項目 | 情報 |
---|---|
CAS登録番号 | 109-99-9 |
名称 | テトラヒドロフラン |
物質ID | m-nite-109-99-9_v1 |
Excelファイルのダウンロード | Excel file |
項目 | 情報 |
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危険有害性項目 | 分類結果 | 絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | 分類実施年度 | 分類ガイダンス等 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 爆発物 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 爆発性に関連する原子団を含んでいない。 | 平成26年度(2014年度) | ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
2 | 可燃性ガス | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 | 平成26年度(2014年度) | ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
3 | エアゾール | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | エアゾール製品でない。 | 平成26年度(2014年度) | ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
4 | 酸化性ガス | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 | 平成26年度(2014年度) | ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
5 | 高圧ガス | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 | 平成26年度(2014年度) | ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
6 | 引火性液体 | 区分2 |
危険 |
H225 | P303+P361+P353 P370+P378 P403+P235 P210 P233 P240 P241 P242 P243 P280 P501 |
引火点-14.5℃ (Closed cup)、沸点66℃ (ICSC (1997)) に基づいて区分2とした。 なお、国連分類はUN2056、クラス3、PGⅡである。 |
平成26年度(2014年度) | ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
7 | 可燃性固体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 | 平成26年度(2014年度) | ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
8 | 自己反応性化学品 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 爆発性及び自己反応性に関する原子団を含まない。 | 平成26年度(2014年度) | ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
9 | 自然発火性液体 | 区分に該当しない |
- |
- | - | 発火点が321℃ (ICSC (1997)) であり、常温で発火しないと考えられる。 | 平成26年度(2014年度) | ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
10 | 自然発火性固体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 | 平成26年度(2014年度) | ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない |
- |
- | - | 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。 | 平成26年度(2014年度) | ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
12 | 水反応可燃性化学品 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 金属及び半金属 (B,Si,P,Ge,As,Se,Sn,Sb,Te,Bi,Po,At) を含んでいない。 | 平成26年度(2014年度) | ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
13 | 酸化性液体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。 | 平成26年度(2014年度) | ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
14 | 酸化性固体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 | 平成26年度(2014年度) | ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
15 | 有機過酸化物 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物である。 | 平成26年度(2014年度) | ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
16 | 金属腐食性化学品 | 分類できない |
- |
