項目 | 情報 |
---|---|
CAS登録番号 | 1313-27-5 |
名称 | 酸化モリブデン(VI) |
物質ID | m-nite-1313-27-5_v1 |
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項目 | 情報 |
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危険有害性項目 | 分類結果 | 絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | 分類実施年度 | 分類ガイダンス等 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 爆発物 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 分子内に爆発性に関連する原子団を含んでいないため、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。 | 令和元年度(2019年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用 |
2 | 可燃性ガス | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における固体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。 | 令和元年度(2019年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用 |
3 | エアゾール | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | エアゾール製品でないため、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。 | 令和元年度(2019年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用 |
4 | 酸化性ガス | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における固体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。 | 令和元年度(2019年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用 |
5 | 高圧ガス | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における固体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。 | 令和元年度(2019年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用 |
6 | 引火性液体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における固体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。 | 令和元年度(2019年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用 |
7 | 可燃性固体 | 区分に該当しない |
- |
- | - | 不燃性 (GESTIS (Access on May 2019)) との情報より、ガイダンスにおける区分に該当しないに相当し、区分に該当しない。 | 令和元年度(2019年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用 |
8 | 自己反応性化学品 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいないため、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。 | 令和元年度(2019年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用 |
9 | 自然発火性液体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における固体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。 | 令和元年度(2019年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用 |
10 | 自然発火性固体 | 区分に該当しない |
- |
- | - | 不燃性 (GESTIS (Access on May 2019)) との情報より、ガイダンスにおける区分に該当しないに相当し、区分に該当しない。 | 令和元年度(2019年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用 |
11 | 自己発熱性化学品 | 区分に該当しない |
- |
- | - | 不燃性 (GESTIS (Access on May 2019)) との情報より、ガイダンスにおける区分に該当しないに相当し、区分に該当しない。 | 令和元年度(2019年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 区分に該当しない |
- |
- | - | 金属 (Mo) を含むが、水溶解度は0.49 g/1,000 mL (28℃) (HSDB (Access on May 2019)) との測定結果があり水と激しく反応することはないと考えられるため、ガイダンスにおける区分に該当しないに相当し、区分に該当しない。 | 令和元年度(2019年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用 |
