NITE統合版 政府によるGHS分類結果

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一般情報
 
項目 情報
CAS登録番号 10605-21-7
名称 メチル=ベンゾイミダゾール-2-イルカルバメート(別名カルベンダジム)
物質ID m-nite-10605-21-7_v3
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関連情報
項目 情報
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物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
1 爆発物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 爆発性に関する原子団を含まない。 令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
2 可燃性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHS定義における固体である。 令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
3 エアゾール 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - エアゾール製品でない。 令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
4 酸化性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHS定義における固体である。 令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
5 高圧ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHS定義における固体である。 令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
6 引火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHS定義における固体である。 令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
7 可燃性固体 分類できない
-
-
- - データがなく分類できない。なお、可燃性との情報(GESTIS (Accessed July 2022))がある。 令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
8 自己反応性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。 令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
9 自然発火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHS定義における固体である。 令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
10 自然発火性固体 区分に該当しない
-
-
- - 300℃で分解(HSDB in PubChem (Accessed July 2022))との情報より、常温で発火しないと考えられるため、区分に該当しない。参考情報として、200℃で分解するとの情報(Pastor et al., Build Environ(2020))がある。 令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
11 自己発熱性化学品 分類できない
-
-
- - データがなく分類できない。 令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
12 水反応可燃性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 金属及び半金属(B,Si,P,Ge,As,Se,Sn,Sb,Te,Bi,Po,At)を含まない。 令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
13 酸化性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHS定義における固体である。 令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
14 酸化性固体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - フッ素および塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。 令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
15 有機過酸化物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物である。 令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
16 金属腐食性化学品 分類できない
-
-
- - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。 令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
17 鈍性化爆発物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 爆発性に関する原子団を含まない。 令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
1 急性毒性(経口) 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)~(7)より、区分に該当しない。

【根拠データ】
(1)ラットのLD50:> 10,000 mg/kg(EFSA (2010)、JMPR (2005)、DFG MAK (2014))
(2)ラットのLD50:> 2,000 mg/kg(AICIS IMAP (2020))
(3)ラットのLD50:> 15,000 mg/kg(EHC 149 (1993)、HSDB in PubChem (Accessed July 2022))
(4)ラットのLD50:6,400 mg/kg(HSDB in PubChem (Accessed July. 2022))
(5)ラットのLD50:> 6,400 mg/kg(OECD TG 401)(REACH登録情報 (Accessed July 2022))
(6)ラットのLD50:> 10,000 mg/kg(OECD TG 401)(REACH登録情報 (Accessed July 2022))
(7)ラットのLD50:> 15,000 mg/kg(OECD TG 401)(REACH登録情報 (Accessed July 2022))
令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
1 急性毒性(経皮) 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)、(2)より、区分に該当しない。

【根拠データ】
(1)ウサギ(雄)のLD50:> 10,000 mg/kg(EHC 149 (1993)、DFG MAK (2014)、HSDB in PubChem (Accessed July 2022))
(2)ラットのLD50:> 2,000 mg/kg(EFSA (2010)、DFG MAK (2014)、HSDB in PubChem (Accessed July 2022))
令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
1 急性毒性(吸入:ガス) 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 【分類根拠】
GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)、(2)より、区分に該当しない。なお、新たな知見に基づき分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1)ラットのLC50(4時間):> 5.8 mg/L(EFSA (2010))
(2)ラットのLC50(4時間):> 5 mg/L(AICIS IMAP (2020))
令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
2 皮膚腐食性/刺激性 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)、(2)より、区分に該当しない。なお、新たな知見に基づき、分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1)ウサギ(n=3)を用いた皮膚刺激性試験(OECD TG 404、GLP、半閉塞、4時間適用、72時間観察)において、皮膚一次刺激指数(PDII)は0であったとの報告がある(REACH登録情報 (Accessed July 2022))。
(2)本物質は皮膚刺激性物質ではない(EFSA (2010))。
令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)~(3)より、区分に該当しない。

