NITE統合版 政府によるGHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 121-14-2
名称 2,4-ジニトロトルエン
物質ID m-nite-121-14-2_v2
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関連情報
項目 情報
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物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
1 爆発物 区分に該当しない
-
-
- - 分子内に爆発性に関連する原子団としてニトロ基を含むが、UNRTDGにおいてUN 3454、クラス6.1に分類されていることから、優先評価項目の爆発物には該当しないため、区分に該当しない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
2 可燃性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
3 エアゾール 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - エアゾール製品でないため、区分に該当しない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
4 酸化性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
5 高圧ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
6 引火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
7 可燃性固体 分類できない
-
-
- - データがなく分類できない。なお、可燃性 (ICSC (2005)) という情報がある。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
8 自己反応性化学品 タイプG
-
-
- - 分子内に爆発性に関連する原子団としてニトロ基を含むが、UNRTDGにおいてUN 3454、クラス6.1に分類されていることから、優先評価項目である自己反応性化学品には該当しないと考えられるため、タイプGとした。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
9 自然発火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
10 自然発火性固体 区分に該当しない
-
-
- - 2,6-DNT (CAS番号 606-20-2) との混合物の発火点が約400℃ (Hommel (1991)) との情報より、常温で発火しないと考えられるため、区分に該当しない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
11 自己発熱性化学品 分類できない
-
-
- - 融点が140℃以下の固体状の物質に適した試験方法が確立していないため、分類できない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
12 水反応可燃性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 金属及び半金属 (B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At) を含んでいないため、区分に該当しない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
13 酸化性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
14 酸化性固体 分類できない
-
-
- - フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であり、この酸素が炭素及び水素以外の元素 (N) と結合しているが、データがなく分類できない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
15 有機過酸化物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物であり、区分に該当しない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
16 金属腐食性化学品 分類できない
-
-
- - 固体状の物質に適した試験方法が確立していないため、分類できない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
17 鈍性化爆発物 区分に該当しない
-
-
- - 爆発性に関連する原子団 (ニトロ基) を含むが、純品が爆発物の区分に該当しないので、鈍性化爆発物も区分に該当しない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
1 急性毒性(経口) 区分3


危険
H301 P301+P310
P264
P270
P321
P330
P405
P501
【本物質の健康有害性について、分類結果が「分類できない」の場合、ジニトロトルエン (異性体混合物) (CAS番号 25321-14-6) も参照のこと。ジニトロトルエン (異性体混合物) 中の、健康有害性への影響を及ぼす異性体の全てを特定できていないが、記載されている情報が参考になると考えられる。】


【分類根拠】
(1)~(8) より、区分3とした。なお、新たな情報源の使用により、旧分類から区分を変更した。

【根拠データ】
(1) ラットのLD50: 268 mg/kg (MAK (DFG) vol.6 (1994)、MOE初期評価第5巻 (2006)、厚労省リスク評価書 (2009))
(2) ラットのLD50: 268~790 mg/kg (厚労省リスク評価書 (2009))
(3) ラットのLD50: 270 mg/kg (ATSDR (2016)、EURAR (2008)、NITE初期リスク評価書 (2005)、厚労省リスク評価書 (2009))
(4) ラットのLD50: 400 mg/kg (EURAR (2008)、SIAR (2001)、厚労省リスク評価書 (2009))
(5) ラットのLD50: 474 mg/kg (EURAR (2008))
(6) ラットのLD50: 雄: 568 mg/kg、雌: 650 mg/kg (EURAR (2008)、ATSDR (2016)、NITE初期リスク評価書 (2005)、MAK (DFG) vol.6 (1994)、AICIS IMAP (Access on April 2020)、厚労省リスク評価書 (2009))
(7) ラットのLD50: 893 mg/kg (EURAR (2008))
(8) ラットのLD50: 1,000 mg/kg (MAK (DFG) vol.6 (1994))
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
1 急性毒性(経皮) 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1) より、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) ラットのLD50: > 2,500 mg/kg (EURAR (2008)、SIAR (2001))
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
1 急性毒性(吸入:ガス) 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
GHSの定義における固体であり、区分に該当しないとした。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
2 皮膚腐食性/刺激性 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)~(3) より、区分に該当しないとした。なお、現ガイダンスでは区分3は用いないことから分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) 本物質はウサギを用いた皮膚刺激性試験 (ドレイズ法) で軽度の刺激性を示した (厚労省リスク評価書 (2009)、MAK (DFG) vol.6 (1994)、ACGIH (7th, 2001))。
(2) 本物質 (用量不明) をウサギに 適用した皮膚刺激性試験で、軽度の刺激性がみられた (NITE初期リスク評価書 (2005) 、ATSDR (2016))。
(3) 本物質はウサギの皮膚及び眼に対して刺激性を示さない (GESTIS (Access on April 2020))。

