NITE統合版 政府によるGHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 115-32-2
名称 2,2,2-トリクロロ-1,1-ビス(4-クロロフェニル)エタノール  (別名:ジコホル)
物質ID m-nite-115-32-2_v2
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関連情報
項目 情報
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物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
1 爆発物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に爆発性に関連する原子団を含んでいないため、区分に該当しない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
2 可燃性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
3 エアゾール 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - エアゾール製品でないため、区分に該当しない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
4 酸化性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
5 高圧ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
6 引火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
7 可燃性固体 分類できない
-
-
- - データがなく分類できない。なお、可燃性という情報 (ICSC (2003)) がある。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
8 自己反応性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいないため、区分に該当しない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
9 自然発火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
10 自然発火性固体 分類できない
-
-
- - データがなく分類できない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
11 自己発熱性化学品 分類できない
-
-
- - 融点が140℃以下の固体状の物質に適した試験方法が確立していないため、分類できない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
12 水反応可燃性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 金属及び半金属 (B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At) を含んでいないため、区分に該当しない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
13 酸化性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
14 酸化性固体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - フッ素を含まず、酸素及び塩素を含む有機化合物であるが、この酸素及び塩素が炭素及び水素以外の元素と結合していないため、区分に該当しない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
15 有機過酸化物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物であり、区分に該当しない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
16 金属腐食性化学品 分類できない
-
-
- - 固体状の物質に適した試験方法が確立していないため、分類できない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
17 鈍性化爆発物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 爆発性に関連する原子団を含まないため、区分に該当しない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
1 急性毒性(経口) 区分4


警告
H302 P301+P312
P264
P270
P330
P501
【分類根拠】
(1)~(6) より、区分4とした。

【根拠データ】
(1) ラットのLD50: 575 mg/kg (MOE初期評価第4巻:暫定的有害性評価シート (2005)、GESTIS (Access on May 2020))
(2) ラットのLD50: 578 mg/kg (JMPR (2011))
(3) ラットのLD50: 雌: 578 mg/kg、雄: 595 mg/kg (農薬工業会「農薬時報別冊「農薬技術情報」」第12号 (1992))
(4) ラットのLD50: 587 mg/kg (EPA Pesticides RED (1998))
(5) ラットのLD50: 雄: 595 mg/kg (HSDB (Access on May 2020))
(6) ラットのLD50: 684~809 mg/kg (HSDB (Access on May 2020))
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
1 急性毒性(経皮) 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)~(3) より、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) ウサギのLD50: 2,000~5,000 mg/kg (HSDB (Access on May 2020))
(2) ウサギのLD50: > 2,000~< 5,000 mg/kg (農薬工業会「農薬時報別冊「農薬技術情報」」第12号 (1992))
(3) ラットのLD50: > 5,000 mg/kg (JMPR (2011)、農薬工業会「農薬時報別冊「農薬技術情報」」第12号 (1992))
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
1 急性毒性(吸入:ガス) 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1) より、区分に該当しないとした。
なお、ばく露濃度が飽和蒸気圧濃度 (8.0E-006 mg/L) よりも高いため、粉じんとしてmg/Lを単位とする基準値を適用した。

【根拠データ】
(1) ラットのLC50 (4時間): > 5 mg/L (GESTIS (Access on May 2020))
(2) 本物質の蒸気圧: 3.98E-007 mmHg (25℃) (HSDB (Access on May 2020)) (飽和蒸気圧濃度換算値: 8.0E-006 mg/L)
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2


警告
H315 P302+P352
P332+P313
P362+P364
P264
P280
P321
【分類根拠】
(1)~(3) より、区分2とした。旧分類の根拠データが確認できないため、新たに得られた (1)~(3) のデータを基に分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) ウサギを用いた皮膚刺激性試験で、パッチ除去1時間後に極めて軽度~明瞭な紅斑が2/6例に認められた。明瞭~中程度ないし重度の紅斑が24、48及び72時間後に認められ、7日後には回復した。浮腫は、極めて軽度~重度の浮腫がパッチ除去1時間後に全例に認められ、72時間後まで持続したが、7日後には回復していた。皮膚一次刺激指数(PII)は4.8で、軽度~中程度の刺激性物質と考えられた (JMPR Addendum (2011))。
(2) ウサギを用いたEPA OPP 81-5 に準拠したウサギを用いた皮膚刺激性試験において中等度の刺激性を示す (EPA Pesticides RED (1998))。
(3) ヒトにおいて短期間のばく露で眼や皮膚を刺激し、発赤を生じる。長期または反復して皮膚に接触すると皮膚炎を起こすことがある (MOE初期評価第4巻:暫定的有害性評価シート (2005))。

