政府によるGHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 100-00-5
名称 パラ-ニトロクロロベンゼン
物質ID R03-B-013-MHLW
分類実施年度 令和3年度(2021年度)
分類実施者 厚生労働省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 2009年度(平成21年度)   2006年度(平成18年度)  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(令和元年度改訂版(Ver.2.0))
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
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物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 区分に該当しない
-
-
- - 爆発性に関連する原子団 (N-O) を含むが、UNRTDGにおいて、UN 1578 クラス6.1、 PGⅡに分類されており、優先評価項目である爆発物には該当しないと考えられるため、区分に該当しない。なお、酸素収支の計算値が-122、発熱分解エネルギー2050J/g(Bretherick(7th, 2007))、分解開始温度300-450℃(Bretherick(7th, 2007))である。
2 可燃性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - エアゾール製品でない。
4 酸化性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 分類できない
-
-
- - データがなく分類できない。なお、可燃性(GESTIS(Accessed Oct 2021))との情報がある。
8 自己反応性化学品 タイプG
-
-
- - 分子内に爆発性の原子団(N-O)を含むが、UNRTDGにおいて、UN 1578 クラス6.1 PGⅡに分類されているため、優先評価項目の自己反応性化学品には該当しないと考えられるため、タイプGとした。
9 自然発火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 区分に該当しない
-
-
- - 発火点は510℃(ホンメル(1996))であり常温で発火しないと考えられる。
11 自己発熱性化学品 分類できない
-
-
- - 融点が140℃以下の固体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 金属及び半金属(B,Si,P,Ge,As,Se,Sn,Sb,Te,Bi,Po,At)を含んでいない。
13 酸化性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類できない
-
-
- - フッ素を含まず、酸素及び塩素を含む有機化合物であり、この酸素が炭素及び水素以外の元素(N)と結合しているが、データがなく分類できない。なお、強酸化剤であり、可燃性物質や還元性物質と 激しく反応する(ICSC(1997))との情報がある。
15 有機過酸化物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物である。
16 金属腐食性化学品 分類できない
-
-
- - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない
17 鈍性化爆発物 区分に該当しない
-
-
- - 爆発性に関連する原子団 (N-O) を含むが、UNRTDGにおいて、UN 1578 クラス6.1、 PGⅡに分類されており、優先評価項目である爆発物には該当しないと考えられるため、区分に該当しない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4


警告
H302 P301+P312
P264
P270
P330
P501
【分類根拠】
(1)~(9)より、(1)の知見が区分3上限付近であること、その他の知見が区分4範囲であることから総合的に判断し、区分4とした。

【根拠データ】
(1)ラット(雄)のLD50:294 mg/kg(SIAR (2002)、AICIS IMAP (2016))
(2)ラット(雌)のLD50:565 mg/kg(SIAR (2002)、AICIS IMAP (2016))
(3)ラット(雄)のLD50:694 mg/kg(SIAR (2002))
(4)ラット(雌)のLD50:664 mg/kg(SIAR (2002))
(5)ラットのLD50:530 mg/kg(ACGIH (7th, 2001))
(6)ラットのLD50:420 mg/kg(DFG MAK (1992)、厚労省委託がん原性試験結果 (1991))
(7)ラットのLD50:650 mg/kg(厚労省委託がん原性試験結果 (1991))
(8)ラット(雄)のLD50:860 mg/kg(厚労省委託がん原性試験結果 (1991))
(9)ラット(雌)のLD50:680 mg/kg(厚労省委託がん原性試験結果 (1991))
1 急性毒性(経皮) 区分3


危険
H311 P302+P352
P361+P364
P280
P312
P321
P405
P501
【分類根拠】
(1)~(7)より、有害性の高い区分を採用し、区分3とした。