【参考データ等】
(4) 本物質 (50%) は改変ドレイズ法によるウサギを用いた皮膚刺激性試験において、非刺激性であった (EURAR (2008)、AICIS IMAP (Access on April 2020))。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)~(3) より、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) ウサギを用いた眼刺激性試験 (ドレイズ法) で本物質を含むジニトロトルエンの6 つの異性体は全てウサギの眼に対する刺激性を示さなかった (厚労省リスク評価書 (2009)、MAK (DFG) vol.6 (1994)、ACGIH (7th, 2001))。
(2) ウサギの眼に 2,4-又は2,6-DNT (濃度不明) を適用した眼刺激性試験で、刺激性はみられなかった (NITE初期リスク評価書 (2005))。
(3) 本物質はウサギの皮膚及び眼に対して刺激性を示さない (GESTIS (Access on April 2020))。

【参考データ等】
(4) 本物質は眼、皮膚を刺激し、皮膚に付くと発赤を生じる可能性があり、眼に付くと発赤を生じる (MOE初期評価第5巻 (2006))。
(5) 本物質 (濃度不詳) はウサギの眼に対し、刺激性を示さないという報告がある一方、本物質は軽度の刺激性を示すとする報告もある (ATSDR (2016))。
(6) 本物質 (50%) はウサギを用いた眼刺激性試験において、非刺激性であった (EURAR (2008)、AICIS IMAP (Access on April 2020))。
(7) 本物質はウサギの粘膜刺激性を示す (HSDB (Access on April 2020))。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
4 皮膚感作性 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1) より、区分に該当しないとした。新たなデータが得られたことから分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) 本物質のモルモット (10 匹、性別不明) を用いた皮膚感作性試験 (マキシマイゼーション法) で陰性と報告されている (厚労省リスク評価書 (2009)、NITE初期リスク評価書 (2005)、ATSDR (2016)、EURAR (2008)、MAK (DFG) vol.6 (1994)、GESTIS (Access on April 2020)、AICIS IMAP (Access on April 2020))。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
5 生殖細胞変異原性 区分2


警告
H341 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
【分類根拠】
(1)~(3) より、区分2とした。

【根拠データ】
(1) in vivoでは、ラット及びマウスの優性致死試験で陰性、ラットの肝細胞や末梢血を用いた染色体異常試験で陽性及び陰性、マウスの骨髄を用いた小核試験で陽性及び陰性、ラットの肝細胞を用いた不定期DNA合成試験で陽性及び陰性、ラットの肝臓等を用いたDNA結合試験において陽性の報告がある。また、イヌの骨髄及び腎臓を用いた染色体異常試験において陰性、ラット肝臓を用いたコメットアッセイで陰性の報告がある (ATSDR (2016)、EURAR (2008)、NITE初期リスク評価書 (2005)、MOE初期評価第5巻 (2006)、IARC65 (1996))。また、げっ歯類において精子形態異常はみられなかったとの報告がある (MOE初期評価第5巻 (2006))。
(2) in vitroでは、ラットの生殖細胞においてDNA切断を誘発したとの報告がある (ATSDR (2016)、MOE初期評価第5巻 (2006))。また、細菌の復帰突然変異試験で陽性及び陰性の報告が多数ある。哺乳類培養細胞の遺伝子突然変異及び姉妹染色分体交換試験において陽性及び陰性の結果が報告されている(ATSDR (2016)、EURAR (2008)、NITE初期リスク評価書 (2005)、MOE初期評価第5巻 (2006)、IARC65 (1996))。
(3) 職業ばく露において本物質を含む混合物にばく露されたヒトのリンパ球において染色体異常の誘発が報告されている (ATSDR (2016)、NITE初期リスク評価書 (2005)、EURAR (2008))。

【参考データ等】
(4) EU CLP分類でMuta. 2に分類されている (EU CLP分類(Access on April 2020))。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
6 発がん性 区分1B


危険
H350 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
【分類根拠】
(1) の既存分類では、IARCで2B、産衛学会で第2群Bに分類されている一方、EU CLPでは1Bに分類されている。(2)、(3) より実験動物2種で発がん性の証拠があることから、区分1Bとした。

