NITE統合版 政府によるGHS分類結果

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一般情報
 
項目 情報
CAS登録番号 10102-18-8
名称 亜セレン酸ナトリウム
物質ID m-nite-10102-18-8_v1
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項目 情報
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物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
1 爆発物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 爆発性に関連する原子団を含んでいない。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
2 可燃性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
3 エアゾール 区分に該当しない(分類対象外)
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- - エアゾール製品ではない。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
4 酸化性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
5 高圧ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
6 引火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
7 可燃性固体 分類できない
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- - 特定の条件下で可燃性である (ICSC (J) (1998)) との情報があるが、データがなく分類できない。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
8 自己反応性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
9 自然発火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
10 自然発火性固体 区分に該当しない
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- - 空気中で安定 (Merck (15th, 2013)) であり常温で発火しないと考えられる。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
11 自己発熱性化学品 分類できない
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-
- - データがなく分類できない。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
12 水反応可燃性化学品 区分に該当しない
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- - 半金属 (Se) を含むが、水溶解度は89.8 g/100 g水 (HSDB (Access on September 2017)) との測定データが得られており、水との急激な反応はないと考えられる。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
13 酸化性液体 区分に該当しない(分類対象外)
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- - GHSの定義における固体である。
平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
14 酸化性固体 分類できない
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- - 酸素を含む無機化合物であるが、データがなく分類できない。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
15 有機過酸化物 区分に該当しない(分類対象外)
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- - 無機化合物である。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
16 金属腐食性化学品 分類できない
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- - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
17 鈍性化爆発物 -
-
-
- - - - -

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
1 急性毒性(経口) 区分2


危険
H300 P301+P310
P264
P270
P321
P330
P405
P501
ラットのLD50値として、4.8~7.0 mg Se/kg (本物質換算値: 10.5~15.3 mg/kg) (ATSDR (2003)、PATTY (6th, 2012))、10.5~13.2 mg Se/kg (本物質換算値: 23.0~28.9 mg/kg) (NITE初期リスク評価書 (2008)) との報告に基づき、区分2とした。
平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
1 急性毒性(経皮) 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
1 急性毒性(吸入:ガス) 区分に該当しない(分類対象外)
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-
- - GHSの定義における固体である。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2


警告
H315 P302+P352
P332+P313
P362+P364
P264
P280
P321
ヒトにおいてセレン化合物は職業上のばく露で皮膚刺激性を示したとの記載 (ATSDR (2003)) や、再生ヒト表皮を用いたin vitro皮膚刺激性試験 (OECD TG 439準拠) で本物質は刺激性物質であったとの記載 (ECHA登録情報 (Access on November 2017)) から、区分2とした。 
平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2


警告
H319 P305+P351+P338
P337+P313
P264
P280
ヒトにおいてセレン化合物は職業上のばく露で眼刺激性を示したとの記載 (ATSDR (2003)) から、区分2とした。なお、ウシ角膜を用いる混濁度および透過性試験 (OECD TG 437準拠) で本物質は腐食性ではなかったとの記載 (ECHA 登録情報 (Access on November 2017)) がある。
平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。
平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
4 皮膚感作性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。なお、セレンを取扱う実験技術者がばく露から6ヵ月で指間にそう痒性の小胞を生じ、2年後に顔や首の湿疹や流涙、2ヵ月中に2度の喘息発作を起こしてパッチテストで本物質とセレンに陽性を示した事例 (ATSDR (2003)) の記載がある。EU CLP分類において本物質はSkin Sens. 1, H317 に分類されている (ECHA CL Inventory (Access on August 2017))。
平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
5 生殖細胞変異原性 区分2


警告
H341 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
In vivoでは、マウスの骨髄細胞を用いた小核試験で陽性、ラット、マウスの骨髄細胞を用いた染色体異常試験で陽性、ラットの末梢血を用いた染色体異常試験で陰性である (ATSDR (2003)、環境省リスク評価第14巻 (2016))。In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞の染色体異常試験、姉妹染色分体交換試験で陽性である (ATSDR (2003)、環境省リスク評価第14巻 (2016))。以上より、ガイダンスに従い区分2とした。
平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
6 発がん性 分類できない
-
-
- - セレン及びセレン化合物はIARCでグループ3に (IARC Suppl. 7 (1987))、EPAでD (not classifiable as to human carcinogenicity) に分類されている (IRIS (1991))。したがって、分類できないとした。
平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
7 生殖毒性 区分2


警告
H361 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
ヒトでは高含量のセレンを含む食事の摂取により精子運動能の低下など精子の質に影響するとの報告がある一方、影響なしとする報告もある (ATSDR (2003))。セレン酸を含む飲料水を摂取したイタリアの女性で自然流産の増加傾向 (相対リスク [RR]=1.73; 95% CI=0.62-4.80) が窺われたが、統計的に有意な増加ではなかった。また、セレンばく露群の出生児はセレン非ばく露群の出生児と比較して体重、身長に差はなく、先天性異常発生率の増加もなかった (ATSDR (2003))。
  実験動物では雄ウサギに本物質を0.001 mg Se/kg/dayで6週間 (1回/週) 強制経口投与した結果、血清テストステロン値の有意な減少と精子形態異常 (先体欠損) の割合の増加がみられたとの報告、雄ラットに本物質を0.234 mg Se/kg/dayで12~14週間飲水投与した結果、精巣肥大がみられたとの報告など雄の性機能に有害影響を及ぼす報告がある (ATSDR (2003))。また、ラットに本物質やセレン酸ナトリウム (CAS番号 13410-01-0) を経口投与した試験で、体重増加抑制、発情周期の延長、黄体数・着床数、生存胎児数、出生児数の減少、出生児の低体重などが報告されている (環境省リスク評価第14巻 (2016)、NITE初期リスク評価書 (2008))。
  以上、本物質を用いた動物試験結果、及び関連化合物であるセレン酸ナトリウムの分類結果 (平成28年度: 区分2 (生殖毒性)) を踏まえ、本項は区分2とした。
平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(中枢神経系、呼吸器、心臓、肝臓、腎臓、消化管)


