政府によるGHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 131-72-6
名称 2,4-ジニトロ-6-(オクタン-2-イル)フェニル=(E)-2-ブテノアート(別名:メプチルジノカップ)
物質ID R03-B-018-MHLW
分類実施年度 令和3年度(2021年度)
分類実施者 厚生労働省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 2006年度(平成18年度)  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(令和元年度改訂版(Ver.2.0))
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
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厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortal

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 区分に該当しない
-
-
- - 爆発性に関連する原子団(N-O)を含むが、爆発性はないとの情報(EFSA(2014))より区分に該当しないとした。なお、酸素収支は-185で判定基準の-200よりも高い。
2 可燃性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - エアゾール製品でない。
4 酸化性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分3


警告
H226 P303+P361+P353
P370+P378
P403+P235
P210
P233
P240
P241
P242
P243
P280
P501
引火点30℃(方式不明)(EFSA(2014))との情報より、規定の試験法において区分3になると推定した。
7 可燃性固体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類できない
-
-
- - 分子内に爆発性の原子(N-O、エチレン基)を含むが、データがなく分類できない。
9 自然発火性液体 区分に該当しない
-
-
- - 発火点は294℃(EFSA(2014))であり常温で発火しないと考えられる。
10 自然発火性固体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない
-
-
- - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 金属及び半金属(B,Si,P,Ge,As,Se,Sn,Sb,Te,Bi,Po,At)を含んでいない。
13 酸化性液体 区分に該当しない
-
-
- - フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であり、この酸素が炭素及び水素以外の元素(N)と結合しているが、酸化性はないとの情報(EFSA(2014))より区分に該当しないとした。
14 酸化性固体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物である。
16 金属腐食性化学品 分類できない
-
-
- - データがなく分類できない。
17 鈍性化爆発物 分類できない
-
-
- - 爆発性に関連する原子団(N-O)を含むが、爆発性はないとの情報(EFSA(2014))より区分に該当しないとした。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)より、区分に該当しない。新たな知見に基づき分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1)ラットのLD50:> 2,000 mg/kg(JMPR (2010)、EFSA (2014))
1 急性毒性(経皮) 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)より、区分に該当しない。

【根拠データ】
(1)ラットのLD50:> 5,000 mg/kg(JMPR (2010)、EFSA (2014))
1 急性毒性(吸入:ガス) 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
GHSの定義における液体であり、区分に該当しない。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分1


危険
H330 P304+P340
P403+P233
P260
P271
P284
P310
P320
P405
P501
【分類根拠】
(1)~(3)より、区分1とした。なお、ばく露濃度は飽和蒸気圧濃度の90%(47,343 ppm)より低いため、蒸気と判断し、ppmVを単位とする基準値より判断した。

【根拠データ】
(1)ラットのLC50(4時間):80.5 ppm(JMPR (2010))
(2)ラット(雄)のLC50(4時間):83.2 ppm(EFSA (2014))
(3)ラット(雌)のLC50(4時間):109 ppm(EFSA (2014))
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)、(2)より、区分に該当しない(国連分類基準の区分3)。なお、新たな評価文書に基づき、分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1)ウサギを用いた皮膚刺激性試験において、軽微な刺激性がみられた(EPA Pesticides (2009))。
(2)本物質は軽微な皮膚刺激性物質である(JMPR (2010))。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2


警告
H319 P305+P351+P338
P337+P313
P264
P280
【分類根拠】
(1)より、ガイダンスに従い、区分2とした。なお、新たな評価文書に基づき、分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1)ウサギを用いた眼刺激性試験において、中程度の刺激性がみられた(JMPR (2010))。

【参考データ等】
(2)ウサギを用いた眼刺激性試験において、最小限の刺激性がみられた(EPA Pesticides (2009))。
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性 区分1


警告
H317 P302+P352
P333+P313
P362+P364
P261
P272
P280
P321
P501
【分類根拠】
(1)より、区分1とした。

【根拠データ】
(1)マウスを用いた局所リンパ節試験(LLNA)において、結果は陽性であった(JMPR (2010)、EPA Pesticides (2009))。
5 生殖細胞変異原性 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)~(4)より区分に該当しない。

