/kg(EPA Pesticides (2008)) (5)ラット(雌)のLD50:414 mg/kg(EPA Pesticides (2008)) (6)ラットのLD50:314~600 mg/kgの間(JMPR (2003)) |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分に該当しない |
- |
- | - |
【分類根拠】 (1)~(3)より、区分に該当しない。旧分類が採用したデータは得られず、新たな情報源を用いて分類結果を変更した。 【根拠データ】 (1)ラットのLD50:> 2,000 mg/kg(EFSA (2006)) (2)ウサギのLD50:> 5,000 mg/kg(EPA OPP Human Health Risk Assessment (2015)) (3)ウサギのLD50:> 2,000 mg/kg(EPA Pesticides (2008)) |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 区分に該当しない |
- |
- | - |
【分類根拠】 GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類できない |
- |
- | - |
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 区分4 |
警告 |
H332 |
P304+P340
P261 P271 P312 |
【分類根拠】 (1)より、区分4とした。新たな情報源を用いて分類した。 【根拠データ】 (1)ラットのLC50(4時間):1.68 mg/L(EFSA (2006、2018)) |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分に該当しない |
- |
- | - |
【分類根拠】 (1)、(2)より、ガイダンスに従い、区分に該当しない。 【根拠データ】 (1)皮膚刺激性は軽度で一過性の紅斑に限られ、最小限度であったとの報告がある(JMPR (1996))。 (2)本物質は皮膚刺激性を示さない(EFSA (2006))。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2A |
警告 |
H319 |
P305+P351+P338
P337+P313 P264 P280 |
【分類根拠】 (1)~(4)より、ガイダンスに従い、区分2Aとした。なお、新たな知見に基づき、分類結果を変更した。 【根拠データ】 (1)本物質原液はウサギに眼刺激性を示した(JMPR (1996))。 (2)本物質は中程度の眼刺激性物質である(EPA OPP HHRA (2015))。 (3)本物質は軽度の眼刺激性物質である(EFSA (2006))。 (4)本物質は眼刺激性を示した(EFSA (2018))。 【参考データ等】 (5)ウサギを用いた眼刺激性試験(10 mg)において、眼刺激性影響はみられなかったとの報告がある(EHC 90 (1989)、HSDB (Accessed August 2021))。 |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない |
- |
- | - |
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 |
4 | 皮膚感作性 | 区分に該当しない |
- |
- | - |
【分類根拠】 (1)より、区分に該当しない。 【根拠データ】 (1)モルモットを用いた皮膚感作性試験において、結果は陰性であった(EFSA (2018)、EPA OPP HHRA (2015))。 【参考データ等】 (2)接触性皮膚炎患者4名に対してパッチテストを実施した結果、感作性反応がみられたとの記載がある(JMPR (1996))。 (3)本物質原体はモルモットの試験で陰性であったが、本物質製剤(32.7%乳剤)は1/10例に感作性反応を誘発した(JMPR (1996))。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 分類できない |
- |
- | - |
