項目 | 情報 |
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CAS登録番号 | 79-21-0 |
名称 | 過酢酸 |
物質ID | R03-B-032-METI, MOE |
分類実施年度 | 令和3年度(2021年度) |
分類実施者 | 経済産業省/環境省 |
新規/再分類 | 再分類・見直し |
他年度における分類結果 | 2018年度(平成30年度) 2006年度(平成18年度) |
Excelファイルのダウンロード | Excel file |
項目 | 情報 |
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分類に使用したガイダンス(外部リンク) | 政府向けGHS分類ガイダンス(令和元年度改訂版(Ver.2.0)) |
国連GHS文書(外部リンク) | 国連GHS文書 |
解説・用語集(Excelファイル) | 解説・用語集 |
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OECD/eChemPortal(外部リンク) | eChemPortal |
危険有害性項目 | 分類結果 |
絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 爆発物 | 区分に該当しない |
- |
- | - | 爆発性に関連する原子団(隣接した酸素原子)を含むが、UNRTDG分類では、安定剤入りのものがUN.3105、クラス5.2、PGⅡであり、副次危険は分類されていないため、区分に該当しない。 |
2 | 可燃性ガス | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
3 | エアゾール | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 酸化性ガス | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
5 | 高圧ガス | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
6 | 引火性液体 | 区分3 |
警告 |
H226 |
P303+P361+P353
P370+P378 P403+P235 P210 P233 P240 P241 P242 P243 P280 P501 |
引火点40.5℃(open cup)(ICSC(2018)) との情報が得られており、所定の密閉式測定法においても23℃以上 かつ60℃以下と推定されるため、区分3とした。 |
7 | 可燃性固体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
8 | 自己反応性化学品 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | UNRTDG分類において安定剤入りのものが有機過酸化物に分類 (UN.3105、クラス5.2、タイプD) されている。 |
9 | 自然発火性液体 | 区分に該当しない |
- |
- | - | 発火点は200℃(ICSC(2018))であり常温で発火しないと考えられる。 |
10 | 自然発火性固体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない |
- |
- | - | 液体状の物質に適した試験法が確立していない |
12 | 水反応可燃性化学品 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 金属及び半金属(B,Si,P,Ge,As,Se,Sn,Sb,Te,Bi,Po,At)を含んでいない。 |
13 | 酸化性液体 | 分類できない |
- |
- | - | フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であり、この酸素が炭素及び水素以外の元素(O)と結合しているが、データがなく分類できない。 |
14 | 酸化性固体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
15 | 有機過酸化物 | タイプD |
危険 |
H242 |
P370+P378
P210 P234 P235 P240 P280 P403 P410 P411 P420 P501 |
UNRTDG分類において、安定剤入りのものがUN.3105、クラス5.2、タイプDに分類されている。 |
16 | 金属腐食性化学品 | 区分1 |
警告 |
H290 |
P234
P390 P406 |
金属と接触すると激しく分解する。ほとんどの金属を侵す(ICSC (2015))より区分1とした。 |
17 | 鈍性化爆発物 | 区分に該当しない |
