政府によるGHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 822-16-2
名称 ステアリン酸ナトリウム
物質ID R03-B-033-METI
分類実施年度 令和3年度(2021年度)
分類実施者 経済産業省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 2014年度(平成26年度)   2006年度(平成18年度)  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(令和元年度改訂版(Ver.2.0))
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
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厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
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物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - エアゾール製品でない。
4 酸化性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 分類できない
-
-
- - データがなく分類できない。なお、可燃性、及び、粉じん爆発のおそれ(GESTIS(Accessed Aug. 2021))との情報がある。
8 自己反応性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 分類できない
-
-
- - データがなく分類できない。
11 自己発熱性化学品 分類できない
-
-
- - データがなく分類できない。
12 水反応可燃性化学品 区分に該当しない
-
-
- - 金属(Na)を含むが、水に可溶(GESTIS(Accessed Aug. 2021))との情報があり、水と急激な反応をしないと考えられる。
13 酸化性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であり、この酸素が炭素及び水素以外の元素(Na)と結合しているが、これはイオン結合であり酸化性に寄与しない。
15 有機過酸化物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物である。
16 金属腐食性化学品 分類できない
-
-
- - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。
17 鈍性化爆発物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 爆発性に関連する原子団を含んでいない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)より、区分に該当しない。

【根拠データ等】
(1)ラットのLD50:> 5,000 mg/kg(CIR Expert Panell(化粧品成分審査委員会専門家パネル) (2019))。

【参考データ等】
(2)ステアリン酸(CASRN:57-11-4)におけるラットのLD50:> 5,000 mg/kg(OECD TG 401)(SIAP (2014))
1 急性毒性(経皮) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データがなく分類できない。

【参考データ等】
(1)ステアリン酸(CASRN:57-11-4)におけるウサギのLD50:> 2,000 mg/kg(REACH登録情報 (Accessed Sep. 2021))

1 急性毒性(吸入:ガス) 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。

2 皮膚腐食性/刺激性 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)より、区分に該当しない。

【根拠データ】
(1)ウサギを用いた皮膚刺激性試験において、本物質は非刺激物であったとの報告がある(ACGIH (7th, 2017)、CIR Expert Panel (化粧品成分審査委員会専門家パネル) (2019))。

【参考データ等】
(2)本物質0.5%水溶液で24時間パッチテストを行った結果、被験者20人中4人に軽微から中程度の紅斑がみられたとの報告がある(CIR Expert Panel (化粧品成分審査委員会専門家パネル) (2019))。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)、(2)より、区分に該当しない。なお、新たな知見に基づき、区分を変更した。

【根拠データ】
(1)ステアリン酸(CASRN: 57-11-4)について、ウサギを用いた眼刺激性試験において、適用後24、48時間後に軽度の結膜発赤が2/6例にみられたが、影響は72時間以内に全て回復したとの報告がある(REACH登録情報 (Accessed Sep. 2021))。
(2)ウサギを用いた眼刺激性試験において、最小限から軽度な刺激性を示したとの報告がある(CIR Expert Panel (化粧品成分審査委員会専門家パネル) (2019))。
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。

【参考データ等】
(1)本物質0.3%~0.75%の水溶液は、100名の被験者に感作を引き起こさなかったとの報告がある(CIR Expert Panel (化粧品成分審査委員会専門家パネル) (2019))。
5 生殖細胞変異原性 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
本物質のデータはないが、(1)~(3)よりステアリン酸マグネシウムおよびステアリン酸の各種試験陰性知見に基づき、区分に該当しないと判断した。

【根拠データ】
(1)ステアリン酸マグネシウム(CAS 557-04-0)はin vitroの細菌復帰突然変異試験及びチャイニーズハムスター肺由来細胞(CHL/IU)を用いた染色体異常試験で陰性、マウスの骨髄細胞を用いたin vivo小核試験で陰性であったことから、生体にとって特段問題となる遺伝毒性はないと判断された(食安委 添加物評価書 (2016))。
(2)ステアリン酸マグネシウムを経口摂取した場合、一部は胃内でマグネシウムイオンとステアリン酸に解離すると考えられている(食安委 添加物評価書 (2016))。
(3)ステアリン酸(CAS 57-11-4)については、in vitroの細菌復帰突然変異試験で陰性の報告がある(CIR Expert Panel (2019)、食安委 添加物評価書 (2008))。