- | - | データがなく分類できない。 | 平成26年度(2014年度) | ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
17 | 鈍性化爆発物 | - |
- |
- | - | - | - | - |
危険有害性項目 | 分類結果 | 絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | 分類実施年度 | 分類ガイダンス等 | |
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1 | 急性毒性(経口) | 区分4 |
警告 |
H302 | P301+P312 P264 P270 P330 P501 |
ラットのLD50値として、1,650 mg/kg (環境省リスク評価第5巻:暫定的有害性評価シート (2006))、1,900 mg/kg (NTP TR475 (1998))、2,000 mg/kg (14日齢)、3,200 mg/kg (若成体)、2,800 mg/kg (老成体) (IRIS TR (2012)、ACGIH (7th, 2005)) との5件のデータの報告がある。分類ガイダンスに従い、最多数 (3件) のデータが該当する区分4とした。 | 平成26年度(2014年度) | ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
1 | 急性毒性(経皮) | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。 | 平成26年度(2014年度) | ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 | 平成26年度(2014年度) | ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 区分4 |
警告 |
H332 | P304+P340 P261 P271 P312 |
ラットのLC50値 (3時間) として、21,000 ppm (4時間換算値:18,187 ppm) との報告 (環境省リスク評価第5巻:暫定的有害性評価シート (2006)、ACGIH (7th, 2005)、NTP TR475 (1998)) に基づき、区分4とした。なお、LC50値が飽和蒸気圧濃度 (213,158 ppm) の90%より低いため、ミストを含まないものとしてppmを単位とする基準値を適用した。優先度の低い情報源に代えて、優先度の高い新たな情報源 (環境省リスク評価第5巻:暫定的有害性評価シート (2006)、ACGIH (7th, 2005)、NTP TR475 (1998)) を追加し、区分を見直した。 | 平成26年度(2014年度) | ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない | 平成26年度(2014年度) | ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分2 |
警告 |
H315 | P302+P352 P332+P313 P362+P364 P264 P280 P321 |
【分類根拠】 (1)~(4)より、区分2とした。なお、ウサギやラットを用いた試験で刺激性を示さなかったとの報告(7)、(8)もあるが、ヒト知見を優先した。新たな情報源の利用により区分を変更した。 【根拠データ】 (1)本物質は皮膚、眼及び粘膜への刺激性を有するとの報告がある(ACGIH(2005)、NICNAS IMAP(Accessed Dec. 2018)、DFGOT(2004))。 (2)本物質が眼や皮膚に付くと発赤、痛み、皮膚の乾燥を生じるとの報告がある(環境省リスク評価第7巻(2009))。 (3)本物質をヒト6人に閉塞及び開放適用したところ、刺激性が観察されたとの報告がある(NICNAS IMAP(Accessed Dec. 2018)) (4)ウサギ、モルモット、ラット、マウスを用いた皮膚刺激性試験で刺激性を有するとの複数の報告がある(SIAR(2000)、環境省リスク評価第7巻(2009)、NICNAS IMAP(Accessed Dec. 2018))。 【参考データ等】 (5)本物質は、平成8年労働省告示第33号(平成25年厚生労働省告示第316号により改正)において、労働基準法施行規則別表第一の二第四号1の厚生労働大臣が指定する単体たる化学物質及び化合物(合金を含む。)に「テトラヒドロフラン」として指定されており、本物質にさらされる業務による、特定の症状又は障害を主たる症状又は障害とする疾病(頭痛、めまい、嘔吐等の自覚症状又は皮膚障害)が、業務上の疾病として定められている。 (6)本物質は、平成15年厚生労働省労働基準局長通知基発第0811001号において、労働安全衛生規則第594条に規定する皮膚障害防止用保護具の備付けが必要な皮膚に障害を与える物のうち「テトラヒドロフラン」として指定されている。 (7)ウサギを用いた皮膚刺激性試験(n=6)で本物質を72時間閉塞適用したところ、72時間後でPII:1.93、紅斑スコア:0.75、浮腫スコア:0.9であり、刺激性を示さなかったとの報告がある(ACGIH(2005)、REACH登録情報(Accessed Dec. 2018))。 (8)ラットを用いた急性経皮毒性試験(OECD TG402、n=5(雄)、5(雌))で本物質(純度>99.8%)を24時間半閉塞適用したところ、紅斑及び浮腫共に見られなかったとの報告がある(REACH登録情報(Accessed Dec. 2018))。 |
平成30年度(2018年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2A |
警告 |
H319 | P305+P351+P338 P337+P313 P264 P280 |