- |
- | - | 爆発性に関連する原子団(隣接した酸素原子)を含むが、UNRTDG分類では、安定剤入りのものがUN.3105、クラス5.2、PGⅡであり、副次危険は分類されていないため、区分に該当しない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 |
絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 急性毒性(経口) | 区分3 |
危険 |
H301 |
P301+P310
P264 P270 P321 P330 P405 P501 |
【分類根拠】 (1)~(8)の100%過酢酸換算より、区分3とした。 【根拠データ】 (1)ラットのLD50(本物質6.11%溶液):1,270 mg/kg (100%過酢酸換算:77.6 mg/kg) (OECD TG 401、GLP)(CLH Report (2021)、SIAR (2008)) (2)ラットのLD50(本物質5%溶液):1,922 mg/kg(雄:1,993 mg/kg、雌:1,859 mg/kg) (100%過酢酸換算:96.1 mg/kg(雄:99.7 mg/kg、雌:93.0 mg/kg)) (OECD TG 401、GLP)(CLH Report (2021)、SIAR (2008)) (3)ラット(雄)のLD50(本物質15%溶液):1,026 mg/kg (100%過酢酸換算:153.9 mg/kg) (OECD TG 401)(CLH Report (2021)、SIAR (2008)) (4)ラット(雌)のLD50(本物質15%溶液):1,015 mg/kg (100%過酢酸換算:152.3 mg/kg) (OECD TG 401)(CLH Report (2021)、SIAR (2008)) (5)ラットのLD50(本物質15.2%溶液):1,780 mg/kg (100%過酢酸換算:271 mg/kg) (OECD TG 401、GLP)(CLH Report (2021)、SIAR (2008)) (6)ラット(雄)のLD50(本物質10%溶液):2.21 mL/kg (100%過酢酸換算:254 mg/kg) (OECD TG 401)(CLH Report (2021)、SIAR (2008)) (7)ラット(雌)のLD50(本物質10%溶液):2.08 mL/kg (100%過酢酸換算:239 mg/kg) (OECD TG 401)(CLH Report (2021)、SIAR (2008)) (8)ラットのLD50(本物質10.85%溶液):200~1,000 mg/kgの間 (100%過酢酸換算:21.7~109 mg/kgの間)。なお、投与量200 mg/kg (100%過酢酸換算:21.7 mg/kg)では死亡はみられず、1,000 mg/kg (100%過酢酸換算:109 mg/kg)では全例が死亡した(OECD TG 401、GLP)(CLH Report (2021)) |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分2 |
危険 |
H310 |
P302+P352
P361+P364 P262 P264 P270 P280 P310 P321 P405 P501 |
【分類根拠】 (1)、(2)の100%過酢酸換算より、有害性の高い区分を採用し、区分2とした。なお、新たな知見に基づき、分類結果を変更した。 【根拠データ】 (1)ウサギのLD50(本物質4.89%溶液):1,147 mg/kg(雄:1,280 mg/kg、雌:1,040 mg/kg) (100%過酢酸換算:56.1 mg/kg(雄:62.6 mg/kg、雌:50.9 mg/kg)) (GLP)(CLH Report (2021)、SIAR (2008)) (2)ウサギのLD50(本物質11.69%溶液):1,957 mg/kg(雄:1,912 mg/kg、雌:1,990 mg/kg) (100%過酢酸換算:228.8 mg/kg(雄:223.5 mg/kg、雌:232.6 mg/kg)) (GLP)(CLH Report (2021)、SIAR (2008)) |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 区分に該当しない |
- |
- | - |
【分類根拠】 GHSの定義における液体であり、区分に該当しない。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類できない |
- |
- | - |
