NITE統合版 政府によるGHS分類結果

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一般情報
 
項目 情報
CAS登録番号 100-97-0
名称 1,3,5,7-テトラアザトリシクロ[3.3.1.1(3,7)]デカン
物質ID m-nite-100-97-0_v1
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関連情報
項目 情報
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物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
1 爆発物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 爆発性に関連する原子団を含んでいない。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
2 可燃性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
3 エアゾール 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - エアゾール製品でない。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
4 酸化性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
5 高圧ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
6 引火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
7 可燃性固体 区分2


警告
H228 P370+P378
P210
P240
P241
P280
UNRTDGにおいて、 UN1328 クラス4.1 (可燃性物質) 容器等級Ⅲに分類されていることから、区分2とした。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
8 自己反応性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 爆発性に関連する原子団及び自己反応性に関連する原子団を含んでいない。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
9 自然発火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
10 自然発火性固体 区分に該当しない
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- - 発火点が390℃ (ICSC (2002)) であり、常温で発火しないと考えられる。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
11 自己発熱性化学品 区分に該当しない
-
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- - UNRTDGにおいて、UN1328 クラス4.1 (可燃性物質) 容器等級Ⅲに分類されており、上位の自己発熱性化学品 (クラス 4.2 容器等級II、III) には分類されていないので区分外とした。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
12 水反応可燃性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 金属及び半金属 (B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At) を含まない。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
13 酸化性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
14 酸化性固体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 酸素、フッ素及び塩素を含まない有機化合物である。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
15 有機過酸化物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物である。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
16 金属腐食性化学品 分類できない
-
-
- - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
17 鈍性化爆発物 -
-
-
- - - - -

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
1 急性毒性(経口) 区分に該当しない
-
-
- - ラットのLD50値として、> 2,000 mg/kg (NITE初期リスク評価書 (2008))、> 5,000 mg/kg、9,200 mg/kg (DFGOT vol. 5 (1993))、> 20,000 mg/kg (EU-RAR (2008)、DFGOT Vol. 5 (1993)) との報告に基づき、区分外とした。

平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
1 急性毒性(経皮) 区分に該当しない
-
-
- - ラットのLD50値 (OECD TG402) として、> 2,000 mg/kgとの報告 (EU-RAR (2008)) に基づき、区分外とした。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
1 急性毒性(吸入:ガス) 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
2 皮膚腐食性/刺激性 区分に該当しない
-
-
- - ウサギを用いた皮膚刺激性試験 (OECD TG404) において、本物質0.5 mLを4時間、閉塞適用した結果、刺激性はみられなかったとの報告がある (EU-RAR (2008)、NITE初期リスク評価書 (2008))。一方、職業ばく露においては、刺激性の皮膚炎や発赤、水腫などが報告されている (EU-RAR (2008)) が、回復性などは不明である。EU-RAR (2008) は、本物質はヒトの皮膚や汗と接触した場合、加水分解されてホルムアルデヒドやアンモニアが生成されることから、職業ばく露において刺激性がみられたとする報告は、分解生成物のホルムアルデヒドやアンモニアによって引き起こされた可能性があるため、本物質を刺激性ありとするには根拠が乏しいとしている (EU-RAR (2008))。以上からテストガイドラインに準拠した試験をもとに区分外 (国連分類基準の区分3) とした。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分に該当しない
-
-
- - ウサギを用いた眼刺激性試験 (OECD TG405) において、本物質0.1 mLを適用した結果、刺激性はみられなかったとの報告がある (EU-RAR (2008)、NITE初期リスク評価書 (2008))。以上から区分外とした。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - 職業ばく露において、本物質にばく露された労働者に、喘鳴、重篤な喘息などのアレルギー症状が複数報告されている (EU-RAR (2008)、NITE初期リスク評価書 (2008)、DFGOT vol. 5 (1993))。EU-RAR (2008) は、全ての症例は複合ばく露であり、他の刺激性・感作性化学物質へのばく露も同時に生じていることから、呼吸器過敏症を本物質と明確に関連付けることはできないとし、本物質を呼吸器感作性物質と結論付けていない (EU-RAR (2008))。以上より、分類できないとした。旧分類の情報は複合ばく露による影響である可能性があり、本物質による影響と断定できないため、区分を変更した。

