項目 | 情報 |
---|---|
CAS登録番号 | 12427-38-2 |
名称 | N,N'-エチレンビス(ジチオカルバミン酸)マンガン (別名:マンネブ) |
物質ID | m-nite-12427-38-2_v1 |
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項目 | 情報 |
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危険有害性項目 | 分類結果 | 絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | 分類実施年度 | 分類ガイダンス等 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 爆発物 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 爆発性に関連する原子団を含んでいない。 | 平成29年度(2017年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
2 | 可燃性ガス | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 | 平成29年度(2017年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
3 | エアゾール | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | エアゾール製品ではない。 | 平成29年度(2017年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
4 | 酸化性ガス | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 | 平成29年度(2017年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
5 | 高圧ガス | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 | 平成29年度(2017年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
6 | 引火性液体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 | 平成29年度(2017年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
7 | 可燃性固体 | 分類できない |
- |
- | - | 可燃性 (ICSC (J) (2003)) という情報があるが、データがなく分類できない。 | 平成29年度(2017年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
8 | 自己反応性化学品 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。 | 平成29年度(2017年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
9 | 自然発火性液体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 | 平成29年度(2017年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
10 | 自然発火性固体 | 区分に該当しない |
- |
- | - | UNRTDGにおいて、マンネブ又はマンネブ混合物 (マンネブの含有率が60質量%以上のもの) が、UN 2210、クラス4.2、副次4.3、PGⅢに分類されており、優先評価項目の自然発火性固体には該当しない。 | 平成29年度(2017年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
11 | 自己発熱性化学品 | 区分2 |
警告 |
H252 | P235 P280 P407 P410 P413 P420 |
UNRTDGにおいて、マンネブ又はマンネブ混合物 (マンネブの含有率が60質量%以上のもの) が、UN 2210、クラス4.2、副次4.3、PGⅢに分類されている。 | 平成29年度(2017年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
12 | 水反応可燃性化学品 | 区分3 |
警告 |
H261 | P231+P232 P370+P378 P402+P404 P280 P501 |
UNRTDGにおいて、マンネブ又はマンネブ混合物 (マンネブの含有率が60質量%以上のもの) が、UN 2210、クラス4.2、副次4.3、PGⅢに分類されている。なお、マンネブ、安定化されたもの又はマンネブ混合物、安定化されたもの、自己発熱防止のものが、UN 2968、クラス4.3、PGⅢに分類されている。 | 平成29年度(2017年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
13 | 酸化性液体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 | 平成29年度(2017年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
14 | 酸化性固体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 酸素、フッ素及び塩素を含まない有機化合物である。 | 平成29年度(2017年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
15 | 有機過酸化物 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物である。 | 平成29年度(2017年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
16 | 金属腐食性化学品 | 分類できない |
- |