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。なお、新たな知見に基づき、分類結果を変更した。旧分類において分類根拠とされたマウスの1時間吸入ばく露試験の被験物質状態は蒸気と判断されたが、(1)ではエアロゾルとされていた。 【参考データ等】 (1)マウスのLC50(1時間、エアロゾル、本物質40%水溶液):524 mg/m3 (4時間換算及び100%過酢酸換算:0.2 mg/L)(CLH Report (2021)、ACGIH (2014)、DFG MAK (1996)) |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 区分2 |
危険 |
H330 |
P304+P340
P403+P233 P260 P271 P284 P310 P320 P405 P501 |
【分類根拠】 (1)より、区分2とした。なお、新たな知見に基づき、分類結果を変更した。 【根拠データ】 (1)ラットのLC50(4時間、エアロゾル、本物質4.7-5.4%水溶液):4,080 mg/L (100%過酢酸換算:0.2 mg/L(5%時)) (OECD TG 403、GLP)(CLH Report (2021)、SIAR (2008)、ACGIH (2014)) 【参考データ等】 (2)マウスのLC50(1時間、エアロゾル、本物質40%水溶液):524 mg/m3 (4時間換算及び100%過酢酸換算:0.2 mg/L)(CLH Report (2021)、ACGIH (2014)、DFG MAK (1996)) |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分1A |
危険 |
H314 |
P301+P330+P331
P303+P361+P353 P305+P351+P338 P304+P340 P260 P264 P280 P310 P321 P363 P405 P501 |
【分類根拠】 (1)~(3)より、区分1Aとした。なお、新たな知見に基づき、分類結果を変更した。 【根拠データ】 (1)本物質0.013%~0.34%溶液は非刺激性~軽度の刺激性物質であるが、3.4%以上の濃度で45分間以上適用した場合、ウサギの皮膚に腐食性影響を示した。5%溶液を3分間適用した場合は中程度~重度の刺激性がみられ、10%~40%溶液では3分以内に腐食性影響を示した(SIAR (2008)、AICIS IMAP (2013))。 (2)ウサギを用いた皮膚刺激性試験(3分間適用、本物質10%溶液)において、腐食性影響がみられたとの報告がある(SIAR (2008)、AICIS IMAP (2013))。 (3)ウサギを用いた皮膚刺激性試験(3分間適用、本物質15%溶液)において、腐食性影響がみられたとの報告がある(SIAR (2008)、AICIS IMAP (2013))。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分1 |
危険 |
H318 |
P305+P351+P338
P280 P310 |
【分類根拠】 (1)、(2)より、区分1とした。 【根拠データ】 (1)皮膚腐食性/刺激性で区分1Aである。 (2)ウサギの眼刺激性試験(1%溶液を5滴適用)において、角膜混濁を伴う重度の炎症を生じ、視力喪失例がみられたとの報告がある(DFG MAK (1996))。 |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない |
- |
- | - |
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 |
4 | 皮膚感作性 | 区分に該当しない |
- |
- | - |
【分類根拠】 (1)より、区分に該当しない。 【根拠データ】 (1)モルモットを用いた3つのBuehler試験(GLP、局所投与:0.15%、0.5%及び1.2%)において、明瞭な皮膚感作性反応はみられなかった(SIAR (2008)、SIDS Dossier (2008))。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 区分に該当しない |
- |
- | - |
【分類根拠】 (1)~(3)より、区分に該当しない。なお、新たな情報源を用いて分類結果を変更した。 【根拠データ】 (1)In vivoでは、マウスの骨髄細胞を用いた2つの小核試験(単回及び2日間強制経口投与)、及びラットの肝細胞を用いた2つの不定期DNA合成(UDS)試験では、すべて陰性であった(SIAR (2008)、食安委 添加物評価書 (2017))。一方、マウスの骨髄細胞を用いた染色体異常試験(単回経皮・腹腔内投与)では陽性と報告されたが、試験の詳細は不明である(食安委 添加物評価書 (2017)、ECETOC JACC 40 (2001))。 (2)In vitroでは、細菌復帰突然変異試験で陰性(一部陽性)、ヒトリンパ球を用いた染色体異常試験で陰性(細胞毒性のある高濃度で陽性)の結果であった(SIAR (2008)、食安委 添加物評価書 (2017))。 (3)食品安全委員会では、in vivo染色体異常試験の陽性知見は信頼性に乏しく、過酢酸に生体にとって特段問題となるような遺伝毒性はないとしている(食安委 添加物評価書 (2017))。 |