ウサギに本物質0.1 mLを適用した眼刺激性試験で中等度の刺激性ありとの報告がある (ACGIH (7th, 2005))。また、ヒトへの影響に関して、本物質の蒸気が眼を刺激するとの記載 (環境省リスク評価第5巻:暫定的有害性評価シート (2006)) や、本物質の液体は眼に対して重度の刺激性を有する (HSDB (Access on July 2014)) との記載がある。以上、「中等度の刺激性」及び「重度の刺激性」の記載から、区分2Aとした。 | 平成26年度(2014年度) | ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。 | 平成26年度(2014年度) | ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
4 | 皮膚感作性 | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。なお、ヒトにおいて感作性陰性の報告がある (IUCLID (2000)) が、試験法等の詳細が不明であるため、分類に用いるには不十分なデータと判断した。 | 平成26年度(2014年度) | ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
5 | 生殖細胞変異原性 | 分類できない |
- |
- | - | ガイダンスの改訂により「区分外」が選択できなくなったため、「分類できない」とした。すなわち、in vivoでは、マウスの骨髄赤血球及び末梢血赤血球の小核試験で陰性、マウス骨髄細胞の染色体異常試験で陰性、ラット肝臓の不定期DNA合成試験で陰性である (ACGIH (7th, 2005)、NTP DB (Access on September 2014)、IUCLID (2000))。In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞の染色体異常試験、小核試験、姉妹染色分体交換試験で陰性である (ACGIH (7th, 2005)、NTP DB (Access on September 2014)、IUCLID (2000))。 | 平成26年度(2014年度) | ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
6 | 発がん性 | 区分2 |
警告 |
H351 | P308+P313 P201 P202 P280 P405 P501 |
ACGIHでA3 (ACGIH (7th, 2005)、HSDB (Access on August 2014))、EPAで “suggestive evidence of carcinogenic potential” (IRIS TR (2012))と分類されている。以上より、区分2とした。 | 平成26年度(2014年度) | ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
7 | 生殖毒性 | 区分2 |
警告 |
H361 | P308+P313 P201 P202 P280 P405 P501 |
ラットを用いた経口経路 (飲水) での2世代生殖毒性試験 (OECD TG416) において、親動物毒性 (体重増加抑制、腎臓の相対重量増加) がみられる用量 (9,000 ppm) で、生殖機能に影響はみられていないが哺育期間中の児の体重増加抑制、眼瞼開裂の遅延がみられた。しかし、催奇形性はみられていないとの報告がある (IRIS TR (2012)、環境省リスク評価第5巻:暫定的有害性評価シート (2006)、IUCLID (2000))。この試験でみられた児動物に対する影響はわずかな影響であったため分類には用いなかった。 ラットを用いた吸入経路での催奇形性試験において、母動物に体重増加抑制がみられる用量 (5,000 ppm) で胎児に僅かな影響 (胎児体重減少、骨化遅延)がみられたとの報告がある (IRIS TR (2012)、環境省リスク評価第5巻:暫定的有害性評価シート (2006))。この試験でみられた胎児に対する影響はわずかな影響であったため分類には用いなかった。 マウスを用いた吸入経路での催奇形性試験において、母動物に重篤な母動物毒性 (25%以上死亡) がみられる用量 (5,000 ppm) で95%の胚吸収を示している。この所見は重篤な母動物毒性がみられていることから分類には用いなかった。しかし、母動物に体重増加抑制、麻酔作用がみられる用量 (1,800 ppm) において胎児に影響 (胎児の生存率低下、胸骨分節の骨化遅延)がみられたとの報告がある (IRIS TR (2012)、環境省リスク評価第5巻:暫定的有害性評価シート (2006))。 以上のように生殖能に対する影響、催奇形性はみられていないが、マウスの催奇形性試験において母動物毒性がみられる用量で胎児の生存率低下がみられていることから、区分2とした。 |
平成26年度(2014年度) | ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分1 (中枢神経系)、区分3 (気道刺激性、麻酔作用) |
危険 警告 |
H370 H335 H336 |
P308+P311 P260 P264 P270 P321 P405 P501 P304+P340 P403+P233 P261 P271 P312 |
本物質は気道刺激性がある (環境省リスク評価第5巻:暫定的有害性評価シート (2006)、ACGIH (7th, 2005)、HSDB (Access on August 2014))。ヒトにおいては、蒸気吸入ばく露は高濃度で中枢神経系に影響を与えて嗜眠を起こす場合がある。また経口摂取や吸入ばく露で咳、咽頭痛、眩暈、頭痛、吐き気、意識喪失が生じる (環境省リスク評価第5巻:暫定的有害性評価シート (2006))。また、血中肝酵素の上昇、吐き気、めまい、聴力低下、血管浮腫、後頭部の頭痛、脳痙攣の報告がある (ACGIH (7th, 2005))。 実験動物では、ラットの経口投与で呼吸困難、運動失調、チアノーゼ、昏睡、マウス又はラットの吸入ばく露で麻酔作用、過呼吸、低血圧、流涎、嗜眠、異常歩行、正向反射消失、自発運動低下、鼻腔出血、筋攣縮、中枢神経系への影響、電気誘発発作の伝播・維持の阻害が報告されている (産業衛生学会許容濃度の提案理由書 (1978)、ACGIH (7th, 2005)、HSDB (Access on August 2014))。 以上より、ヒトに中枢神経系、気道刺激性、麻酔作用があると考えられ、区分1 (中枢神経系)、区分3 (気道刺激性、麻酔作用) とした。なお、旧分類では麻酔作用を不採用としているが、ACGIH、産業衛生学会許容濃度の提案理由書において、マウス、ラットで麻酔作用がみられていることから、今回採用した。 |
