NITE統合版 政府によるGHS分類結果

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一般情報
 
項目 情報
CAS登録番号 1317-36-8
名称 酸化鉛 (II) (別名:リサージ)
物質ID m-nite-1317-36-8_v1
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関連情報
項目 情報
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物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
1 爆発物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 爆発性に関連する原子団を含んでいない。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
2 可燃性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
3 エアゾール 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - エアゾール製品ではない。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
4 酸化性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
5 高圧ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
6 引火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
7 可燃性固体 区分に該当しない
-
-
- - 不燃性 (ICSC (J) (2002)) である。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
8 自己反応性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
9 自然発火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
10 自然発火性固体 区分に該当しない
-
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- - 不燃性 (ICSC (J) (2002)) である。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
11 自己発熱性化学品 区分に該当しない
-
-
- - 不燃性 (ICSC (J) (2002)) である。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
12 水反応可燃性化学品 区分に該当しない
-
-
- - 金属 (Pb) を含むが、水溶解度0.017g /L (20 ℃) (HSDB (Access on August 2017)) との測定結果があり、水と激しく反応することはないと考えられる。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
13 酸化性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
14 酸化性固体 分類できない
-
-
- - 酸素を含む無機化合物であるが、データがなく分類できない。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
15 有機過酸化物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 無機化合物である。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
16 金属腐食性化学品 分類できない
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- - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
17 鈍性化爆発物 -
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-
- - - - -

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
1 急性毒性(経口) 区分に該当しない
-
-
- - ラットのLD50値として、> 2,000 mg/kg (HSDB (Access on August 2017)) との報告に基づき、区分外とした。新たな情報源の使用により、旧分類から分類結果を変更した。
平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
1 急性毒性(経皮) 区分に該当しない
-
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- - ウサギのLD50値として、> 2,000 mg/kg (HSDB (Access on August 2017)) との報告に基づき、区分外とした。新たな情報源の使用により、旧分類から分類結果を変更した。
平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
1 急性毒性(吸入:ガス) 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分に該当しない(分類対象外)
-
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- - GHSの定義における固体である。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分に該当しない
-
-
- - ラットの4時間吸入ばく露試験のLC50値として、> 5.05 mg/L (HSDB (Access on August 2017)) との報告に基づき、区分外とした。新たな情報源の使用により、旧分類から分類結果を変更した。
平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
2 皮膚腐食性/刺激性 区分に該当しない
-
-
- - ウサギを用いた皮膚刺激性試験 (OECD TG 404準拠) で、0.5 gの本物質を4時間半閉塞適用した結果、試験動物3匹ともに刺激スコアが0で刺激性なしとの記載 (HSDB (Access on August 2017)) から、区分外とした。今回の調査で入手した情報をもとに区分を見直した。
平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分に該当しない
-
-
- - ウサギを用いた眼刺激性試験 (OECD TG 405準拠) で、0.1gの本物質を72時間適用した結果、適用1時間後に1匹に軽度の発赤を生じたが、24及び72時間後には試験動物3匹ともに刺激性を認めず刺激性なしとの報告 (HSDB (Access on August 2017)) から、区分外とした。今回の調査で入手した情報をもとに区分を見直した。
平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。
平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
4 皮膚感作性 分類できない
-
-
- - モルモットを用いた皮膚感作性試験 (OECD TG 406準拠) で、惹起から24時間及び48時間後において感作群10匹に皮膚反応はなく陽性反応率は0%で本物質に皮膚感作性はないとの報告 (HSDB (Access on August 2017)) があるが、その他の動物試験やヒトでの情報が得られなかったため、分類できないとした。
平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
5 生殖細胞変異原性 区分2


警告
H341 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
本物質の情報はないが、無機鉛化合物の情報に基いて分類した。In vivoでは、ラット、マウスの骨髄細胞を用いる染色体異常試験、ラットの骨髄細胞を用いる小核試験で陽性、マウスの骨髄細胞の姉妹染色分体交換試験で陽性の結果があるが、陰性結果も散見される(IARC 87 (2006)、ATSDR (2007)、NICNAS (2007))。In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞の遺伝子突然変異試験、小核試験で陽性結果があるが、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞の遺伝子突然変異試験、小核試験、染色体異常試験で陰性結果も散見される(IARC 87 (2006)、ATSDR (2007)、NICNAS (2007))。以上より、ガイダンスに従い区分2とした。なお、旧分類では鉛化合物のヒト職業ばく露に関する報告、疫学調査結果に関する記載があるが、本分類では区分を付けるのに十分な情報ではないため使用しなかった。
平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
6 発がん性 区分2