6 | 発がん性 | 分類できない |
- |
- | - |
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。本物質について標準的な発がん性試験結果がない。 【参考データ等】 (1)国内外の評価機関による既存分類結果としては、ACGIHでA4に分類されている(ACGIH (7th, 2014))。 (2)マウスに7, 12-dimethylbenz[a]anthracene (DMBA)、125 μgで前処置後に本物質市販品を過酢酸として0.3~3.0%の濃度で66週間経皮適用(5日/週)した結果、0.3、1.0、及び3.0%で皮膚腫瘍が7%、27%及び80%の発生率でみられた。これは過酢酸の市販品混合物(40%過酢酸、5%過酸化水素、40%酢酸、1%硫酸)の結果であり、本物質単独の試験結果はない。著者らは本物質は強いプロモーター作用物質であると結論した(ACGIH (7th, 2014)、US AEGL (2010))。 (3)ウサギの皮膚に0.2%過酢酸溶液を12ヵ月間経皮投与(3回/週)したが、皮膚組織に異型性変化は認められなかった(ACGIH (7th, 2014))。 (4)(2)のマウスの二段階発がん性試験結果について、ECETOCでは報告の詳細は不明である。試験で認められた所見は発がんの可能性についてではなく、皮膚の損傷に基づく二次的な影響と考えられると記述されている(ECETOC JACC 40 (2001)、食安委 添加物評価書 (2017))。 |
7 | 生殖毒性 | 分類できない |
- |
- | - |
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。(1)では発生毒性影響はみられなかったが、繁殖能に対する影響に関するデータがない。 【根拠データ】 (1)ラットを用いた飲水経口投与による発生毒性試験(OECD TG 414、GLP、妊娠5~20日)において、700 mg/Lで親動物に体重増加抑制、体重減少などがみられたが、児動物には低体重、貧弱及び/又は肥大性骨化 (骨形成) 発生率の増加がみられたとの報告がある(SIAR (2008)、食安委 添加物評価書 (2017))。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分1(呼吸器) |
危険 |
H370 |
P308+P311
P260 P264 P270 P321 P405 P501 |
【分類根拠】 (1)~(3)より肺水腫などの症状がみられることから、区分1(呼吸器)とした。 【根拠データ】 (1)ラットを用いた単回吸入(ミスト)ばく露試験において、0.072 mg/L(区分1の範囲)で活動亢進、流涙、呼吸困難、血液を含む鼻分泌物が、0.238 mg/L(区分1の範囲)で活動亢進、流涙の増加、呼吸困難、肺水腫、死亡(1/10例)がみられたとの報告がある(DFG MAK (1996))。 (2)ラットを用いた単回吸入(ミスト)ばく露試験(OECD TG 403、GLP、4時間)において、0.087 mg/L~0.267 mg/L(区分1の範囲)でアパシー(無関心)、呼吸困難、呼吸数低下、恐怖反応低下、不動、自発運動減少がみられたとの報告がある(SIAR (2008))。 (3)ラットを用いた単回吸入(ミスト)ばく露試験(1時間)において、0.15 mg/L~1.45 mg/L((4時間換算値:0.0375 mg/L~0.363 mg/L、区分1の範囲)で気道刺激症状(呼吸数の減少、呼吸困難、鼻口周囲の血液付着、くしゃみ、鼻のこすりつけ)、中枢神経影響を示唆する症状(受動姿勢、警戒心及び驚愕反応低下、立毛、流涎、協調運動性・筋緊張低下)がみられた。ただしこれらの所見は極度の不快感が関連したものの可能性があるとの報告がある(US AEGL (2010)、ACGIH (2014) )。 |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分1(呼吸器) |
危険 |
H372 |
P260
P264 P270 P314 P501 |