【根拠データ】
(1) 国内外の分類機関による既存分類では、IARCで2B (IARC 65 (1996))、EU CLPでCarc.1B (EU CLP分類 (Access on April 2020))、産衛学会では2, 4-(または 2, 6-)ジニトロトルエン (CAS番号 121-14-2) として第2群B (産業衛生学会誌許容濃度の勧告 (1998年提案)) に分類されている。また、EPAで2,4-/2,6-Dinitrotoluene mixtureとしてB2 (probable human carcinogen) (IRIS (1990)) に分類されている。
(2) 雌雄のマウスに本物質を24ヵ月間混餌投与した試験において、雄で腎臓の腺腫またはがんの誘発がみられた (厚労省リスク評価書 (2009))。
(3) 雌雄のラットに本物質を24ヵ月間混餌投与した試験において、雌で肝細胞がん、乳腺の線維腺腫の発生率の増加が、雄で皮膚の線維腫の発生率の増加がみられた (厚労省リスク評価書 (2009))。

【参考データ等】
(4) ヒトでは本物質と2,6-DNTの混合物にばく露された作業者の間に肝臓及び胆嚢の発がんリスクの増加が米国の作業者を対象としたコホート研究でみられたとする報告と、このような発がんリスクの増加は検出されなかったとの報告があり、結果に一貫性がなく、IARCでは本物質を含むジニトロトルエン類の発がん性に関するヒトでの証拠は不十分であると結論された (IARC 65 (1996))。
(5) ジニトロトルエンのプロモーション活性の有無を検討するために、雄ラットにN-ニトロソジエチルアミンを単回腹腔内投与した2週間後から本物質、2,6-DNT及び異性体混合物 (2,3-DNT 1.5%、本物質 76.5 %、2,5-DNT 0.7%、2,6-DNT 18.8%、3,4-DNT 2.4%、3,5-DNT 0.1%) を投与し、肝臓のγ-GTP陽性細胞巣を指標とする系を用いた試験では、いずれの物質においてもプロモーション活性が認められ、2,6-DNTの活性は本物質よりも約10倍高かった (厚労省リスク評価書 (2009)、MOE初期評価第5巻 (2006))。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
7 生殖毒性 区分2


警告
H361 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
【分類根拠】
(1)~(6) より、雄性生殖器毒性に関連すると考えられる生殖能に対する影響が親動物毒性用量でみられている。したがって、区分2とした。

【根拠データ】
(1) ラットを用いた混餌投与による3世代生殖毒性試験において、親動物毒性 (F0及びF1親動物: 体重減少) のみられる用量で、F1親動物で受胎率の低下、平均同腹児数の減少、F1新生児の生存率低下がみられている (EURAR (2008)、MOE初期評価第5巻 (2006))。
(2) 雄ラットに強制経口投与したのち無処置の雌と交配した試験において、雄親動物毒性 (チアノーゼ) がみられる用量で、交配率減少、着床前胚吸収の増加がみられている (EURAR (2008)、NITE初期リスク評価書 (2005))。
(3) 雄ラットに3週間混餌投与した試験において、精子濃度の低下、血清ホルモンレベル (LH、FSH) の増加、精巣の形態学的変化 (精母細胞、精子細胞の変性変化、セルトリ細胞の空胞化等) がみられている (EURAR (2008)、NITE初期リスク評価書 (2005))。
(4) 雌雄ラットに14日間混餌投与した試験において、雄で精子形成細胞層の厚さの減少、精子数減少がみられ、雌の生殖器に影響はみられていない (EURAR (2008))。
(5) 種々のジニトロトルエン (DNT) 異性体 (2,3-DNT、本物質、2,5-DNT、2,6-DNT、3,4-DNT、3,5-DNT) について雄ラットを用いた14日間反復投与毒性試験が実施された。その結果、本物質、2,6-DNT及び3,5-DNTで雄性生殖器に影響 (精巣の矮小、精巣の重量減少、精細管の変性及び精巣における多核巨細胞形成等) がみられ、本物質では142 mg/kg/day、2,6-DNTでは68 mg/kg/day、3,5-DNTでは19 mg/kg/dayで同様な影響がみられた。一方、2,3-DNT、2,5-DNT及び3,4-DNTでは、雄性生殖器に影響 (精巣及び精巣上体の重量及び病理組織学的影響等) はみられていない (ATSDR (2016))。
(6) 雄ラット、雄マウス、雄イヌに13週間経口投与した試験において、いずれの種においても精子形成抑制がみられ、ラットではさらに精巣萎縮がみられている (EURAR (2008))。

【参考データ等】
(7) EU CLP分類ではRepr. 2に分類されている (EU CLP分類(Access on April 2020))。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1 (血液系)、区分3 (麻酔作用)