【根拠データ】
(1)In vivoでは、マウスの赤血球を用いた小核試験(EPAOPPTS 870.5395準拠、最大1,858 mg/kg、単回強制経口投与)で陰性の報告がある(EPA Pesticides (2009))。
(2)In vitroでは、細菌復帰突然変異試験、ほ乳類培養細胞を用いた遺伝子突然変異試験及び染色体異常試験で、いずれも陰性の結果が得られている(EPA Pesticides (2009))。
(3)本物質の遺伝毒性ポテンシャルはin vitro及びiI vivoの十分な範囲の試験で検討され、変異原性、染色体異常の証拠は認められなかった。JMPRは、本物質は遺伝毒性を有さないであろうと結論した(JMPR (2009))。
(4)本物質(DE-126)は遺伝毒性も発がん性も有さない(EFSA (2014))。
6 発がん性 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)~(4)より区分に該当しない。なお、新たな情報源に基づき分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1)国内外の評価機関による既存分類結果として、本物質がEPAでグループEに分類されている(EPA OPP Annual Cancer Report (2020):2009年分類)。関連物質のジノカップ(CAS番号 39300-45-3)も先行してグループEに分類されている(EPA OPP Annual Cancer Report (2020):1994年分類)。
(2)本物質(メプチルジノカップ、DE-126)はジノカップ(CAS番号 39300-45-3)に含まれる6つの異性体のうちの1つであり、ジノカップの約22%を占める(EFSA (2014)、JMPR (2010)、EPA Pesticides (2009))。
(3)ジノカップを用いた長期毒性試験及び発がん性試験において、最高用量、すなわちラットでは2,000 ppm(71 mg/kg/day相当)、マウスでは150 ppm(23 mg/kg/day相当)まで発がん性の証拠はみられなかった。なお、ラットの2,000 ppm、マウスの150 ppmは一般毒性が発現する用量である(JMPR (2010))。
(4)ジノカップと比べて、構造の類似性と本物質の証明された低毒性に基づいて、ジノカップのヒトに対する発がん性分類のグループEが本物質にも適用拡張された(EPA Pesticides (2009))。
7 生殖毒性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)~(4)より、発生影響はみられていないが、生殖能への影響に関する情報がなく、データ不足のため分類できない。なお旧分類は本物質を含む6種の異性体混合物であるジノカップ(CAS番号 39300-45-3)のデータを利用し分類されている。新たな情報源を用いて分類結果を見直した。

【根拠データ】
(1)妊娠マウスを用いた発生毒性試験において、最高用量の500 mg/kg/dayまで母動物毒性、胎児の発生影響ともに認められなかった(EPA Pesticides (2009))。
(2)妊娠ラットを用いた発生毒性試験において、著しい母動物毒性を生じた500 mg/kg/day群は試験を中止し、150 mg/kg/dayまでの試験となった。150 mg/kg/dayでは母動物毒性(体重減少/体重増加抑制、摂餌量減少)が認められたが、胎児に発生影響は認められなかった(EPA Pesticides (2009))。
(3)妊娠ウサギを用いた発生毒性試験において、母動物毒性(体重増加抑制、摂餌量減少)がみられた最高用量(48 mg/kg/day)まで胎児に発生影響は認められなかった(EPA Pesticides (2009))。
(4)本物質は発生毒性を生じないし、催奇形性物質ではないとJMPRにより結論された(JMPR (2010))。

【参考データ等】
(5)本物質(メプチルジノカップ、DE-126)は、ジノカップ(CAS番号 39300-45-3)に含まれる6つの異性体のうちの1つであり、ジノカップの約22%を占める(EFSA (2014)、JMPR (2010)、EPA Pesticides (2009))。
(6)ジノカップを被験物質としたラットの2世代生殖毒性試験において、F0、F1世代では最高用量の400 ppm(27 mg/kg/day)まで、受胎能、生殖パラメータ、精子又は生殖組織への影響はみられなかった。1,000 ppm(約65 mg/kg/day)ではF1児動物の生存率低下を生じた結果、F1親動物及びF2児動物は400 ppmが最高用量となった。児動物及び親動物のNOAELは200 ppm(約13 mg/kg/day)と報告された(JMPR (2010))。
(7)ジノカップを被験物質とした妊娠マウスを用いた発生毒性試験では、25 mg/kg/dayの用量では胎児のほぼ全例に口蓋裂と耳石形成への影響が認められた(JMPR (2010))。
(8)ジノカップはCLP分類でRepr. 1Bに分類されている(CLP分類結果 (Accessed December 2021))。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 分類できない
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-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない
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-
- - 【分類根拠】
(1)~(4)より、経口経路では区分に該当しないが、他の経路ではデータ不足のため分類できない。異性体混合物のデータは用いず、本物質の知見に基づき分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1)マウスを用いた混餌投与による28日間反復経口投与試験において、126 mg/kg/day(90日換算:39.2 mg/kg/day、区分2の範囲)で肝臓重量増加がみられたとの報告がある(JMPR (2010)、EPA Pesticide (2009)、EFSA (2014))。
(2)ラットを用いた混餌投与による90日間反復経口投与試験において、122 mg/kg/day(区分該当しない範囲)で血清総タンパク、アルブミン、コレステロールの増加、涙腺の単核細胞浸潤、肝臓への影響(重量増加、極めて軽度の肝細胞肥大)がみられたとの報告がある(JMPR (2010)、EPA Pesticide (2009)、EFSA (2014))。
(3)イヌを用いた混餌投与による90日間反復経口投与試験において、3.9 mg/kg/day(区分1の範囲)で体重増加抑制、AST、ALTの増加がみられたとの報告がある(JMPR (2010)、EPA Pesticide (2009)、EFSA (2014))。
(4)イヌを用いた混餌投与による1年間慢性毒性試験において、3.5 mg/kg/day(区分1の範囲)で眼、心臓、神経(脛骨)への影響はみられなかったとの報告がある(JMPR (2010)、 EPA Pesticide (2009)、EFSA (2014))。
10 誤えん有害性 分類できない
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- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性 短期(急性) -
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11 水生環境有害性 長期(慢性) -
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12 オゾン層への有害性 -
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分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。
  • 「分類結果」欄の「※」はJISの改正に伴い、区分がつかなかったもの(「区分に該当しない(分類対象外を含む)」あるいは「分類できない」、もしくはそのいずれも該当する場合)に表示するものです。詳細については分類根拠を参照してください。

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