平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
4 皮膚感作性 区分1


警告
H317 P302+P352
P333+P313
P362+P364
P261
P272
P280
P321
P501
モルモットを用いた感作性試験 (OECD TG406) において、15/20 匹 (75%) に陽性反応がみられたとの報告がある (EU-RAR (2008)、NITE初期リスク評価書 (2008))。また、マウスを用いたLLNA試験 (OECD TG429) において、EC3値は30.6%であり、皮膚感作性物質と報告されている (EU-RAR (2008))。また、職業ばく露において、本物質による皮膚反応が複数報告されている (EU-RAR (2008)、NITE初期リスク評価書 (2008)、環境省リスク評価第3巻:暫定的有害性評価シート (2004))。以上から区分1とした。なお、本物質はEU CLP分類において「Skin sens. 1 H317」に分類されている (ECHA CL Inventory (Access on September 2015))。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
5 生殖細胞変異原性 分類できない
-
-
- - ガイダンスの改訂により区分外が選択できなくなったため、分類できないとした。In vivoでは、マウスの優性致死試験で陰性及び弱い変異原性がみられているが、陽性対照が設けられていないなど試験方法に問題があるとの記載がある (EU-RAR (2008)、DFGOT vol. 5 (1993))。マウス骨髄細胞の染色体異常試験で陰性結果がある (NITE初期リスク評価書 (2008)、EU-RAR (2008)、DFGOT vol. 5 (1993))。In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞のマウスリンフォーマ試験で陰性、哺乳類培養細胞の染色体異常試験及び姉妹染色分体交換試験で陽性である (NITE初期リスク評価書 (2008)、EU-RAR (2008)、DFGOT vol. 5 (1993)、NTP DB (Access on November 2015))。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
6 発がん性 分類できない
-
-
- - 製鋼所、タイヤ、ゴム工業に従事し、本物質を含む複数の物質にばく露された作業者を対象とした健康調査では肺がん、膀胱がんを主体としたがんによる死亡率の増加が示されたが、本物質ばく露とがん死亡率の増加との関連性は確定できなかった (EU-RAR (2008)) との記述、再発性尿路感染症の予防に本物質を1日当たり2~4 gを投与しても重篤な有害影響を生じず、副作用は3.5%未満と報告されたが、本剤の広範な臨床使用における発がん性について情報はない (EU-RAR (2008)) との記述がある。また、ゴム工業では幾つかの反応促進剤の一つとして本物質が使用されており、そのため本物質が消化器がん、及び皮膚がんの高頻度発生の原因ではないかと示唆され、皮膚がんは本物質の皮膚炎誘発性、皮膚感作性と関連づけられたが確定的な証拠となる研究報告はない (PATTY (6th, 2012)) との記述もある。
実験動物では、使用動物数が少ない、1用量のみの試験報告などフルプロトコールで実施されたガイドライン相当の試験報告はないが、ラットを用いた333日間強制経口投与、生涯混餌投与、50週間又は104週間飲水投与による計4件の発がん性試験、及びマウスを用いた30週間又は60週間飲水投与試験の全ての試験で、本物質投与と関連した腫瘍発生頻度の増加はみられていない (EU-RAR (2008)、NITE初期リスク評価書 (2008))。これらの試験における投与量はラットでは最小で80 mg/kg/day相当、最大で1,500~2,500 mg/kg/day相当、マウスでは30週間投与で12,500 mg/kg/day相当であると報告されている (EU-RAR (2008)、NITE初期リスク評価書 (2008))。厚生労働省もラット、マウスを用いた2年間飲水投与試験結果を報告しており、ラットでは30,000 ppmの高用量で、生存率の低下が雄にみられたが、腫瘍発生率の増加は示されなかった。一方、マウスでは40,000 ppmまでの用量投与で生存率に大差はなく、雄には腫瘍発生の増加は示されなかったが、雌では乳腺の腺腫発生頻度 (対照群、低、中、高用量群で各々0/50、0/50、1/50、3/50) 及び腺腫と腺がんの合計発生頻度 (同 1/50、1/50、3/50、6/50) にPeto検定、及び Cochran-Armitage検定で投与量に対応した増加傾向がみられたと報告されている (厚生労働省委託がん原性試験結果 (1997))。なお、経皮及び吸入経路での発がん性評価に利用可能なデータはないとされている (EU-RAR (2008))。
EUリスク評価書は結論として、ヒトでの発がん性はないと示唆する証拠は職業ばく露における発がん死亡率の研究報告からは特定の条件下に限定されるが、実験動物2種を用いた試験結果からは経口経路では発がん性の証拠はなく、危険物質に対するEEC指令の基準に照らしても本物質をヒト発がん物質とみなす根拠は不十分であり、発がん物質と分類表示する必要はないとした (EU-RAR (2008))。なお、国際機関による既存分類結果はない。
以上、EUのリスク評価結果に準じれば区分外相当と考えられるが、マウスの2年間飲水投与試験で低頻度ながら雌乳腺腫瘍の増加傾向がみられたこと、経口経路以外の経路では利用可能な発がん性情報がなく、職業ばく露によるヒト疫学結果も「発がん性の証拠なし」と結論するには十分な証拠があると判断しがたいことから、区分外とはできず、本項は分類できないとした。
平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
7 生殖毒性 区分2