13 | 酸化性液体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における固体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。 | 令和元年度(2019年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用 |
14 | 酸化性固体 | 分類できない |
- |
- | - | 酸素を含む無機物質であるが、データがなく分類できない。 | 令和元年度(2019年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用 |
15 | 有機過酸化物 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 無機物質であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。 | 令和元年度(2019年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用 |
16 | 金属腐食性化学品 | 分類できない |
- |
- | - | 固体状の物質に適した試験方法が確立されていないため、分類できない。 | 令和元年度(2019年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用 |
17 | 鈍性化爆発物 | 区分に該当しない |
- |
- | - | 爆発性に関連する原子団を含まないため、区分に該当しない。 | 令和元年度(2019年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用 |
危険有害性項目 | 分類結果 | 絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | 分類実施年度 | 分類ガイダンス等 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 急性毒性(経口) | 区分に該当しない |
- |
- | - | 【分類根拠】 (1) より、区分に該当しないとした。なお、旧分類では、(2) より区分3としていたが、(2) の原著の信頼性が低く、別の情報源ではこのLD50の信頼性を疑問視する記載があること (GESTIS (Access on May 2019))から、採用しなかった。 【根拠データ】 (1) ラットのLD50: 2,689、2,690 mg/kg (GESTIS (Access on May 2019)、ChemIDplus (Access on June 2019)) 【参考データ等】 (2) ラットのLD50: 125 mg/kg (DFGOT vol.18 (2002)、HSDB (Access on May 2019)) |
令和元年度(2019年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用 |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分に該当しない |
- |
- | - | 【分類根拠】 (1) より、区分に該当しないとした。 【根拠データ】 (1) ラットのLD50: > 2,000 mg/kg (GESTIS (Access on May 2019)、ChemIDplus (Access on June 2019)) |
令和元年度(2019年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 【分類根拠】 GHSの定義における固体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。 |
令和元年度(2019年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類できない |
- |
- | - | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 |
令和元年度(2019年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 区分に該当しない |
- |
- | - | 【分類根拠】 (1) より、区分に該当しないとした。なお、ばく露濃度が飽和蒸気圧濃度 (0.0000001 mg/L) よりも高いため、粉じんとしてmg/Lを単位とする基準値を適用した。 【根拠データ】 (1) ラットのLC50値 (4時間): > 5.84 mg/L (GESTIS (Access on May 2019)、ChemIDplus (Access on June 2019)) |
令和元年度(2019年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分に該当しない |
- |
- | - | 【分類根拠】 (1) より、区分に該当しないとした。 【根拠データ】 (1) OECD TG 404に準拠したウサギの皮膚刺激性試験で刺激性反応は認められず非刺激物と報告されている (REACH登録情報 (Access on June 2019))。 |
令和元年度(2019年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2 |
警告 |
H319 | P305+P351+P338 P337+P313 P264 P280 |
【分類根拠】 (1) の記載及び粉体は物理的に眼を刺激することが想定されるため区分2と判断した。なお、旧分類から区分を変更した。 【根拠データ】 (1) 本物質の粉じんが眼及び粘膜を刺激するとの記載がある (NTP TR462 (1997))。 【参考データ等】 (2 )EU-CLP分類でEye Irrit. 2 (H319) に分類されている (EU CLP分類 (Access on May 2019))。 |
令和元年度(2019年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用 |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない |
- |
- | - | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 |
