NITE統合版 政府によるGHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 108-45-2
名称 m-フェニレンジアミン
物質ID m-nite-108-45-2_v1
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関連情報
項目 情報
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物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
1 爆発物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に爆発性に関連する原子団を含んでいないため、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。 令和元年度(2019年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用
2 可燃性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
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- - GHSの定義における固体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。 令和元年度(2019年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用
3 エアゾール 区分に該当しない(分類対象外)
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- - エアゾール製品ではないため、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。 令和元年度(2019年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用
4 酸化性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
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- - GHSの定義における固体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。 令和元年度(2019年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用
5 高圧ガス 区分に該当しない(分類対象外)
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- - GHSの定義における固体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。 令和元年度(2019年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用
6 引火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
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- - GHSの定義における固体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。 令和元年度(2019年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用
7 可燃性固体 分類できない
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- - データがなく分類できない。 令和元年度(2019年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用
8 自己反応性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
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- - 分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいないため、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。 令和元年度(2019年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用
9 自然発火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
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- - GHSの定義における固体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。 令和元年度(2019年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用
10 自然発火性固体 区分に該当しない
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- - 発火点が560℃ (ICSC (1999)) との情報より、常温で発火しないと考えられるため、ガイダンスにおける区分に該当しないに相当し、区分に該当しない。 令和元年度(2019年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用
11 自己発熱性化学品 分類できない
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- - 融点が140℃以下の固体状の物質に適した試験方法が確立していないため、分類できない。 令和元年度(2019年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用
12 水反応可燃性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
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- - 金属及び半金属 (B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At) を含んでいないため、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。 令和元年度(2019年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用
13 酸化性液体 区分に該当しない(分類対象外)
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- - GHSの定義における固体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。 令和元年度(2019年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用
14 酸化性固体 区分に該当しない(分類対象外)
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- - 酸素、塩素及びフッ素を含まない有機化合物であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。 令和元年度(2019年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用
15 有機過酸化物 区分に該当しない(分類対象外)
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- - 分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。 令和元年度(2019年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用
16 金属腐食性化学品 分類できない
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- - 固体状の物質に適した試験方法が確立していないため、分類できない。 令和元年度(2019年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用
17 鈍性化爆発物 区分に該当しない
-
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- - 爆発性に関連する原子団を含まないため、区分に該当しない。 令和元年度(2019年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
1 急性毒性(経口) 区分3


危険
H301 P301+P310
P264
P270
P321
P330
P405
P501
【分類根拠】
(1)~(3) より、安全側の値を優先して区分3とした。

【根拠データ】
(1) ラットのLD50:204~650 mg/kg (NITE初期リスク評価書 (2008))
(2) ラットのLD50:280 mg/kg (環境省リスク評価第13巻 (2015))
(3) ラットのLD50:650 mg/kg (IARC 16 (1978)、ACGIH (7th, 2001)、DFGOT vol.6 (1994))
令和元年度(2019年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用
1 急性毒性(経皮) 区分4


警告
H312 P302+P352
P362+P364
P280
P312
P321
P501
【分類根拠】
(1) より、区分4とした。

【根拠データ】
(1) ラットのLD50:1,100 mg/kg (NITE初期リスク評価書 (2008))
令和元年度(2019年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用
1 急性毒性(吸入:ガス) 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 【分類根拠】
GHSの定義における固体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
令和元年度(2019年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
令和元年度(2019年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
令和元年度(2019年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用
2 皮膚腐食性/刺激性 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1) より、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) EEC Directive 93/21, Annex VIに準拠しウサギに本物質を4時間適用した皮膚刺激性試験で試験物質を除去1時間後から24時間後の全例にわずかな~軽度の紅斑、48時間には2/6例にわずかな紅斑が認められ、浮腫は24時間後の4例にわずかな浮腫が認められたのみであり、1/24/48時間後の平均評点は1.39であった。 (REACH登録情報 (Access on June 2019))。

【参考データ等】
(2) 500 mgをウサギの耳介に24 時間閉塞適用した試験で刺激なし (NITE初期リスク評価書 (2008))。
令和元年度(2019年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2B
-
警告
H320 P305+P351+P338
P337+P313
P264
【分類根拠】
(1) より、区分2Bとした。

