政府によるGHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 108-11-2
名称 4-メチル-2-ペンタノール
物質ID R03-B-004-MHLW
分類実施年度 令和3年度(2021年度)
分類実施者 厚生労働省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 2014年度(平成26年度)   2006年度(平成18年度)  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(令和元年度改訂版(Ver.2.0))
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
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物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - エアゾール製品でない。
4 酸化性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分3


警告
H226 P303+P361+P353
P370+P378
P403+P235
P210
P233
P240
P241
P242
P243
P280
P501
引火点が40.5 ℃(closed cup)(GESTIS (Accessed Sep. 2021))に基づいて区分3とした。なお、UNRTDGにおいて、UN 2053、クラス3、PGⅢに分類されている。
7 可燃性固体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 区分に該当しない
-
-
- - 発火点は335 ℃(GESTIS (Accessed Oct. 2021))であり常温では発火しないと考えられる。
10 自然発火性固体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない
-
-
- - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 金属及び半金属(B,Si,P,Ge,As,Se,Sn,Sb,Te,Bi,Po,At)を含んでいない。
13 酸化性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
14 酸化性固体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物である。
16 金属腐食性化学品 分類できない
-
-
- - データがなく分類できない。
17 鈍性化爆発物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 爆発性に関連する原子団を含んでいない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)~(4)より、区分に該当しない(国連分類基準の区分5)。

【根拠データ】
(1)ラットのLD50:2,260~2,970 mg/kgの間(SIAR (2005))
(2)ラットのLD50:2,260 mg/kg(AICIS IMAP (2013))
(3)ラットのLD50:2,590 mg/kg(ACGIH (8th, 2020))
(4)ラットのLD50:2,590~2,950 mg/kgの間(ACGIH (8th, 2020))
1 急性毒性(経皮) 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)、(2)より、区分に該当しない(国連分類基準の区分5)。

【根拠データ】
(1)ウサギのLD50:3.56 ml/kg(約2,870 mg/kg)(SIAR (2005)、AICIS IMAP (2013)、ACGIH (8th, 2020))
(2)ウサギのLD50:2,880 mg/kg(Patty (6th, 2012))
1 急性毒性(吸入:ガス) 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
GHSの定義における液体であり、区分に該当しない。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)~(2)より、区分に該当しない。なお、ばく露濃度は飽和蒸気圧濃度(15.4 mg/L)より高いため、ミストと判断した。なお新たな知見に基づき分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1)ラットのLC50(4時間):> 16 mg/L(SIAR (2005)、AICIS IMAP (2013)、ACGIH (8th, 2020))
(2)ラットのLC50(2時間):> 19 mg/L(4時間換算値:> 9.5 mg/L)(SIAR (2005) 、ACGIH (8th, 2020))
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2


警告
H315 P302+P352
P332+P313
P362+P364
P264
P280
P321
【分類根拠】
(1)、(2)より、区分2とした。なお、新たな知見に基づき、分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1)ウサギ(n = 3)を用いた皮膚刺激性試験(OECD TG 404、GLP、半閉塞、4時間適用、14日観察)において、全例に明瞭な紅斑と軽微な浮腫、角層の剥離、皮膚の乾燥と脱落がみられ、さらに1例で皮膚の肥厚がみられた。2例の影響は14日以内に完全回復したが、残りの1例では14日後も極めて軽微な紅斑がみられた(紅斑・痂皮スコア:2/2/2、浮腫スコア:2/1/1.7)との報告がある(REACH登録情報、AICIS IMAP (2013)、ACGIH (8th, 2020))。
(2)本物質は皮膚、眼、気道に刺激性を示す(ACGIH (8th, 2020))。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2A