令和元年度(2019年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用 |
4 | 皮膚感作性 | 分類できない |
- |
- | - | 【分類根拠】 (1)~(3) の報告はあるが、本物質の区分を判断するには不十分なデータであり、分類できないとした。 【参考データ等】 (1) ステンレス製ステント等を留置した患者に対し本物質を貼付した複数のヒトパッチテストにおいて低頻度ながら陽性の報告がある (ATSDR (2017))。 (2) モリブデン酸ナトリウム (CAS番号 7631-95-0) あるいはモリブデンペンタクロリド (CAS番号 10241-05-1) を用いたモルモットの感作性試験 (マキシマイゼーション法) において陽性の報告がある (ATSDR (2017)、DFGOT vol.18 (2002)) 。 (3) 結果の詳細は不明だが感作性陰性とするモリブデン酸ナトリウムを用いたモルモットの感作性試験 (マキシマイゼーション法) 及びモリブデンペンタクロリドのC58Bl/6マウスを用いた局所リンパ節試験 (LLNA) で陰性の報告がある (DFGOT vol.18 (2002)) |
令和元年度(2019年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 分類できない |
- |
- | - | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 【根拠データ】 (1) in vivoでは、本物質の試験データはない。 (2) in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞の染色体異常試験、姉妹染色分体交換試験で陰性 (NTP TR462 (1997)、ATSDR (2017)、DFGOT vol.18 (2002)、IARC 118 (2018)、環境省リスク評価書第10巻 (2012)、ACGIH (7th, 2003))、哺乳類培養細胞の小核試験で陽性 (ATSDR (2017)、環境省リスク評価第10巻 (2012)、ACGIH (7th, 2003)) の報告がある。 【参考データ等】 (3) 可溶性モリブデン化合物のモリブデン酸ナトリウム (CAS番号 7631-95-0) に関して、腹腔内投与によるマウス優性致死試験及び腹腔内投与によるマウス骨髄細胞小核試験で陽性の報告がある (環境省リスク評価第10巻 (2012)、ATSDR (2017))。ATSDRではいずれの試験結果も弱陽性と報告されている。また、パイロット試験による予備的なデータのため、確定的な結論は導けないと原著者が結論している (ACGIH (7th, 2003)、Titenko-Holland et al., Environ Mol Mutagen 32: 251-259 (1998))。 (4) モリブデンの可溶性塩 (詳細不明) においてin vitroで細菌の復帰突然変異試験で陰性の報告がある (環境省リスク評価第10巻 (2012))。 (5) モリブデン酸ナトリウムにおいてin vitroで哺乳類培養細胞の小核試験で陽性の報告がある (環境省リスク評価第10巻 (2012))。 (6) 七モリブデン酸六アンモニウム (CAS番号 12027-67-7)、モリブデン酸ナトリウムにおいてin vitroで哺乳類培養細胞の染色体異常試験、姉妹染色分体交換試験で陽性の報告がある (環境省リスク評価第10巻 (2012))。なお、環境省リスク評価第10巻 (2012) では七モリブデン酸六アンモニウムで哺乳類培養細胞の小核試験で陽性と報告されているが、ACGIH (7th, 2003) ではモリブデン酸アンモニウムの結果として報告されている (環境省リスク評価第10巻 (2012)、ACGIH (7th, 2003))。 (7) モリブデン (CAS番号 7439-98-7)、二硫化モリブデン (MoS2、CAS番号 1317-33-5)、パラモリブデン酸アンモニウム (七モリブデン酸六アンモニウム) 及び本物質への職業ばく露によるヒト末梢血リンパ球における染色体異常の発生率増加が報告されている (DFGOT vol.18 (2002))。 (8) 可溶性モリブデン化合物であるリンモリブデン酸 (CAS番号 12026-57-2) 及びモリブデン酸ナトリウムは各々2016年度及び2015年度GHS分類において区分2に分類されている。一方、同じく可溶性モリブデン化合物であるモリブデン酸アンモニウム (CAS番号 12027-67-7) は2015年度GHS分類において分類できないとされている。 |
令和元年度(2019年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用 |
6 | 発がん性 | 区分2 |
警告 |
H351 | P308+P313 P201 P202 P280 P405 P501 |
【分類根拠】 (1) の既存分類結果から、ガイダンスに従い区分2とした。 【根拠データ】 (1) 国内外の分類機関による既存分類では、IARCがグループ2B (IARC 118 (2018))、EU CLPがCarc.2 (EU CLP分類 (Access on May 2019))、ACGIHがA3 (ACGIH (7th, 2003))、日本産業衛生学会が第2群B (産衛学会許容濃度等の勧告 (2017年提案)) に分類している。 【参考データ等】 (2) マウスを用いた2年間吸入ばく露による発がん性試験 (10、30、100 mg/m3) において、雄では細気管支肺胞上皮がん並びに細気管支肺胞上皮腺腫又はがんの有意な増加、雌では細気管支肺胞上皮腺腫並びに細気管支肺胞上皮腺腫又はがんの有意な増加が認められた。これより、雌雄マウスともに本物質の発がん性に関してある程度の証拠 (some evidence) があると結論した (NTP TR462 (1997))。 (3) ラットを用いた2年間吸入ばく露による発がん性試験 (10、30、100 mg/m3) において、雌雄ともに有意な増加を示した腫瘍の発生は認められていない (NTP TR462 (1997))。 (4) 男性の肺がん患者478人、肺がん及び肺疾患以外の男性入院患者536人を対照としたベルギーの症例対照研究で、モリブデンを含む16種類の潜在的な発がん物質に対する職業ばく露を自己申告データをもとに分類し、肺がんに対するオッズ比を求めると、モリブデンで2.1、鉱油で1.7、クロムで1.4と有意に高かった。モリブデンのオッズ比が最も高かったことから、著者らはモリブデンばく露と肺がんの関連を認めた初の研究としたが、気中濃度の測定は未実施であり、具体的なばく露物質の種類や濃度は不明であった (環境省リスク評価第10巻 (2012))。 |
