NITE統合版 政府によるGHS分類結果

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一般情報
 
項目 情報
CAS登録番号 106-92-3
名称 1-アリルオキシ-2, 3-エポキシプロパン(別名:アリルグリシジルエーテル)
物質ID m-nite-106-92-3_v2
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関連情報
項目 情報
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物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
1 爆発物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 爆発性に関連する原子団を含んでいない。 令和3年度(2021年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
2 可燃性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体である。 令和3年度(2021年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
3 エアゾール 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - エアゾール製品でない。 令和3年度(2021年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
4 酸化性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体である。 令和3年度(2021年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
5 高圧ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体である。 令和3年度(2021年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
6 引火性液体 区分3


警告
H226 P303+P361+P353
P370+P378
P403+P235
P210
P233
P240
P241
P242
P243
P280
P501
引火点45℃(closed cup)(GESTIS(Accessed JnueJune 2021))に基づいて区分3とした。なお、UNRTDG分類はUN.2219、クラス3、PGⅢである。 令和3年度(2021年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
7 可燃性固体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体である。 令和3年度(2021年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
8 自己反応性化学品 タイプG
-
-
- - 自己反応性に関連する原子団(エチレン基、エポキシド類)を含むが、UNRTDG分類はUN.2219、クラス3であることから、優先評価項目の自己反応性物質には該当しないため、タイプGとした。 令和3年度(2021年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
9 自然発火性液体 区分に該当しない
-
-
- - 発火点は264℃(REACH登録情報(Accessed July 2021))であり常温で発火しないと考えられる。 令和3年度(2021年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
10 自然発火性固体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体である。 令和3年度(2021年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
11 自己発熱性化学品 分類できない
-
-
- - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。 令和3年度(2021年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
12 水反応可燃性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 金属及び半金属(B,Si,P,Ge,As,Se,Sn,Sb,Te,Bi,Po,At)を含んでいない。 令和3年度(2021年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
13 酸化性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。 令和3年度(2021年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
14 酸化性固体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体である。 令和3年度(2021年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
15 有機過酸化物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物である。 令和3年度(2021年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
16 金属腐食性化学品 分類できない
-
-
- - データがなく分類できない。 令和3年度(2021年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
17 鈍性化爆発物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 爆発性に関連する原子団を含んでいない。 令和3年度(2021年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
1 急性毒性(経口) 区分4


警告
H302 P301+P312
P264
P270
P330
P501
【分類根拠】
(1)~(4)より、判断される最も程度の大きい区分を採用し、区分4とした。

【根拠データ】
(1)ラット(雄)のLD50:1,600 mg/kg(MOE 初期評価 (2020)、AICIS IMAP (2015)、SIAP (2007)、ACGIH (7th, 2001)、DFG MAK (1992))
(2)ラットのLD50:830~1,600 mg/kgの間(NITE 初期リスク評価書 (2005))
(3)ラット(雄)のLD50:1,164 mg/kg(REACH登録情報 (Accessed July 2021))
(4)ラット(雌)のLD50:830 mg/kg(REACH登録情報 (Accessed July 2021))
令和3年度(2021年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
1 急性毒性(経皮) 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)より、区分に該当しない。

【根拠データ】
(1)ウサギ(雄)のLD50:2,550 mg/kg(MOE 初期評価 (2020)、AICIS IMAP (2015)、SIAP (2007)、ACGIH (7th, 2001)、DFG MAK (1992))

令和3年度(2021年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
1 急性毒性(吸入:ガス) 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 【分類根拠】
GHSの定義における液体であり、区分に該当しない。
令和3年度(2021年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分2


危険
H330 P304+P340
P403+P233
P260
P271
P284
P310
P320
P405
P501
【分類根拠】
(1)~(2)より、判断される最も程度の大きい区分を採用し、区分2とした。なお、ばく露濃度は飽和蒸気圧濃度の90%(5565 ppm)より低いため、蒸気と判断し、ppmVを単位とする基準値より判断した。

