NITE統合版 政府によるGHS分類結果

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一般情報
 
項目 情報
CAS登録番号 108-10-1
名称 メチルイソブチルケトン
物質ID m-nite-108-10-1_v2
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関連情報
項目 情報
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物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
1 爆発物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 爆発性に関連する原子団を含んでいない。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
2 可燃性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体である。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
3 エアゾール 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - エアゾール製品でない。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
4 酸化性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体である。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
5 高圧ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体である。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
6 引火性液体 区分2


危険
H225 P303+P361+P353
P370+P378
P403+P235
P210
P233
P240
P241
P242
P243
P280
P501
引火点14℃ (closed cup)、沸点117~118℃ (ICSC (1997)) に基づいて区分2とした。
なお、UNRTDG分類はUN.1245、クラス3、PGⅡである。
平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
7 可燃性固体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体である。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
8 自己反応性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
9 自然発火性液体 区分に該当しない
-
-
- - 発火点が460℃ (ICSC (1997)) であり、常温で発火しないと考えられる。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
10 自然発火性固体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体である。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
11 自己発熱性化学品 分類できない
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-
- - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
12 水反応可燃性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 金属及び半金属 (B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At) を含んでいない。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
13 酸化性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
14 酸化性固体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体である。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
15 有機過酸化物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物である。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
16 金属腐食性化学品 分類できない
-
-
- - データがなく分類できない。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
17 鈍性化爆発物 -
-
-
- - - - -

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
1 急性毒性(経口) 区分に該当しない
-
-
- - ラットのLD50値として、2,080 mg/kg (PATTY (6th, 2012)、ACGIH (7th, 2010)、環境省リスク評価第6巻 (2008)、EHC 117 (1990))、2,780 mg/kg、2,991 mg/kg (SIDS (2011))、3,200 mg/kg (PATTY (6th, 2012)、SIDS (2011))、4,500 mg/kg、4,570 mg/kg (PATTY (6th, 2012)、SIDS (2011)、ACGIH (7th, 2010)、EHC 117 (1990))、4,600 mg/kg (SIDS (2011)、環境省リスク評価第6巻 (2008)、EHC 117 (1990))、1,900-4600 mg/kg (SIDS (2011))、2,080-4,600 mg/kg (NTP TR 538 (2007)、DFGOT vol. 13 (1999)) との報告に基づき、区分外 (国連分類基準の区分5) とした。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
1 急性毒性(経皮) 区分に該当しない
-
-
- - ウサギのLD50値として、> 3,000 mg/kg (環境省リスク評価第6巻 (2008))、> 16,040 mg/kg (SIDS (2011)) との報告に基づき、区分外とした。
平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
1 急性毒性(吸入:ガス) 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体である。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分3