【参考データ等】
(4) 本物質の乳剤 (有効成分 51%) 及び水和剤 (有効成分 35%) のウサギを用いた皮膚刺激性試験において、中等度~強度の刺激性と判定されている (農薬工業会「農薬時報別冊「農薬技術情報」」第12号 (1992))。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2B
-
警告
H320 P305+P351+P338
P337+P313
P264
【分類根拠】
(1)~(3) より、区分2Bとした。旧分類では製剤 (水和剤) の結果を基に区分1としていたため、原体の結果を基に分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) ウサギを用いた眼刺激性試験 (点眼24時間後に洗眼) で、角膜、虹彩には無影響であったが、結膜刺激影響が 1及び24時間後に6/6例に、48時間後に5/6例で認められたが、72時間以内に消失し、本物質は軽度~中程度の眼刺激性物質と考えられた(JMPR Addendum (2011))。
(2) EPA OPP 81-4 に準拠したウサギを用いた眼刺激性試験において中等度の刺激性を示す (EPA Pesticides RED (1998))。
(3) ヒトにおいて短期間のばく露で眼や皮膚を刺激し、発赤を生じる (MOE初期評価第4巻:暫定的有害性評価シート (2005))。

【参考データ等】
(4) 本物質の乳剤 (有効成分 51%) のウサギを用いた眼刺激性試験において、角膜、結膜、虹彩に変化がみられたが、7日後までに消失した (農薬工業会「農薬時報別冊「農薬技術情報」」第12号 (1992))。
(5) 本物質の水和剤 (有効成分 35%) のウサギを用いた眼刺激性試験において、角膜、結膜、虹彩に変化がみられ、結膜及び虹彩の反応は14日後までに消失したが、角膜の変化は21日後まで持続した (農薬工業会「農薬時報別冊「農薬技術情報」」第12号 (1992))。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
4 皮膚感作性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)~(3) の記載はあるが、相反するデータが混在し、また、明確な結論が得られないため、分類できない。旧分類と相反するデータが得られたことから分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) モルモットを用いた皮膚感作性試験 (ビューラー法) において軽度から中等度の感作性を示すと報告されている (JMPR (2011))。
(2) モルモットを用いた改変ビューラー法による皮膚感作性試験 (感作: 4.2%溶液を6時間/回、3回/週、3.5週間、計10回貼付、最終感作の2週間後に11.7%溶液で惹起、1週間後に再惹起) では、一部の動物に紅斑が認められたが、対照群と明白な差が認められず、感作性に関し、明確な結論は得られていない (JMPR Addendum (2011))。
(3) EPA OPP 81-6 に準拠したモルモットを用いた皮膚感作性試験において感作性を示さない (EPA Pesticides RED (1998))。

【参考データ等】
(4) 本物質の乳剤 (有効成分 43.8%) 及び水和剤 (有効成分 36.2%) のモルモットを用いた皮膚感作性試験において、軽度の感作性と判定されている (農薬工業会「農薬時報別冊「農薬技術情報」」第12号 (1992))。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
5 生殖細胞変異原性 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)、(2) より、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) in vivoでは、ラット経口投与の骨髄細胞を用いた染色体異常試験で陰性の報告がある (EPA Pesticides RED (1998)、JMPR addendum (2011)、HSDB (Access on May 2020)、農薬工業会「農薬時報別冊「農薬技術情報」」第12号 (1992))。
(2) in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陰性の報告がある (EPA Pesticides RED (1998)、JMPR addendum (2011)、HSDB (Access on May 2020)、CEBS (Access on May 2020)、農薬工業会「農薬時報別冊「農薬技術情報」」第12号 (1992))。哺乳類培養細胞を用いた染色体異常試験で陰性、遺伝子突然変異試験で陰性 (EPA Pesticides RED (1998)、JMPR addendum (2011)、HSDB (Access on May 2020))、姉妹染色分体交換試験で陰性の報告がある (JMPR addendum (2011))。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
6 発がん性 区分2


警告
H351 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
【分類根拠】
(1)~(3) より、IARC (1987年) よりも後 (1998年) に分類されたEPAの既存分類結果に基づき、区分2とした。新たな情報源を用いて検討し分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) 国内外の分類機関による既存分類では、IARCでグループ3 (IARC Sup7 (1987))、EPAでグループC (possible human carcinogen) (EPA Pesticides RED (1998)) に分類されている。
(2) 雌雄のラット及びマウスに本物質を78週間混餌投与した発がん性試験において、雄のマウスで肝細胞がんの発生率及び肝細胞腺腫とがんの合計の発生率の有意な増加が認められた。雌のマウス及び雌雄のラットでは腫瘍発生率の増加は認められなかった (NTP TR90 (1978)、IARC 30 (1983)、EPA Pesticides RED (1998))。
(3) 雌雄のラットに本物質を2年間混餌投与した慢性毒性/発がん性併合試験では、投与に関連した腫瘍発生率の増加は認められなかった (JMPR (2011)、EPA Pesticides RED (1998))。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
7 生殖毒性 区分2