【分類根拠】 (1)~(3)より、分類できない。(1)ではin vivo試験ですべて陰性で、(2)ではin vitroで陽性の結果が多く報告されている。(3)では、in vivo試験データの信頼性に疑義があることから、評価に十分なin vivoデータが不足していると判断し、分類できないとした。 【根拠データ】 (1)In vivoでは、ラットの骨髄細胞を用いた染色体異常試験(腹腔内投与)、マウスの骨髄細胞を用いた小核試験(腹腔内投与)、及びマウスを用いた優性致死試験(強制経口投与、5日間)で、結果はいずれも陰性であった(EPA OPP Human Health Risk Assessment (HHRA) (2015)、Patty (6th, 2012))。 (2)In vitroでは、細菌復帰突然変異試験で陰性又は陽性、ほ乳類培養細胞(CHO, hprt遺伝子座)を用いた遺伝子突然変異試験で不明瞭又は陽性、ほ乳類培養細胞を用いた染色体異常試験で陽性の結果が得られている(EPA OPP HHRA (2015)、EFSA (2018)、Patty (6th, 2012))。 (3)本物質の遺伝毒性の有無に関して、EFSAは以前の評価では、in vitroでは遺伝毒性陽性だが、in vivoでは陰性であり、証拠の重み付けから遺伝毒性はないと考えられるとしていたが(EFSA (2006))、直近の再評価では、in vivo試験の陰性は、試験自体が今日の基準を満たしていないにも関わらず、適切な追試確認がなされていないとして、in vivoの陰性結果を疑問視していることが窺われる。専門家パネルの合意として、本物質が遺伝毒性物質である可能性は否定できないとされた(EFSA (2018))。 |
6 | 発がん性 | 区分2 |
警告 |
H351 |
P308+P313
P201 P202 P280 P405 P501 |
【分類根拠】 (1)~(4)より、区分2とした。新たな情報源を用いて分類した。 【根拠データ】 (1)国内外の評価機関による既存分類結果としては、EPAでグループC(Possible Human Carcinogen:区分2相当)に分類されている(EPA OPP Annual Cancer Report 2020 (Accessed August 2021):2002年分類)。 (2)ラットを用いた2年間混餌投与(1~100 ppm:0.05~5 mg/kg/day)による慢性毒性/発がん性併合試験において、雄では脾臓の血管肉腫の発生率、脾臓の血管腫と血管肉腫の合計発生率、さらに皮膚の血管肉腫との合計発生率に用量依存的な増加傾向が認められた(EPA OPP Human Health Risk Assessment (HHRA) (2015)、Patty (6th, 2012))。 (3)マウスを用いた78週間混餌投与(25~200 ppm:3.75~30 mg/kg/day)による発がん性試験において、200 ppmで雄に血液リンパ細網系腫瘍(白血病・リンパ腫・細網肉腫の組合せ)、雌に肝臓腫瘍がみられた(EPA OPP HHRA (2015)、Patty (6th, 2012))。pair-wise検定の結果では雄の血液リンパ細網系腫瘍は有意な増加を示したのに対し、雌の肝臓腫瘍は有意な増加ではなかった(Patty (6th, 2012))。 (4)EPAによるグループCの分類根拠は、雄マウスの不確かな証拠(血液リンパ細網系腫瘍)と雄ラットの弱い証拠(脾臓(血管腫・血管肉腫)、皮膚(血管肉腫)及びリンパ器官(血管腫・血管肉腫)の腫瘍の組合せ)と変異原性陽性であると示されている(EPA OPP HHRA (2015))。 【参考データ等】 (5)EFSAの評価では、ラットでは脳の顆粒細胞腫瘍の発現頻度が対照群よりわずかに上回っていることから、発がん性の可能性は否定できないが、マウスでは発がん性はみられなかったとしている(EFSA (2018))。評価内容の詳細もEPAの評価との差異の理由も、現時点では不明である。 |
7 | 生殖毒性 | 区分1B |
危険 |
H360 |
P308+P313
P201 P202 P280 P405 P501 |
【分類根拠】 (1)~(5)より、区分1Bとした。なお、(1)~(3)では親動物に一般毒性影響がみられる用量であるが、生殖影響(妊娠動物数の減少、精巣傷害、着床数減少)、児動物に生存率低下など多数の重篤な生殖毒性影響が報告されている。これらの新たな知見に基づき、分類結果を変更した。 【根拠データ】 (1)ラットを用いた混餌投与による二世代生殖毒性試験において、65 ppmでP及びF1雌雄親動物に血漿・赤血球・脳コリンエステラーゼ(ChE)活性の減少、生殖影響(妊娠動物数の減少)、児動物に生存率低下及び低体重が見られたとの報告がある(EPA OPP Human Health Risk Assessment (HHRA) (2015)、Patty (6th, 2012)、JMPR (1996)、EFSA (2006))。 (2)雄マウスを用いた経口投与による試験(20日間、7~28 mg/kg/dayを投与後に無処置雌と交配)において、15 mg/kg/day以上の用量で一般毒性影響としてコリン作動性症状及びコリンエステラーゼ活性減少、生殖毒性影響として15 mg/kg/dayで精子数の減少及び運動能を有する精子の割合の減少、28 mg/kg/dayでは無処置雌に着床数及び生存胎児数減少、死胚及び吸収数が増加したとの報告がある(Patty (6th, 2012))。 (3)雄ラットを用いた混餌投与による試験(90日間、2~20 mg/kg/day)において、用量相関的な精巣傷害(精細管変性・精子形成の部分停止)がみられた。また、雄ラットを用いた経口投与による試験(65日間、6.5及び12.5 mg/kg/day)において、生殖器官重量及び精子運動能の減少、形態異常精子・死亡精子の割合の増加、血漿中テストステロンの減少、精原細胞の変性(中程度~重度)、精子形成の部分停止がみられた(Patty (6th, 2012))。 (4)生殖能力の指標に対する有害影響(妊娠率低下、雄の生殖器管への影響)及び児動物の発生への影響(死亡率増加)がラットとマウスでみられたが、これらの影響は親動物の毒性(赤血球・脳ChE活性阻害)発現量でみられた(EFSA (2018))。 (5)ラット及びウサギを用いた強制経口投与による発生毒性試験(妊娠6~15日(ラット)、妊娠6~20日(ウサギ))において、発生毒性はみられなかったとの報告がある(EPA OPP Human Health Risk Assessment (HHRA) (2015)、Patty (6th, 2012)、JMPR (1996)、EFSA (2006))。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分1(神経系) |
危険 |
H370 |
P308+P311
P260 P264 P270 P321 P405 P501 |
【分類根拠】 (1)~(7)より、区分1(神経系)とした。なお、ヒトでのデータである(1)~(5)の出典はList 2であるが、動物実験のデータ(6)、(7)においても区分1の範囲で神経系への影響がみられるため、区分1とした。 【根拠データ】 (1)本剤の急性中毒症状は、軽症では頭痛、めまい、虚弱、不安、縮瞳、視力障害、中等症では吐き気、流涎、流涙、腹部痙攣、嘔吐、発汗、徐脈、筋肉振戦、重症では下痢、点状で不応性の瞳孔、呼吸困難、肺浮腫、チアノーゼ、括約筋の制御喪失、痙攣、昏睡、死亡であるとの報告がある(HSDB in PubChem (Accessed Aug.2021))。 (2)オリーブの木へ本物質を噴霧してばく露したと思われる農作業中28歳男性の事例では、重度の脱力感、傾眠がみられ、翌日には嘔吐、悪寒、ひどい衰弱がみられ入院した。さらに、脈拍の低下、顕著な縮瞳、大量の嘔吐、発汗、コリンエステラーゼ活性の顕著な阻害がみられたとの報告がある(HSDB in PubChem (Accessed Aug.2021))。 (3)農作業中に本物質を噴霧しばく露されたと思われる女性の事例では、噴霧後3~3.5時間以内に不快臭に気づき、その後頭痛、乾いた咳、呼吸困難、吐き気、嘔吐を発症し、筋肉の細動と喘息を伴う傾眠状態で入院したとの報告がある(HSDB in PubChem (Accessed Aug. 2021))。 (4)自殺目的で本剤約20gを摂取した52歳男性の事例では、2時間後に昏睡状態に陥り、筋線維束性攣縮、極度の縮瞳、流涎過多、呼吸不全がみられたとの報告がある(PATTY (2012))。 (5)本剤の濃縮液3オンスを摂取した68歳男性の事例では、意識を喪失し、コリン作動性中毒に陥ったとの報告がある(PATTY (2012))。 (6)ラットを用いた強制経口投与による急性神経毒性試験において、20 mg/kg(区分1の範囲)で瞳孔反応の消失がみられたとの報告がある(JMPR (2003))。 (7)ラットを用いた混餌投与による急性神経毒性試験において、3 mg/kg(区分1の範囲)で赤血球ChE活性阻害率が赤血球で29%(雄)・脳皮質内で11%(雌)で、統計的に有意であったとの報告がある(JMPR (2003))。 |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分1(神経系) |
危険 |
H372 |
P260
P264 P270 P314 P501 |
【分類根拠】 (1)~(7)より神経系への影響を採用し、区分1(神経系)とした。なお、ヒトでのデータである(1)、(2)の出典はList 2であるが、動物実験のデータ(3)~(7)においても区分1の範囲で神経系への影響がみられるため、区分1とした。なお、(7)で肝臓影響がみられるが、不確実な所見の可能性があるため分類に採用していない。 【根拠データ】 (1)ヒトを対象に本物質を週5日間経口投与した事例では、0.434 mg/kg/day(57日間)以上投与した群で、全血コリンエステラーゼ活性・赤血球コリンエステラーゼ活性の阻害がみられた。なお、胃腸への局所的な影響やその他の毒性の影響はみられなかったとの報告がある(HSDB in PubChem (Accessed Aug.2021))。 (2)本物質をボランティア8人に摂取させた試験では、30 mg/day以上の群で20日目までにコリンエステラーゼ活性の低下がみられ始め、コリンエステラーゼ活性の抑制は試験終了日(57日目)まで持続した。なお、いずれのボランティアにも臨床症状はみられなかったとの報告がある(HSDB in PubChem (Accessed Aug.2021))。 (3)ラットを用いた混餌投与による90日間経口投与試験において、50 ppm(2.5 mg/kg/day、区分1の範囲)で血漿・赤血球・脳コリンエステラーゼ活性抑制が、400 ppm(20 mg/kg/day、区分2の範囲)で摂餌量減少、肝臓・腎臓重量比増加がみられたとの報告がある(EPA OPP Human Health Risk Assessment (2015)、PATTY (2012))。 (4)ラットを用いた混餌投与による2年間経口投与試験において、5 ppm(0.25 mg/kg/day、区分1の範囲)で脳及び血漿コリンエステラーゼ活性減少が、100 ppm(5 mg/kg/day、区分1の範囲)で白血球数増加、貧血(雄)がみられたとの報告がある(EPA OPP Human Health Risk Assessment (2015)、PATTY (2012))。 (5)イヌを用いた混餌投与による90日間経口投与試験において、10 ppm(0.25 mg/kg/day、区分1の範囲)で赤血球コリンエステラーゼ活性抑制が、1,500 ppm(37.5 mg/kg/day、区分2の範囲)で振戦、摂餌量減少(雌)がみられたとの報告がある(EPA OPP Human Health Risk Assessment (2015)、PATTY (2012))。 (6)イヌを用いた混餌投与による1年間経口投与試験において、5 ppm(0.18 mg/kg/day、区分1の範囲)で脳コリンエステラーゼ活性減少、肝臓所見(褐色顆粒状色素の増加、肝臓重量減少(雌))が、20 ppm(0.7 mg/kg/day、区分1の範囲)で赤血球コリンエステラーゼ活性減少が、125 ppm(4.18 mg/kg/day、区分1の範囲)で血漿ChE活性減少、心臓重量減少がみられたとの報告がある(EPA OPP Human Health Risk Assessment (2015)、PATTY (2012))。 (7)マウスを用いた混餌投与による52~78週間経口投与試験において、25 ppm(3.75 mg/kg/day、区分1の範囲)で血漿及び赤血球コリンエステラーゼ活性減少(脳ChE測定されず)、コリンエステラーゼ抑制、肝細胞空胞化(雌)がみられたとの報告がある(EPA OPP Human Health Risk Assessment (2015)、PATTY (2012))。 |
10 | 誤えん有害性 | 分類できない |
- |
- | - |
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 |
絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|
11 | 水生環境有害性 短期(急性) | 区分2 |
- |
H401 |
P273
P501 |
甲殻類(オオミジンコ)48時間EC50 = 2 mg a.i./L(水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準の設定に関する資料, 2013)であることから、区分2とした。新たな情報の使用により、旧分類から分類結果が変更となった。(a.i.: active ingredient) |
11 | 水生環境有害性 長期(慢性) | 区分1 |
警告 |
H410 |
P273
P391 P501 |
急速分解性がなく(難分解性、BODによる分解度:0%(METI既存点検結果, 1983))、甲殻類(オオミジンコ)の 21日間NOAEC= 0.04 mg/L(EPA Pesticides RED, 2007、OPP Pesticide Ecotoxicity Database)から、区分1とした。 慢性毒性データが得られていない栄養段階に対して急性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく、藻類(ムレミカヅキモ)の72時間ErC50 = 280 mg/L(水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準の設定に関する資料, 2013)から、区分に該当しないとなる。 以上の結果を比較し、区分1とした。 |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない |
- |
- | - | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 |
|