項目 | 情報 |
---|---|
CAS登録番号 | 120-82-1 |
名称 | 1,2,4-トリクロロベンゼン |
物質ID | m-nite-120-82-1_v1 |
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項目 | 情報 |
---|---|
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危険有害性項目 | 分類結果 | 絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | 分類実施年度 | 分類ガイダンス等 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 爆発物 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 爆発性に関連する原子団を含んでいない。 | 平成30年度(2018年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
2 | 可燃性ガス | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 | 平成30年度(2018年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
3 | エアゾール | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | エアゾール製品でない。 | 平成30年度(2018年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
4 | 酸化性ガス | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 | 平成30年度(2018年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
5 | 高圧ガス | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 | 平成30年度(2018年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
6 | 引火性液体 | 区分に該当しない |
- |
- | - | 引火点110℃(closed cup)(GESTIS(Accessed Sept. 2018))である。 | 平成30年度(2018年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
7 | 可燃性固体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 | 平成30年度(2018年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
8 | 自己反応性化学品 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。 | 平成30年度(2018年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
9 | 自然発火性液体 | 区分に該当しない |
- |
- | - | 発火点は571℃(GESTIS(Accessed Sept. 2018))であり常温で発火しないと考えられる。 | 平成30年度(2018年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
10 | 自然発火性固体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 | 平成30年度(2018年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない |
- |
- | - | 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。 | 平成30年度(2018年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
12 | 水反応可燃性化学品 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 金属及び半金属(B,Si,P,Ge,As,Se,Sn,Sb,Te,Bi,Po,At)を含んでいない。 | 平成30年度(2018年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
13 | 酸化性液体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | フッ素及び酸素を含まず、塩素を含む有機化合物であるが、この塩素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。 | 平成30年度(2018年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
