項目 | 情報 |
---|---|
CAS登録番号 | 118-96-7 |
名称 | 2,4,6-トリニトロトルエン |
物質ID | m-nite-118-96-7_v2 |
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項目 | 情報 |
---|---|
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危険有害性項目 | 分類結果 | 絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | 分類実施年度 | 分類ガイダンス等 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 爆発物 | 等級1.1 |
危険 |
H201 | P370+P372+P380+P373 P210 P230 P234 P240 P250 P280 P401 P501 |
分子内に爆発性に関連する原子団としてニトロ基を含み、UNRTDGにおいてUN 0209、クラス1.1Dに分類されていることから、等級1.1とした。 | 令和2年度(2020年度) | ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
2 | 可燃性ガス | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。 | 令和2年度(2020年度) | ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
3 | エアゾール | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | エアゾール製品でないため、区分に該当しない。 | 令和2年度(2020年度) | ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
4 | 酸化性ガス | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。 | 令和2年度(2020年度) | ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
5 | 高圧ガス | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。 | 令和2年度(2020年度) | ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
6 | 引火性液体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。 | 令和2年度(2020年度) | ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
7 | 可燃性固体 | 分類できない |
- |
- | - | 爆発物に分類されており所定の試験が実施できないため、データがなく分類できない。 | 令和2年度(2020年度) | ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
8 | 自己反応性化学品 | 区分に該当しない |
- |
- | - | 爆発物に分類されているため、区分に該当しない。 | 令和2年度(2020年度) | ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
9 | 自然発火性液体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。 | 令和2年度(2020年度) | ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
10 | 自然発火性固体 | 分類できない |
- |
- | - | 爆発物に分類されており所定の試験が実施できないため、データがなく分類できない。 | 令和2年度(2020年度) | ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない |
- |
- | - | 融点が140℃以下の固体状の物質に適した試験方法が確立していないため、分類できない。 | 令和2年度(2020年度) | ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
12 | 水反応可燃性化学品 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 金属及び半金属 (B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At) を含んでいないため、区分に該当しない。 | 令和2年度(2020年度) | ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
13 | 酸化性液体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。 | 令和2年度(2020年度) | ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
14 | 酸化性固体 | 分類できない |
- |
- | - | フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であり、この酸素が炭素及び水素以外の元素 (N) と結合しているが、データがなく分類できない。 | 令和2年度(2020年度) | ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
15 | 有機過酸化物 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物であり、区分に該当しない。 | 令和2年度(2020年度) | ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
16 | 金属腐食性化学品 | 分類できない |
- |
- | - | 固体状の物質に適した試験方法が確立していないため、分類できない。 | 令和2年度(2020年度) | ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
17 | 鈍性化爆発物 | 区分に該当しない |
- |
- | - | 爆発物に分類されているため、区分に該当しない。なお、30 wt%以上の水で希釈したものはUNRTDGにおいてUN 1356、クラス4.1、PG Iとされ、鈍性化爆発物 (区分は判定できない) に該当する。 | 令和2年度(2020年度) | ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
危険有害性項目 | 分類結果 | 絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | 分類実施年度 | 分類ガイダンス等 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 急性毒性(経口) | 区分4 |
警告 |
H302 | P301+P312 P264 P270 P330 P501 |
【分類根拠】 (1)~(6) より、区分4とした。 【根拠データ】 (1) ラットのLD50: 607 mg/kg (MOE初期評価第5巻:暫定的有害性評価シート (2006)、GESTIS (Access on April 2020)) (2) ラットのLD50: 雌: 794 mg/kg (ACGIH (7th, 2019)) (3) ラットのLD50: 雌: 795 mg/kg (ATSDR (1995)、HSDB (Access on April 2020)) (4) ラットのLD50: 雌: 820 mg/kg (ATSDR (1995)) (5) ラットのLD50: 雄: 1,010 mg/kg (ATSDR (1995)、HSDB (Access on April 2020)) (6) ラットのLD50: 雄: 1,320 mg/kg (ACGIH (7th, 2019)、ATSDR (1995)) |
令和2年度(2020年度) | ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
1 | 急性毒性(経皮) | 分類できない |
- |
- | - | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 |
令和2年度(2020年度) | ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 区分に該当しない |
- |
- | - | 【分類根拠】 GHSの定義における固体であり、区分に該当しないとした。 |
令和2年度(2020年度) | ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類できない |
- |
- | - | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 |
令和2年度(2020年度) | ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 分類できない |
- |
- | - | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 |
令和2年度(2020年度) | ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分2 |
警告 |
H315 | P302+P352 P332+P313 P362+P364 P264 P280 P321 |
【分類根拠】 (1)~(3) より、区分2とした。 【根拠データ】 (1) ヒトにおいて本物質のばく露は皮膚刺激性を示す可能性がある (ACGIH (7th, 2019)、IARC 65 (1996))。 (2) 本物質のばく露は皮膚や眼の刺激性を示すことが知られている (Patty (6th, 2012)、HSDB (Access on April 2020))。 (3) 本物質 (500 mg) をウサギに24時間適用した皮膚刺激性試験において中等度の刺激性を示す (GESTIS (Access on April 2020))。 【参考データ等】 (4) 本物質の50%ペーストを適用したウサギを用いた皮膚刺激性試験 (OECD TG 404相当) において刺激性を示さないと報告されている (REACH登録情報 (Access on May 2020))。 (6) トリニトロトルエンによる皮膚障害、溶血性貧血、再生不良性貧血等の造血器障害又は肝障害は、労働基準法施行規則別表第一の二第四号1の厚生労働大臣が指定する単体たる化学物質及び化合物 (合金を含む) 並びに厚生労働大臣が定める疾病として定められている (労働省告示第三十三号)。 |