【根拠データ】
(1)ラット(雄)のLC50(7時間): 308 ppm (4時間換算値:407 ppm)(AICIS IMAP (2015)、NITE 初期リスク評価書 (2005)、REACH登録情報 (Accessed July 2021) )
(2)ラット(雄)のLC50(8時間): 3.12~4.66 mg/L(4時間換算値:948~1414 ppm)の間 (MOE 初期評価 (2020)、NITE 初期リスク評価書 (2005)、ACGIH (7th, 2001)、REACH登録情報 (Accessed July 2021))
令和3年度(2021年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。

令和3年度(2021年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2


警告
H315 P302+P352
P332+P313
P362+P364
P264
P280
P321
【分類根拠】
(1)~(3)より、区分2とした。なお、(4)の知見から皮膚腐食性が示唆されるが、原典を参照し、皮膚刺激性を支持する知見と判断した。

【根拠データ】
(1)本物質の蒸気又は液体にばく露された作業者について掻痒感、腫脹及び水疱形成を含む皮膚炎の症例報告がある(ACGIH (7th, 2001)、NITE 初期リスク評価書 (2005))。
(2)ウサギ(n=3)を用いた皮膚刺激性試験(閉塞、24時間適用、72時間観察)において、24時間と72時間の紅斑の平均スコアは1.33、浮腫の平均スコアは1.83であり、中等度の刺激性を示したとの報告がある(AICIS IMAP (2015)、NITE 初期リスク評価書 (2005)、ACGIH (7th, 2001)、REACH登録情報 (Accessed July 2021))。
(3)ウサギを用いた皮膚刺激性試験において、ウサギを用いた試験に基づくと、本物質は皮膚刺激物であるとの報告がある(SIAP (2007))。

【参考データ等】
(4)本物質は眼、皮膚、気道に対して腐食性を示し、皮膚に付くと皮膚の乾燥、発赤、痛み、水疱を生じる(MOE 初期評価 (2020))。
(5)(4)の原典であるICSC (2018)では、本物質を皮膚刺激性物質としている(ICSC 2018))。
令和3年度(2021年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分1


危険
H318 P305+P351+P338
P280
P310
【分類根拠】
(1)~(4)より、区分1とした。なお、影響の重篤性に鑑み、区分を変更した。

【根拠データ】
(1)本物質は眼、皮膚、気道に対して腐食性を示し、眼に入ると充血、痛み、かすみ眼、重度の熱傷を生じるとの報告がある(MOE 初期評価 (2020))。
(2)ウサギ(n=3)を用いた眼刺激性試験において、適用後48時間までの全体の平均刺激スコアは72で、重度の眼損傷ではあったものの、失明には至らず、回復性を示す結膜炎、虹彩炎及び角膜混濁を生じたとの報告がある(AICIS IMAP (2015)、NITE 初期リスク評価書 (2005)、ACGIH (7th, 2001)、REACH登録情報 (Accessed July 2021))。
(3)ウサギを用いた眼刺激性試験において、本物質は重度の眼刺激性物質であるとの報告がある(SIAP (2007))。
(4)ウサギを用いた眼刺激性試験において、本物質は重度ではあるが回復性を示す角膜影響を引き起こす。また、本物質の高濃度の蒸気はラットに角膜混濁を生じる.との報告がある(HSDB (Accessed July 2021))。
令和3年度(2021年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
令和3年度(2021年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
4 皮膚感作性 区分1


警告
H317 P302+P352
P333+P313
P362+P364
P261
P272
P280
P321
P501
【分類根拠】
(1)~(4)より、区分1とした。