14 | 酸化性固体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 | 平成30年度(2018年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
15 | 有機過酸化物 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物である。 | 平成30年度(2018年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
16 | 金属腐食性化学品 | 分類できない |
- |
- | - | データがなく分類できない。 | 平成30年度(2018年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
17 | 鈍性化爆発物 | - |
- |
- | - | - | - | - |
危険有害性項目 | 分類結果 | 絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | 分類実施年度 | 分類ガイダンス等 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 急性毒性(経口) | 区分4 |
警告 |
H302 | P301+P312 P264 P270 P330 P501 |
【分類根拠】 OECD TG401準拠である(1)~(3)のデータを優先して採用し、これらはいずれも区分4に該当する。よって区分4とした。 【根拠データ】 (1)ラットのLD50:1,107 mg/kg(雄)(OECD TG 401)(EU-RAR(2003)) (2)ラットのLD50:1,019 mg/kg(雌)(OECD TG 401)(EU-RAR(2003)) (3)ラットのLD50:930 mg/kg(OECD TG 401)(EU-RAR(2003)) 【参考データ等】 (4)ラットのLD50:756 mg/kg(雌)(EU-RAR(2003)、ACGIH(7th, 2001)、Patty(2012)) |
平成30年度(2018年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分に該当しない |
- |
- | - | 【分類根拠】 ラットについて、OECD TG402準拠である(1)のデータを優先して採用し、区分外と判定できる。またウサギについて、(2)及び(3)のデータより、区分外と判定できる。よって、区分外とした。 【根拠データ】 (1)ラットのLD50:11,356 mg/kg(OECD TG402)(SIAR(2003)、EU-RAR(2003)、REACH登録情報(Accessed Oct. 2018)) (2)ウサギのLD50:約5,000 mg/kg(SIAR(2003)、EU-RAR(2003)) (3)ウサギのLD50:>5,000 mg/kg(SIAR(2003)、EU-RAR(2003)、REACH登録情報(Accessed Oct. 2018)) 【参考データ等】 (4)ラットのLD50:6,139 mg/kg(SIAR(2003)、EU-RAR(2003)、ACGIH(7th, 2001)) |
平成30年度(2018年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 【分類根拠】 GHSの定義における液体である。 |
平成30年度(2018年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類できない |
- |
- | - | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 |
平成30年度(2018年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 区分に該当しない |
- |
- | - | 【分類根拠】 (1)及び(3)のデータより、区分4~区分外に該当と考えられる。また(2)のデータから、区分外と判断できる。よって、区分外とした。なお、ばく露濃度が飽和蒸気圧濃度(2.5 mg/L)以上のため、(1)~(3)の試験はミストが混在するものとして、mg/Lを単位とする基準値を適用した。 【根拠データ】 (1)ラットのLC50:3.1 mg/L(418 ppm)(SIAR(2003)、EU-RAR(2003)) (2)ラットのLC50:13.6 mg/L(1,800 ppm)(7時間)(4時間換算値:17.7 mg/L)(SIAR(2003)、EU-RAR(2003)) (3)ラットのLC50:2.5 mg/L(330 ppm)(7.5時間)(4時間換算値:3.4 mg/L(452 ppm))(SIAR(2003)、EU-RAR(2003)) |
平成30年度(2018年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分に該当しない |
- |