警告
H319 P305+P351+P338
P337+P313
P264
P280
【分類根拠】
(1)~(3)より、区分2Aとした。

【根拠データ】
(1)ウサギ(n = 3)を用いた眼刺激性試験(OECD TG 405、GLP、14日観察)において、全例で角膜混濁、虹彩炎、結膜のび慢性着色、眼瞼の約半分を閉塞状態とする腫脹がみられた。すべての影響は14日以内に回復した(角膜混濁スコア:1/0.7/2、虹彩炎スコア:0.7/0.7/0.3、結膜発赤スコア:2.3/1.3/1.3、結膜浮腫スコア:1/0.3/0.3)との報告がある(AICIS IMAP (2013)、ACGIH (8th, 2020)、REACH登録情報 (Accessed Oct. 2021))。
(2)12名のボランティアに対して、本物質蒸気を50 ppmで15分間ばく露した結果、ほとんどの被験者が眼刺激を示し、より高濃度では鼻と喉の刺激も生じた。最大耐容濃度は25 ppmと考えられたとの報告がある(SIAR (2005)、AICIS IMAP (2013)、ACGIH (8th, 2020)、REACH登録情報 (Accessed Oct. 2021))。
(3)ウサギ(n = 3)を用いた眼刺激性試験において、点眼1、24及び72時間後のDraizeスコア(最大:110)はそれぞれ11、25及び17であった。結膜炎、結膜浮腫及び角膜傷害がみられたが、全て7日以内に正常に回復し、結果は中等度の刺激性であったとの報告がある(SIAR (2005)、AICIS IMAP (2013)、ACGIH (8th, 2020))。
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)より、区分に該当しない。

【根拠データ】
(1)モルモット(n = 20)を用いたMaximisation試験(OECD TG406、GLP、皮内投与:1%溶液)において、惹起終了24及び48時間後の皮膚反応陽性率はいずれも0%(0/20例)であったとの報告がある(SIAR (2005)、AICIS IMAP (2013)、ACGIH (8th, 2020)、REACH登録情報 (Accessed Oct. 2021))。
5 生殖細胞変異原性 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)~(3)より、区分に該当しない。

【根拠データ】
(1)In vitroでは、細菌復帰突然変異試験、ほ乳類培養細胞(マウスリンパ腫細胞)を用いた遺伝子突然変異試験(OECD TG 476、GLP)、及びラット肝細胞(RL4)を用いた染色体異常試験で陰性の結果が得られている(安衛法変異原性試験 (Accessed Sep. 2021)、SIAR (2005)、AICIS IMAP (2013)、Patty (6th, 2012)、REACH登録情報 (Accessed Sep. 2021))。
(2)本物質の主代謝物であるメチルイソブチルケトン(MIBK、CAS番号 108-10-1)を被験物質としたマウスとハムスターを用いたin vivo小核試験の結果は陰性であった(ACGIH (8th, 2020))。
(3)MIBKのin vitro試験として、細菌復帰突然変異試験、ラット肝細胞(RL4)を用いた染色体異常試験で陰性、マウスリンフォーマ試験で陽性又は不確定(-S9)及び陰性(+S9)の結果が得られている(ACGIH (8th, 2020))。
6 発がん性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。ACGIHによる最新評価において、(1)~(4)より、主代謝物であるMIBKの発がん性データの本物質への適用可能性が検討されたが、本物質濃度に換算した発がん性誘発濃度(計算値)が本物質の致死濃度(実測値)近傍と推算されたため不適用と結論された。

【参考データ等】
(1)本物質と本物質の主代謝物のメチルイソブチルケトン(MIBK、CAS番号 108-10-1)の投与後の体内ばく露レベルが同様であることがトキシコキネティクス実験から導かれた。本物質の潜在的な有害性の評価にはMIBKと最終代謝産物の4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン (HMP; CAS番号 123-42-2)のデータが利用できることに妥当性があることが明らかにされたとの報告がある(SIAR (2005)、ACGIH (8th, 2020))。
(2)MIBKの発がん性分類として、IARCではグループ2Bに(IARC 101 (2012))、ACGIHではA3に(ACGIH (8th, 2010))、日本産業衛生学会では第2群Bに(産衛誌62巻5号 (2020):2015年提案)、政府分類では区分2に(政府によるGHS分類結果:2015年分類)それぞれ分類している。
(3)(2)のMIBKの発がん性分類の根拠はラット及びマウスの2年間吸入ばく露試験において、発がん性のある程度の証拠が最高濃度ばく露(1,800 ppm)群で得られていることによる。ラットでは雄にみられた腎臓腫瘍はヒトに当てはまらないα2u-グロブリン腎症由来とされたが、1,800 ppm群の雄で単核細胞白血病、雌で腎臓間葉系腫瘍の発生増加が、マウスでは1,800 ppm群の雌雄で肝臓腫瘍の増加がみられたことに基づいている(ACGIH (8th, 2020))。
(4)ACGIHはMIBKについてはA3に分類したが、本物質については発がん性の注記は勧告しないとした。その根拠は、MIBKの動物試験で発がん性を生じる高濃度(1,800 ppm)に相当する本物質濃度(1,800~2,250 ppm)では、本物質の急性吸入毒性試験結果(5)から動物は麻酔され死亡する濃度に相当し、本物質の動物試験では発がんに至る前に継続ばく露できない状況となると想定されるため、本物質にMIBKと同様の発がん分類を適用することは不適切と考えられた(ACGIH (8th, 2020))。
(5)本物質を用いたラットの吸入急性毒性試験では、2,400及び3,840 ppmで全例が麻酔されたが、死亡は3,840 ppmの雌1例のみであった。ラットに飽和蒸気(約3,700 ppm)で2時間ばく露したところ死亡例は生じなかったが、2,000 ppmで8時間ばく露した場合には5/6例の死亡がみられた(ACGIH (8th, 2020))。
(6)本物質と本物質の主代謝物のMIBKの投与後の体内ばく露レベルが同様であることが両者をラットに経口投与したトキシコキネティクス実験(経時的な未変化体及び(最終代謝物のHMP(4-Hydroxy-4-methyl-2-pentenone)も含めた)代謝物の血中濃度推移の解析結果)から導かれた。すなわち、本物質の潜在的な有害性の評価にはMIBKの広範な毒性データベースとHMPのデータが利用できることに妥当性があることが明らかにされた(SIAR (2005)、ACGIH (8th, 2020))。
7 生殖毒性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。なお本物質自体のデータはないが、(1)~(3)より関連物質及び主代謝物のメチルイソブチルケトンを用いた吸入ばく露試験では、親動物に一般毒性影響が顕著な濃度においても生殖能への影響はなく、発生毒性影響もマウスの胎児死亡の増加以外は軽微な影響の範囲内であった。