危険
H370 P308+P311
P260
P264
P270
P321
P405
P501
ヒトでは、本物質約400 mg/kgを含む微生物用培養液を飲んだ23歳の女性が、吐き気、嘔吐、腹痛、吐血などの重度の胃腸炎の症状と急性腎不全を起こして入院し、心電図で心拍数増加、腎生検では近位尿細管上皮の壊死が認められたが、4週間の血液透析治療の後に回復したとの報告がある (PATTY (6th, 2012))。また、自殺企図により本物質11mg Se/kg (本物質換算値: 24 mg/kg) を経口摂取した56歳の男性が、嘔吐、下痢、腹痛、重度の胃腸炎の症状を示したとの報告 (PATTY (6th, 2012)、NITE初期リスク評価書 (2008)) 及び本物質1.7 gを経口摂取した患者が重症の胃腸炎と一過性の心電図の変化を生じ、血中ビリルビン濃度の軽微な上昇がみられたとの報告 (HSDB (Access on August 2017)) がある。さらに、本物質ではないが、亜セレン酸 (CAS番号 7783-00-8) と硝酸及び硝酸銅を含む酸化皮膜処理剤ガンブルー (gun blue) の故意又は誤飲でグラム単位のセレンを摂取したことによる急性セレン中毒症で、重症の胃腸障害、神経系障害、呼吸不全症候群、心筋梗塞、腎不全がみられたとの報告がある (NITE初期リスク評価書 (2008))。また、15歳の少女が、自殺企図によるセレン酸ナトリウム (CAS番号 13410-01-0) 約22 Se mg/kg (セレン酸ナトリウムの換算値: 約52.6 mg/kg) の経口摂取後に下痢及び脳波の異常を呈し、また血中ビリルビン濃度とアルカリホスファターゼ活性の上昇がみられたとの報告がある (ATSDR (2003)、HSDB (Access on September 2016))。以上の本物質及び他のセレン化合物のヒトでの経口摂取の影響の情報から、区分1 (中枢神経系、呼吸器、心臓、肝臓、腎臓、消化管) とした。
平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(皮膚、毛、爪、歯、中枢神経系、血液系、肝臓、腎臓、生殖器(男性))


危険
H372 P260
P264
P270
P314
P501
ヒトについては、本物質ではないが、食品のセレン濃度が高い中国湖北省恩施地域における脱毛や爪の形態変化を伴ったセレン中毒の報告 (環境省リスク評価第14巻 (2016)、IRIS (1991)、ATSDR (2003)) があり、さらにヘモグロビンの低下、斑状歯、皮膚病変、中枢神経系への影響 (末梢の麻痺、肢端触覚異常、四肢の痛み) が報告されている (IRIS (1991))。
  本物質は水溶性であり、経口摂取により同様のセレン中毒を引き起こすと考えられる。
  実験動物については、ラットに本物質を4~13週間混餌投与した複数の試験で、区分1に該当する用量 (亜セレン酸ナトリウムとして90日換算: 0.0044~1.88 mg/kg/day) で、肝臓 (小葉中心性び漫性小結節、類洞の拡張、肝細胞壊死、単核細胞の門脈浸潤など)、腎臓 (腎乳頭の変性、壊死)、血液系 (ヘモグロビン濃度の減少、脾臓の腫大)、精巣 (重量低下、精子の形態異常、精巣上体内精子数の減少) への影響がみられ (NITE初期リスク評価書 (2008)、ATSDR (2003))、また、モルモットに60日間混餌投与した試験で血液毒性 (貧血、リンパ球減少) が区分1の用量 (15 ppm= 0.75 mg Se/kg/日; 亜セレン酸ナトリウム90日ばく露換算: 1.09 mg/kg/day) で、ラットに2年間混餌投与した試験でも区分1相当量 (0.1 mg/kg/day) で肝臓 (肝臓実質の変性、過形成)、腎臓 (腎炎) への影響が認められたと報告されている (NITE初期リスク評価書 (2008)、ATSDR (2003))。
  以上より、区分1 (皮膚、毛、爪、歯、中枢神経系、血液系、肝臓、腎臓、生殖器 (男性)) とした。
  なお、新たな情報源を用いたため旧分類と分類結果が異なった。
平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
10 誤えん有害性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
11 水生環境有害性 短期(急性) 区分2
-
-
H401 P273
P501
甲殻類(ヨコエビ)96時間LC50 = 1.48 mg/L[0.676 mgSe/L 換算値](ECETOC TR91:2003、環境省リスク評価第14巻:2016 )であることから、区分2とした。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
11 水生環境有害性 長期(慢性) 区分1


警告
H410 P273
P391
P501
水中での金属塩の挙動は不明であるが、金属は元素であるため難分解とみなされ、対水溶解度が898,000 mg/Lであり、魚類(ニジマス)の90日間NOEC(生存率)= 0.046 mg/L[0.021 mgSe/L 換算値](環境省リスク評価第14巻:2016)であることから、区分1とした。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
12 オゾン層への有害性 分類できない
-
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- - データなし 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)


分類結果の利用に関する注意事項:
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  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
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  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。

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