令和元年度(2019年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用 |
7 | 生殖毒性 | 区分2 |
警告 |
H361 | P308+P313 P201 P202 P280 P405 P501 |
【分類根拠】 本物質に関する情報はない。また、本物質の水溶解度は0.49 g/1,000 mL (28℃) (HSDB (Access on May 2019)) と高くないものの、(1) より、経口経路で50%以上吸収されることが示されていることから、可溶性モリブデン化合物の情報を元に分類可能と判断し、(2)、(3) より、実験動物で性機能・生殖能への有害影響を生じる可能性があると考えられるため、区分2とした。 なお、可溶性モリブデン化合物の情報を加えて分類を見直し、旧分類から区分を変更した。 【根拠データ】 (1) ラットに99Mo でラベルした本物質を強制経口投与した結果、6時間後に投与量の26%、12時間後に51%が尿中に排泄され、24 時間で58%が尿中に、8%が糞中に排泄された。一方、不溶性の二硫化モリブデン (CAS番号 1317-33-5) をモルモットに経口投与した結果、肺を除いた組織中のモリブデン濃度に有意な変化はみられず、消化管からの吸収はなかったものと考えられた (環境省リスク評価第10巻 (2012))。 (2) モリブデン酸ナトリウム二水和物 (CAS番号 10102-40-6) (水溶解度は654.2 g/1,000 mL (20℃) (SIAP (2013))) を雌ラットに6週間飲水投与後、未処置雄と交配させ妊娠21日まで継続投与した試験において、性周期の延長、母動物に体重増加抑制、胎児重量の低値、胎児数の低値傾向、吸収胚の増加、胎児の臓器発達遅延がみられた (環境省リスク評価第10巻 (2012)) 。 (3) モリブデン酸ナトリウム二水和物を雌雄ラットに13週間混餌投与後、交配させた結果、80 ppm (約 8 mg/kg/day) 以上の用量で受胎率の低下がみられ、不妊のペアーの雄を未処置雌と交配させた結果、妊娠雌は得られず、不妊の原因は雄側にあると考えられた。これらの雄の精巣で精細管の変性がみられた (環境省リスク評価第10巻 (2012)) 。 【参考データ等】 (4) 本物質をラット、マウスに13週間吸入ばく露した試験において、雌雄で生殖器の重量や組織、雄で精子の数や運動性に影響はなかった (環境省リスク評価第10巻 (2012)、NTP TR462 (1997)、DFGOT vol.18 (2002))。 |
令和元年度(2019年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分3(気道刺激性) |
警告 |
H335 | P304+P340 P403+P233 P261 P271 P312 P405 P501 |
【分類根拠】 (1)、(2) より区分3 (気道刺激性) とした。旧分類は (3) の情報に基づいて心臓、腎臓及び肝臓も標的臓器としていたが、(4) では約100倍高い濃度で影響がみられなかったとされている。いずれの試験も詳細が不明であるため、根拠としなかった。したがって分類結果を変更した。 【根拠データ】 (1) 本物質へのばく露により、鼻と喉の粘膜の刺激を生じるとの記載がある (HSDB (Access on May 2019))。 (2) 本物質は、ACGIH (7th, 2003) において可溶性モリブデン化合物とされている。他の可溶性モリブデン化合物であるモリブデン酸アンモニウム (CAS番号 12027-67-7) では、ラットを用いた単回吸入ばく露試験において粉じん3,000~5,000 mg/m3、1時間のばく露で上気道と結膜の刺激性を示したとの報告がある (ACGIH (7th, 2003)、DFGOT vol.18 (2002))。 【参考データ等】 (3) ラットを用いた2時間単回吸入ばく露試験において、本物質のエアロゾル64 mg/m3 (4時間換算値: 0.032 mg/L) のばく露で2週間後に心臓、腎臓及び肝臓に萎縮が認められたが、体重への影響はみられなかったとの報告がある (DFGOT vol.18 (2002))。 (4) ラットを用いた1時間単回吸入ばく露試験において、本物質の粉じん12,000~15,000 mg/m3 (4時間換算値: 3.0~3.75 mg/L) のばく露後、4週間の観察期間中に、影響は認められなかったとの報告がある (ACGIH (7th, 2003)、DFGOT vol.18 (2002))。 |
令和元年度(2019年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用 |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分1(呼吸器、生殖器(男性))、区分2(腎臓) |
危険 警告 |
H372 H373 |
P260 P264 P270 P314 P501 |