【根拠データ】
(1)エポキシ樹脂化合物にばく露された患者で実施された研究において、 本物質25%溶液によるパッチテストでは、12.9%で陽性反応を示した。また、プラスチックおよび大理石を扱う業種における同様の事例では、本物質のばく露による皮膚感作性が示されたとの報告がある(AICIS IMAP (2015))。
(2)エポキシ樹脂の取り扱いで皮膚炎を発症した労働者 20名のパッチテストでは、0.25%の本物質に対して3名が陽性反応を示したとの報告がある(MOE 初期評価 (2020)、NITE 初期リスク評価書 (2005))。
(3)DFG MAKではSh(皮膚感作性物質)に分類されている(DFG MAK (2002))。
(4)いくつかのヒトの症例報告から、本物質は皮膚感作性の可能性がある(SIAP (2007))。
令和3年度(2021年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
5 生殖細胞変異原性 区分2


警告
H341 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
【分類根拠】
(1)、(2)より、区分2とした。

【根拠データ】
(1)In vitroでは、複数の細菌復帰突然変異試験、及びほ乳類培養細胞(CHO、CHL、ラット肝細胞)を用いた複数の染色体異常試験で陽性であった(MOE 初期評価 (2020)、REACH登録情報(Accessed July 2021)、AICIS IMAP (2015)、NITE 初期リスク評価書 (2005)、DFG MAK (1992)、安衛法変異原性試験(Accessed July 2021))。
(2)本物質はin vitro、in vivoの多くの試験で遺伝毒性を示すことが判明している。また、本物質はマウスに経皮及び腹腔内投与後にDNA付加体の形成がみられている(Government of Canada, Screening Assessment (2020)、SIAP (2007))。
令和3年度(2021年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
6 発がん性 区分2


警告
H351 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
【分類根拠】
(1)~(3)より、マウス(雄)である程度の発がん性の証拠が認められていることから区分2とした。なお、新たな知見に基づき、分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1)国内外の評価機関による既存分類結果として、ACGIHでA4(ACGIH (7th, 2001))、DFGでCategory 2(DFG MAK (2002))に分類されている。
(2)ラットを用いた103週間吸入ばく露(6時間/日、5日/週)による発がん性試験において、雄の10 ppm 群の鼻腔嗅上皮に腺がん、呼吸上皮に乳頭状腺腫、 扁平上皮がんが各 1/50例にみられた。雌では 5 ppm群の呼吸上皮に乳頭状腺腫、肺に腺扁平上皮がんが各1/50例にみられたが、10 ppm群に腫瘍発生は認められなかった。これらの結果、雄では発がん性を疑わせる不確実な証拠がある(Equivocal evidence)、雌では発がん性の証拠はないと結論された(NTP TR376 (1990)、MOE 初期評価 (2020)、Government of Canada, Screening Assessment (2020)、AICIS IMAP (2015)、SIAP (2007)、NITE 初期リスク評価書 (2005)、DFG MAK (1992))。
(3)マウスを用いた102週間吸入ばく露(6時間/日、5日/週)による発がん性試験において、10 ppm 群では鼻腔の呼吸上皮腺腫が雄3/50例及び雌1/50例に、粘膜下の血管肉腫が雌雄各1/50例に認められた。これらの結果、雄ではある程度の発がん性の証拠(Some evidence)、雌では発がん性を疑わせる不確実な証拠があると結論された(NTP TR376 (1990)、MOE 初期評価 (2020)、Government of Canada, Screening Assessment (2020)、AICIS IMAP (2015)、SIAP (2007)、NITE 初期リスク評価書 (2005)、DFG MAK (1992))。

【参考データ等】
(4)EUではCarc. 2に分類されている(CLP分類結果 (Accessed June 2021))。
令和3年度(2021年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
7 生殖毒性 区分2


警告
H361 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
【分類根拠】
(1)、(2)より、区分2とした。(1)では雄ラットに一般毒性影響(体重増加抑制)がみられる30 ppm以上の用量で濃度依存的な受胎率の低下と着床数の減少がみられた。