- | - | 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。 | 平成29年度(2017年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
17 | 鈍性化爆発物 | - |
- |
- | - | - | - | - |
危険有害性項目 | 分類結果 | 絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | 分類実施年度 | 分類ガイダンス等 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 急性毒性(経口) | 区分に該当しない |
- |
- | - | ラットのLD50値として、3,000 mg/kg、4,400 mg/kg (HSDB (Access on August 2017))、4,500 mg/kg (EHC 78 (1988))、6,750 mg/kg (EHC 78 (1988)、HSDB (Access on August 2017))、7,950 mg/kg (雄)、8,780 mg/kg (雌) (農薬工業会 (農薬時報別冊「農薬技術情報」14号) (1993))、> 5,000 mg/kg (EPA Pesticide (2005)) の7件の報告があり、全て区分外 (うち3件は国連分類基準の区分5) に該当する。以上より区分外とした。 | 平成29年度(2017年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分に該当しない |
- |
- | - | ウサギのLD50値として、> 2,000 mg/kg (EPA Pesticide (2005))、> 5,000 mg/kg (HSDB (Access on August 2017)) の2件の報告があり、いずれも区分外に該当する。ラットのLD50値として、> 5,000 mg/kg (HSDB (Access on August 2017)、農薬工業会 (農薬時報別冊「農薬技術情報」14号) (1993)) との報告があり、区分外に該当する。以上より区分外とした。 | 平成29年度(2017年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 | 平成29年度(2017年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 | 平成29年度(2017年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。旧分類が用いた農薬登録申請資料 (2005) は入手できず確認不能のため使用しなかった。ラットのLC50値として、> 1.3 mg/L (EPA Pesticide (2005))、> 3.83 mg/L (農薬工業会 (農薬時報別冊「農薬技術情報」14号) (1993)) との報告があるが、いずれもばく露時間の記載がないため不採用とした。他にLC50値の情報がないため、分類できないとした。したがって旧分類から分類結果を変更した。 | 平成29年度(2017年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。なお、皮膚刺激性はなしとの記載 (EPA Pesticide (2005)) がある。また、労働基準法施行規則別表第一の二第四号1の「厚生労働大臣が指定する単体たる化学物質及び化合物並びに厚生労働大臣が定める疾病」に、本物質が皮膚障害を起こす化学物質として記載されている。旧分類が根拠とした農薬登録申請資料 (1970) は入手できず、今回の調査で入手した情報に基づき分類結果を変更した。 | 平成29年度(2017年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2A |
警告 |
H319 | P305+P351+P338 P337+P313 P264 P280 |
ウサギを用いた眼刺激性試験 (OECD TG 405準拠) で結膜に適用1、2、3日目に6匹全てに発赤、浮腫を認めたが7日目には2匹が回復せず、眼刺激性指数MMAS (Modified Maximum Average Score: AOIに相当、最大値110) が14.3であった (ECETOC TR48 (1998))。 また、ウサギを用いた別の試験で、本物質適用の24時間後に非洗浄群全例で発赤や浮腫がみられ、び漫性充血や眼瞼の外反を伴った腫脹が発現したが、6日後には全て消失した。一方、洗浄群では発赤や浮腫が全例にみられたが、それぞれ2日後及び8日後に全て消失した。これらから、本物質は眼刺激性を有すると考えられたとの記載 (農薬時報別冊「農薬技術情報」14号 (1993)) がある。よって、区分2Aとした。。旧分類が根拠とした農薬登録申請資料 (1985) は入手できず、使用しなかった。なお、EU CLP分類において本物質はEye Irrit. 2, H319 に分類されている (ECHA CL Inventory (Access on August 2017))。 | 平成29年度(2017年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。 |
平成29年度(2017年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
4 | 皮膚感作性 | 区分1 |
警告 |
H317 | P302+P352 P333+P313 P362+P364 P261 P272 P280 P321 P501 |
モルモットを用いたマキシマイゼーション試験で、本物質は強い感作性を示したとの記載 (Contact Dermatitis (5th ed (2011), Frosch)) がある。また、本物質の取扱い施設において有害事象が生じた3名のボランティアによるパッチテストで本物質による皮膚感作であることが示されたとの記載 (HSDB (Access on August 2017)) や、ヒトの事例で本物質を単独で使用したか本物質が健康障害の原因と判断された18例のうち12例は野外の残留物質にばく露後に発疹を生じており、本物質の皮膚感作性を示しているとの記載 (EPA Pesticide (2005)) がある。よって、区分1とした。旧分類が根拠とした農薬登録申請資料 (2005) は入手できず、使用しなかった。なお、EU CLP分類において本物質はSkin Sens. 1, H317 に分類されている (ECHA CL Inventory (Access on August 2017))。 | 平成29年度(2017年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