【根拠データ】
(1) OECD TG 405に準拠したウサギ眼刺激性試験で重度の結膜発赤、中等度の角膜混濁、中等度の虹彩炎、出血、結膜浮腫、及び角膜の損傷を生じた。 さらに、非洗浄ウサギの眼に重度の浮腫が観察されたが、いずれも7日までに回復。非洗浄群の24/48/72hの角膜混濁、虹彩、結膜発赤、結膜浮腫の平均スコアは0.67,0,2.7,2.0であった (REACH登録情報 (Access on June 2019))。

【参考データ等】
(2) ウサギに20%水溶液を0.1 mL (20 mg 相当) 点眼した試験で結膜の発赤と角膜の混濁が認められ、7 日以内に回復との報告や50 mg を適用した試験では角膜の混濁を示し、7 日以内には回復しなかったとの報告がある (NITE初期リスク評価書 (2008))。
(3) EU-CLP分類でEye Irrit. 2 (H319) に分類されている (EU CLP分類 (Access on May 2019))。
令和元年度(2019年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
(1 )の報告はあるが、呼吸器感作性を確定できないため、分類できないとした。

【参考データ等】
(1) 米国での本物質漏出事故で、繰り返し本物質にばく露された作業者で、吸入ばく露により皮膚症状に加えて、湿咳、疲労、息切れを呈し、肺活量低下、胸部X線所見、開胸による生検で肺線維症を認め、強皮症と診断された。同部門の他の作業者にも同様の症例がみられたことから、本物質が原因物質と考えられた (環境省リスク評価第13巻 (2015))。

令和元年度(2019年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用
4 皮膚感作性 区分1A


警告
H317 P302+P352
P333+P313
P362+P364
P261
P272
P280
P321
P501
【分類根拠】
(1) より、新たに細区分可能なデータが得られたため、区分1Aとした。

【根拠データ】
(1) OECD TG 429に準拠したマウス局所リンパ節試験 (LLNA) において陽性を示し、EC3は0.49と推定されている (REACH登録情報 (Access on June 2019)、The MAK-Collection Part I, MAK Value Documentations 2015)。

【参考データ等】
(2) 産衛学会 感作性分類 皮膚3群に分類されている (産衛学会感作性分類基準 (暫定) の提案理由書 (2010))。
(3) ヒトでは米国における本物質の流出事故で、1か月に3回ばく露された作業者が約2年後に手のレイノー現象、腫脹を発症し、その3ヵ月後に本物質に吸入ばく露される事故に遭遇し、指や手に腫れ、皮膚の肥厚、色素過剰沈着などの皮膚症状と呼吸器症状を発症した。同部門の他の作業者にも同様の症例がみられたことから、本物質が原因物質と考えられた(環境省リスク評価第13巻 (2015))。
(4) ヒトに関する本物質の感作性に関する報告は不十分である (The MAK-Collection Part I, MAK Value Documentations 2015)。
(5) モルモットの皮膚感作性において陰性の結果が得られている (The MAK-Collection Part I, MAK Value Documentations 2015)。
令和元年度(2019年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用
5 生殖細胞変異原性 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)、(2) より、専門家の判断による証拠の重み付けに基づき、ガイダンスにおける分類できないに相当し、区分に該当しないとした。旧分類ではIUCLIDのデータを根拠に区分2としていたが、参照不能となり、根拠データが変更されたため区分が変更となった。

【根拠データ】
(1) in vivoでは腹腔内投与によるラットの優性致死試験及び雄マウスの生殖細胞による不定期DNA合成試験、また、ラット及びマウスの骨髄小核試験で陰性の報告がある (IARC 16 (1978)、BUA 97 (1992)、DFGOT vol.6 (1994)、DFGOT vol.21 (2005)、Cosmetic Ingredient Review Report (2012)、産衛学会許容濃度の提案理由書 (1999)、ACGIH (7th, 2001)、NITE初期リスク評価書 (2008)、環境省リスク評価第13巻 (2015))。
(2) in vitroでは細菌の復帰突然変異試験、マウスリンフォーマTK試験、哺乳類培養細胞の染色体異常試験で陽性の報告がある (IARC 16 (1978)、DFGOT vol.6 (1994)、DFGOT vol.21 (2005)、産衛学会許容濃度の提案理由書 (1999)、ACGIH (7th, 2001)、NITE初期リスク評価書 (2008)、環境省リスク評価第13巻 (2015))。