【根拠データ】
(1)ラットを用いた吸入ばく露による生殖毒性試験(8週間、ばく露後に非ばく露の雌雄と交配)において、30 ppm以上でばく露した雄では体重増加抑制、非ばく露の雌との交配によりばく露濃度に依存した受胎率の低下と着床数の減少を示した。200 ppmでばく露した雌では非ばく露の雄との交配により、黄体数と着床数の減少がみられたものの受胎率への影響はみられなかった。なお、胎仔の奇形や変異の発生率に増加はなかった(MOE 初期評価 (2020)、AICIS IMAP (2015)、SIAP (2007)、NITE 初期リスク評価書 (2005)、DFG MAK (1992)、REACH登録情報 (Accessed June 2021))。
(2)マウスを用いた吸入ばく露による生殖毒性試験(8週間、ばく露後に非ばく露の雌雄と交配)において、最高用量の30 ppmで雌雄ともにばく露に関連した生殖発生影響はみられなかったとの報告がある(MOE 初期評価 (2020)、AICIS IMAP (2015)、NITE 初期リスク評価書 (2005)、DFG MAK (1992)、REACH登録情報 (Accessed June 2021))。

【参考データ等】
(3)EUではRepr. 2に分類されている(CLP分類結果 (Accessed June 2021))。
令和3年度(2021年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(中枢神経系、呼吸器、肝臓)


危険
H370 P308+P311
P260
P264
P270
P321
P405
P501
【分類根拠】
(1)~(8)より、区分1(中枢神経系、呼吸器、肝臓)とした。

【根拠データ】
(1)疫学調査・事例より、本物質は眼や呼吸器に対し強い刺激性を有し吸入ばく露により肺水腫を生じる、また、中枢神経の抑制作用を有するとの報告がある(NITE 初期リスク評価書 (2005))。
(2)ラット及びマウスを用いた経口投与試験において、協調運動失調、運動失調、運動活動低下がみられ、その後呼吸困難、中枢神経系抑制がみられた。また、死亡動物では死亡直前に鳥肌、下痢、昏睡がみられた。生存動物の解剖では、前胃の刺激(角質増殖、びらん、潰瘍)、肝臓影響(壊死)がみられた。なお、本試験によるLD50は、ラットで830~1600 mg/kg、マウスで390 mg/kgであった(PATTY (2012))。
(3)ラットを用いた単回吸入(蒸気)ばく露試験(7時間)において、0.47 mg/L(4時間換算値:0.622 mg/L、区分1の範囲)で軽度の鼻刺激、喘ぎがみられたとの報告がある(AICIS IMAP (2015)、REACH登録情報 (Accessed July 2021))。
(4)ラットを用いた単回吸入(蒸気)ばく露試験(8時間)において、1.4 mg/L(4時間換算値:1.98 mg/L、区分1の範囲)で流涙、鼻汁、流涎、呼吸困難、喘ぎ、角膜混濁がみられたとの報告がある(REACH登録情報 (Accessed July 2021))。
(5)ラットを用いた単回吸入(蒸気)ばく露試験(7時間)において、300 ppm(4時間換算値:1.8 mg/L、区分1の範囲)で空気嚥下による胃の拡張、鼻甲介のうっ血及び浮腫、鼻からの浸出液、角膜混濁、肝臓及び腎臓のうっ血がみられたとの報告がある(NITE 初期リスク評価書 (2005)、PATTY (2012))。
(6)マウスを用いた単回吸入(蒸気)ばく露試験(4時間)において、206~774 ppm(0.96~3.6 mg/L、区分1の範囲)で中枢神経系の抑制、眼、呼吸器への強い刺激性症状 (流涙、流涎、呼吸困難)がみられたとの報告がある(NITE 初期リスク評価書 (2005))。
(7)マウスを用いた単回吸入(蒸気)毒性試験(4時間)において、270ppm(1.3 mg/L、区分1の範囲)で、肺影響(炎症、非感染性肺炎)、肝臓影響(変色、限局性の炎症細胞と中等度のうっ血)、腎臓の変色がみられたとの報告がある(PATTY (2012))
(8)動物試験の結果より、本物質の主な標的臓器は肝臓と腎臓であるとの報告がある(PATTY (2012))。
令和3年度(2021年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(呼吸器)