- | - | 【分類根拠】 (1)より、区分外とした。なお、(2)(3)のデータもあるが試験の詳細が不明である。(4)のデータはISCSを引用しており、List1の情報源の情報を優先した。 【根拠データ】 (1)ウサギを用いた皮膚刺激性試験(OECD TG404、n=6)において、本物質原体は14日間の観察期間に置いて紅斑スコア1、浮腫スコア1のわずかな刺激が見られたとの報告がある。(SIAR(2003)、REACH登録情報(Accessed Sept. 2018))。 【参考データ等】 (2)モルモットを用いた皮膚刺激性試験において、本物質は若い個体にはModerateの、高齢の個体にはSevereの刺激性を示したとの報告がある(SIAR(2003)、ATSDR(2014))。 (3)マウスでは紅斑が4/8で見られたとの報告がある(SIAR(2003))。 (4)本物質は皮膚に付くと皮膚の乾燥や発赤、肌荒れを生じるとの報告がある(環境省リスク評価書第8巻(2010))。 (5)反復ばく露によって、皮膚の炎症や脱脂が生じる明らかな証拠があると報告されている(SIAR(2003)、環境省リスク評価書第8巻(2010))。 (6)既存分類ではEUがSkin Irrit. 2に分類している。 |
平成30年度(2018年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分に該当しない |
- |
- | - | 【分類根拠】 (1)より、区分外とした。(2)のデータについて、米国と欧州のDraizeスコアの解釈が異なるとも記載されており、試験詳細が確認できないことから分類判断には用いなかった。(3)のデータはICSCを引用しており、List1の情報源の情報を優先した。 【根拠データ】 (1)ウサギを用いた眼刺激性試験(OECD TG405)で、角膜及び虹彩に影響は見られず、結膜では発赤スコア:1、浮腫スコア:0-2が得られたとの報告がある(SIAR(2003)、REACH登録情報(Accessed Sept. 2018))。 【参考データ等】 (2)ウサギを用いた眼刺激性試験で、Severeな結膜炎が生じ、48時間後も回復しなかったとの報告がある(SIAR(2003))。 (3)本物質は眼に入ると発赤、痛みを生じるとの報告がある(環境省リスク評価書第8巻(2010))。 |
平成30年度(2018年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない |
- |
- | - | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 |
平成30年度(2018年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
4 | 皮膚感作性 | 分類できない |
- |
- | - | 【分類根拠】 (1)、(2)のデータもあるが、データ不足のため分類できない。ヒト知見が得られていないことから、旧分類から区分を変更した。 【参考データ等】 (1)モルモットを用いたMaximization試験(OECD TG406、n=20)で、2/20で感作性が見られたとの報告がある(SIAR(2003)、REACH登録情報(Accessed Sept. 2018))。 (2)モルモットを用いた皮膚感作性試験で、陽性反応は見られなかったとの方向がある(SIAR(2003))。 |
平成30年度(2018年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
5 | 生殖細胞変異原性 | 分類できない |
- |
- | - | 【分類根拠】 (1)、(2)より、ガイダンスに従い分類できないとした。 【根拠データ】 (1)In vivoでは、マウスを用いた経口投与によるin vivo小核試験(OECD TG 474, GLP)では陰性の結果であった(EU-RAR(2003))。 (2)In vitroでは、細菌を用いた復帰突然変異試験で陰性(EU-RAR(2003)、ATSDR(2014))、哺乳類培養細胞を用いた染色体異常試験で陰性であった(EU-RAR(2003)、環境省リスク評価第8巻(2010))。 【参考データ】 (3)マウスを用いたin vivo小核試験で腹腔内投与した2試験で僅かな陽性反応がみられた(EU-RAR(2003)、ATSDR(2014))。 |
平成30年度(2018年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
6 | 発がん性 | 区分2 |
警告 |
H351 | P308+P313 P201 P202 P280 P405 P501 |
【分類根拠】 発がん性に関して、利用可能なヒトを対象とした報告はない。 (1)、(2)のデータから、雌雄マウスに悪性腫瘍の発生増加が認められたが、ラットでは雄のジンバル腺腫瘍の増加傾向のみで発がん性の証拠は限定的であった。(4)のEPAの分類結果は(3)の経皮試験結果のみを評価対象としたもので、古い分類結果ですでに利用できない。以上の結果より、本項は区分2が妥当と判断した。 【根拠データ】 (1)ラットの発がん性試験(2年間混餌投与:100~1,200 ppm (雄:5.5~67 mg/kg/day、雌:6.7~79 mg/kg/day)、50匹/性/群)では、雌に腫瘍発生の増加はみられなかったが、雄に有意ではないがジンバル腺腫瘍の増加傾向が示された(環境省リスク評価第8巻(2010)、EU-RAR(2003)、ATSDR(2014))。 (2)マウスの発がん性試験(2年間混餌投与:150~3,200 ppm(雄:21~522 mg/kg/day、雌:26~575 mg/kg/day)、50匹/性/群)では、中用量以降で肝細胞がんの有意な発生増加が認められた(環境省リスク評価第8巻(2010)、EU-RAR(2003)、ATSDR(2014))。 (3)マウスの皮膚に本物質の30%及び60%溶液を0.03 mL(9及び18 mg/匹)、2年間適用した発がん性試験において、高濃度群の雄2 匹で乳頭腫、雌1 匹で扁平上皮がんがみられた(環境省リスク評価第8巻(2010)、EU-RAR(2003))。 (4)国内外の分類機関による既存分類では、EPAがD(Not classifiable as to human carcinogenicity)に分類したが、1989年の分類結果で、(3)のマウス経皮適用試験結果のみを評価対象としたものであった(IRIS(1989)、ATSDR(2014))。 |