【参考データ等】
(1)本物質と本物質の主代謝物のメチルイソブチルケトン(MIBK、CAS番号 108-10-1)の投与後の体内ばく露レベルが同様であることがトキシコキネティクス実験から導かれた。本物質の潜在的な有害性の評価にはMIBKと最終代謝産物の4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン (HMP; CAS番号 123-42-2)のデータが利用できることに妥当性があることが明らかにされたとの報告がある(SIAR (2005)、ACGIH (8th, 2020))。
(2)MIBKを被験物質としたラットを用いた吸入ばく露による2世代生殖毒性試験において、F0及びF1親動物に体重増加抑制及び軽度の摂餌量減少がみられる最高用量の2,000 ppmばく露群まで親動物の生殖能への影響はみられなかった。なお、1,000 ppm以上の親動物に一過性の聴覚性驚愕反応の低下と鎮静効果(1時間以内に消失)、児動物に中枢抑制症状がみられたとの報告がある(SIAR (2005)、AICIS IMAP (2013)、ACGIH (8th, 2020)、REACH登録情報 (Accessed Sep. 2021))。
(3)MIBKを被験物質とした妊娠ラット及び妊娠マウスを用いた吸入ばく露による発生毒性試験(妊娠6~15日)において、両種とも母動物毒性(神経筋症状、体重・摂餌量低値(ラットのみ)、肝臓重量増加)がみられる最高濃度(3,000 ppm)群で、胎児に発生影響(胎児体重低値及び骨化遅延(両種)、死亡胎児発生頻度の増加(マウスのみ))がみられたとの報告がある(SIAR (2005)、AICIS IMAP (2013)、ACGIH (8th, 2020)、REACH登録情報 (Accessed Sep. 2021))。
(4)HMPを被験物質としたラットを用いた強制経口投与による反復投与毒性・生殖発生スクリーニング併合試験(OECD TG422)において、親動物に体重増加抑制(雌)、肝臓・腎臓・副腎における組織変化等一般毒性影響が明瞭な最高用量(1,000 mg/kg/day)で、生殖指標(受胎率・着床率)の低値傾向、児動物に発生指標(出生児数・出生率・生後4日の生存率等)の低値傾向がみられたとの報告がある(SIAR (2005)、AICIS IMAP (2013)、REACH登録情報 (Accessed Oct. 2021))。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3(気道刺激性、麻酔作用)


警告
H335
H336
P304+P340
P403+P233
P261
P271
P312
P405
P501
【分類根拠】
(1)~(3)より、区分3(気道刺激性、麻酔作用)とした。