危険
H372 P260
P264
P270
P314
P501
【分類根拠】
(1)~(4)より、鼻腔、気管、気管支、肺への影響がみられたため、区分1(呼吸器)とした。

【根拠データ】
(1)ラットを用いた13週間吸入ばく露試験(蒸気、6時間/日、5日/週)において、4 ppm(90日換算0.013 mg/L、区分1の範囲)で鼻腔影響(上皮過形成、扁平上皮化生、炎症)が、10 ppm(90日換算0.03 mg/L、区分1の範囲)で咽頭の扁平上皮化生(雄)、30 ppm(90日換算0.1 mg/L、区分1の範囲)で喉頭の扁平上皮化生(雌)が、100 ppm(90日換算0.3 mg/L、区分2の範囲)で気管の扁平上皮化生が、200 ppm(90日換算0.67 mg/L、区分2の範囲)で気管支の扁平上皮化生がみられたとの報告がある(MOE 初期評価 (2020)、AICIS IMAP (2015)、NITE 初期リスク評価書 (2005)、ACGIH (7th, 2001)、DFG MAK (1992)、NTP TR376 (1990))。
(2)マウスを用いた13週間吸入ばく露試験(蒸気、6時間/日、5日/週)において、4 ppm(90日換算0.013 mg/L、区分1の範囲)で呼吸上皮・嗅上皮の扁平上皮化生、慢性炎症がみられたとの報告がある(MOE 初期評価 (2020)、AICIS IMAP (2015)、NITE 初期リスク評価書 (2005)、ACGIH (7th, 2001)、DFG MAK (1992)、NTP TR376 (1990))。
(3)ラットを用いた103週間吸入ばく露試験(蒸気、6時間/日、5日/週)において、5 ppm(0.023 mg/L、区分1の範囲)で鼻腔影響、肺への影響(肺胞の組織球性細胞浸潤、肺胞上皮過形成の発生率の増加(雌))がみられたとの報告がある(MOE 初期評価 (2020)、NITE 初期リスク評価書 (2005)、ACGIH (7th, 2001)、DFG MAK (1992)、NTP TR376 (1990))。
(4)マウスを用いた102週間吸入ばく露試験(蒸気、6時間/日、5日/週)において、5 ppm(0.023 mg/L、区分1の範囲)で鼻腔の腺増生、鼻腔の粘膜の化膿性炎症、呼吸上皮の変性及び増生、扁平上皮化生がみられたとの報告がある(MOE 初期評価 (2020)、NITE 初期リスク評価書 (2005)、ACGIH (7th, 2001)、DFG MAK (1992)、NTP TR376 (1990))。
令和3年度(2021年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
10 誤えん有害性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
令和3年度(2021年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
11 水生環境有害性 短期(急性) 区分3
-
-
H402 P273
P501
魚類(キンギョ)96時間LC50 = 30 mg/L(MOE初期評価, 2020、NITE初期リスク評価書, 2005)であることから、区分3とした。 令和3年度(2021年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
11 水生環境有害性 長期(慢性) 区分3
-
-
H412 P273
P501
慢性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく(BODによる28日間分解度:37%(METI既存点検結果 , 1994、MOE初期評価 , 2020))、藻類(ムレミカヅキモ)の72時間NOEC = 20 mg/L(MOE初期評価, 2020)から、区分に該当しないとなる。
慢性毒性データが得られていない栄養段階(甲殻類、魚類)に対して急性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく、魚類(キンギョ)の96時間LC50 = 30 mg/L(MOE初期評価, 2020)から、区分3となる。
以上の結果を比較し、区分3とした。
令和3年度(2021年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
12 オゾン層への有害性 分類できない
-
-
- - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 令和3年度(2021年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)


分類結果の利用に関する注意事項:
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  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。

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