【根拠データ】
(1)ウサギ(n=4)を用いた眼刺激性試験(OECD TG 405、GLP、72時間観察)において、適用24/48/72時間後の平均スコアは角膜混濁:0、虹彩炎:0、結膜発赤:0.33、結膜浮腫:0であり、結膜影響は2日以内に回復したとの報告がある(REACH登録情報 (Accessed July 2022))。
(2)ウサギ(n=6)を用いた眼刺激性試験(OECD TG 405、72時間観察)において、1例で72時間後まで結膜発赤(スコア1)がみられた以外に、角膜、虹彩、結膜への刺激性影響はみられなかったとの報告がある(REACH登録情報 (Accessed July 2022))。
(3)本物質は眼刺激性物質ではない(EFSA (2010))。
令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
4 皮膚感作性 区分1B


警告
H317 P302+P352
P333+P313
P362+P364
P261
P272
P280
P321
P501
【分類根拠】
(1)より、区分1Bとした。なお、新たな知見に基づき、分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1)モルモット(n=10)を用いたMaximisation試験(OECD TG 406、GLP、皮内投与:5%溶液)において、62.5%溶液惹起群における惹起終了24、48、72時間後の陽性率は10%(1/10例)、40%(4/10例)、30%(3/10例)であり、31.25%溶液惹起群における惹起終了24、48、72時間後の陽性率は0%(0/10例)、30%(3/10例)、30%(3/10例)であったとの報告がある(ECHA RAC Opinion (2019)、EU CLP CLH (2019))。

【参考データ等】
(2)りんごの仕分け作業に従事し皮膚炎を生じた果物農場の作業者47人に対して本物質の5%溶液でパッチテストを実施した結果、1人で陽性反応がみられた。また、果物を収穫中にばく露した可能性のある同一地域の作業者30人と皮膚科クリニックの患者60人の2群においても各1人で陽性反応がみられたとの報告がある(DFG MAK (2014)、AICIS IMAP (2020))。
(3)モルモット(n=20)を用いたBuehler試験(OECD TG 406相当、GLP、局所投与:50%ワセリン混合物)において、全例で惹起終了24、48時間後に陽性反応はみられなかったとの報告がある(ECHA RAC Opinion (2019)、AICIS IMAP (2020)、EU CLP CLH (2019))。
(4)本物質は皮膚感作性物質である(EFSA (2010))。
令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
5 生殖細胞変異原性 区分1B


危険
H340 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
【分類根拠】
(1)~(5)より、区分1Bとした。(1)の優性致死試験では陰性であるが、(2)の生殖細胞を用いた染色体異常試験、小核試験で陽性である。(3)~(5)のマウス、ラットの染色体異常試験、小核試験において、染色体数の異数性を誘発するとの報告があり、作用機序は本物質の微小管タンパク重合阻害によることが明らかにされている。

【根拠データ】
(1)In vivoでは、マウスを用いた優性致死試験(単回腹腔内投与)で陰性であった。(JMPR Addendum (2005)、AICIS IMAP (2020))。
(2)In vivoでは、ラット及びマウスを用いた染色体異常試験(単回腹腔内投与)、小核試験(単回腹腔内投与)で陽性であった(JMPR Addendum (2005)、AICIS IMAP (2020))。
(3)In vivoのマウスの卵母細胞を用いた染色体異常試験(単回経口投与)では、構造異常はみられなかったが、数的異常(異数性)の頻度増加が認められた。また、投与後に未処置雄と交配させた結果、着床前胚の発生阻害が示唆された(JMPR Addendum (2005)、AICIS IMAP (2020))。
(4)In vivoのラットの未成熟精子(第1期)を用いた小核試験(単回経口投与)では、中用量(100 mg/kg)で小核形成精子の割合の増加がみられた。高用量群と低用量群の発生頻度は同程度で用量相関はなかったが、高用量群では精巣傷害が小核形成精子の割合の低下に寄与した可能性が考えられた。免疫組織化学的検査により中用量群では動原体を含む小核の割合(68%)が対照群の割合(30%)に比べ2倍以上増加していることから、ラット精子における小核誘発は本物質の異数性によると報告された(JMPR Addendum (2005)、AICIS IMAP (2020))。
(5)本物質は in vitro及びin vivoで染色体数の変化(異数性)を生じる。(JMPR Addendum (2005)、AICIS IMAP (2020))。