危険
H331 P304+P340
P403+P233
P261
P271
P311
P321
P405
P501
ラットのLC50値 (4時間) として、8.2~16.4 g/m3 (1,968~3,936 ppm) (NTP TR 538 (2007)、DFGOT vol. 13 (1999)、EHC 117 (1990)) 及び3,000 ppm (SIDS (2011)) との報告がある。前者は区分3又は区分4に該当し、後者は区分4に該当する。これらのデータの出典が同一であるので、安全側の区分3とした。LC50値が飽和蒸気圧濃度 (26,184 ppm) の90%より低いため、ミストを含まないものとしてppmを単位とする基準値を適用した。
平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
2 皮膚腐食性/刺激性 区分に該当しない
-
-
- - ウサギを用いた皮膚刺激性試験において、本物質を10時間閉塞適用した結果、紅斑が24時間後まで持続したとの報告がある (SIDS (2011)、EHC117 (1990)、NTP TR 538 (2007))。また、モルモットを用いた皮膚刺激性試験において、本物質 (5又は10 mL) を適用した結果軽度の刺激性がみられたとの報告がある (DFGOT vol. 13 (1999)、PATTY (6th, 2012))。以上、回復性がみられたとの報告及び軽度の刺激性との報告から区分外 (国連分類基準の区分3) とした。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2B
-
警告
H320 P305+P351+P338
P337+P313
P264
ウサギを用いた眼刺激性試験 (OECD TG 405) において、本物質の原液0.1 mLを適用した結果、角膜混濁、結膜の発赤及び結膜炎がみられたが7日以内に回復したとの報告がある (ECETOC TR48 (1992))。また、ウサギを用いた別の試験において、本物質の原液0.1 mLを適用した結果、適用後10分以内に刺激性がみられ、症状は60時間後に回復したとの報告がある (SIDS (2011)、NTP TR 538 (2007)、EHC117 (1990))。以上から区分2Bとした。なお、本物質はEU CLP分類において「Eye Dam. 1 H318」に分類されている (ECHA CL Inventory (Access on September 2015))。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。
平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
4 皮膚感作性 分類できない
-
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- - データ不足のため分類できない。なお、モルモットを用いたマキシマイゼーション試験 (OECD TG 406) において感作性は認められなかったとの報告がある (DFGOT vol. 13 (1999)) が、試験の詳細等の情報が得られなかったため区分外にするには十分な情報でないと判断した。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
5 生殖細胞変異原性 分類できない
-
-
- - ガイダンスの改訂により区分外が選択できなくなったため、分類できないとした。すなわち、in vivoでは、マウスの骨髄細胞を用いた小核試験で陰性 (IARC 101 (2012)、SIDS (2011)、PATTY (6th, 2012)、EHC 117 (1990)、環境省リスク評価第6巻 (2008)、DFGOT vol. 13 (1999))、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞の染色体異常試験、小核試験、不定期DNA合成試験で陰性、哺乳類培養細胞のマウスリンフォーマ試験で不確かな結果があるが、用量依存性がなく陽性の判断は困難である (SIDS (2011)、PATTY (6th, 2012)、ACGIH (7th, 2010)、EHC 117 (1990)、環境省リスク評価第6巻 (2008)、DFGOT vol. 13 (1999))。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
6 発がん性 区分1B


危険
H350 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
【分類根拠】
(1)、(2)で動物種2種において悪性を含む腫瘍の発生増加が認められ、動物実験において発がん性の十分な証拠があることから区分1Bとした。なお、新たな評価に基づき、分類結果を変更した。前回分類時に健康障害防止指針(がん原性指針)の対象物質であることをが踏まえていないことから、発がん性項目のみ見直した(2021年)。

【根拠データ】
(1)ラットを用いた2年間吸入ばく露試験(6 時間/日、5 日/週)において、雄で腎尿細管の腺腫、及び腺腫とがんの合計の頻度増加が、雌(2/50例)で腎臓の間葉系悪性腫瘍がみられた。雄の腎臓腫瘍はα2μ-グロブリン介在性の機序による証拠の強さは弱いとされ、雌の腎臓腫瘍は希少な腫瘍で、自然発生腫瘍の可能性は低いとされた(IARC 101 (2012))。
(2)マウスを用いた2年間吸入ばく露試験(6 時間/日、5 日/週)において、肝細胞腺腫の頻度増加、及び肝細胞腺腫とがんの合計頻度の増加が雌雄いずれにも認められた(IARC 101 (2012))。

