NITE統合版 政府によるGHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 1303-28-2
名称 五酸化ニ砒素
物質ID m-nite-1303-28-2_v2
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関連情報
項目 情報
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物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
1 爆発物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 爆発性に関連する原子団を含んでいない。 令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
2 可燃性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
3 エアゾール 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - エアゾール製品でない。 令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
4 酸化性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
5 高圧ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
6 引火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
7 可燃性固体 区分に該当しない
-
-
- - 不燃性(ICSC (2013))との情報により、区分に該当しない。 令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
8 自己反応性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。 令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
9 自然発火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
10 自然発火性固体 区分に該当しない
-
-
- - 不燃性(ICSC (2013))との情報により、区分に該当しない。 令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
11 自己発熱性化学品 区分に該当しない
-
-
- - 不燃性(ICSC (2013))との情報により、区分に該当しない。 令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
12 水反応可燃性化学品 区分に該当しない
-
-
- - 半金属(As)を含むが、水溶解度は65.8 g/100 mL(20℃)(ICSC (2018))との測定データが得られており、水と急激な反応をしないと考えられる。 令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
13 酸化性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
14 酸化性固体 分類できない
-
-
- - 酸素を含む無機化合物であるが、データがなく分類できない。 令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
15 有機過酸化物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 無機化合物である。 令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
16 金属腐食性化学品 分類できない
-
-
- - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。なお、水や湿気の存在下で、多くの金属を侵すとの情報(ICSC (2013))がある。 令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
17 鈍性化爆発物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 爆発性に関連する原子団を含んでいない。 令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
1 急性毒性(経口) 区分2


危険
H300 P301+P310
P264
P270
P321
P330
P405
P501
【分類根拠】
(1)より、区分2とした。

【根拠データ】
(1)ラットのLD50:8 mg/kg(AICIS IMAP (2013)、HSDB in PubChem (Accessed Aug. 2022))
令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
1 急性毒性(経皮) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足ため分類できない。
令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
1 急性毒性(吸入:ガス) 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 【分類根拠】
GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足ため分類できない。
令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足ため分類できない。
令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2


警告
H315 P302+P352
P332+P313
P362+P364
P264
P280
P321
【分類根拠】
(1)より、区分2とした。なお、新たな知見に基づき、分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1)本物質が皮膚と接触することにより、紅斑、火傷のような熱感、痛み、掻痒性皮疹、腫れ、発疹が生じるとの報告がある(AICIS IMAP (2013))。
令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2


警告
H319 P305+P351+P338
P337+P313
P264
P280
【分類根拠】
(1)より、区分2とした。

【根拠データ】
(1)本物質は眼刺激性を生じ、痒み、熱感、結膜炎、流涙、複視、羞明、視界の暗さ、眼の傷害や病変の発生を引き起こすとの報告がある(AICIS IMAP (2013))。

【参考データ等】
(2)無機ヒ素化合物の場合、ヒ素の粉塵が上気道と眼に刺激を生じ、眼の痒み、熱感及び流涙などで特徴づけられる結膜炎を生じる(HSDB in PubChem (Accessed Aug. 2022))。
令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
4 皮膚感作性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。

【参考データ等】
(1)本物質は皮膚感作性を生じる可能性があるとの記載がHSDBにあるが、詳細は不明である(AICIS IMAP (2013)、HSDB in PubChem (Accessed Aug. 2022))。
令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
5 生殖細胞変異原性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データがなく分類できない。

【参考データ等】
(1)In vitroでは、本物質を含む混合物(五酸化二ヒ素、ヒ酸水素二ナトリウム、オルトヒ酸)を対象にしたヒトリンパ球白血球を用いた染色体異常試験で陽性の報告がある。(食安委 汚染物質評価書 (2013)、CERI 有害性評価書 (2008))。
令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
6 発がん性 区分1A


危険
H350 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
【分類根拠】
本物質の直接的な証拠はないが、(1)の既存分類結果より無機ヒ素化合物である本物質もヒト発がん物質として区分1Aとした。

