NITE統合版 政府によるGHS分類結果

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一般情報
 
項目 情報
CAS登録番号 120-12-7
名称 アントラセン
物質ID m-nite-120-12-7_v1
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関連情報
項目 情報
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物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
1 爆発物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 爆発性に関わる原子団を含まない。 平成20年度(2008年度) ガイダンス(H20.9.5版)(GHS 2版)
2 可燃性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 固体である。 平成20年度(2008年度) ガイダンス(H20.9.5版)(GHS 2版)
3 エアゾール 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - エアゾール製品でない。 平成20年度(2008年度) ガイダンス(H20.9.5版)(GHS 2版)
4 酸化性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 固体である。 平成20年度(2008年度) ガイダンス(H20.9.5版)(GHS 2版)
5 高圧ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 固体である。 平成20年度(2008年度) ガイダンス(H20.9.5版)(GHS 2版)
6 引火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 固体である。 平成20年度(2008年度) ガイダンス(H20.9.5版)(GHS 2版)
7 可燃性固体 分類できない
-
-
- - データがなく分類できない。 平成20年度(2008年度) ガイダンス(H20.9.5版)(GHS 2版)
8 自己反応性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 爆発性、あるいは自己反応性に関わる原子団を含まない。 平成20年度(2008年度) ガイダンス(H20.9.5版)(GHS 2版)
9 自然発火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 固体である。 平成20年度(2008年度) ガイダンス(H20.9.5版)(GHS 2版)
10 自然発火性固体 区分に該当しない
-
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- - 常温の空気と接触しても自然発火しない(発火点540℃(Lide,88th,2007))。 平成20年度(2008年度) ガイダンス(H20.9.5版)(GHS 2版)
11 自己発熱性化学品 分類できない
-
-
- - データがなく分類できない。 平成20年度(2008年度) ガイダンス(H20.9.5版)(GHS 2版)
12 水反応可燃性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。 平成20年度(2008年度) ガイダンス(H20.9.5版)(GHS 2版)
13 酸化性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 固体である。 平成20年度(2008年度) ガイダンス(H20.9.5版)(GHS 2版)
14 酸化性固体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 酸素、フッ素または塩素を含まない有機化合物である。 平成20年度(2008年度) ガイダンス(H20.9.5版)(GHS 2版)
15 有機過酸化物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物。 平成20年度(2008年度) ガイダンス(H20.9.5版)(GHS 2版)
16 金属腐食性化学品 分類できない
-
-
- - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。 平成20年度(2008年度) ガイダンス(H20.9.5版)(GHS 2版)
17 鈍性化爆発物 -
-
-
- - - - -

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
1 急性毒性(経口) 区分に該当しない
-
-
- - ラットを用いた経口投与試験のLD50値8,120 mg/kg(EU-RAR(2007))から区分外とした。 平成20年度(2008年度) ガイダンス(H20.9.5版)(GHS 2版)
1 急性毒性(経皮) 区分に該当しない
-
-
- - 経皮投与試験において、試験投与量で死亡はみられなかったため、ラットのLD50値>1,320 mg/kg、ウサギのLD50値>4,000 mg/kg(EU-RAR(2007))と記述されている。より高濃度まで試験した最新のウサギのLD50値>4,000 mg/kgに基づき、区分外とした。 平成20年度(2008年度) ガイダンス(H20.9.5版)(GHS 2版)
1 急性毒性(吸入:ガス) 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHS定義上の固体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外とした。 平成20年度(2008年度) ガイダンス(H20.9.5版)(GHS 2版)
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
-
-
- - データがないので分類できない。 平成20年度(2008年度) ガイダンス(H20.9.5版)(GHS 2版)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-
-
- - データがないので分類できない。 平成20年度(2008年度) ガイダンス(H20.9.5版)(GHS 2版)
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない
-
-
- - 環境省リスク評価第4巻(2005)にはヒトへの影響として「短期間の暴露によって、わずかに皮膚を刺激し、皮膚の発赤が現れる」と記述されている。動物については、「ヒュームが皮膚にmild irritationを生じ得る」(EHC 202(1998))との記述があり、引用文献(National Institute of Public Health and Environmental Protection(1989))を調査したが、「ヒューム」との記述は見当たらず、実験条件を確認できなかったため、このデータは採用しない。また、ウサギを用いた24時間塗布試験(US Code of Federal Regulations)で「Draize scoreが0.79であるため、slightly irritatingである」(EU-RAR(2007))旨の記述があるが、10%溶液での結果である。以上から、データ不足のため分類できない。 平成20年度(2008年度) ガイダンス(H20.9.5版)(GHS 2版)
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2