【参考データ等】
(6)EUではMuta. 1Bに分類されている(CLP分類結果 (Accessed July 2022))。
令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
6 発がん性 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)~(5)より、区分に該当しない。ラットでは発がん性の証拠はなく、(3)で一部の系統のマウスの肝臓に腫瘍の発生増加が認められたが、(5)の評価のように高感受性系統のマウスにおいて自然発生的に肝臓腫瘍の発生が増強されたものであり、マウスに対する直接的な発がん物質ではないと示唆されている。

【根拠データ】
(1)ラット(SD、Wistarの2系統)を用いた2件の2年間混餌投与による発がん性試験では、1つは300 mg/kg/day、他は500 mg/kg/dayまでの用量で、発がん性は認められなかった(DFG MAK (2014)、AICIS IMAP (2020))。
(2)マウス(CD-1)を用いた2年間混餌投与による発がん性試験では、60 mg/kg/day以上の雌及び180 mg/kg/dayの雄で肝臓腫瘍の増加が認められた。なお、雄の最高用量(400 mg/kg/day)群は途中でほぼ全例死亡したため、病理組織検査が実施されなかった(DFG MAK (2014)、AICIS IMAP (2020))。
(3)別系統のマウス(Swiss)を用いた80週間混餌投与試験では、37 mg/kg/day)以上で肝臓腫瘍(肝細胞腺腫と肝細胞がんの合計)発生頻度の増加がみられた(DFG MAK (2014)、AICIS IMAP (2020))。
(4)自然発生腫瘍が低頻度であることが知られている系統(NMRK-f)のマウスを用いた22ヵ月間(96週間)混餌投与試験では、肝臓腫瘍の発生増加は認められなかった(DFG MAK (2014)、AICIS IMAP (2020))。本試験では卵巣に顆粒細胞腫瘍と黄体腫の発生増加が300 ppm(41.9 mg/kg/day)以上でみられると報告されたが、統計的に有意な増加ではなかった(AICIS IMAP (2020))。
(5)(2)~(4)より、高感受性系統(Swiss、CD-1)のマウスでは自然発生的な肝臓腫瘍の発生を増強するが、本物質はマウスに対し直接的な発がん物質ではないことが示唆された(AICIS IMAP (2020)、DFG MAK (2014))。
令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
7 生殖毒性 区分1B


危険
H360 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
【分類根拠】
(1)~(5)より、区分1Bとした。(1)~(4)より妊娠動物に経口投与した発生毒性試験において、動物種2種で催奇形性がみられ、ラットの試験では母動物毒性がない用量から、胎児毒性に加えて奇形が部分的にみられる。また、(3)、(4)より、雌の生殖・性機能への有害影響が示唆され、(5)より、雄の精巣毒性による受胎能への有害影響が示された。