【根拠データ】
(1)国内外の評価機関による発がん分類では、ヒ素及び無機ヒ素化合物について、IARCがグループ1に(IARC 100C (2012))、NTPがKに(NTP RoC 15th. (2021))、ACGIHがA1に(ACGIH-TLV (2022))、日本産業衛生学会が第1群に(産衛学会許容濃度の勧告等 (2021):1981年提案)、DFGがCategory 1に分類している。EUは本物質について、Carc. 1Aに分類している(CLP分類結果 (Accessed Aug. 2022))。

【参考データ等】
(2)飲料水中のAs(V) は、ほとんどの動物種で血中ではAs(III)として検出される(食安委 汚染物質評価書 (2013))。すなわち、As(V)は生体内でAS(III)に還元され、メチル化された最終代謝物が尿中に排泄される(AICIS IMAP (2013)、CERI 有害性評価書 (2008))。
令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
7 生殖毒性 区分1A


危険
H360 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
【分類根拠】
(1)の既存分類結果、(2)の疫学研究結果は、代表的な無機ヒ素化合物である本物質についても当てはまること、(3)、(4)より、無機ヒ素化合物の生殖毒性に実験動物で十分な証拠があること、(5)、(6)より、As(V)は生体内でAS(III)に還元され、3価の代表的ヒ素化合物である三酸化二ヒ素(CAS登録番号:1327-53-3)の本項が区分1Aとされたことから、区分1Aとした。

【根拠データ】
(1)ヒ素およびヒ素化合物は、日本産業衛生学会で生殖毒性物質第1群に分類されている(日本産業衛生学会 許容濃度等の提案理由書 (2013))。
(2)無機ヒ素に汚染された飲料水のヒ素中毒の研究から、自然流産、死産、早産のリスクや出生時体重の低下が報告されている。無機ヒ素ばく露による非発がん影響として、ヒ素で汚染された飲料水を長期間摂取した地域における疫学調査では、皮膚病変、発達神経影響及び生殖・発生影響が、飲料水中無機ヒ素濃度依存的にみられたとの報告がある。(食安委 汚染物質評価書 (2013))。
(3)無機ヒ素化合物は実験動物において、胎児毒性や催奇形性を有することが知られている(AICIS IMAP (2013)、食安委 汚染物質評価書 (2013))。
(4)ヒ酸ナトリウム(As(V))について、マウスを用いた飲水経口投与による発生毒性試験(妊娠前から児動物が生まれるまで、50 μg/L)において、投与群の児動物に学習に無気力な行動、強制水泳課題での不動がみられ、うつ状態行動及びうつ状態様行動に関連する神経内分泌マーカーに変化が生じたとの報告がある。また、血清コルチコステロンの上昇、海馬のCRFR1タンパク質の減少、海馬背側部のセロトニン5HT1A 受容体結合及び受容体エフェクターカップの上昇が有意にみられ、周産期のヒ素ばく露が出生児の生後の神経行動発達に重大な影響を及ぼす可能性が示唆された(食安委 汚染物質評価書 (2013))。
(5)飲料水中のAs(V) は、ほとんどの動物種で血中ではAs(III)として検出される(食安委 汚染物質評価書 (2013))。すなわち、As(V)は生体内でAS(III)に還元され、メチル化された最終代謝物が尿中に排泄される(AICIS IMAP (2013)、CERI有害性評価書 (2008))。
(6)3価の代表的ヒ素化合物である三酸化二ヒ素(CAS登録番号:1327-53-3)の本項は区分1Aとされた(2022年度GHS分類結果)。
令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(呼吸器、消化管、心血管系、骨格筋、皮膚、神経系)