警告
H319 P305+P351+P338
P337+P313
P264
P280
ヒトへの影響について「眼瞼浮腫、結膜の充血」(EU-RAR(2007))が記述されている。動物については、ウサギを用いた結膜嚢への投与試験(US Code of Federal Regulations)で「角膜・虹彩への影響なし、4/6匹にslightからmoderateな結膜の発赤が見られ、Draize scoreは1.0であるため、『非刺激性』である」(EU-RAR(2007))旨、記述されている。また、ウサギを用いた結膜嚢への滴下試験で「角膜損傷なし」(EU-RAR(2007))との記述もある。List1の情報源であるEU-RAR(2007)に記述されているヒトのデータを用い、国連GHS改訂2版の図3.3.1に従って区分2とした。 平成20年度(2008年度) ガイダンス(H20.9.5版)(GHS 2版)
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - データがないので分類できない。 平成20年度(2008年度) ガイダンス(H20.9.5版)(GHS 2版)
4 皮膚感作性 区分1


警告
H317 P302+P352
P333+P313
P362+P364
P261
P272
P280
P321
P501
モルモットを用いて接触感作性を調べた試験(アジュバント使用)で「陰性」(EU-RAR(2007))との記述がある。一方、ヘアレスマウスやモルモットを本物質で処理後、紫外線を照射した試験で「紫外線刺激に対する皮膚感作性が増加した」(EHC202(1998))と記述されている。ヒトについても、本物質の皮膚塗布後の紫外線照射により「発赤、蕁麻疹あるいは膨疹が見られた」(環境省リスク評価第4巻(2005))との報告が2件あり、内1件では、「紫外線照射のみの対照群では発赤はみられなかった」(環境省リスク評価第4巻(2005))と記述されている。以上から、本物質はヒトの皮膚に光感作性を示すと推測されるので、区分1とした。 平成20年度(2008年度) ガイダンス(H20.9.5版)(GHS 2版)
5 生殖細胞変異原性 区分に該当しない
-
-
- - 体細胞in vivo変異原性試験(マウスの骨髄、赤血球各ーを用いた小核試験)で「陰性」(EHC 202(1998), EU-RAR(2007))との記述に基づき、区分外とした。体細胞in vivo遺伝毒性試験(チャイニーズハムスターの骨髄を用いた姉妹染色分体交換試験)も「陰性」(EU-RAR(2007))であり、EHC 202(1998)には、本物質の遺伝毒性について「いくつかの例外を除き、全体として陰性」と記述されている。 平成20年度(2008年度) ガイダンス(H20.9.5版)(GHS 2版)
6 発がん性 区分1B


危険
H350 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
【分類根拠】
発がんに関して、ヒトを対象として発がん性を示す十分な報告はない。
適切な試験ガイドラインとGLP基準に準拠して実施された(1)及び(2)において、動物種2種に悪性腫瘍を含む明らかな発がん性の証拠が認められたことから、区分1Bとした。
なお、旧分類と同じ試験結果に基づき分類したが、厚労省のがん原性試験結果報告で動物で発がん性ありとされ、有害性評価小検討会の審議を経てヒトにおける懸念から同省が指針を出したことを重視し、区分を変更した。

【根拠データ】
(1)ラットに8,000~50,000 ppmで2年間混餌投与 したがん原性試験において、雄ラットに肝臓腫瘍(肝細胞腺腫、肝細胞がん)、及び膀胱腫瘍(移行上皮のがん又は乳頭腫)の発生頻度、雌ラットに腎臓腫瘍(腎細胞腺腫と腎細胞がんを合わせた発生頻度)に有意な増加が認められ、本物質の発がん性を示す明らかな証拠と考えられると結論された(厚労省委託がん原性試験結果(1998))。
(2)マウス雄に3,200~20,000 ppm、雌に8,000~50,000 ppmで2年間混餌投与 したがん原性試験において、雌マウスに肝臓腫瘍(肝細胞腺腫、肝細胞がん)の発生頻度に有意な増加が認められ、本物質の発がん性を示す明らかな証拠と考えられると結論された。雄マウスには、腫瘍発生増加がみられなかった(厚労省委託がん原性試験結果(1998))。
(3)国内外の分類機関による既存分類では、IARCがグループ3(IARC 71(1999))、EPAがDに(IRIS(1991))それぞれ分類している。IARCは2010年に再評価したが、グループ3のままである(IARC 92(2010))。なお、これらの評価には(1)及び(2)の結果は含まれていない。