警告
H361 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
【分類根拠】
(1) より、親動物毒性用量で生殖能に対する影響がみられている。ガイダンスに従い区分2とした。なお、新たな情報源の使用により、旧分類から分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) ラットを用いた混餌投与による2世代生殖毒性試験において、親動物毒性 (体重増加抑制、摂餌量減少、副腎皮質の肥大及び/または空胞化の発生率増加、卵巣間質細胞肥大及び肝細胞の変性) がみられる用量で、児動物の生存率低下がみられている (MOE初期評価第4巻:暫定的有害性評価シート (2005)、JMPR (1992)、JMPR addendum (2011))。

【参考データ等】
(2) 雌ラットの妊娠6~15日に強制経口投与した発生毒性試験において、母動物毒性 (唾液分泌過多、体重増加の抑制、肝小葉中心性の肝細胞肥大等) がみられる用量においても胎児に影響はみられていない (MOE初期評価第4巻:暫定的有害性評価シート (2005)、農薬工業会「農薬時報別冊「農薬技術情報」」第12号 (1992)、JMPR (1992)、JMPR addendum (2011))。
(3) 雌ウサギの妊娠7~19日に強制経口投与した発生毒性試験において、母動物毒性 (体重減少、肝細胞の好酸性化、硝子化) がみられる用量において流産はみられたが、児動物に影響はみられていない (MOE初期評価第4巻:暫定的有害性評価シート (2005)、農薬工業会「農薬時報別冊「農薬技術情報」」第12号 (1992)、JMPR (1992)、JMPR addendum (2011))。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1 (中枢神経系)、区分3 (麻酔作用)



危険
警告
H370
H336
P308+P311
P260
P264
P270
P321
P405
P501
P304+P340
P403+P233
P261
P271
P312
【分類根拠】
(1)~(3) より、区分1 (中枢神経系)、区分3 (麻酔作用) とした。なお、新たな情報源の使用により、旧分類から分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) 急性症状として、眼や皮膚の発赤、錯乱、痙攣、咳、めまい、頭痛、吐き気、嘔吐、脱力感、見当識障害が現れ、経口摂取で腹痛、下痢もみられる (MOE初期評価第4巻:暫定的有害性評価シート (2005))。
(2) 本物質を経口摂取 (摂取量不明) した1人で吐き気、めまい、嘔吐がみられた。吸入ばく露 (濃度不明) した3人でめまい、脱力感がみられ、うち2人で嘔吐、うち1人で鼻閉も起きたとの報告がある (MOE初期評価第4巻:暫定的有害性評価シート (2005))。
(3) 本物質製剤原液 (470 g/L) がこぼれてできた水溜りに12歳の少年が誤って落下し経皮ばく露をした症例で、初期症状として吐き気、めまい、見当識障害、錯乱、嗜眠、頭痛が現れ、水平眼振、平衡感覚の低下も認められたが、これらの症状は3週間で回復した。ばく露から8ヵ月後に神経心理テストを受けた結果、聴覚反射、直接記憶、不適切な反応を抑える能力などの認知機能の障害がみられ、認知障害及び情緒障害は18ヵ月間に亘り続いた (MOE初期評価第4巻:暫定的有害性評価シート (2005))。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1 (肝臓、副腎)、区分2 (神経系)