【根拠データ】
(1)ラット(雄)のLD50:750 mg/kg(SIAR (2002)、AICIS IMAP (2016))
(2)ラット(雌)のLD50:1,722 mg/kg(SIAR (2002)、AICIS IMAP (2016))
(3)ウサギ(雄)のLD50:3,550 mg/kg(SIAR (2002)、AICIS IMAP (2016))
(4)ウサギ(雌)のLD50:2,510 mg/kg(SIAR (2002)、AICIS IMAP (2016))
(5)ウサギのLD50:> 3,040 mg/kg(ACGIH (7th, 2001))
(6)ウサギのLD50:2,000~3,160 mg/kg(CERI有害性評価書 (2008))
1 急性毒性(吸入:ガス) 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)より区分に該当しない。なお、新たな知見に基づき分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1)ラットのLC50(4時間、粉塵):> 16.1 mg/L(ACGIH (7th, 2001)、SIAR (2002)、AICIS IMAP (2018)、CERI有害性評価書 (2008))
2 皮膚腐食性/刺激性 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)、(2)より、区分に該当しない(国連分類基準の区分3)とした。なお、新たな知見に基づき、分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1)ウサギ(n= 6)を用いた皮膚刺激性試験(OECD TG 404、GLP、閉塞、24時間適用、8日間観察)において、パッチ除去24及び72時間後の全例の平均スコアは、紅斑ではいずれも0、浮腫では2.17及び1.0であった。48時間値は欠測のため、24時間値と同じと仮定して求めた24/48/72時間の全体の平均スコアは紅斑で0.0、浮腫で1.8であった。本物質は軽微な (slightly) 刺激性を有するとの報告がある(AICIS IMAP (2016)、SIAR (2002)、CERI 有害性評価書 (2008)、REACH登録情報 (Accessed Dec. 2021))。
(2)ウサギ(n= 6)を用いた皮膚刺激性試験(OECD TG 404、GLP、原体500 mg、24時間閉塞、72時間観察)において、無傷皮膚では紅斑はみられず、軽微な浮腫(フルスコア4:2.17/4)、有傷皮膚では軽微な紅斑(0.17/4)と軽微な浮腫(1.67/4)がみられ、72時間後には消失した。皮膚刺激指数は0.1(最高8)と算出され、本物質は軽微な (slightly) 刺激性を有するとの報告がある(AICIS IMAP (2016)、SIAR (2002)、REACH登録情報 (Accessed Dec. 2021))。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)~(3)より、区分に該当しない。新たな知見に基づき、分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1)ウサギ(n= 6)を用いた眼刺激性試験(OECD TG 405相当、8日間観察)では、結膜のみ影響がみられ、平均刺激スコア(フルスコア:110)は24時間後に6/6例で2/110、48時間後に4/6例で2/110、72時間後に2/6例で2/110、8日後に6/6例で0/110となった(SIAR (2002)、AICIS IMAP (2016)、REACH登録情報 (Accessed Dec. 2021))。
(2)ウサギを用いた眼刺激性試験(OECD TG 405相当、72時間観察)において、各時点における刺激指数(フルスコア:110)の最高スコアは6/110であった(REACH登録情報 (Accessed Dec. 2021))。
(3)ウサギ(n= 2)を用いた眼刺激性試験(20秒後に洗浄(1例)又は非洗浄(1例)、4時間観察)において、洗浄眼では1時間後に軽微な角膜混濁がみられたが、4時間後には消失した。非洗浄眼では角膜、虹彩、結膜への影響がみられなかった(SIAR (2002)、AICIS IMAP (2016))。
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。

【参考データ等】
(1)モルモットを用いたDraize法による皮膚感作性試験(誘導:3%、惹起:0.3%)では陰性であった(SIAR (2002))。
(2)モルモット(n= 10)を用いたDraize変法による皮膚感作性試験(誘導:10%、惹起:10%)では、全例とも陽性反応を示した(SIAR (2002))。
(3)OECDは上記2件のデータの質や情報量の少なさから、感作性の結論を出すことはできないとしている(SIAR (2002))。
5 生殖細胞変異原性 区分2


警告
H341 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
【分類根拠】
(1)、(2)より、区分2とした。