【参考データ等】
(3)本物質は、厚生労働省化学物質による健康障害防止指針(がん原性指針)の対象物質である。なお、IARCでグループ2Bに追加されていることががん原性指針の対象物質の指定根拠である(令和2年2月7日付け健康障害を防止するための指針公示第 27号)。
(4)国内外の評価機関による既存分類結果として、(1)(2)より実験動物での腫瘍誘発は確実であるとしたが、ヒトの発がん性に関して利用可能なデータがないため、IARCでグループ2Bに(IARC 101 (2012))、ACGIHでA3に(ACGIH (7th, 2010))、EUでCarc. 2に(CLP分類結果 (Accessed Jan. 2022))それぞれ分類されている。
令和3年度(2021年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
7 生殖毒性 分類できない
-
-
- - ヒトの生殖影響に関する情報はない。実験動物ではラットを用いた吸入経路による2世代生殖毒性試験において、F0、F1親動物には主に1,000 ppm以上で、肝臓影響 (重量増加、小葉中心性肝細胞肥大)、腎臓影響 (重量増加、腎症)、中枢神経系影響 (驚愕反応低下) など一般毒性影響がみられたが、各世代の雌雄いずれの投与群にも、性機能及び生殖能への有害影響はみられていない (SIDS (2011)、ACGIH (7th, 2010)、環境省リスク評価第6巻 (2008))。児動物にもF1では1,000 ppmまでの用量では一過性の体重の低値がみられただけであった (SIDS (2011)、ACGIH (7th, 2010)、環境省リスク評価第6巻 (2008)) が、2,000 ppmでは離乳後のF1児動物 (生後22日齢) にばく露を再開した結果、雄1例が死亡したほか、雄7例、雌14例に中枢神経抑制症状がみられた (環境省リスク評価第6巻 (2008)) との記述がある。一方、発生毒性試験では妊娠ラット、又は妊娠マウスに妊娠6~15日まで、吸入ばく露した結果、ラットで体重増加抑制、腎臓重量増加、マウスで死亡例発現 (3/30例)、肝臓重量増加など母動物毒性がみられる用量 (3,000 ppm) で、胎児に発生毒性影響として両種とも胎児重量の低値及び骨化遅延がみられ、マウスでは加えて吸収胚の増加が認められた (SIDS (2011)、IRIS Tox. Review (2003)、ACGIH (7th, 2010)、環境省リスク評価第6巻 (2008))。
以上、吸入経路のみの動物試験結果において、親動物に肝臓、腎臓への一般毒性影響が発現する用量でも性機能・生殖能への有害影響はみられず、発生毒性試験においても妊娠ラットを用いた試験では母動物毒性が発現する用量で軽微な影響 (胎児重量低値、骨化遅延) がみられたのみであった。同様に、妊娠マウスを用いた試験でも母動物が10%死亡する用量においても、ラットと同様の軽微な影響と吸収胚の増加がみられただけである。したがって、吸入経路では区分外の可能性があるが、本物質が中枢神経系作用物質であることから、次世代の神経発生発達への有害性影響に関する情報が不足しており、本項は分類できないとした。
平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3 (気道刺激性、麻酔作用)


警告
H335
H336
P304+P340
P403+P233
P261
P271
P312
P405
P501
本物質は気道刺激性がある (環境省リスク評価第6巻 (2008)、産衛学会許容濃度の提案理由書 (1984)、ACGIH (7th, 2010)、SIDS (2011)、EHC 117 (1990)、IRIS Tox. Review (2003)、DFGOT vol. 13 (1999)、ECETOC JACC (1987)、PATTY (6th, 2012))。ヒトにおいては、吸入ばく露で、咳、頭痛、咽頭痛、眩暈、麻酔作用、中枢神経系抑制、悪心、嘔吐、下痢、脱力感、食欲不振、意識喪失、経口摂取ではこれらの症状に加え腹痛の報告がある (環境省リスク評価第6巻 (2008)、産衛学会許容濃度の提案理由書 (1984)、SIDS (2011)、EHC 117 (1990)、IRIS Tox. Review (2003)、DFGOT vol. 13 (1999)、ECETOC JACC (1987)、PATTY (6th, 2012)、ACGIH (7th, 2010))。
実験動物では、マウス、モルモットの吸入ばく露 (高用量) で麻酔作用、ラットのその他の試験で、中枢神経系抑制、協調運動失調、虚脱の報告がある (ACGIH (7th, 2010)、ECETOC JACC (1987)、PATTY (6th, 2012))。
以上より、本物質は気道刺激性、麻酔作用を有し、区分3 (気道刺激性、麻酔作用) とした。
平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1 (中枢神経系)