【参考データ等】
(4)本物質は水溶性であり、ステアリン酸マグネシウムは水に不溶である(ACGIH (7th, 2017))。
6 発がん性 区分に該当しない
-
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- - 【分類根拠】
本物質のデータはないが、(1)のステアリン酸ナトリウムを含む既存分類、(2)~(4)よりステアリン酸マグネシウムおよびステアリン酸の各種試験での陰性知見に基づき、区分に該当しないと判断した。

【根拠データ】
(1)国内外の評価機関による既存分類結果として、ACGIHでステアリン酸塩についてA4に分類されている(ACGIH (7th, 2017))。
(2)ステアリン酸塩の発がん性を評価するために実施された動物試験からは、陽性/陰性を判断できない曖昧な結果、又は陰性の結果が得られた(ACGIH (7th, 2017))。
(3)ラットを用いた209日間混餌投与試験で、ステアリン酸の0.3%(3,000 ppm)含有群に腫瘍発生増加はみられなかった(ACGIH (7th, 2017))。
(4)マウスにステアリン酸を最大50 mg/kg/dayで混餌投与(投与期間不明)した試験で発がん性はみられなかった(CIR Expert Panel (2019))。
7 生殖毒性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。なお、(2)はスクリーニング試験であるため生殖毒性がないとは判断できない。

【根拠データ】
(1)ステアリン酸マグネシウム(CAS 557-04-0)はウサギに対して催奇形性を示さなかった(ACGIH (7th, 2017))。
(2)ステアリン酸カルシウム(CAS 1592-23-0)を被験物質としたラットを用いた強制経口投与による生殖毒性スクリーニング試験(28日間(雄)、交配14日前から哺育3日まで(雌))において、限度量の1,000 mg/kg/dayまで親動物、児動物ともに有害影響はみられなかった(CIR Expert Panel (化粧品成分審査委員会専門家パネル) (2019))。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)より、経口経路では区分に該当しない。ただし、他経路での分類に十分な毒性情報がなく、データ不足のため分類できない。

【根拠データ】
(1)ラットを用いた経口投与試験において、5,000 mg/kg(区分該当しない範囲)まで毒性がみられなかったとの報告がある(CIR Expert Panel (2019))。

9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。

【参考データ等】
(1)離型剤に含まれるステアリン酸亜鉛(CASRN:557-05-1)粉じんに29年間職業ばく露を受けたゴム作業者の事例では、塵肺が生じ、組織検査により肺に結合組織の増加と慢性炎症がみられた。また剖検時に亜鉛を含んだ線維組織に多くの顆粒状物及び針状物がみられた(ACGIH (2017))。
(2)化学工場においてステアリン酸亜鉛粉塵に7年間暴露された作業者に生じた肺線維症の事例では、肺に保持された亜鉛の量は、職業的にステアリン酸亜鉛にばく露されないヒトの肺で検出される量と有意な差異はなく、この作業者の肺線維症の原因はステアリン酸亜鉛ではないと結論した。(ACGIH (2017))。
(3)ステアリン酸(CASRN:57-11-4)を被験物質としたラットを用いた混餌投与による209日間経口投与試験において、3,000 ppm(150 mg/kg/day、区分に該当しない範囲)で気管/気管支炎、大葉性肺炎、脂質性組織球増加反応、膿瘍形成からなる重度の肺感染症を生じたとの報告がある。(ACGIH (2017))。
10 誤えん有害性 分類できない
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- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性 短期(急性) -
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11 水生環境有害性 長期(慢性) -
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12 オゾン層への有害性 -
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分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。
  • 「分類結果」欄の「※」はJISの改正に伴い、区分がつかなかったもの(「区分に該当しない(分類対象外を含む)」あるいは「分類できない」、もしくはそのいずれも該当する場合)に表示するものです。詳細については分類根拠を参照してください。

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