平成30年度(2018年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
7 | 生殖毒性 | 分類できない |
- |
- | - | 【分類根拠】 (1)のラット2世代試験では生殖発生毒性は検出されなかったが、最高用量で唯一みられた影響がF0、F1児動物の離乳時の副腎重量増加のみで、成熟後のF0、F1親動物には一般毒性影響も生殖影響もみられていないため、最高用量が確実中毒量に到達していなかったと考えられる。また、(2)、(3)の2件の発生毒性試験結果のうち、(3)のデータは母動物の死亡率が10%を超えており、分類に用いるのは不適切と考えられる。以上のことから、本物質の生殖発生影響を評価するには情報不足であり、データ不足のため分類できない。 【参考データ等】 (1)母ラットに飲水投与(25~400 ppm)し、生まれたF0児動物を離乳時まで母動物の乳汁を介して間接ばく露し、離乳後にF0に母動物と同用量を直接飲水投与し、約90日齢で交配させ、F1児動物の離乳まで投与した。F1児動物も同様に離乳後に同一用量の飲水投与を開始し、F0と同様に交配させた2世代生殖毒性試験では、F0及びF1児動物の高用量(400 ppm:53.6 mg/kg/day(F0雄)、33.0 mg/kg/day(F0雌))群の雌雄に離乳時に副腎重量の増加がみられたが、育成後のF0及びF1親動物の生殖能、及びF1、F2児動物への発生・発達影響は認められなかった(環境省リスク評価第8巻(2010)、ATSDR(2014))。 (2)妊娠6~15日のラットに強制経口投与した発生毒性試験では、母動物に150 mg/kg/day以上でヘモグロビン・ヘマトクリットの減少、肝臓への影響(門脈周囲肝細胞細胞質における好酸球増加、肝細胞の核の大小不同)、300 mg/kg/dayでは甲状腺の濾胞サイズの減少・空胞化など一般毒性がみられたが、胎児に有意な変化はみられなかった(環境省リスク評価第8巻(2010)、ATSDR(2014))。 (3)妊娠ラットの妊娠9~13日に強制経口投与して妊娠14日に帝王切開した発生毒性試験では、360 mg/kg/dayの投与群に重篤な母動物毒性(死亡(2/9例)、体重増加抑制、肝細胞肥大)を発現し、着床数減少、胎児死亡の増加、頭長・頭臀長の減少、体節数の減少がみられたが、吸収胚や奇形発生率の増加はなかった (環境省リスク評価第8巻(2010)、ATSDR(2014))。 |
平成30年度(2018年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分3(麻酔作用、気道刺激性) |
警告 |
H336 H335 |
P304+P340 P403+P233 P261 P271 P312 P405 P501 |
【分類根拠】 (1)から気道刺激性を、また(2)から動物で中枢抑制を示唆する嗜眠がみられ麻酔作用を支持するデータと考え、区分3(麻酔作用、気道刺激性)とした。 【根拠データ】 (1)ヒトでは眼や喉の刺激は3~5 ppmで生じると考えられるとの記述がある(環境省リスク評価第8巻(2010)、ATSDR(2014))。 (2)ラットに本物質(蒸気)を6時間吸入ばく露した試験で、区分1の範囲の70 ppm(ガイダンス値:0.64 mg/L)以上で嗜眠及び流涙がみられた(ATSDR(2014))。 |
平成30年度(2018年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分2(肝臓) |
警告 |
H373 | P260 P314 P501 |
【分類根拠】 (1)~(5)のデータから、肝臓、腎臓、甲状腺、血液系が標的臓器の候補と考えられるが、(6)の本物質の標的臓器に対するATSDRの見解から、腎臓影響は雄ラット特有の機序による可能性が高く、また(1)のラット13週間投与でみられた甲状腺影響は、(3)、(4)の2年間の長期投与試験でみられていないことから、腎臓、甲状腺とも標的臓器から除外する。さらに、血液影響については、ATSDRが経口、経皮及び吸入経路による多くの試験の殆どで血液学的/血液生化学的検査で影響がみられていないことから、血液影響に関して懐疑的であり、また(1)~(4)の経口投与試験では区分2までの用量範囲内で明確な所見としてみられていないことから、標的臓器としない。以上より、区分2(肝臓)とした。なお、旧分類から標的臓器として腎臓、甲状腺、血液系を除外し、肝臓のみとした。なお(7)は、ばく露期間が長くなるにつれ、肝臓影響が弱くなっていることから、採用しなかった。 