警告
H361 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
ヒトに対しては本物質の塩を医薬品成分として使用した研究報告があり、EUで本物質のリスク評価に利用されている。すなわち、本物質の薬物動態を研究するため、本物質の馬尿酸塩を健常人妊婦に1 gを単回経口投与した実験で、本物質は胎盤通過性を示し、臍帯血中濃度は投与後初期は母親の血中濃度より低レベルであったが、4時間後には母親の血中濃度と同レベルに達した (EU-RAR (2008)) との記述、無症候性尿路感染症の妊婦を対象に治療目的で本物質の馬尿酸塩を2 g/day、又は同マンデル酸塩を4 g/dayで投薬したが、妊娠期間、誕生時体重に対照群と差はなく、流産、子宮内胎児死亡、胎児の異常の例数は一般人口当たりの例数と差異がなかった (EU-RAR (2008)) との記述、及び妊娠初期に本物質による投薬を受けても先天異常障害は発生しなかった、もしくは発生数は一般人からの予測値以下であった (EU-RAR (2008)) との記述もある。以上より、EUはヒトで本物質は4 g/dayまで生殖発生毒性を生じないとして、NOAEL (ヒト、生殖影響) を27 mg/kg/day (= 4,000 (mg) × (140/292) (分子量換算) ÷ 70 (kg)) と算出した。また、本物質は母乳中に排泄され、投与1時間後にピークに達したが、乳児における有害影響は報告されていないとの記述もある (PATTY (6th, 2012))。
実験動物ではラットを用いた繁殖試験では、F0に交配前3ヶ月間、F1に離乳時から生後18週齢到達時まで100 mg/kg/day相当量を混餌投与した試験、及び2,000~2,500 mg/kg/day相当量を飲水投与した試験のいずれも不完全な試験ながら、生殖能への有害影響は示されず (EU-RAR (2008)、NITE初期リスク評価書 (2008))、後者の第2試験では同一用量を少数の雌雄親動物に飲水投与し交配を繰り返した試験において、F3児動物まで得られている (EU-RAR (2008)、NITE初期リスク評価書 (2008)) ことから、雌雄親動物の生殖能に有害影響を示さないと考えられた。発生毒性試験ではビーグル犬を用いた経口経路 (混餌) での試験において、高用量群 (31 mg/kg/day) から生まれた児動物に生後1ヶ月以内の死亡率増加と成長遅延がみられたと報告されている (EU-RAR (2008)、NITE初期リスク評価書 (2008))。
以上、本物質は妊婦で胎盤通過性が示されているが、妊娠中の患者に経口投与しても、27 mg/kg/day相当量まで次世代への有害性影響はみられておらず、EUは生殖発生毒性に対するNOAELとして、27 mg/kg/day を推奨している (EU-RAR (2008))。実験動物ではイヌに31 mg/kg/day相当量を経口投与した発生毒性試験で、F1児動物に死亡率増加及び成長遅延がみられ、実験動物では本物質の発生毒性影響を示唆する知見と考えられる。
結論として、ヒトの知見からは本物質投与による生殖発生毒性を示す証拠はないが、胎児移行性が明らかであること、イヌで発生毒性影響がみられていることから、本項は区分2とするのが妥当と判断された。
平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 分類できない
-
-
- - 本物質に限定したばく露による情報はない。したがって、データ不足のため分類できない。