【分類根拠】 (1)、(2)より、区分1(呼吸器)とした。肝臓への所見は、投与に関連した影響とは断定できず、採用していない。旧分類において分類根拠とされたモルモットの経皮ばく露試験(4)は、投与に関連した結論は導けないとしている。 【根拠データ】 (1)ウシを用いた86日間吸入(ミスト)ばく露試験(1時間/日)において、0.05 mg/L(ガイダンス換算値:0.0083、区分1の範囲)で咳、鼻汁の増加、流涙、唾液分泌、気管支肺炎がみられたとの報告がある(DFG MAK (1996))。 (2)ブタを用いた86日間吸入(ミスト)ばく露試験(1時間/日)において、0.05 mg/L(ガイダンス換算値:0.0083、区分1の範囲)で咳、嘔吐、鼻汁の増加、流涙、唾液分泌、気管支肺炎がみられたとの報告がある(DFG MAK (1996))。 【参考データ】 (3)ラットを用いた強制経口による13週間経口投与試験(GLP)において、2.5 mg/kg/day(区分1の範囲)(23日以降0.75 mg/kg/day(区分1の範囲))で一過性・間欠性の喘鳴(2.5 mg/kg/day投与時)、泡沫内容物を有する赤色肺/肺のうっ血及び肺胞浮腫及び死亡((雌1/10例、2.5 mg/kg/day投与時)が、7.5 mg/kg/day(区分1の範囲)(11日以降5.0 mg/kg/day(区分1の範囲)、23日以降 2.5 mg/kg/day(区分1の範囲))で騒音性呼吸、呼吸困難、腹部膨満、唾液過剰分泌、立毛、胃腸管のガス充満、赤色・拡張肺、気管影響(壊死性炎症)、肺影響(気管・気管支分岐部の急性気管支炎)がみられた。ただし、気管や肺への影響は、胃や腸において被験物質が分解し発生したガスによって、被験物質が胃液とともに逆流したことによる局所的な刺激である可能性があると報告されている(SIAR (2008)、食安委 添加物評価書 (2017)、AICIS IMAP (2013))。 (4)モルモットを用いた90日間経皮投与試験(5日/週)において、0.384 mg/kg/day(0.274 mg/kg/day、区分1の範囲)で肝臓影響(限局性肝細胞壊死(門脈周囲)、肝細胞脂肪化、グリソン鞘(小葉間静脈・動脈・胆管を束ねる結合織)の細胞浸潤、細胞腫大及びクッパー細胞の軽度増殖)、肺炎がみられた。ただし、肺炎の所見は、処置皮膚から発生した蒸気の吸入により悪化したものである可能性があり、また、その悪化による感染症がみられたため、皮膚塗布後の影響について、本試験から投与に関連した結論は導けないと報告されている(ECETOC TR JACC (2001)、DFG MAK (1996))。 (5)マウスを用いた28日間吸入(ミスト)ばく露試験(1時間/日、3日/週)において、0.07及び0.14 mg/L(ガイダンス換算値:0.0038及び0.0076 mg/L、区分1の範囲)で呼吸困難が観察されたが、ばく露停止後は観察されなくなり、組織病理学的所見は肺の軽度の形態学的変化のみであったとの報告がある(ECETOC TR JACC (2001))。 (6)マウス及びモルモットを用いた2つの90日間吸入(ミスト)ばく露試験(1時間/日)において、0.186及び0.280 mg/L(ガイダンス換算値:0.031及び0.167 mg/L、区分2の範囲)で肺の炎症性変化(低用量のみ)、肝臓影響(肉芽腫、リンパ球浸潤)がみられた。なお、肺の炎症性変化は高用量群でみられなかったことから投与による影響とは断定できず、また、肝臓影響は細菌感染による可能性があると報告されている(ECETOC TR JACC (2001))。 |
10 | 誤えん有害性 | 分類できない |
- |
- | - |
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 |
絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|
11 | 水生環境有害性 短期(急性) | 区分1 |
警告 |
H400 |
P273
P391 P501 |
藻類(ムレミカヅキモ)120時間ErC50 = 0.18 mg(SIAR, 2008)であることから、区分1とした。 |
11 | 水生環境有害性 長期(慢性) | 区分2 |
- |
H411 |
P273
P391 P501 |
慢性毒性データを用いた場合、急速分解性があり(類似化学物質のBODによる分解度:74%(METI既存点検結果, 2012))、藻類(ムレミカヅキモ)の72時間NOErC = 0.084 mg/L(SIDS Dossier, 2008)から、区分2となる。 慢性毒性データが得られていない栄養段階(甲殻類、魚類)に対して急性毒性データを用いた場合、急速分解性があり、甲殻類(オオミジンコ)の48時間EC50 = 0.48 mg/L(SIAR, 2008)であるが、生物濃縮性が低いと推測される(logKow=-1.07(KOWWIN v1.68))ことから、区分に該当しないとなる。 以上の結果を比較し、区分2とした。 |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない |
- |
- | - | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 |
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