令和2年度(2020年度) | ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2 |
警告 |
H319 | P305+P351+P338 P337+P313 P264 P280 |
【分類根拠】 (1) より、区分2とした。 【根拠データ】 (1) 本物質のばく露は皮膚や眼の刺激性を示すことが知られている (Patty (6th, 2012)、HSDB (Access on April 2020))。 【参考データ等】 (2) 本物質の50%ペーストを適用したウサギを用いた眼刺激性試験 (OECD TG 405相当) において刺激性を示さないと報告されている (REACH登録情報 (Access on May 2020))。 |
令和2年度(2020年度) | ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない |
- |
- | - | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 |
令和2年度(2020年度) | ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
4 | 皮膚感作性 | 区分1 |
警告 |
H317 | P302+P352 P333+P313 P362+P364 P261 P272 P280 P321 P501 |
【分類根拠】 (1) ~(4) より、区分1とした。 【根拠データ】 (1) ヒトにおいて本物質へのばく露による皮膚炎の報告がある (ACGIH (7th, 2019)、MAK (DFG) (2014))。 (2) ヒトにおいて本物質への長期間のばく露によるアレルギー性皮膚反応を生じる (ATSDR (1995))。 (3) 本物質は皮膚感作性を有する (GESTIS (Access on April 2020))。 (4) 本物質のモルモットを用いた皮膚感作性試験 (OECD TG 406相当、マキシマイゼーション法) において中等度の感作性 (陽性率 40%) と報告されている (REACH登録情報 (Access on May 2020))。 【参考データ等】 (5) トリニトロトルエンによる皮膚障害、溶血性貧血、再生不良性貧血等の造血器障害又は肝障害は、労働基準法施行規則別表第一の二第四号1の厚生労働大臣が指定する単体たる化学物質及び化合物 (合金を含む。) 並びに厚生労働大臣が定める疾病として定められている (労働省告示第三十三号)。 |
令和2年度(2020年度) | ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
5 | 生殖細胞変異原性 | 区分に該当しない |
- |
- | - | 【分類根拠】 (1)、(2) より、区分に該当しないとした。 【根拠データ】 (1) in vivoでは、マウス骨髄細胞の小核試験、ラット骨髄細胞の染色体異常試験、ラット肝細胞の不定期DNA合成試験で、陰性の報告がある (IARC 65 (1996)、ATSDR (1995)、IRIS (1989))。 (2) in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陽性及び陰性 (IARC 65 (1996)、ATSDR (1995)、IRIS (1989)、ACGIH (7th, 2019)、MAK (DFG) vol.1 (1991))、ほ乳類培養細胞の遺伝子突然変異試験で陽性の報告がある ((IARC 65 (1996)、ACGIH (7th, 2019))。 |
令和2年度(2020年度) | ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
6 | 発がん性 | 区分1B |
危険 |
H350 | P308+P313 P201 P202 P280 P405 P501 |
【分類根拠】 (1) の既存分類結果について、(4)のとおり、IARCはMAK (DFG) とEPA (IRIS) のラット/マウスの発がん性試験報告を評価に含めておらず、過小評価したと考えられる。(1)~(3) より、MAK (DFG) でCategory 2に分類されていること及びラットで膀胱がん (自然発生が稀な腫瘍) の明らかな発生増加がみられていることに基づき、区分1Bとした。分類結果を変更した。 【根拠データ】 (1) 国内外の分類機関による既存分類では、IARCで3 (IARC 65 (1996))、IRISでC (possible human carcinogen) (IRIS (1989))、MAK (DFG) でCategory 2 (MAK (DFG) (2014)、分類年2007年) に分類されている。 (2) ラットに本物質を2年間混餌投与した発がん性試験において、雌で膀胱の移行上皮乳頭腫及びがんの発生率の有意な増加が認められた (IRIS (1989)、MAK (DFG) (2014))。 (3) マウスに本物質を2年間混餌投与した発がん性試験において、雌で脾臓の白血病/悪性リンパ腫が用量に対応して増加し、最高用量で有意な増加が示された(MAK (DFG) (2014))。ただし、 IRISは全てのタイプの悪性リンパ腫及びリンパ性白血病を全臓器について集計した場合、腫瘍の発生率は有意に増加せず、有意な傾向もみられなかったことから、投与に関連しているとは考えられなかったとしている (IRIS (1989))。 (4) 既存分類のMAK (DFG) のCategory 2の根拠は、ラット、マウスの2種ともに発がん性がみられ、変異原性 (細菌、哺乳類培養細胞) があることである (MAK (DFG) (2014))。EPA (IRIS) のCの根拠は、雌ラットで膀胱の乳頭腫とがんがみられ、変異原性(細菌の復帰突然変異試験)があることである (IRIS (1989))。一方、IARCの発がん性評価ではMAK (DFG) とEPA (IRIS) が評価に用いたラット/マウスの発がん性試験報告を評価データに含めていない (IARC 65 (1996))。 |