【分類根拠】 (1)~(3) より吸入経路ではヒトで肺に対する影響を示す所見がみられ、実験動物では区分1の範囲から呼吸器に影響がみられた。経口経路での影響はモリブデンイオンによる影響と考えられ、可溶性モリブデンであるモリブデン酸ナトリウム及びモリブデン酸アンモニウムの情報を利用することが妥当と判断した。(4) 及び (5) より可溶性モリブデンについて、経口経路では、区分1の範囲から全身影響、精巣に対する影響、区分2の範囲で腎臓に対する影響が考えられた。したがって、区分1 (呼吸器、生殖器 (男性))、区分2 (腎臓) とした。なお、旧分類の情報源に新たな情報源を加えて標的臓器を見直した。 【根拠データ】 (1) ヒトのデータとして、本物質に4年から7年間で1~25 mg/m3ばく露された19名のうち3名に呼吸困難と咳の頻発が生じ、レントゲン撮影の結果、初期のじん肺と診断された (DFGOT vol.18 (2002))。 (2) ラットに本物質10~100 mg/m3を2年間吸入ばく露した結果、非腫瘍性病変として10 mg/m3 (0.01 mg/L、区分1の範囲) 以上で鼻腔の嗅上皮及び呼吸上皮の硝子様変性、喉頭蓋の扁平上皮化生、30 mg/m3 (0.03 mg/L、区分2の範囲) 以上で肺胞の慢性炎症がみられた (NTP TR462 (1997)、環境省リスク評価第10巻 (2012)、DFGOT vol.18 (2002)、ACGIH (7th, 2003)、IARC 118 (2018)、ATSDR (2017))。 (3) マウスに本物質10~100 mg/m3を2年間吸入ばく露した結果、非腫瘍性病変として10 mg/m3 (0.01 mg/L、区分1の範囲) 以上で喉頭蓋の扁平上皮化生、肺における組織球浸潤及び肺胞上皮の化生、30 mg/m3 (0.03 mg/L、区分2の範囲) 以上で鼻腔の化膿性炎症、100 mg/m3 (0.1 mg/L、区分2の範囲) で鼻腔の嗅上皮の萎縮、鼻腔の嗅上皮及び呼吸上皮の硝子様変性、喉頭の上皮過形成がみられた (同上)。 (4) モリブデン酸ナトリウム (CAS番号: 7631-95-0) の2015年度GHS分類では、モリブデン酸ナトリウム二水和物 (CAS番号 10102-40-6) を4週間混餌投与した試験で、死亡以外にはモリブデン投与による体内からの銅の排泄亢進が原因の極端な削痩、体重減少のみがみられ、0.05% (約25 mg/kg/day) (90日間換算: 7.78 mg/kg/day、区分1の範囲) で体重減少がみられた (環境省リスク評価第10巻 (2012))、ラットにモリブデン酸ナトリウム二水和物を13週間混餌投与した試験で、0.008% (8 mg/kg/day、区分1の範囲) の雄で精巣の精細管の変性がみられた (環境省リスク評価第10巻 (2012))、ラットにモリブデン酸ナトリウム二水和物を90日間強制経口投与した試験において、60 mg/kg/day (区分2の範囲) で体重増加抑制、近位尿細管のわずかなび漫性過形成がみられた (SIAP (2013)) との情報に基づき、区分1 (全身毒性、精巣)、区分2 (腎臓) に分類されている。これらのうち、全身影響、精巣への影響がみられた用量は本物質に換算した場合、各々4.62 mg/kg/day、5 mg/kg/dayであり区分1の範囲、腎臓への影響がみられた用量は本物質換算で36 mg/kg/dayとなり区分2の範囲であった。 (5) モリブデン酸アンモニウム (CAS番号 12027-67-7) の2015年度GHS分類では、ラットを用いた8週間強制経口投与毒性試験において、80 mg/kg/day (90日間換算: 約50 mg/kg/day、区分2の範囲) で体重増加抑制、腎臓の絶対重量減少、腎臓の相対重量増加、尿量増加、尿中のクレアチニン量増加、クレアチニンクリアランスの低下、遠位尿細管からの尿中逸脱酵素 (カリクレイン) 排泄の増加がみられており (環境省リスク評価第10巻 (2012))、腎臓の器質的変化がみられないが機能に影響がみられること、また、類縁物質であるモリブデン酸ナトリウム塩では器質的変化がみられていることから、区分2 (腎臓) に分類されている。 |
令和元年度(2019年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用 |
10 | 誤えん有害性 | 分類できない |
- |
- | - | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 |
令和元年度(2019年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用 |
危険有害性項目 | 分類結果 | 絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | 分類実施年度 | 分類ガイダンス等 | |
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11 | 水生環境有害性 短期(急性) | 区分に該当しない |
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- | - | 甲殻類(Americamysis bahia)96時間LC50 = 180 mg/L(環境省リスク評価第10巻, 2012)であることから、区分に該当しないとした。 | 令和元年度(2019年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用 |
11 | 水生環境有害性 長期(慢性) | 区分に該当しない |
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- | - | 本物質の信頼性のある慢性毒性データは得られていないが、水中で本物質と同じモリブデン酸イオンを生じるモリブデン酸ナトリウム(VI)及びモリブデン酸ナトリウム(VI)・二水和物の慢性毒性データが得られた。 無機化合物につき環境中動態が不明であるが、これらの慢性毒性データを用いた場合、植物、甲殻類、魚類の慢性毒性NOECが得られ、いずれも>1 mg/L(環境省リスク評価第10巻, 2012)であることから、区分に該当しないとした。 |
令和元年度(2019年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用 |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない |
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- | - | データ不足のため分類できない。 | 令和元年度(2019年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用 |
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