【根拠データ】 (1)ラットの13週間混餌投与試験で、区分2の範囲の1,000 ppm(雄/雌:82/101 mg/kg/day)で、肝臓への影響(重量増加、脂肪浸潤、肝細胞の空胞化・変性)及び甲状腺への影響(濾胞サイズの減少、濾胞上皮の高さの増加、コロイド密度の減少)がみられた(環境省リスク評価第8巻(2010)、ATSDR(2014)、EU-RAR(2003))。 (2)ラットの3ヵ月間混餌投与試験で、区分2の範囲の600 ppm(雄:32~96 mg/kg/day、雌:40~108 mg/kg/day)以上の群に腎臓への影響(相対重量増加(雌雄)、尿細管の拡張・顆粒状円柱・硝子滴・腎乳頭石灰化・間質性腎炎・再生尿細管(雄))、肝臓への影響(絶対・相対重量増加(雌)、小葉中心性肝細胞肥大(雄))、区分2上限~区分2超の1,800 ppm(雄:96~242 mg/kg/day 、雌:108~276 mg/kg/day)で血液影響(赤血球数の減少(雄)、ヘモグロビン・ヘマトクリットの減少(雌雄))がみられた (環境省リスク評価第8巻(2010)、ATSDR(2014)、EU-RAR(2003))。 (3)ラットの104週間混餌投与試験では、区分2の範囲の350~1,200 ppm で、肝臓影響に加え、腎臓影響(重量増加(雌雄)、慢性進行性腎症の悪化(雄)、腎乳頭石灰化(雌雄)、尿細管移行上皮細胞の過形成(雄))が雌雄に認められた(環境省リスク評価第8巻(2010)、ATSDR(2014)、EU-RAR(2003))。 (4)マウスの104週間混餌投与試験では、区分2超の700 ppm(100.5 mg/kg/day(雄))及び3,200 ppm(522(雄)/574(雌)mg/kg/day)で小葉中心性肝細胞肥大が認められたが、雌雄のいずれの群にも腎臓への影響はみられなかった(環境省リスク評価第8巻(2010)、ATSDR(2014)、EU-RAR(2003))。 (5)ウサギの本物質市販品(本物質70%、1,2,3-TCB 30%含有)の4週間経皮適用試験では、区分2の範囲の150及び450 mg/kg/day(90日換算:33.0及び98.9 mg/kg/day)で、雌に血液影響(赤血球数・ヘモグロビン・ヘマトクリット値の減少)がみられた(EU-RAR(2003))。 (6)ATSDRは腎臓の組織所見は雄ラットに特異的なα2μ-グロブリン腎症に関連した影響の可能性を、また、ラット13週間投与試験でみられた甲状腺の所見については、ほぼ同レベルの用量を用いたラットの長期投与試験、及びマウスの試験でみられていないことを指摘している。また、(5)のウサギ経皮試験について、血液学的パラメーター変化がみられているが正常範囲内であり、経皮、吸入経路での試験報告からは血液影響はみられなかったと記述している(ATSDR(2014))。 【参考データ等】 (7)吸入経路では雄ラットの最長26週間吸入ばく露試験で、途中の13週間ばく露終了時に区分1の範囲の25 ppm(ガイダンス値換算:0.16 mg/L)以上で肝臓に肝細胞肥大、腎臓に硝子滴変性がみられたが、これらの変化は26週間ばく露終了時には明瞭にみられることはなく、比較的短期間の変化と考えられている(環境省リスク評価第8巻(2010)、ATSDR(2014)、EU-RAR(2003))。 |
平成30年度(2018年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
10 | 誤えん有害性 | 分類できない |
- |
- | - | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 |
平成30年度(2018年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
危険有害性項目 | 分類結果 | 絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | 分類実施年度 | 分類ガイダンス等 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
11 | 水生環境有害性 短期(急性) | 区分1 |
警告 |
H400 | P273 P391 P501 |
甲殻類(ニセネコゼミジンコ)48時間EC50/LC50 = 0.308 mg/L (WHO/IPCS CICAD: 2004)であることから、区分1とした。 | 平成30年度(2018年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
11 | 水生環境有害性 長期(慢性) | 区分1 |
警告 |
H410 | P273 P391 P501 |
急速分解性がなく(難分解性、BODによる分解度: 0%(化審法DB: 1977))、甲殻類(オオミジンコ)の21日間NOEC(繁殖阻害)= 0.1 mg/L(環境省生態影響試験: 2018, 環境省リスク評価第8巻: 2010)であることから、区分1とした。 | 平成30年度(2018年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない |
- |
- | - | データなし | 平成30年度(2018年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
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