平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1 (膀胱、腎臓、全身毒性)


危険
H372 P260
P264
P270
P314
P501
ヒトに関しては、本物質は、泌尿器疾患の予防や治療のために用いられる。本物質やその塩を投薬された患者で、有害影響が報告された例は、3.5%未満である。最も多く認められた有害影響は、悪心、嘔吐、下痢、胃痙攣、食欲不振などの胃腸障害である。まれに、発疹、かゆみ、じんましん、口内炎などの過敏症反応が認められている。他に、副作用として、例数は少ないが、頭痛、呼吸困難、全身性浮腫、耳鳴り、筋攣縮、排尿障害、及び、顕微鏡的あるいは肉眼的に認められる血尿が報告されている (EU-RAR (2008))。本物質を2~4 g/day (約28~57 mg/kg/dayに相当) 数週間から数ヵ月にわたって投与された患者において、有害影響は認められていない。しかし、8 g/dayという高用量の本物質投与 約114 mg/kg/dayに相当) を3~4週間にわたって続けたことにより、膀胱の刺激症状、疼痛を伴う頻尿、タンパク尿、及び血尿といった臨床症状が生じたことが報告されている (EU-RAR (2008))。また、大量の経口摂取で腎臓の尿細管や腎孟の炎症、反復使用で皮膚炎、蕁麻疹を起こすことがあることが報告されている (HSDB (Access on November 2015))。
実験動物では、複数の長期毒性試験が実施されている。ラットを用いた104週間飲水投与毒性試験において、30,000 ppmという高用量で心臓の鉱質沈着、腎臓の鉱質沈着、AST及びALTの増加等がみられたが (厚生労働省委託がん原性試験結果 (1997))、区分2の範囲外であった。その他の長期試験においても区分2の範囲内で有害な影響はみられていない。
以上のように、ヒトにおいて治療に用いた場合、副作用として消化管に対する刺激性のほか、過敏症反応、膀胱及び腎臓に影響がみられることがある。なお過敏反応は全身毒性とした。
したがって、区分1 (膀胱、腎臓、全身毒性) とした。なお、旧分類では「呼吸障害、胸部締付感などの急性症状」から呼吸器を標的臓器としていたが、これは急性影響であること、過敏性の反応と考えられることから、標的臓器としなかった。
平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
10 誤えん有害性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
11 水生環境有害性 短期(急性) 区分に該当しない
-
-
- - 藻類(Pseudokirchneriella subcapitata)72時間ErC50 > 100 mg/L、甲殻類(オオミジンコ)48時間EC50 > 100 mg/L、魚類(メダカ)96時間LC50 > 100 mg/L(いずれも環境省生態影響試験, 2002)であることから、区分外とした。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
11 水生環境有害性 長期(慢性) 区分に該当しない
-
-
- - 慢性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく(14日間でのBOD分解度=22%、TOC分解度=45%、HPLC分解度=48% (通産省公報, 1979))、藻類(Pseudokirchneriella subcapitata)の72時間NOEC = 100 mg/L、甲殻類(オオミジンコ)の21日間NOEC (繁殖) > 99 mg/L(いずれも環境省生態影響試験, 2002)であることから、区分外となる。
慢性毒性データが得られていない栄養段階に対して急性毒性データを用いた場合、急速分解性がないが、魚類(メダカ)の96時間LC50 > 100 mg/L(環境省生態影響試験, 2002)であることから、区分外となる。
以上から、区分外とした。
平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
12 オゾン層への有害性 分類できない
-
-
- - データなし 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)


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