【根拠データ】
(1)ラットを用いた強制経口投与による発生毒性試験(FDAガイドライン、妊娠6~15日、10~3,000 mg/kg/day)では、母動物毒性(死亡(60及び3,000 mg/kg/day群で各1例及び3例)、体重増加抑制又は体重減少、全身症状(触刺激後の振戦・喘ぎ呼吸、下痢等))がみられた60 mg/kg/day以上で着床後胚損失率の著減、300 mg/kg/day以上では全胚吸収がみられた。胎児には母動物毒性がみられない10 mg/kg/dayから低体重、生存胎児数減少、30 mg/kg/day以上で奇形胎児数及び奇形発生率の用量依存的な増加がみられ、100 mg/kg/dayで全生存胎児に奇形がみられた。奇形は主に脊髄、肋骨及び頭部(水頭症)の形態異常で、100 mg/kg/day群では四肢、心臓、肺に奇形もみられた(JMPR Addendum (2005)、DFG MAK (2014))。
(2)(1)の追試験として、ラットを用いた強制経口投与による発生毒性試験(FDAガイドライン、妊娠6~15日、10~30 mg/kg/day)では、30 mg/kg/dayまで母動物毒性はみられなかったが、30 mg/kg/day群の胎児には低体重とともに奇形胎児の数及び発生率に著しい増加がみられた。同群では奇形胎児を有する妊娠雌数の増加(22/30例(73%))、生存胎児358匹中81匹(23%)に奇形(水頭症、胸椎裂・腰椎裂など)がみられた(JMPR Addendum (2005)、DFG MAK (2014))。
(3)ラットを用いた強制経口投与による発生毒性試験(OECD TG414、GLP、妊娠7~16日、5~90 mg/kg/day)では、母動物毒性(体重増加抑制、肝臓重量増加)のみられる高用量で、母体に生殖影響(妊娠率低下、胚/胎児吸収の増加、一腹当たりの生存胎児数減少)、生存胎児に低体重とともに外表奇形(頭部(水頭症、ドーム状頭など)、眼(無眼/小眼症)、四肢(こぶ状肢))、骨格奇形(脊椎・肋骨・胸骨分節の癒合、二分脊椎、肩甲骨奇形など)がみられた。母動物毒性のない中用量(20 mg/kg/day)では軽微な発生影響(低体重、骨格変異(胸椎分節配列不整、過剰肋骨)の増加)に加え、上記の奇形の一部が3匹に認められ、中用量が奇形発生に対する閾値と判断された(JMPR Addendum (2005)、DFG MAK (2014))。
(4)ウサギを用いた強制経口投与による発生毒性試験(OECD TG414、GLP、妊娠7~19日、10~125 mg/kg/day)では、母動物毒性(流産(2/18例)、体重増加抑制、摂餌量減少)がみられた高用量群で、母体に生殖影響(着床数減少、吸収数・吸収率増加、全胚吸収の妊娠腹数(7/9例)の増加)及び黄体数減少、胎児に体重の低値傾向と奇形発生率の増加がみられた。奇形は主に骨格奇形(頸椎、肋骨および胸椎の奇形)であった。母動物毒性のない中用量(20 mg/kg/day)では、着床数の減少と吸収数・吸収率増加(非有意)、全胚吸収の妊娠雌1/16例(対照群と低用量群は0)がみられ、投与の影響と判断された(JMPR Addendum (2005)、DFG MAK (2014))。
(5)ラットを用いた強制経口投与による一世代生殖毒性試験(50~400mg/kg/day)では、親動物に一般毒性影響は最高用量の400 mg/kg/dayまでみられなかったが、交配の結果200 mg/kg/day以上で雄親動物の半数が雄性不妊と判断され、精子数及び精子運動能、精巣及び精巣上体重量の減少がみられた。同群の胎児には死亡率増加がみられた(DFG MAK (2014))。

【参考データ等】
(6)EUではRepr. 1Bに分類されている(CLP分類結果 (Accessed Jun 2022))。
令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分2(生殖器(男性))


警告
H371 P308+P311
P260
P264
P270
P405
P501
【分類根拠】
(1)より、区分2(生殖器(男性))とした。なお、新たな知見に基づき分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1)ラットを用いた単回経口投与試験において、1,000 mg/kg(区分2の範囲)で精巣の小型化、変色及び精細管の変性、精巣上体の精子数の減少がみられたとの報告がある(JMPR (2005)、AICIS IMAP (2020))。
令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2(肝臓、腎臓、生殖器(男性)、血液系)


