NITE統合版 政府によるGHS分類結果

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一般情報
 
項目 情報
CAS登録番号 119-93-7
名称 3,3'-ジメチルベンジジン(別名:o-トリジン)
物質ID m-nite-119-93-7_v1
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関連情報
項目 情報
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物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
1 爆発物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 爆発性に関連する原子団を含んでいない。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
2 可燃性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
3 エアゾール 区分に該当しない(分類対象外)
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-
- - エアゾール製品ではない。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
4 酸化性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
5 高圧ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
6 引火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
7 可燃性固体 分類できない
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-
- - 可燃性 (ICSC (J) (2009)) との情報があるが、データがなく分類できない。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
8 自己反応性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
9 自然発火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
10 自然発火性固体 区分に該当しない
-
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- - 発火点は526℃ (ICSC (J) (2009)) であり常温で発火しないと考えられる。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
11 自己発熱性化学品 分類できない
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- - 融点が140℃以下の固体状の物質に適した試験方法が確立していない。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
12 水反応可燃性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
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- - 金属及び半金属 (B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At) を含んでいない。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
13 酸化性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
14 酸化性固体 区分に該当しない(分類対象外)
-
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- - 酸素、フッ素及び塩素を含まない有機化合物である。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
15 有機過酸化物 区分に該当しない(分類対象外)
-
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- - 分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物である。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
16 金属腐食性化学品 分類できない
-
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- - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
17 鈍性化爆発物 -
-
-
- - - - -

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
1 急性毒性(経口) 区分4


警告
H302 P301+P312
P264
P270
P330
P501
ラットのLD50値として、404 mg/kg (DFGOT vol. 5 (1993)) との報告に基づき、区分4とした。なお、旧分類が使用したCERIハザードデータ集 (2002) は、現在はList 3の情報源であるので使用しなかった。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
1 急性毒性(経皮) 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
1 急性毒性(吸入:ガス) 区分に該当しない(分類対象外)
-
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- - GHSの定義における固体である。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分に該当しない(分類対象外)
-
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- - GHSの定義における固体である。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
2 皮膚腐食性/刺激性 区分に該当しない
-
-
- - 本物質の職業性のばく露による皮膚刺激性はみられなかったとの記載 (ACGIH (7th, 2001)) から、区分外とした。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 分類できない
-
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- - データ不足のため分類できない。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
4 皮膚感作性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
5 生殖細胞変異原性 区分2


警告
H341 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
In vivoでは、ラットの骨髄細胞を用いた小核試験で陽性、マウスの骨髄細胞を用いた姉妹染色分体交換試験で陽性 (ACGIH (7th, 2001)、DFGOT vol. 5 (1993))、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞を用いたマウスリンフォーマ試験、染色体異常試験、姉妹染色分体交換試験でいずれも陽性である (DFGOT vol. 5 (1993)、ACGIH (7th, 2001)、PATTY (6th, 2012)、NTP DB (Access on August 2017))。以上より、ガイダンスに従い区分2とした。
平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
6 発がん性 区分1B


危険
H350 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
ヒトでは本物質への特異的なばく露と発がんとの関連性を評価した疫学研究はないが、本物質を含むアリールアミン製品混合物への職業ばく露と膀胱がんの発生頻度増加との間に相関が示されたとの1報告がある (NTP RoC (14th, 2016))。実験動物では本物質の二塩酸塩 (CAS番号 612-82-8) をラットに14ヵ月間飲水投与 (30~150 ppm) した発がん性試験において、雌雄ともに皮膚の基底細胞腫、同扁平上皮がん、ジンバル腺の腫瘍、口腔、肝臓、小腸、大腸、肺の腫瘍、雄に包皮腺の腫瘍、雌に陰核腺の腫瘍の用量依存的な発生頻度の増加が認められた (NTP TR390 (1991)、NTP RoC (14th, 2016)、PATTY (6th, 2012)、ACGIH (7th, 2001))。NTPはラットの雌雄ともに明らかな発がん性の証拠があると結論した (NTP TR390 (1991))。この他、マウスに2年間飲水投与 (5~140 ppm) した試験において、78週以降に140 ppm の雄では肺腫瘍 (細気管支肺胞上皮腺腫、又は細気管支肺胞上皮がん、及びそれらの合計) の発生頻度の有意な増加がみられた (ACGIH (7th, 2001)、HSDB (Access on August 2017)) との報告、ラットに長期間皮下投与した複数の試験で、ジンバル腺及び外耳道における腫瘍の発生増加がみられた (IARC 1 (1972)、ACGIH (7th, 2001)、NTP RoC (14th, 2016)) との報告がある。既存分類ではIARCがグループ2Bに (IARC Suppl. 7 (1987))、ACGIHがA3に (ACGIH (7th, 2001))、NTPがRに (NTP RoC (14th, 2016))、EUがCarc. 1Bに (ECHA CL Inventory (Access on August 2017))、日本産業衛生学会が2Bに (許容濃度の勧告 (2017): 1991年提案) それぞれ分類している。
  以上、EU以外の国際機関による分類結果からは区分2が支持されるが、試験報告において実験動物2種で悪性腫瘍を含む腫瘍の発生増加が認められたこと、及びEUの分類結果に基づき、本項は区分1Bが妥当と判断した。なお、旧分類の区分2からは分類区分を変更した。
  