【根拠データ】
(1)男女計12人のボランティアに対し本物質蒸気を50 ppmで15分間ばく露した試験では、ほとんどの被験者が眼刺激を訴え、より高濃度では鼻と喉の刺激も生じ、最大耐容濃度は25 ppmと考えられたとの報告がある(SIAR (2005)、AICIS IMAP (2013)、ACGIH (8th, 2020))。
(2)ラットを用いた単回吸入ばく露試験(4時間)において、10~16 mg/L以上(区分に該当しない範囲)で麻酔症状がばく露開始後1時間以内に全例(雌雄各5匹/群)にみられたが、10 mg/L群でばく露終了後30分以内、16 mg/L群でばく露終了後2時間以内に意識を回復したとの報告がある(SIAR (2005)、AICIS IMAP (2013)、ACGIH (8th, 2020))。
(3)マウスを用いた単回吸入ばく露試験(4~15時間)において、20 mg/Lで投与後5分以内に気道刺激、1時間以内に嗜眠の徴候がみられ、ばく露の持続に伴い運動失調及び後肢麻痺がみられたとの報告がある(SIAR (2005)、ACGIH (8th, 2020))。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(中枢神経系)


危険
H372 P260
P264
P270
P314
P501
【分類根拠】
(1)より、本項は主代謝物であるメチルイソブチルケトンのデータを基に分類するものとする。(2)、(3)より、ヒトへの健康影響として中枢神経系症状(頭痛、脱力、不眠、嗜眠等)がみられることから、区分1(中枢神経系)とした。なお新たな知見に基づき分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1)本物質と本物質の主代謝物のメチルイソブチルケトン(MIBK、CAS番号 108-10-1)の投与後の体内ばく露レベルが同様であることがトキシコキネティクス実験から導かれ、本物質の潜在的な有害性の評価にはMIBKとHMP(最終代謝産物)のデータが利用できることに妥当性があることが明らかにされた(SIAR (2005)、ACGIH (8th, 2020))。
(2)遠心機の操作中に毎日20~30分間、MIBKにばく露された作業者19人のうちの2/3以上に眼、鼻と喉の刺激が報告され、半数以上が脱力感、食欲不振、頭痛、眼の灼熱感、胃痛、悪心、嘔吐を訴えた。また数人は喉のヒリヒリ感、不眠、嗜眠、胸やけ、下腹痛を起こし、その他軽度肝肥大の発症が4例、非特異性結腸炎の主訴が6例報告された。なお、遠心機の近くにいた作業者は500 ppmにばく露され、作業場の気中濃度は室内の複数箇所で80 ppmであったとの報告がある(ACGIH (8th, 2020))。
(3)(2)の5年後に実施された追跡調査において、MIBKの濃度は遠心機の近くでは100~105 ppmの気中濃度、遠心機操作中の室内の複数箇所で50 ppmであることが判明した。前調査時から在籍した作業者14人中で眼刺激性の報告はわずか1例であった。消化器症状及び中枢神経系症状持続の主訴が数例、軽度肝肥大の持続が2例報告されたが、その他の既往症はほぼ消失したとの報告がある(ACGIH (8th, 2020))。

【参考データ等】
(4)本物質を被験物質としたラットを用いた6週間反復吸入(蒸気)ばく露試験(6時間/日、5日/週)において、0.211 mg/L(ガイダンス値換算:0.070 mg/L:区分1の範囲)から3.70 mg/L(ガイダンス換算値:1.23 mg/L、区分に該当しない範囲)で尿中ケトン体の増加、腎臓重量増加・タンパク尿(雄)、血漿ALPの増加(雌)がみられたが、いずれも毒性所見ではないと判断された(SIAR (2005)、AICIS IMAP (2013)、ACGIH (8th, 2020))。
(5)MIBKを被験物質としたラット及びマウスの14週間吸入(蒸気)ばく露試験(6時間/日、5日/週)において、250 ppm(1.02 mg/L)(ガイダンス値換算:0.79 mg/L、区分2の範囲)以上で、ラット(雄)に腎臓近位尿細管上皮細胞内の硝子滴増加がみられ、マウス(雄)に肝臓重量の増加がみられたとの報告がある(SIAR (2005)、AICIS IMAP (2013)、ACGIH (8th, 2020))。
(6)MIBKを被験物質としたラット及びマウスの2年間反復吸入ばく露試験において、450 ppm(1.88 mg/L、区分に該当しない範囲)で、ラット(雄)に腎臓への影響、マウスに肝臓前腫瘍性病変(好酸性変異細胞巣)がみられたとの報告がある。(ACGIH (8th, 2020)、REACH登録情報 (Accessed Oct. 2021))。
10 誤えん有害性 分類できない
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- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性 短期(急性) -
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11 水生環境有害性 長期(慢性) -
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12 オゾン層への有害性 -
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分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。
  • 「分類結果」欄の「※」はJISの改正に伴い、区分がつかなかったもの(「区分に該当しない(分類対象外を含む)」あるいは「分類できない」、もしくはそのいずれも該当する場合)に表示するものです。詳細については分類根拠を参照してください。

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