危険
H372 P260
P264
P270
P314
P501
イタリアの事業所で遠心分離機の操作中に本物質に毎日20~30分間ばく露された作業者19人を対象とした疫学調査では、本物質の気中濃度は遠心分離機付近で 500 ppm、その他の室内で80 ppmであった。眼、鼻、喉への急性刺激症状以外に、19人中半数以上が自覚症状として頭痛、食欲不振、脱力感、胃痛、悪心、嘔吐を、少数例が不眠、嗜眠、胸痛を訴えたが、臨床検査結果では全員とも数値は正常範囲内であった (ACGIH (7th, 2010))。5年後の追跡調査 (気中本物質濃度: 遠心分離機付近で100~105 ppm、その他は50 ppm) でも、残留していた14人中数人が中枢神経症状及び消化器症状が持続していると回答したと記述されている (ACGIH (7th, 2010))。
実験動物ではラットに13週間強制経口投与した試験で、区分2を超える用量 (250 mg/kg/day) で肝臓、腎臓重量の軽度増加がみられたのみで、NOAELは250 mg/kg/dayとされている (SIDS (2011))。また、ラット及びマウスに14週間吸入ばく露 (蒸気と推定) した試験では、区分2を超える用量 (250 ppm (1.02 mg/L/6 hr/day)) で、血清コレステロール及び尿糖の増加 (ラット)、肝臓重量の増加 (マウス) がみられたが、1,000 ppm まで標的臓器を特定可能な明瞭な毒性所見はなく、NOAELは1,000 ppmと報告されている (SIDS (2011)、ACGIH (7th, 2010))。その他、本物質の神経毒性を調べた複数の試験では、殆どが神経毒性を検出できなかったが、ラットを用いた2世代生殖毒性試験では、F0及びF1動物で1,000 ppm以上で驚愕反応の低下が示され、中枢神経抑制を示唆する所見と考えられている (SIDS (2011))。
以上、実験動物の既知見からは標的臓器を特定するのは困難であるが、ヒトの疫学研究結果より、本項は区分1 (中枢神経系) とするのが妥当と考えられた。
平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
10 誤えん有害性 分類できない
-
-
- - 本物質は低粘性のため、飲み込んだ場合に肺にも吸引されて化学性肺炎を生じるおそれがある (EHC 117 (1990)) との記述、液体を飲み込むと肺に吸い込んで化学性肺炎を起こすことがある (環境省リスク評価第6巻 (2008)) との記述があるが、直接的な本物質ばく露による症例報告に基づく知見ではない。ただし、本物質は3以上13を越えない炭素原子で構成されたケトンに属し、動粘性率計算値が 0.691mm2/sec (粘性率: 0.55 mPa・s (25℃) (CRC Handbook of Chemistry and Physics (85th, 2004))、密度 (比重) : 0.796 g/cm3 (25℃) (Thermophysical Properties of Chemicals and Hydrocarbons (2008)) である。以上、国連分類では区分2に該当するが、現行ガイダンスに従い、分類できないとした。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
11 水生環境有害性 短期(急性) 区分に該当しない
-
-
- - 甲殻類(ブラインシュリンプ)24時間LC50 = 1250 mg/L(SIDS, 2011)、魚類(ファットヘッドミノー)96時間LC50 = 505 mg/L(ECETOC TR91, 2003)であることから、区分外とした。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
11 水生環境有害性 長期(慢性) 区分に該当しない
-
-
- - 慢性毒性データを用いた場合、急速分解性があり(14日間でのBOD分解度=84%、TOC分解度=97.1%、GC分解度=100%(通産省公報, 1975))、甲殻類(ミジンコ類)の21日間NOEC (繁殖) = 7.8~39 mg/L(SIDS, 2011)、魚類(ファットヘッドミノー)の31日間NOEC (成長) = 57 mg/L(環境省リスク評価第6巻, 2008)であることから、区分外となる。
慢性毒性データが得られていない栄養段階に対しては急性毒性データも得られていない。
以上の結果から、区分外とした。
平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
12 オゾン層への有害性 分類できない
-
-
- - データなし 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)


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