令和元年度(2019年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用
6 発がん性 分類できない
-
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- - 【分類根拠】
(1) の既存分類結果から、ガイダンスに従い分類できないとした。

【根拠データ】
(1) 国内外の分類機関による既存分類では、IARCで3 (IARC Suppl.7 (1987))、ACGIHでA4 (ACGIH (7th, 2001)) に分類されている。

【参考データ等】
(2) マウスに本物質を78週間飲水投与した発がん性試験で、雌雄とも腫瘍発生率の増加は認められなかった (NITE初期リスク評価書 (2008)、環境省リスク評価第13巻 (2015))。
(3) マウスに本物質のアセトン溶液を2年間経皮適用した試験で、雌雄ともに腫瘍発生率の増加は認められなかった (NITE初期リスク評価書 (2008)、環境省リスク評価第13巻 (2015)、ACGIH (7th, 2001))。
(4) ラット及びマウスに本物質の二塩酸塩 (CAS番号 541-69-5) を104週間飲水投与した発がん性試験において、雌雄とも発がん性は示されなかった (厚生労働省委託がん原性試験結果 (Access on June 2019))。
令和元年度(2019年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用
7 生殖毒性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
本物質の生殖発生毒性の評価・分類に資する十分な情報はなく、分類できない。なお、分類根拠データを見直し区分を変更した。

【参考データ等】
(1) 雌ラットの妊娠6~15日に強制経口投与した発生毒性試験において、母動物の体重増加抑制あるいは死亡 (6/25例) がみられた用量で、吸収胚の増加、生存胎児数の減少、胎児の低体重、胸骨の骨化遅延が認められた (環境省リスク評価第13巻 (2015)、ACGIH (7th, 2001)、DFGOT vol.6 (1994))。このデータは母動物毒性 (6/25例死亡、死亡率24%) がみられる用量でのみ胚/胎児に影響がみられていることから分類根拠としない。
(2) 雌ラットの妊娠6~15日に強制経口投与した発生毒性試験において、母動物の体重増加抑制が認められたが、胎児の発生に影響はみられていない (環境省リスク評価第13巻 (2015)、NITE初期リスク評価書 (2008)、ACGIH (7th, 2001)、DFGOT vol.6 (1994))。このデータは母動物数が7~9匹/群と少ないことから影響を判断できない。
令和元年度(2019年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(中枢神経系、血液系)


危険
H370 P308+P311
P260
P264
P270
P321
P405
P501
【分類根拠】
本物質のヒトでの単回ばく露に関する報告はない。実験動物において、(1) 及び (2) のように区分1相当の用量で中枢神経系と血液系への影響がみられていることから、 区分1 (中枢神経系、血液系) とした。

【根拠データ】
(1) ネコの単回経口投与試験において、10及び25 mg/kg (区分1相当) で、チアノーゼ、食欲不振、呼吸障害、鎮静、痙攣、メトヘモグロビンの生成がみられた (NITE初期リスク評価書 (2008)、BUA 97 (1992))。
(2) ラットの単回経口投与試験において、200 mg/kg (区分1相当) で、痙攣と消化管の炎症がみられた (NITE初期リスク評価書 (2008)、BUA 97 (1992))。

令和元年度(2019年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(膀胱)、区分2(心臓、腎臓、筋肉、血液系)


危険
警告
H372
H373
P260
P264
P270
P314
P501
【分類根拠】
(1) より、ヒトへのばく露により膀胱への影響がみられ、(2)~(4) より、ラット、マウスへの本物質の二塩酸塩 (CAS番号 541-69-5) の経口投与により区分2の範囲で腎臓、心臓、筋肉、血液系への影響がみられていることから、区分1 (膀胱)、区分2 (心臓、腎臓、筋肉、血液系) とした。なお、新たな情報源の情報を加えて検討した結果、旧分類から分類結果を変更した。