平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
7 生殖毒性 分類できない
-
-
- - ヒトの生殖影響に関する情報はない。実験動物では、妊娠ラットに対し本物質の1%溶液、1 mLを妊娠7~9日に飲水投与 (総投与量: 30 mg) した結果、胎児に催奇形性はみられなかったとの報告、及び妊娠ラットに対し本物質0.26 mmole/kg (約 55.2 mg/kg) を妊娠7日に皮下投与したが胎児毒性は生じなかったとの報告がある (DFGOT vol. 9 (1993))。以上、実験動物では本物質投与による発生影響を否定する報告があるが、生殖能への影響を評価した試験報告がなく、よってデータ不足のため分類できない。
平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。なお、本物質の塩酸塩である3,3'-ジメチルベンジジン二塩酸塩 (CAS番号 612-82-8) を少量吸入した場合に、くしゃみに引き続いて上気道の刺激が生じたとの報告がある (DFGOT vol. 5 (1993)、環境省リスク評価第4巻:暫定的有害性評価シート (2005))。この情報に基づき、3,3'-ジメチルベンジジン二塩酸塩は、平成19年度分類で、区分3 (気道刺激性) と分類されている。
平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(肝臓、腎臓)、区分2(血液系)


危険
警告
H372
H373
P260
P264
P270
P314
P501
【分類根拠】
(1)より、区分1の範囲から肝臓、腎臓への影響、(2)より区分2の範囲で血液系への影響がみられていることから、区分1(肝臓、腎臓)、区分2(血液系)とした。なお、(1)のジンバル腺の所見は前腫瘍病変と考えられるが、ジンバル腺はヒトにないことから標的臓器とせず、(2)の胸腺、精巣および甲状腺関連所見はいずれも病理組織変化を伴う所見でないことから、標的臓器の分類根拠としなかった。今回の見直しで、被験物質の用量を確認した結果、旧分類結果から一部臓器の区分を変更した。

【根拠データ】
(1)本物質の塩酸塩である3,3'-ジメチルベンジジン二塩酸塩(CAS:612-82-8)について、ラットを用いた14ヵ月間飲水投与試験において、30 ppm(0.003%)(雄1.8 mg/kg/day、雌3.0 mg/kg/day:本物質換算、約1.3~2.2 mg/kg/day、区分1の範囲)以上で肝臓の変異細胞巣、肝臓の嚢胞性変性の発生率増加、腎症の増加、及びジンバル腺の限局性過形成・び漫性の腫脹がみられたとの報告がある(NTP TR390(1991)、環境省リスク評価第4巻:暫定的有害性評価シート(2005))。
(2)本物質の塩酸塩である3,3'-ジメチルベンジジン二塩酸塩(CAS:612-82-8)について、ラットを用いた13週間飲水投与試験において、300 ppm(0.03%)(ガイダンス値換算:37.5 mg/kg/day、本物質換算:28 mg/kg/day、区分2の範囲)以上で、胸腺重量減少、甲状腺ホルモン(T3、T4)濃度の低下、精巣相対重量増加、50 ppm(0.05%)(ガイダンス値換算:62.5 mg/kg/day、本物質換算:47 mg/kg/day、区分2の範囲)以上で、赤血球数及びヘマトクリット値の減少、肝細胞壊死の増加、腎症の増加がみられたとの報告がある(NTP TR390(1991)、環境省リスク評価第4巻:暫定的有害性評価シート(2005))。
平成30年度(2018年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
10 誤えん有害性 分類できない
-
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- - データ不足のため分類できない。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
11 水生環境有害性 短期(急性) 区分2
-
-
H401 P273
P501
甲殻類(オオミジンコ)48時間EC50 = 4.5 mg/L(環境省生態影響試験:2017)であることから、区分2とした。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
11 水生環境有害性 長期(慢性) 区分2


-
H411 P273
P391
P501
慢性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく(難分解性、BODによる分解度:3%(化審法DB:1984))、甲殻類(オオミジンコ)の21日間NOEC(繁殖阻害)= 0.26 mg/L(環境省生態影響試験:2017)であることから、区分2となる。
  慢性毒性データが得られていない栄養段階に対して急性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく(難分解性、BODによる分解度:3%(化審法DB:1984))、魚類(メダカ)96時間LC50 = 13 mg/L(環境省生態影響試験:2017)であることから、区分3となる。
  以上の結果から、区分2とした。
平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
12 オゾン層への有害性 分類できない
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-
- - データなし 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。

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