危険
H370 P308+P311
P260
P264
P270
P321
P405
P501
【分類根拠】
(1)~(4)より、区分1(呼吸器、消化管、心血管系、骨格筋、皮膚、神経系)とした。なお、本物質は(5)より、三酸化二ヒ素を含むヒ素及びヒ素化合物の知見を基に分類を行った。新たな知見に基づき分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1)ヒ素化合物の一つである三酸化二ヒ素(CAS登録番号:1327-53-3)はヒトが経口摂取した場合、致死的であると報告されている。26歳男性の1症例では2 gを摂取26時間後に消化管障害(悪心、嘔吐、腹痛、下痢)を発症し、胃腸管出血や最終的には循環器系ショックをきたし死亡した。また、混入したチョコレートを摂取した症例では、2例が消化管障害を発症し、過剰流涎、吐血もみられた。その後の検査で重度の胃炎と食道炎を伴う胃潰瘍が認められた。その他の症状として、消化管出血、心血管虚脱、腎不全、発作、脳症及び横紋筋融解が含まれたとの報告がある(AICIS IMAP (2013)、IPCS (1997))。
(2)ヒ素化合物の一つである三酸化二ヒ素(CAS登録番号:1327-53-3)が原因となった集団での急性ヒ素中毒事例がみられた。生存者63 名における推定摂取量(吸収量)は平均53 mg、100 mg 以上の摂取が4 名、50~99 mgの摂取が25 名であった。カレーに混入された三酸化二ヒ素は、大部分が余熱で溶解してイオン化し、一部は結晶のまま摂取された。カレー摂取後、約5~10 分で腹部症状を認めた。嘔気や嘔吐は患者に共通する症状で、下痢や腹痛が続いて出現した。下痢が認められたのは患者の約半数で、急性ヒ素中毒で共通する症状でないことが明らかとなった。中等及び重症者では低血圧が数日続き、頻脈、ショックもみられ、死亡した者では循環器障害が主な死因となった。重症者では中枢神経障害として、頭痛、脱力感、痙攣及び精神障害を認めた。中・重症者では約2 週間後、四肢末梢部に両側対称性末梢神経障害が出現し、感覚異常と疼痛を認めた。同時期に、重症者に皮膚障害として、紅斑性発疹(無痛)が腹部、脇の下及び首筋に認められた。さらに、爪にMees線(白線)が徐々に出現した。この他に、結膜炎、顔面浮腫、口内炎、落屑、脱毛などを少数の患者に認めた。三酸化二ヒ素の結晶を摂取した患者においては、腹部X線単純撮影でX線非透過性物質として消化管内にヒ素の点状陰影が認められたとの報告がある(食安委 汚染物質評価書 (2013))。
(3)急性ヒ素中毒の症状は、発熱、下痢、衰弱、食欲の減退、嘔吐、興奮、発疹、脱毛のほか多彩な症状を呈する。最初に口腔、食道などの粘膜刺激症状、次に焼けるような食道の疼痛や嚥下困難が起こり、数分から数時間後に悪心、嘔吐、腹痛、下痢などの腹部症状が出現する。重篤な場合は著明な腹痛、激しい嘔吐、水溶性下痢をきたし、脱水によるショック、筋痙攣、心筋障害及び腎障害が出現し、早い場合には24 時間以内で死亡する。また、摂取後2~3 週頃より末梢神経障害として異常感覚を主徴とする多発神経炎が出現してくるとの報告がある(食安委 汚染物質評価書 (2013))。
(4)吸入(経気道)ばく露による急性中毒については、高濃度のヒ素化合物の粉塵を吸入した場合、口腔内汚染が生ずると、嚥下によりヒ素は消化管に取り込まれ吸収される。そのことから、経口摂取と同様に、消化器症状として悪心、下痢、腹痛、更に中枢と末梢の神経障害が認められることもあるとの報告がある。高濃度のヒ素化合物の一つである三酸化二ヒ素(CAS登録番号:1327-53-3)を吸入した場合、呼吸器への刺激性と腐食性のため、鼻粘膜刺激症状、咳及び呼吸困難が出現し、肺水腫をきたして死亡することがあるとの報告がある(食安委 汚染物質評価書 (2013))。
(5)一般にAs(V)に比べ、As(Ⅲ)のほうが毒性が強いとされている。また、飲料水中のAs(V)は、ほとんどの動物種で血中ではAs(Ⅲ)として検出されるとしている(食安委 汚染物質評価書 (2013))。
令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(呼吸器、消化管、肝臓、腎臓、皮膚、血管、血液系、神経系)