平成26年度(2014年度) | ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分1 (中枢神経系、呼吸器、肝臓) |
危険 |
H372 | P260 P264 P270 P314 P501 |
ヒトでの反復ばく露による知見については、職業ばく露による報告が多く報告されており、中枢神経症状 (頭痛、めまい、吐き気)、呼吸器症状 (咳、胸痛、呼吸困難)、肝障害 (血清AST、ALT、γ-GTの上昇、肝生検による組織の脂肪変性、鉄沈着) の報告がある (IRIS TR (2012)、ACGIH (7th, 2005)) が、いずれも他の複数の溶剤との複合ばく露影響であり、濃度やばく露期間との関連性も明確ではない。NIOSH職業ばく露の作業環境調査で、本物質を含む複数の溶剤 (アセトン、トルエン、メチルエチルケトン) が検出された工場作業者へのヒアリングでは、眼、呼吸器の刺激、頭痛、意識障害、嗜眠などの主訴が多かった (IRIS TR (2012)) との報告がある。また、塩ビパイプ製造工場で本物質に最大 1,000 ppm (2,950 mg/m3) の濃度でばく露された作業者の間に下半身の疲労を訴えた者が多く、臨床検査で全血の比重低下、白血球数減少、血清ALTの上昇、触知可能な肝腫大及び低血圧がみられた (IRIS TR (2012)) との記述がある。なお、本物質にばく露された作業者1名が血尿を呈し、生検により、IgA増殖性糸球体腎炎を発症した (IRIS TR (2012)、ACGIH (7th, 2005)) との報告もあるが、1件1例のみの報告である。 実験動物では、ラットに本物質 (蒸気と推定) を12週間吸入ばく露 (4時間/日) した試験において、区分2相当濃度 (200 ppm (600 mg/m3) : ガイダンス値換算: 0.37 mg/L/6 時間) で、血清ASTの上昇がみられたとの記述、並びにラット及びマウスに13週間又は2年間吸入ばく露したNTP試験で、区分外の高濃度 (1.77-5.31 mg/L/6 時間) で肝臓への影響 (重量増加、肝細胞の壊死)、及び中枢神経症状 (ばく露中からばく露終了1時間以内の昏睡 (麻酔作用)、運動失調) がみられたとの記述より、実験動物での標的臓器も肝臓及び中枢神経系と考えられた。なお、実験動物でも一部の試験では極めて高濃度で「血液系」への影響がみられるが、血液影響はヒトの知見でも共通性が低く、例外的な所見と判断した。また、「腎臓」を標的臓器と疑うべき所見は動物試験からは得られず、ヒトでの腎炎症例は特異な症例と考えた。 以上、ヒトでの職業ばく露による知見は必ずしも本物質の単独ばく露の影響とは言えないが、実験動物での結果を併せ判断し、区分1 (中枢神経系、呼吸器、肝臓) に分類した。なお、旧分類からは上記の理由により、「腎臓」を削除し、ヒトの知見で共通性の高い「呼吸器」を今回加えた。 |
平成26年度(2014年度) | ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
10 | 誤えん有害性 | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。 | 平成26年度(2014年度) | ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
危険有害性項目 | 分類結果 | 絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | 分類実施年度 | 分類ガイダンス等 | |
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11 | 水生環境有害性 短期(急性) | 区分に該当しない |
- |
- | - | 魚類(ファットヘッドミノー)の96時間LC50 = 2160 mg/L (ECETOC TR91, 2003)であることから、区分外とした。 | 平成26年度(2014年度) | ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
11 | 水生環境有害性 長期(慢性) | 区分に該当しない |
- |
- | - | 慢性毒性データを用いた場合、急速分解性があり(BODによる分解度:100%(既存点検, 1975))、魚類(ファットヘッドミノー)の35-38日間NOEC = 216 mg/L (環境省リスク評価第7巻, 2009)であることから、区分外となる。 慢性毒性データが得られていない栄養段階に対して急性毒性データを用いた場合、甲殻類(オオミジンコ)の48時間EC50 = 5930 mg/L(環境省リスク評価第7巻, 2009)であり、難水溶性ではない(水溶解度=1000000 mg/L、PHYSPROP Database, 2009)ことから、区分外となる。 以上の結果から、区分外とした。 |
平成26年度(2014年度) | ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない |
- |
- | - | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 | 平成26年度(2014年度) | ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
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