5 | 生殖細胞変異原性 | 分類できない |
- |
- | - | ガイダンスの改訂により区分外が選択できなくなったため、分類できないとした。すなわち、in vivoでは、マウスの優性致死試験で陰性、マウス (臓器は不記載) の小核試験で陰性、ラット、マウス及びチャイニーズハムスターの骨髄細胞を用いた染色体異常試験で陰性 (JMPR (1993))、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陽性、陰性の結果、チャイニーズハムスターCHO細胞の遺伝子突然変異試験で陰性、姉妹染色分体交換試験で弱い陽性である (EHC 78 (1988)、HSDB (Access on August 2017)、農薬時報別冊「農薬技術情報」14号 (1993)、JMPR (1993))。JMPRは、本物質は遺伝毒性がないと結論している (JMPR (1993))。 なお、旧分類に記載の農薬登録申請資料は確認できなかった。 |
平成29年度(2017年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
6 | 発がん性 | 区分2 |
警告 |
H351 | P308+P313 P201 P202 P280 P405 P501 |
ヒトでの発がん性に関する報告はない。実験動物では、2系統のマウスに経口投与 (4週齢まで46.4 mg/kg/dayで強制経口投与後、78週齢まで158 ppmで混餌投与) した試験で、腫瘍発生の増加はみられなかったが、別途マウスに 500 mg/kg/dayを9ヵ月間強制経口投与した試験で肺腺腫の有意な増加がみられたとの報告がある (IARC 12 (1976)、EHC 78 (1988))。また、マウスに最大2,400 ppmを18ヵ月間混餌投与した試験においても、2,400 ppmで肝細胞腺腫及び肺胞上皮腺腫の頻度増加がみられた (HSDB (Access on August 2017)、EPA Pesticide (2005))。一方、ラットに335 mg/kg/dayを生涯強制経口投与した試験では、22ヵ月後に1例で皮下の横紋筋肉腫、他の1例で乳腺がんがみられただけであった (IARC 12 (1976)) が、ラットに最大2,500 ppmを2年間混餌投与した試験では1,250 ppmで腺腫様甲状腺腫、2,500 ppmで甲状腺の腺腫及びがんが認められたとの報告がある (農薬時報別冊「農薬技術情報」14号 (1993))。既存分類ではIARCがグループ3に (IARC Suppl. 7 (1987))、EPAがグループB (Probable human carcinogen) に分類している (Chemicals Evaluated for Carcinogenic Potential: Annual Cancer Report (2016): 1999年評価)。 以上、IARCよりも評価年の新しいEPAの分類結果からは区分1Bが支持されるが、実験動物2種での試験結果はほとんどが良性腫瘍の頻度増加であることを踏まえれば、実験動物における発がん性の証拠は十分とは言えず限定的と考えられ、本項は区分2が妥当と判断した。なお、旧分類とは異なる情報源を利用したため、分類結果が変わった。 |
平成29年度(2017年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
7 | 生殖毒性 | 区分1B |
危険 |
H360 | P308+P313 P201 P202 P280 P405 P501 |
ラットを用いた混餌投与による3世代試験では250 ppmまでの用量で生殖指標への影響は示されなかったが、ラットに14~700 mg/kg/dayを4.5ヵ月間経口投与した試験では全用量群で生殖器官への影響がみられ、受胎率の低下を生じたとの報告がある (EHC 78 (1988)、HSDB (Access on August 2017))。一方、妊娠ラットに1,000~4,000 mg/kgを妊娠11~13日に単回経口投与した試験で、頭蓋顔面部、尾椎骨、口蓋、四肢、尾に奇形を示したとの報告、同じく妊娠ラットに400~1,420 mg/kgを妊娠11日に単回経口投与した試験で、770 mg/kg/day以上で口蓋裂、水頭症、その他の奇形がみられたとの報告、及び妊娠ラットに器官形成期 (妊娠7~16日) に480 mg/kg/dayを投与した試験でも胎児に水頭症がみられたとの報告がある (EHC 78 (1988)、HSDB (Access on August 2017))。一方、妊娠マウスの器官形成期に最大1,500 mg/kg/dayを投与した試験では、母動物毒性がみられた1,500 mg/kg/dayまで、胎児には骨化遅延がみられただけで奇形はみられなかった (EHC 78 (1988)、HSDB (Access on August 2017))。この他、日本産業衛生学会はマンガン及びマンガン化合物に対し、生殖毒性第2群に分類している (産衛学会許容濃度の勧告 (2017))。 以上、ラットを用いた生殖発生毒性試験において、親動物の一般毒性影響の記載はないが、親動物の生殖器官・生殖能への影響、及び胎児に奇形の発生がみられていること、並びに日本産業衛生学会の分類結果を踏まえ、本項は区分1Bとした。なお、EUは本物質を Repr. 2に分類している (ECHA CL Inventory (Access on August 2017))。旧分類とは異なる情報源を利用したため、分類結果が変わった。 |