危険
H372 P260
P264
P270
P314
P501
【分類根拠】
(1)~(3)より、三酸化二ヒ素を含むヒ素及びヒ素化合物におけるヒト知見において、呼吸器、消化管、肝臓、腎臓、皮膚、血管、血液系、神経系への影響がみられることから、区分1(呼吸器、消化管、肝臓、皮膚、血液系、神経系)とした。なお、本物質は(4)より、三酸化二ヒ素を含むヒ素及びヒ素化合物の知見を基に分類を行った。新たな知見に基づき分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1)ヒ素化合物の一つである三酸化二ヒ素(CAS登録番号:1327-53-3)が混入した粉ミルクを摂取した患児にみられた亜急性中毒症状は、発熱、咳嗽、鼻漏、結膜炎、嘔吐、下痢、黒皮症、肝腫及び腹部膨満であり、臨床検査異常としては貧血、顆粒球数減少、心電図異常、長管骨骨端部X線像の帯状陰影などが報告された。15年目以降における追跡調査結果では、成長の遅れ、白斑黒皮症、角化症、難聴、精神発達遅延、てんかん等の脳障害が認められた。事件発生後50年以上が経過した時点で実施された被害者6,104 名(男性3,738 名、女性2,366 名)を対象とした前向きコホート研究(1982~2006 年)で、一般住民と比較して本事件の被害者の神経系の疾患による死亡リスクが有意に高かったと報告されているとの報告がある(食安委 汚染物質評価書 (2013))。
(2)無機ヒ素化合物による慢性中毒の主な標的臓器は、経口摂取では消化管(吐気、嘔吐、下痢)、神経系(多発性神経症、多発性神経炎、精神疾患)、血液系(貧血、再生不良貧血(1症例))、吸入ばく露では呼吸器(刺激症状、鼻中隔穿孔)、経皮ばく露では皮膚(刺激症状、潰瘍、水疱形成)であるとの報告がある(IPCS PIM 42 (1992))。
(3)ヒ素による慢性中毒症状として最も特異的な症状は皮膚(黒皮症、色素脱出、過角化、潰瘍等)と血管系(末梢血管炎症、先端紫藍症、レイノー減少)であり、その他に貧血、門脈性肝硬変、腎障害がみられる。経気道ばく露の場合、刺激症状、鼻中隔のびらん、壊死、さらに穿孔、慢性気管支炎を生じるとの報告がある(産衛学会許容濃度の勧告等 (2000)、CERI有害性評価書 (2008))。
(4)一般にAs(V)に比べ、As(Ⅲ)のほうが毒性が強いとされている。また、飲料水中のAs(V)は、ほとんどの動物種で血中ではAs(Ⅲ)として検出されるとしている(食安委 汚染物質評価書 (2013))。
令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
10 誤えん有害性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
11 水生環境有害性 短期(急性) 区分1


警告
H400 P273
P391
P501
甲殻類(アメリカイチョウガニ)96時間LC50 = 0.232 mg/L(NITE初期リスク評価書, 2008)であることから、区分1とした。新たな情報の使用により、旧分類から分類結果が変更となった。 令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
11 水生環境有害性 長期(慢性) 区分1


警告
H410 P273
P391
P501
慢性毒性データを用いた場合、急速分解性に関する十分なデータが得られておらず、魚類(ファットヘッドミノー)の30日間NOEC = 0.53 mg As/L(本物質換算値:1.63 mg/L)(NITE初期リスク評価書, 2008)から、区分に該当しないとなる。
慢性毒性データが得られていない栄養段階(藻類、甲殻類)に対して急性毒性データを用いた場合、急速分解性に関する十分なデータが得られておらず、甲殻類(アメリカイチョウガニ)の96時間LC50 = 0.232 mg/L(NITE初期リスク評価書, 2008)から、区分1となる。
以上の結果を比較し、区分1とした。新たな情報の使用により、旧分類から分類結果が変更となった。
令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
12 オゾン層への有害性 分類できない
-
-
- - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)


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  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。

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