【根拠データ】
(1)In vivoでは、マウスの脳、肝臓、骨髄を標的としたDNA鎖切断試験(単回腹腔内投与、30~100 mg/kg)で陽性、ラットの肝細胞を用いた付加体形成試験(単回強制経口投与、0.5 mmol/kg)で陰性、ラットの骨髄を用いた染色体異常試験(単回強制経口投与、30~300 mg/kg)で陰性、マウスの骨髄を用いた小核試験(単回腹腔内投与、500 mg/kg)で陽性の結果が得られている(IARC 123 (2020)、AICIS IMAP (2016)、CERI有害性評価書 (2008)、SIAR (2002))。
(2)In vitroでは、細菌復帰突然変異試験で陽性又は陰性、ほ乳類培養細胞(CHL、CHO、ヒトリンパ球)を用いた染色体異常試験で陽性又は陰性、マウスリンフォーマ試験で陽性、CHO細胞を用いた遺伝子突然変異試験で陰性の結果が得られている(AICIS IMAP (2016)、CERI有害性評価書 (2008)、SIAR (2002)、安衛法変異原性試験 (Accessed Nov. 2021))。

【参考データ等】
(3)EU CLP (Accessed Nov. 2021) ではMuta. 2に分類されている。
6 発がん性 区分1B


危険
H350 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
【分類根拠】
(1)~(5)より、区分1Bとした。

【根拠データ】
(1)国内外の評価機関による既存分類結果として、IARCでグループ2Bに(IARC 123 (2020))、日本産業衛生学会で第2群Bに(産衛学会許容濃度等の勧告 (2020):2015年提案)、ACGIHでA3に(ACGIH (7th, 2001):1995年提案)、EUでCarc. 2に(CLP分類結果 (Accessed Nov. 2021))、DFGでCategory 3に(List of MAK and BAT values 2020 (Accessed Nov. 2021))、それぞれ分類されている。
(2)ラットを用いた用いた2年間混餌投与(40~1,000 ppm)によるがん原性試験において、雌雄とも脾臓の間葉系組織由来の腫瘍(線維腫、線維肉腫、骨肉腫、肉腫(NOS)、血管肉腫)、副腎の褐色細胞腫の発生増加が認められた。腫瘍発生の用量については、脾臓では雄で200ppm以上、雌では1,000ppmであり、副腎では雌雄とも1,000 ppmと報告された(厚労省委託がん原性試験結果 (1991)、MOE初期評価 (2002)、IARC 123 (2020))。
(3)マウスを用いた2年間混餌投与(125~2,000 ppm)によるがん原性試験において、雄に血管腫、悪性リンパ腫及び肝細胞がん、雌に肝臓の血管肉腫と肝細胞がんの発生増加が認められたが、発生率が低値であることから、がん原性は断定できないと報告された(厚労省委託がん原性試験結果 (1991)、MOE初期評価 (2002)、IARC 123 (2020))。
(4)マウスを用いた21ヵ月間混餌投与(3,000、6,000 ppm)による発がん性試験では、雌雄とも6,000 ppmで血管腫瘍の発生増加が認められた。(IARC 123 (2020) 、MOE初期評価 (2002))。
(5)本物質は厚生労働省化学物質による健康障害防止指針(がん原性指針)の対象物質である(令和2年2月7日付け健康障害を防止するための指針公示第 207号)。

【参考データ等】
(6)本物質の発がん性の作用機序に関しては、遺伝毒性、酸化ストレス、細胞増殖/細胞死/栄養供給の変化などが想定されるが、既存知見からはいずれも決定的な強い証拠はなく、中程度の証拠と判断されている(IARC 123 (2020))。
7 生殖毒性 区分1B


危険
H360 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
【分類根拠】
(1)、(2)より、母動物に軽微な一般毒性影響がみられる用量で生殖発生影響がみられたことから区分1Bとした。