令和2年度(2020年度) | ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
7 | 生殖毒性 | 分類できない |
- |
- | - | 【分類根拠】 生殖毒性についての情報はない。(1)~(3)より、精巣に対する影響が認められているが、雄性生殖器毒性に関連すると考えられる生殖能に対する影響の情報がないことから、データ不足のため分類できないとした。なお、雄性生殖器毒性のみでは分類根拠としなかったことから、旧分類から分類結果を変更した。 【根拠データ】 (1) ラットを用いた混餌投与による13週間反復投与毒性試験において、精細管上皮の変性、精巣の萎縮等が報告されている (IARC 65 (1996)、MOE初期評価第5巻:暫定的有害性評価シート (2006)、産衛学会許容濃度の提案理由書 (1993)、ATSDR (1995))。 (2) ラットを用いた混餌投与による13週間反復投与毒性試験において、精巣萎縮、間細胞過形成等が報告されている (IARC 65 (1996)、MOE初期評価第5巻:暫定的有害性評価シート (2006)、ATSDR (1995))。 (3) ラットを用いた強制経口投与による6週間反復投与毒性試験において、血清中亜鉛の減少、精巣重量減少が報告されている (MOE初期評価第5巻:暫定的有害性評価シート (2006)、ATSDR (1995))。 【参考データ等】 (4) ラットでみられた精巣の影響について、ライディッヒ細胞過形成があることから精巣の変性のホルモン機構(肝臓の酵素誘導の結果として二次的)が著者によって示唆されたが、貧血に起因する酸素欠乏も二次的機構として考えられるとの記載がある (MAK (DFG) (2014))。 (5) 動物実験で観察された精巣の損傷は、おそらく無酸素影響によるとの記載がある (GESTIS (Access on April 2020))。 (6) 男性労働者の症例対照研究の結果、精液量及び運動性精子数の減少並びに精子奇形の増加が報告されているが、交絡変数 (喫煙と飲酒以外)は考慮されておらず、重要な変数として職場での熱や他の化学物質との同時ばく露が含まれるとの記載がある (ATSDR (1995))。 |
令和2年度(2020年度) | ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分1 (血液系)、区分3 (気道刺激性) |
危険 警告 |
H370 H335 |
P308+P311 P260 P264 P270 P321 P405 P501 P304+P340 P403+P233 P261 P271 P312 |
【分類根拠】 (1)~(3) より、区分1 (血液系)、区分3 (気道刺激性) とした。旧分類で標的臓器とされた肝臓については、単回ばく露による影響かどうか不明であることから標的臓器から外し、旧分類から分類結果を変更した。 【根拠データ】 (1) ヒトにおいて本物質へのばく露後、皮膚炎、チアノーゼ、胃炎、急性肝障害 (黄色萎縮) 及び再生不良性貧血が報告されている (ACGIH (7th, 2019))。 (2) 吸入及び経皮ばく露により中毒を起こした少年で、翌日にメトヘモグロビン濃度は43%となった (HSDB (Access on April 2020))。 (3) 本物質の製造及び充填を行う工場 (本物質濃度: 0.1~1.2 mg/m3、最大10 mg/m3) の作業者38名を調査した結果、呼吸器の症状 (くしゃみ、喉の痛み、咳)と胃腸の症状 (胃の痛み、食欲不振、便秘、鼓腸、吐き気、嘔吐) の訴えが対照群より高く、さらに、平均血中ヘモグロビンレベルは85% (対照群では96%) であった (IARC 65 (1996))。 【参考データ等】 (4) トリニトロトルエンによる皮膚障害、溶血性貧血、再生不良性貧血等の造血器障害又は肝障害は、労働基準法施行規則別表第一の二第四号1の厚生労働大臣が指定する単体たる化学物質及び化合物 (合金を含む。) 並びに厚生労働大臣が定める疾病として定められている (労働省告示第三十三号)。 |
令和2年度(2020年度) | ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分1 (眼、神経系、心血管系、血液系、造血系、肝臓) |
危険 |
H372 | P260 P264 P270 P314 P501 |