警告
H373 P260
P314
P501
【分類根拠】
(1)~(3)より、区分2の範囲で腎臓への影響が、(2)~(4)より、区分2の範囲で血液系への影響が、(2)~(6)で区分2の範囲で肝臓への影響が、(2)~(4)、(6)で雄性生殖器への影響がみられた。以上のことから、区分2(肝臓、腎臓、生殖器(男性)、血液系)とした。なお、新たな知見に基づき分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1)ラットを用いた強制経口投与による90日間反復経口投与試験において、16 mg/kg/day(区分2の範囲)で雄に尿細管の拡張・水腫変性が、32 mg/kg/day(区分2の範囲)で雄に腎臓の線維化・うっ血、血中尿素レベルの低下、血清ビリルビンの増加がみられたとの報告がある(AICIS IMAP (2020)、Government of Canada (2011))。
(2)イヌを用いた強制経口投与による90日間経口投与試験において、20 mg/kg/day(区分2の範囲)で肝臓及び腎臓の変性、肝臓の炎症性変化、ヘモグロビン・総白血球数減少、ALT・AST・尿素・ビリルビン増加、肝臓重量増加、副腎重量減少、脾臓重量増加・精巣重量減少(雄)、脾臓重量・卵巣重量減少(雌)がみられたとの報告がある(Government of Canada (2011))。
(3)イヌを用いた強制経口投与による90日間反復経口投与試験において、80 mg/kg/day(区分2の範囲)で赤血球数減少、胃粘膜のびらん、肝臓(巣状変性、類洞拡張、うっ血)、脾臓の斑状うっ血、腎臓(糸球体及び尿細管の変性)、精巣と卵巣における線維化を伴う変性がみられたとの報告がある(Government of Canada (2011))。
(4)イヌを用いた混餌投与による2年間反復経口投与試験において、80.8 mg/kg/day(区分2の範囲)で体重増加抑制、血液凝固時間延長、ALP増加、肝臓相対重量増加、下垂体・甲状腺重量増加、精巣精細管萎縮(雄)、間質の多核炎症性細胞浸潤(雄)、摂餌量減少(雌)がみられたとの報告がある(Government of Canada (2011))。
(5)マウスを用いた混餌投与による2年間慢性毒性/がん原性併合試験において、81 mg/kg/day(区分2の範囲)で小葉中心性肝細胞肥大(雄)、胸腺及び腎臓絶対重量増加(雄)、体重軽度低下(雄)、胆管増生(雌)がみられたとの報告がある(Government of Canada (2011)、DFG MAK (2014)、JMPR(2005))。
(6)ラットを用いた28日間反復経皮投与試験(6時間/日、5日/週)において、120 mg/kg/day(90日換算:26.7 mg/kg/day、区分2の範囲)で精細管の変性(雄)、精巣上体管腔内精子減少(雄)、肝臓重量増加(雌)が、480 mg/kg/day(90日換算:107 mg/kg/day、区分2の範囲)で精子肉芽腫(雄)、精巣上体精子濃度減少(雄)、異常精子比率の増加(雄)、運動性精子比率の減少(雄)、漸進的運動性精子比率の減少(雄)、赤血球数・Hb・Htの軽度減少(雌)がみられたとの報告がある(Government of Canada (2011)、AICIS IMAP (2020))。
令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
10 誤えん有害性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。 令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
11 水生環境有害性 短期(急性) 区分1


警告
H400 P273
P391
P501
甲殻類(オオミジンコ)48時間EC50 = 0.15 mg/L(EU CLP CLH, 2018)であることから、区分1とした。 令和3年度(2021年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
11 水生環境有害性 長期(慢性) 区分1


警告
H410 P273
P391
P501
急速分解性がなく(難分解性、BODによる分解度:0%(METI既存点検結果, 1984))、甲殻類(オオミジンコ)の21日間NOEC = 0.0015 mg/L(EU CLP CLH, 2018)から、区分1とした。 令和3年度(2021年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
12 オゾン層への有害性 分類できない
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- - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 令和3年度(2021年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)


分類結果の利用に関する注意事項:
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  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
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