平成29年度(2017年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。ラットを用いた試験で、本物質及び他のジチオカルバメート系農薬であるジネブ (CAS番号 12122-67-7) 又はマンコゼブ (CAS番号 8018-01-7) の単回経口投与により、用量依存的に鎮静、筋無力症、緊張低下、協調運動阻害、運動麻痺、四肢の麻痺、全身性衰弱、食欲低下、虚脱が認められたとの報告 (EHC 78 (1988)) があるが、用量の記載がなく詳細不明であるため、不採用とした。また、旧分類が引用した農薬登録申請資料 (1974) の情報も、入手不能のため確認できなかった。他に根拠となる情報がないため、分類できないとした。 | 平成29年度(2017年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分1(神経系、甲状腺)、区分2(下垂体、腎臓) |
危険 警告 |
H372 H373 |
P260 P264 P270 P314 P501 |
ヒトについては、本物質単独の影響によると断定できないが、混合農薬 (ジネブ及び本物質を含む) を慢性的にばく露された131人のオランダ人球根栽培従事者及び対照67人のグループについて、末梢神経及び自律神経の機能を比較した結果、自律及び末梢神経の機能ともに、ばく露量に依存して機能低下を示したという報告がある (CICAD 12 (1999))。ブラジルで少なくとも6 ヵ月間本物質 (製剤や薫蒸剤) に接していた50人の農業労働者に頭痛、倦怠感、神経質、記憶障害あるいは眠気だけではなく、高い頻度で歯車様徴候を伴う筋固縮が発現した。しかしながら、両者の研究では対象者は他の物質にもばく露されており、これらの影響が本物質だけに起因していない可能性もあるとの報告がある (CICAD 12 (1999))。また、2名の若いブラジルの農業従事者に、パーキンソン症候群がみられ、37才のイタリア人男性が慢性的に皮膚及び吸入によってばく露された後に、パーキンソニズムが発生したとの報告がある (CICAD 12 (1999))。また、本物質ではないがマンガン化合物に経口又は吸入経路で過剰にばく露されると、慢性影響として歩行障害、言語障害などパーキンソン病に類似したマンガン中毒の症状がみられるとの記載 (NITE初期リスク評価書 (2008))、マンガン化合物の職業ばく露によるマンガニズム (パーキンソニズム様症状を引き起こすような神経学的及び神経精神病の症状) や、飲水ばく露によるマンガニズム様の症状の発現の報告がある (CICAD 12 (1999))。 実験動物については、種々の動物を用いた試験において、主に甲状腺に対する影響がみられている。そのうち、イヌを用いた13週間混餌投与試験において、区分1のガイダンス値の範囲内である400 ppm (ガイダンス値換算: 10 mg/kg/day) で甲状腺濾胞上皮細胞過形成の報告 (JMPR (1993))、ラットを用いた13週間混餌投与試験において、区分2のガイダンス値の範囲内である250 ppm (ガイダンス値換算: 12.5 mg/kg/day) 以上で腎臓の尿細管上皮の変性、甲状腺の濾胞内コロイド増加がみられ、また、別のラットを用いた13週間混餌投与試験において、区分2のガイダンス値の範囲内である500 ppm (ガイダンス値換算: 25 mg/kg/day) 以上で体重増加抑制、1,250 ppm (ガイダンス値換算: 62.5 mg/kg/day) 以上で甲状腺の濾胞上皮の肥大、過形成、濾胞内コロイド減少、下垂体前葉における好塩基性細胞の巣状又は多巣状増殖がみられたとの報告がある (農薬工業会 (農薬時報別冊「農薬技術情報」14号) (1993))。 以上、ヒトにおいて本物質単独の影響とは断定できないが神経系への影響が示唆され、また、神経系に対する影響が示唆されているマンガンを含むこと、実験動物については甲状腺への影響がみられた他、下垂体、腎臓への影響がみられている。下垂体前葉の所見は甲状腺刺激ホルモン (TSH) 産生の亢進を示していると考えられる。したがって、区分1 (神経系、甲状腺)、区分2 (下垂体、腎臓) とした。 なお、農薬登録申請資料 (1974、2005) が得られなかったため旧分類と分類結果が異なった。 |
平成29年度(2017年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
10 | 誤えん有害性 | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。 | 平成29年度(2017年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
危険有害性項目 | 分類結果 | 絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | 分類実施年度 | 分類ガイダンス等 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
11 | 水生環境有害性 短期(急性) | 区分1 |
警告 |
H400 | P273 P391 P501 |
甲殻類(アミ)96時間EC50 = 0.003 mg/L(EPA RED:2005)であることから、区分1とした。 | 平成29年度(2017年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
11 | 水生環境有害性 長期(慢性) | 区分1 |
警告 |
H410 | P273 P391 P501 |
慢性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく(難分解性、BODによる平均分解度:1% (化審法DB:2005))、藻類(Chlorella pyrenoidosa)の96時間NOEC(バイオマス)= 0.001 mg/L(EPA AQUIRE:2017, Ma,J.P. et al(2007))であることから、区分1となる。 慢性毒性データが得られていない栄養段階に対して急性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく(難分解性、BODによる平均分解度:1% (化審法DB:2005))、甲殻類(アミ)96時間EC50 = 0.003 mg/L(EPA RED:2005)であることから、区分1となる。 以上の結果から、区分1とした。 |
平成29年度(2017年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない |
- |
- | - | データなし | 平成29年度(2017年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
|