【参考データ等】
(4)ヒトでは40%の粗製アントラセンを扱っていた作業者3人の手、頬、手首にそれぞれ上皮腫の発生がみられ、うち2人は30~32年間のばく露を受けていたが、同じ工場で純品のアントラセンを扱っていた作業者には腫瘍の発生はみられなかったとの報告がある(環境省リスク評価第5巻(2006)、EU-RAR(2008))。
(5)本物質は労働安全衛生法第28条第3項の規定に基づき、厚生労働大臣が定める化学物質による労働者の健康障害を防止するための改正指針の対象物質である(平成24年10月10日付け健康障害を防止するための指針公示第23号)。
平成30年度(2018年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
7 生殖毒性 分類できない
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- - マウスを用いた90日間経口投与試験で「卵巣の平均重量及び体重比が統計学的に有意に増加した」が「組織変化はなく」、「偶発的であり、毒性とは関連しないと考えられる」(EU-RAR(2007))と記述されている。他に、生殖発生毒性に関する適切なデータがないため、データ不足で分類できない。 平成20年度(2008年度) ガイダンス(H20.9.5版)(GHS 2版)
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3(気道刺激性)


警告
H335 P304+P340
P403+P233
P261
P271
P312
P405
P501
ヒトについて、暴露による急性症状として「上気道の刺激」、「頭痛、吐き気、反応遅延、衰弱」(EU-RAR(2007))との記述や、「わずかに気道を刺激し、咳、咽頭痛が現れる」(環境省リスク評価第4巻(2005))との記述があるが、「頭痛、吐き気、反応遅延」については重大な影響とはいえないので、分類根拠に採用しなかった。動物については、「本物質による噴霧暴露は気道を刺激する」(EHC 202(1998))と記述されている。以上から、区分3(気道刺激性)とした。この他、ラット、マウス、ウサギなどを用いた経口あるいは経皮投与試験で肝臓、脾臓、腎臓などに充血等の影響が見られている(EU-RAR(2007))が、区分2のガイダンス値を遥かに超える濃度での症状であるため、採用しなかった。 平成20年度(2008年度) ガイダンス(H20.9.5版)(GHS 2版)
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない
-
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- - マウスを用いた強制経口投与試験(GLP)において、区分2のガイダンス値を遥かに超える濃度で「臨床症状、血液所見、臓器重量、肉眼的および組織病理学的所見などに、暴露による有意な影響は見られなかった」(EU-RAR(2007))と記述されている。また、ラットを用いた混餌投与試験において、区分2のガイダンス値の範囲内の濃度で78週間投与しても「臨床所見、組織への影響は見られなかった」(環境省リスク評価第4巻(2005))との記述もある。一方、ラットを用いたエアロゾル吸入暴露試験において「ヘモグロビン低下、網状赤血球症、白血球減少症などを生じた」(EU-RAR(2007))との記述があるが、暴露期間が不明であり(元文献入手不可)、区分を特定できない。以上から、データ不足のため分類できない。 平成20年度(2008年度) ガイダンス(H20.9.5版)(GHS 2版)
10 誤えん有害性 分類できない
-
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- - データがないので分類できない。
なお、本物質は炭化水素であるが、動粘性率は不明である。またICSCに化学性肺炎に関する記述はない。
平成20年度(2008年度) ガイダンス(H20.9.5版)(GHS 2版)

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
11 水生環境有害性 短期(急性) 区分1


警告
H400 P273
P391
P501
魚類(ブルーギル)の96時間LEC50 = 0.00278 mg/L(環境省初期リスク評価第5巻, 2006)から区分1とした。 平成20年度(2008年度) ガイダンス(H20.9.5版)(GHS 2版)
11 水生環境有害性 長期(慢性) 区分1


警告
H410 P273
P391
P501
急性毒性区分1であり、急速分解性がない(難分解性:2週間の標準法でBODによる分解度:1.9%(既存点検, 1977))ことから、区分1とした。 平成20年度(2008年度) ガイダンス(H20.9.5版)(GHS 2版)
12 オゾン層への有害性 -
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分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。

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