【根拠データ】
(1) ロシアのフェニレンジアミン製造工場で30~50歳代の労働者112人が、本物質1~2 mg/m3に5~10年間ばく露され、うち15人が排尿障害を訴えた。本物質を用いたスクラッチテストで、112人中9人がアレルギー陽性反応を示し、陽性反応を示した人の膀胱内視鏡検査で膀胱三角部及び頚部に粘膜の水腫、ポリープ性腫脹が観察され、9人とも好酸球尿症と診断された。また、本物質が尿中に0.003~0.40 mg/L検出された (DFGOT vol.6 (1994)、ACGIH (7th, 2001)、NITE初期リスク評価書 (2008)、環境省リスク評価第13巻 (2015))。
(2) ラットに本物質の二塩酸塩 62.5~1,000 ppmを13週間飲水投与した結果、250 ppm (本物質換算: 14 mg/kg/day、区分2の範囲) 以上の雌で腎臓重量増加、腎臓における色素沈着が、500 ppm (本物質換算: 雄: 18 mg/kg/day、雌: 19 mg/kg/day、区分2の範囲) 以上の雌雄で腎乳頭部の軽度の変性等、1,000 ppm (本物質換算: 雄: 32 mg/kg/day、雌: 34 mg/kg/day、区分2の範囲) の雌雄で血小板数の減少等がみられた (厚生労働省委託がん原性試験結果 (Access on June 2019))。
(3) マウスに本物質の二塩酸塩 24.4~2,000 ppmを13週間飲水投与した結果、222 ppm (本物質換算: 雄: 17 mg/kg/day、雌: 31 mg/kg/day、区分2の範囲) でAST、ALP、総コレステロールの増加、肝臓におけるクッパー細胞及び脾臓の色素顆粒、667 ppm (本物質換算: 雄: 29 mg/kg/day、雌: 40 mg/kg/day、区分2の範囲) 以上で赤血球数、ヘモグロビン、ヘマトクリット値の減少等が、2,000 ppm (本物質換算: 雄: 65 mg/kg/day、雌: 79 mg/kg/day、区分2の範囲) で死亡がみられ、死亡又は瀕死例で心臓の拡張、筋肉の壊死等がみられた (同上)。
(4) ラットに本物質を90日間経口投与した結果、18 mg/kg/day (区分2の範囲) で肝臓重量増加、肝細胞の核濃縮、腎臓重量増加がみられた (IRIS (1987)、DFGOT vol.6 (1994)、ACGIH (7th, 2001)、NITE初期リスク評価書 (2008)、環境省リスク評価第13巻 (2015))。

【参考データ等】
(5) 本物質を主成分とするアミン類にばく露された化学工場労働者男性2人が全身性硬化症を患ったという報告がある (NITE初期リスク評価書 (2008)、環境省リスク評価第13巻 (2015))。
(6) マウスに本物質0.02、0.04% (区分2の範囲) を78週間飲水投与した結果、臓器重量増加、色素沈着等がみられたが、組織への毒性学的な影響はみられなかった (同上)。
令和元年度(2019年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用
10 誤えん有害性 分類できない
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- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
令和元年度(2019年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
11 水生環境有害性 短期(急性) 区分2
-
-
H401 P273
P501
甲殻類(オオミジンコ)48時間EC50 = 2 mg/L(環境省生態影響試験, 2001、環境省リスク評価第13巻, 2015)であることから、区分2とした。 令和元年度(2019年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用
11 水生環境有害性 長期(慢性) 区分1


警告
H410 P273
P391
P501
慢性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく(難分解性、BODによる分解度:2%(既存点検, 2002)、甲殻類(オオミジンコ)の21日間NOEC = 0.05 mg/L(環境省リスク評価第13巻, 2015)であることから、区分1となる。
慢性毒性データが得られていない栄養段階に対して急性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく(難分解性、BODによる分解度:2%(既存点検, 2002)、魚類(メダカ)の96時間LC50 > 100 mg/L(環境省生態影響試験, 2001、環境省リスク評価第13巻, 2015)であることから、区分に該当しないとなる。
以上の結果を比較し、区分1とした。
令和元年度(2019年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用
12 オゾン層への有害性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。 令和元年度(2019年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。

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