危険
警告
H372
H373
P260
P264
P270
P314
P501
【分類根拠】
(1)~(5) より、区分1 (肝臓、副腎)、区分2 (神経系) とした。(1) のラットの試験では区分1の範囲で甲状腺への影響もみられているが、肝臓影響の二次性変化 (肝酵素誘導に関連した甲状腺系の生理的変化) と判断し、標的臓器としなかった。また、(3) のイヌの試験では区分2の範囲で中枢神経抑制、心臓、精巣への影響、精子減少症もみられているが、(5) のより長期の試験でこれらの影響はみられていないことから標的臓器としなかった。旧分類の分類根拠データは参照できず、List 1、2の情報源の情報を用いて検討を行った結果、旧分類から分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) ラットを用いた13週間混餌投与試験において、10 ppm以上 (雄/雌: 0.64/0.78 mg/kg/day、区分1の範囲) の雄で甲状腺濾胞上皮細胞の肥大が、100 ppm以上 (雄/雌: 6.49/7.84 mg/kg/day、区分1の範囲) の雌雄で肝臓の混合機能オキシダーゼ (MFO) 活性の上昇、肝細胞肥大が、500 ppm以上 (雄/雌: 32.01/36.11 mg/kg/day、区分2の範囲) の雌雄で肝臓重量増加、血中コルチコステロン濃度の低下、副腎皮質の空胞化、雌で甲状腺濾胞上皮細胞の肥大が、1,500 ppm (雄/雌: 95.84/105.91 mg/kg/day、雄は区分2の範囲、雌は区分2超) の雌雄で死亡 (雄5/10、雌8/10)、運動失調、嗜眠がみられた (EPA Pesticides RED (1998)、MOE初期評価第4巻:暫定的有害性評価シート (2005)、JMPR addendum(2011))。
(2) マウスを用いた13週間混餌投与試験において、125 ppm以上 (雄/雌: 18.2/29.3 mg/kg/day、区分2の範囲) の雌雄で肝臓のMFO活性の上昇、雌で肝臓重量増加が、250 ppm以上 (雄/雌: 38.2/56.2 mg/kg/day、区分2の範囲) の雌雄で肝細胞肥大、雌でGTP活性の上昇が、500 ppm以上 (雄/雌: 84.4/108.0 mg/kg/day、雄は区分2の範囲、雌は区分2超) の雌雄で副腎皮質細胞の肥大、肝細胞壊死及び空胞化、雌で腎臓の変性がみられた (同上)。
(3) イヌを用いた3ヵ月間の混餌投与試験において、100 ppm以上 (雄/雌: 3.3/3.4 mg/kg/day、区分1の範囲) の雄で副腎皮質刺激 (ACTH) 投与に応答したコルチゾール分泌低下、精子減少症が、300 ppm以上 (雄/雌: 9.9/9.8 mg/kg/day、区分1の範囲) の雌雄で呼吸困難、活動低下、脱水症、下痢、協調運動障害、流涎過多、QT間隔の延長、雄で肝重量の増加、雌でALT及びALP活性の増加が、1,000 ppm (雄/雌: 26/27 mg/kg/day、区分2の範囲) の雌雄で肝臓、精巣、心臓の病理組織学的変化、雌で肝重量の増加がみられた (EPA Pesticides RED (1998)、JMPR addendum(2011))。
(4) ラットに24ヵ月間混餌投与した結果、50 ppm以上 (雄/雌: 2.23/2.69 mg/kg/day、区分1の範囲) の雌雄で肝臓のMFO活性の上昇、肝小葉中心性肝細胞の肥大、空胞化及び好酸性化、副腎皮質束状帯及び網状帯のびまん性の空胞化、雄で肝重量増加が、250 ppm (雄/雌: 11.34/14.26 mg/kg/day、区分2の範囲) の雌雄で体重増加の抑制、雌で肝重量増加、限局性の肝細胞過形成や慢性膀胱炎がみられた (EPA Pesticides RED (1998)、MOE初期評価第4巻:暫定的有害性評価シート (2005)、JMPR addendum(2011))。
(5) イヌに52週間混餌投与した結果、180 ppm (雄/雌: 5.71/5.42 mg/kg/day、区分1の範囲) の雌雄で肝細胞肥大、副腎の毒性作用、ALP活性のわずかな上昇、アルブミン濃度の低下、ACTH刺激試験においてコルチゾール分泌低下がみられた (IARC (1983)、EPA Pesticides RED (1998)、MOE初期評価第4巻:暫定的有害性評価シート (2005)、JMPR addendum(2011))。

【参考データ等】
(6) ラット、ウサギを用いた28日間経皮毒性試験では、ガイダンス値換算で区分2に相当する適用量 (ラット: 12 mg/kg/day: ウサギ: 19 mg/kg/day) では、体重減少、肝臓における小葉中心性肝細胞肥大 (ラット) がみられたのみであった (EPA Pesticides RED (1998))。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
10 誤えん有害性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
11 水生環境有害性 短期(急性) 区分1


警告
H400 P273
P391
P501
甲殻類(オオミジンコ)48時間EC50 = 0.096 mg/L(MOE既存点検結果, 1998)であることから、区分1とした。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
11 水生環境有害性 長期(慢性) 区分1


警告
H410 P273
P391
P501
急速分解性がなく(BIOWIN)、魚類(ヒメダカ)のNOEC = 0.0084 mg/L(MOE既存点検結果, 2002)から、区分1とした。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
12 オゾン層への有害性 分類できない
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- - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)


分類結果の利用に関する注意事項:
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  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。

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