【根拠データ】
(1)雌ラットを用いた強制経口投与による発生毒性試験(5~45 mg/kg/day、妊娠6~19日)において、母動物に体重増加抑制及び脾臓重量増加がみられた最高用量(45 mg/kg/day)で吸収胚数の増加、胎児に骨格異常(湾曲肋骨、前肢の歪曲)の頻度増加がみられたとの報告がある(SIAR (2002)、CERI有害性評価書(2008)、AICIS IMAP (2016))。
(2)マウスを用いた強制経口投与による連続交配試験(62.5~250 mg/kg/day、交配前7日間及び交配期間98日間)において、F0親動物に摂水量の減少、F1親動物にチアノーゼ、肝臓の絶対・相対重量増加、脾臓の腫大及び暗色化がみられる最高用量(250 mg/kg/day)でF0親動物の2回目以降の交配による受胎率の低下が認められた。F1、F2児動物には同腹児数の減少傾向、体重の低値がみられたとの報告がある(SIAR (2002)、CERI有害性評価書(2008)、AICIS IMAP (2016))。

【参考データ等】
(3)ラットを用いた強制経口投与による2世代生殖毒性試験(0.1~5 mg/kg/day、交配14週間前から哺育期間中)において、F0親動物に明確な一般毒性がみられない最高用量(5 mg/kg/day)で妊娠率及び雄の受胎率にわずかな減少がみられたが、F1では同様の影響は再現されず、5 mg/kg/dayまで生殖能への有害影響はないと判断された。F1については、成長後に0.1 mg/kg/day以上で脾臓への影響(髄外造血亢進、褐色細胞を含んだ網内皮細胞)がみられたが、生殖影響はみられなかったとの報告がある(SIAR (2002)、CERI有害性評価書(2008)、AICIS IMAP (2016))。
(4)雌ウサギを用いた強制経口投与による発生毒性試験(5~40 mg/kg/day、妊娠7~19日)において、最高用量では母動物に過剰毒性(死亡:8/18例)が発現し影響評価から除外された。中用量(15 mg/kg/day)以下では投与に関連した影響はみられなかったとの報告がある(SIAR (2002)、CERI有害性評価書(2008)、AICIS IMAP (2016))。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(血液系)


危険
H370 P308+P311
P260
P264
P270
P321
P405
P501
【分類根拠】
(1)~(3)より区分1(血液系)とした。また、(4)の各臓器の病理組織所見は本物質の血液系影響(溶血性貧血)に伴う二次的影響と判断した。

【根拠データ】
(1)ヒトの急性中毒症状としては、メトヘモグロビン血症、嘔吐、頭痛のほか、極めて重篤な症例では虚脱がみられるとの報告がある(SIAR (2002))。
(2)ヒトに対する本物質の急性毒性はメトヘモグロビン形成に起因する溶血性貧血のほか、悪心、嘔吐、頭痛などの自覚症状が発現する。中毒事例では頭重、頭痛、食欲不振、悪心、めまい、息苦しさ等を自覚症状とし、重篤なチアノーゼが認められ、メトヘモグロビン濃度の著しい上昇がみられたとの報告がある(CERI有害性評価書 (2008))。
(3)実験動物に対する毒性症状としては、チアノーゼ、血尿、呼吸障害がみられるとの報告がある(CERI有害性評価書 (2008))。
(4)ラット及びマウスの単回経口投与試験における生存例の病理組織所見として、ラットでは脾臓のうっ血、脾臓・肝臓・腎臓・骨髄のヘモジデリン沈着、骨髄の赤血球造血亢進、マウスでは脾臓の髄外造血の程度の増強・うっ血、脾臓・肝臓・骨髄のヘモジデリン沈着がみられたとの報告がある(厚労省委託がん原性試験結果 (1991))。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(血液系)


危険
H372 P260
P264
P270
P314
P501
【分類根拠】
(1)の症例報告、(2)~(7)の区分1の用量範囲において、血液系影響(溶血性貧血)がみられることから区分1(血液系)とした。なお、脾臓、肝臓、腎臓、骨髄への影響は血液系影響による二次的影響と考え分類に採用しなかった。