【分類根拠】 (1)~(6) より、区分1 (眼、神経系、心血管系、血液系、造血器系、肝臓) とした。新たな情報源の情報に基づき検討した結果、旧分類から標的臓器を一部変更した。 【根拠データ】 (1) ヒトにおいて本物質へのばく露後、皮膚炎、チアノーゼ、胃炎、急性肝障害 (黄色萎縮) 及び再生不良性貧血が報告されている (ACGIH (7th, 2019))。 (2) 労働者の臨床症状は、主に、メトヘモグロビン血症、再生不良性貧血、血液像の変化 (赤血球の減少及び損傷、白血球減少症、白血球増加症、リンパ球増加症及び断片化細胞など) から生じる倦怠感、蒼白、チアノーゼであり、その他の影響は気道、消化管及び皮膚への刺激、消化管、肝臓及び胆嚢、心血管系、神経系への全身作用、白内障の発生であったとの記載がある (MAK (DFG) (2014))。 (3) 本物質0.14~0.58 mg/m3に6.8年間職業ばく露された作業者12名中6名、0.10~0.35 mg/m3に平均14年間職業ばく露された9名中7名で白内障が生じたとの報告がある (ACGIH (7th, 2019))。 (4) 413名の作業者を対象に白内障及びその他の異常を調べた結果、白内障が約35%で生じ、本物質へのばく露期間及び作業内容と正の相関があった。最も重篤な白内障は本物質の混合及び充填を行う作業者でみられ、経皮ばく露が重要であることが示唆されている (ACGIH (7th, 2019))。 (5) ラットに本物質を2年間混餌投与した結果、2 mg/kg/day (区分1の範囲) 以上で胸骨骨髄の線維化、10 mg/kg/day (区分1の範囲) 以上で用量に依存した貧血、メトヘモグロビンや血小板の増加、腎臓重量の増加、尿細管の肥大や色素沈着、慢性腎症、肝腫脹、紫斑や嚢胞変性を伴った肝細胞の過形成、50 mg/kg/day (区分2の範囲) で膀胱で粘膜上皮の過形成などの変性、脾臓で重量増加や色素沈着、類洞うっ血、髄外造血等がみられた (MOE初期評価第5巻:暫定的有害性評価シート (2006)、ATSDR (1995))。 (6) トリニトロトルエンによる皮膚障害、溶血性貧血、再生不良性貧血等の造血器障害又は肝障害は、労働基準法施行規則別表第一の二第四号1の厚生労働大臣が指定する単体たる化学物質及び化合物 (合金を含む。) 並びに厚生労働大臣が定める疾病として定められている (労働省告示第三十三号)。 【参考データ等】 (7) ラットを用いた混餌投与による13週間反復投与毒性試験において、125 mg/kg/day以上 (区分2超) で精細管上皮の変性、精巣の萎縮が報告されている (IARC 65 (1996)、MOE初期評価第5巻:暫定的有害性評価シート (2006)、産衛学会許容濃度の提案理由書 (1993)、ATSDR (1995))。 (8) ラットを用いた混餌投与による13週間反復投与毒性試験において、125 mg/kg/day (区分2超) で精巣萎縮、間細胞過形成等が報告されている (IARC 65 (1996)、MOE初期評価第5巻:暫定的有害性評価シート (2006)、ATSDR (1995))。 (9) ラットを用いた強制経口投与による6週間反復投与毒性試験において、200 mg/kg/day (区分2超) で血清中亜鉛の減少、精巣重量減少が報告されている (MOE初期評価第5巻:暫定的有害性評価シート (2006)、ATSDR (1995))。 |
令和2年度(2020年度) | ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
10 | 誤えん有害性 | 分類できない |
- |
- | - | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 |
令和2年度(2020年度) | ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
危険有害性項目 | 分類結果 | 絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | 分類実施年度 | 分類ガイダンス等 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
11 | 水生環境有害性 短期(急性) | 区分1 |
警告 |
H400 | P273 P391 P501 |
藻類(ムレミカヅキモ)72時間ErC50 = 0.64 mg/L(REACH登録情報, 2020)であることから、区分1とした。 | 令和2年度(2020年度) | ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
11 | 水生環境有害性 長期(慢性) | 区分1 |
警告 |
H410 | P273 P391 P501 |
慢性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく(BIOWIN)、藻類(ムレミカヅキモ)の72時間NOEC = 0.10 mg/L(REACH登録情報, 2020)から、区分1となる。 慢性毒性データが得られていない栄養段階に対して急性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく(BIOWIN)、魚類(ファットヘッドミノー)の96時間LC50 = 2.58 mg/L(HSDB, 2020)から、区分2となる。 以上の結果を比較し、区分1とした。 |
令和2年度(2020年度) | ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない |
- |
- | - | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 | 令和2年度(2020年度) | ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
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