危険
警告
H370
H336
P308+P311
P260
P264
P270
P321
P405
P501
P304+P340
P403+P233
P261
P271
P312
【分類根拠】
(1)~(3) より、本項分類にジニトロトルエン (異性体混合物) のデータを適用し、区分1 (血液系)、区分3 (麻酔作用) とした。異性体混合物の情報の参照により、旧分類から分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) ジニトロトルエンの一般的な組成は、本物質が約75%、2,6-DNTが約20%である (NITE初期リスク評価書 (2005))。
(2) ジニトロトルエンの情報として、ヒトでの急性中毒はメトヘモグロビン形成によって生じ、チアノーゼ、頭痛、過敏症、めまい、虚弱、吐き気、嘔吐、呼吸困難、嗜眠、意識喪失を引き起こし、死に至る可能性もあるとの記載がある (ACGIH (7th, 2001))。
(3) ジニトロトルエンの情報として、実験動物での急性毒性には、中枢神経抑制、呼吸抑制、筋肉協調運動障害、チアノーゼが含まれるとの記載がある (ACGIH (7th, 2001))。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1 (神経系、血液系、肝臓)、区分2 (腎臓、生殖器(男性))


危険
警告
H372
H373
P260
P264
P270
P314
P501
【分類根拠】
(1)~(5) より、区分1 (神経系、血液系、肝臓)、区分2 (腎臓、生殖器 (男性)) とした。新たな情報も加えて検討し、旧分類から分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) ラットに本物質を13週間混餌投与した結果、93 mg/kg/day (区分2の範囲) の雄で小脳と脳幹の脱髄、異常歩行、網状赤血球の増加、ヘモジデリン沈着、精子形成の大幅な減少、108 mg/kg/day (区分2超) の雌で網状赤血球の増加、ヘモジデリン沈着、145 mg/kg/day (区分2超) の雌で小脳と脳幹の脱髄、異常歩行、貧血、266 mg/kg/day (区分2超) の雄で貧血がみられた (ATSDR (2016))。
(2) ラットに本物質を52週間混餌投与した結果、27 mg/kg/day (区分2の範囲) の雄で肝細胞の変性及び空胞化、好酸性及び好塩基性変異肝細胞巣がみられた (ATSDR (2016))。
(3) マウスに本物質を24ヵ月間混餌投与した結果、14 mg/kg/day (区分2の範囲) の雄で肝細胞異形成、腎臓における嚢胞状異形成、腎症、精子形成の減少、変性、精巣の萎縮がみられた (ATSDR (2016))。
(4) イヌに本物質を9ヵ月間経口投与した結果、1.5 mg/kg/day (区分1の範囲) の雌でメトヘモグロビンの増加、10 mg/kg/day (区分1の範囲) の雄でハインツ小体及びメトヘモグロビンの増加、雌で赤血球数、ヘモグロビン、ヘマトクリット値の減少、網状赤血球及びハインツ小体の増加がみられた (ATSDR (2016))。
(5) イヌに本物質を24ヵ月間経口投与した結果、1.5 mg/kg/day (区分1の範囲) で後肢のコントロール不能、痙攣、メトヘモグロビン血症が、10 mg/kg/day (区分1の範囲) で胆管の過形成がみられた (ATSDR (2016))。

【参考データ等】
(6) ジニトロトルエンの一般的な組成は、本物質が約75%、2,6-DNTが約20%である (NITE初期リスク評価書 (2005))。
(7) 職業ばく露研究及び動物試験の結果から、ジニトロトルエンにより引き起こされる最も敏感な標的毒性は血液毒性 (メトヘモグロビン血症、貧血、及び代償性造血) 及び神経系への影響 (神経毒性を示す臨床所見、運動失調、振戦、脚の衰弱、痙攣) である。動物試験では、高用量では肝臓、気道、及び生殖器への影響も示されている (ATSDR (2016))。
(8) 入手可能なヒトの情報は、適切な対照群が含まれておらず、ばく露濃度も報告されていないため、限定的な証拠である (ATSDR (2016))。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
10 誤えん有害性 分類できない
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- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
11 水生環境有害性 短期(急性) 区分1


警告
H400 P273
P391
P501
藻類(Microcystis aeruginosa)4日間IC50 = 0.49 mg/L(EURAR, 2008)であることから、区分1とした。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
11 水生環境有害性 長期(慢性) 区分1


警告
H410 P273
P391
P501
慢性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく(BIOWIN)、甲殻類(オオミジンコ)の21日間NOEC = 0.04 mg/L(SIAR, 1996)から、区分1となる。
慢性毒性データが得られていない栄養段階に対して急性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく(BIOWIN)、藻類(Microcystis aeruginosa)の4日間IC50 = 0.49 mg/L(EURAR, 2008)から、区分1となる。
以上の結果から、区分1とした。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
12 オゾン層への有害性 分類できない
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- - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。

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