【根拠データ】
(1)本物質に吸入ばく露された作業者でチアノーゼが認められた症例報告がある。これらの症例では血中ヘモグロビン濃度の低下がみられている(AICIS IMAP (2016)、DFG MAK (1992))。
(2)ラットを用いた強制経口投与による90日間反復経口投与試験において、3及び10 mg/kg/day以上(区分1の範囲)で血液影響(メトヘモグロビン濃度の上昇、赤血球数・ヘモグロビン・ヘマトクリット値の減少)、肝臓、腎臓のヘモジデリン沈着及び肝臓の髄外造血、30mg/kg/day(区分2の範囲)で雄に骨髄の過形成と精巣萎縮がみられたとの報告がある(CERI有害性評価書 (2008)、SIAR (2002)、AICIS IMAP (2016))。
(3)ラットを用いた強制経口投与による2年間慢性毒性/がん原性併合試験において、0.7及び5 mg/kg/day(区分1の範囲)で血液影響(軽度貧血、血中メトヘモグロビン濃度の上昇)がみられたとの報告がある(CERI有害性評価書 (2008)、SIAR (2002))。
(4)ラット及びマウスを用いた混餌投与による2年間慢性毒性/がん原性併合試験において、ラットでは200 ppm(10 mg/kg/day、区分1の範囲)で血液影響(貧血を示唆する赤血球パラメータの変化、血小板数増加)、脾臓影響(うっ血、髄外造血等)、1,000 ppm(50 mg/kg/day、区分2の範囲)で脾臓の線維化、骨髄の造血亢進、雌に副腎(皮質・髄質)の過形成等がみられた。マウスでは500 ppm(75 mg/kg/day、区分2の範囲)でラットと同様の血液影響に加え、肺の病変(細気管支上皮の増生、肺胞壁肥厚)がみられたとの報告がある(厚労省委託がん原性試験結果 (1991))。
(5)マウスを用いた13週間反復吸入ばく露試験(6時間/日、5日/週)において、12及び24 ppm(ガイダンス値換算:0.057及び0.11mg/L、区分2の範囲)で脾臓影響(造血細胞の増殖、色素沈着)、肝臓重量増加、前胃の扁平上皮の過形成(雌)がみられたとの報告がある(CERI有害性評価書 (2008)、SIAR (2002) 、AICIS IMAP (2016))。
(6)ラットを用いた4週間反復吸入ばく露試験(6時間/日、5日/週)において0.9~7 ppm(ガイダンス値換算:0.001~0.01 m/L、区分1の範囲)で血液影響(チアノーゼ、赤血球パラメータの減少、メトヘモグロビン濃度の上昇、白血球数増加)、脾臓影響(重量増加・腫大・うっ血・髄外造血及びヘモジデリン沈着)がみられたとの報告がある(CERI有害性評価書 (2008)、SIAR (2002) 、AICIS IMAP (2016))。
(7)ラットを用いた13週間反復吸入ばく露(試験(6時間/日、5日/週)において、1.5 ppm以上(ガイダンス値換算:0.007 mg/L、区分1の範囲)でメトヘモグロビン濃度の上昇、6~24 ppm(ガイダンス値換算:0.028~0.11 mg/L、区分2の範囲)で脾臓影響(腫大、造血亢進)、腎臓近位尿細管への影響がみられたとの報告がある(CERI有害性評価書 (2008)、SIAR (2002) 、AICIS IMAP (2016))。
10 誤えん有害性 分類できない
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- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性 短期(急性) -
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11 水生環境有害性 長期(慢性) -
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12 オゾン層への有害性 -
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分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。
  • 「分類結果」欄の「※」はJISの改正に伴い、区分がつかなかったもの(「区分に該当しない(分類対象外を含む)」あるいは「分類できない」、もしくはそのいずれも該当する場合)に表示するものです。詳細については分類根拠を参照してください。

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