警告
H351 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
本物質自体のヒトでの発がん性に関する情報はなく、実験動物での知見も限定的である。すなわち、本物質粒子を雄ラットに平均 5.3 mg/m3 の濃度で1年間吸入ばく露した試験では、肺に腫瘍は認められず、腎臓がんが1/50例にみられただけであった (IARC 87 (2006))。また、本物質1 mg、又は本物質とベンゾ[a]ピレンの混合物1 mg、又はベンゾ[a]ピレン1 mgをハムスターに週1回10週間気管内投与し、60週後に剖検した試験では、本物質とベンゾ[a]ピレンの混合投与では肺 (主に細気管支肺胞上皮領域) に腺腫又は腺がんの発生増加がみられ、本物質単独投与群では肺胞上皮過形成及び扁平上皮化生が、ベンゾ[a]ピレン単独投与群では肺にごく軽度の影響がみられただけであり、著者らは本物質はハムスター肺の細気管支肺胞上皮領域にベンゾ[a]ピレンと共発がん性作用を示すと結論した (IARC 87 (2006))。以上の報告以外に本物質の発がん性に関する情報はないと判断された。しかし、IARCは酢酸鉛、塩基性酢酸鉛、リン酸鉛などの動物試験データから、無機鉛化合物は経口投与で主に腎臓がんを誘発するとして、無機鉛化合物の発がん性に関して、ヒトの証拠は限定的であるが、実験動物では十分な証拠があり、無機鉛化合物をグループ2Aに分類した (IARC 87 (2006))。一方、日本産業衛生学会はIARCが2Aとした根拠データは経口経路での主に腎臓がんに基づく結果であり、経気道経路の試験データは上記の酸化鉛 (本物質) のデータ1件のみで発がんは観察されておらず、経気道ばく露による疫学データも胃がん、肺がんが主で、腎臓がんは多くない。また、有意でない結果もあり、有意なものも他の発がん要因の十分な検証が行われているとは言えない。すなわち、疫学研究の証拠は限定的、動物実験の結果は不十分として、鉛及び鉛化合物に対する1991年分類結果 (第2群B) を変更せず、鉛及び鉛化合物 (アルキル鉛を除く) に対し第2群Bとした (産衛誌 58巻 (2016))。この他、鉛及び無機鉛化合物に対して、EPAではB2に (IRIS (1988))、ACGIHではA3に分類されている (ACGIH (7th, 2001))。
  以上、IARCの分類結果を踏まえ再評価した産衛学会の鉛化合物に対する最新の分類結果を本物質にも適用することとし、本項は区分2とした。
平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
7 生殖毒性 区分1A


危険
H360 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
鉛及び鉛化合物がヒトで生殖発生毒性を示す多くの証拠がある。すなわち、日本産業衛生学会によれば、NTP (2012) のレビューを引用し、鉛へのばく露による男性への影響として、蓄電池工場あるいは鉛製錬所に従事し血中鉛濃度が高い群では精子無力症、精子減少、精子の奇形の割合の増加がみられたとの複数の報告、重金属工場に勤務していた男性の鉛ばく露群では出生率が低く、特に5年以上のばく露群で出生率の低下がみられ、鉛への長期間ばく露で妊孕率の低下が生じると示唆されたとの報告などがある (産衛誌 55巻 (2013))。女性への影響としては、鉛工場に従事しばく露した女性では対照群に比べて排卵異常が高率に生じ、尿中ALA (5-アミノレブリン酸) 濃度と無月経周期との間に関連性がみられたとの報告、台湾では鉛にばく露した女性の血中鉛濃度が高くなるほど低体重児、子宮内発育遅延児のリスクが有意に増加するとの報告、臍帯血中鉛濃度が高かった群では出生児の成長過程で精神発達指数が有意に低かったが、出生後の子供の血中濃度とは無関係であったとの報告、さらに母体血中鉛濃度と胎児の成長遅延、出生時体重の低下について多くの疫学研究結果で十分な証拠があるとの報告などがある (産衛誌 55巻 (2013))。以上の疫学研究結果を基に、日本産業衛生学会は鉛及び鉛化合物を生殖毒性第1群に分類した (産衛誌 55巻 (2013))。よって、本項は区分1Aとした。
平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(中枢神経系、腎臓)


危険
H370 P308+P311
P260
P264
P270
P321
P405
P501
本物質は無機鉛化合物である。本物質の単回ばく露の情報はないが、鉛の毒性情報が参考となると考えられる。ヒトでは鉛の急性毒性症状として感情鈍麻、不穏状態、短気、注意力散漫、頭痛、筋振戦、幻覚、記憶喪失、腎障害が報告されている (産衛学会生物学的許容値の提案理由書 (2013)、ATSDR (2007)、EHC 3 (1977))。したがって、区分1 (中枢神経系、腎臓) とした。
平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(血液系、神経系、心血管系、腎臓)


危険
H372 P260
P264
P270
P314
P501
ヒトについては、本物質に関する情報はないが無機鉛化合物の影響を基に分類することができると考える。
  鉛毒性の最も敏感な標的は、発達中の神経系、血液系、心血管系及び腎臓である。しかし、生物系における鉛の複数の作用のために、鉛は体内のあらゆる系、又は器官に潜在的に影響を及ぼす可能性がある (ATSDR (2007))。 神経系への影響として、長期間のばく露後に症状が発現し、鈍さ、過敏性、注意力低下、上腹部痛、便秘、嘔吐、痙攣、昏睡及び死亡を含む。子供の鉛中毒は、成人期においても検出されうる残存認知障害を残す可能性がある。血液系への影響として、鉛は、ヘムの生合成に関与するいくつかの酵素の活性を阻害することによって血液系を変えることが知られている。心血管系への影響として、鉛労働者の研究は、鉛への長期間のばく露が脳血管疾患による死亡率の増加と関連する可能性があることを示唆している。 幼い頃に鉛中毒で入院した一般成人の研究でも同じことが判明している。腎臓への影響として、鉛は腎機能にも影響を及ぼし糸球体濾過率を変化させるとの記載がある (ATSDR (2007))。
  実験動物については、マウスを用いた5ヵ月間混餌試験で区分1のガイダンス値の範囲である10 mg/kg/dayで貧血 (ヘモグロビン濃度・ヘマトクリット値・赤血球数・白血球数減少、異常形態赤血球の増加) の報告がある (NICNAS (2007))。
  以上から、区分1 (血液系、神経系、心血管系、腎臓) とした。
  新たな情報源を用いたことにより旧分類と分類結果が異なった。
平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
10 誤えん有害性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
11 水生環境有害性 短期(急性) 分類できない
-
-
- - 信頼性のある急性毒性データが得られていない。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
11 水生環境有害性 長期(慢性) 分類できない
-
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- - データなし 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
12 オゾン層への有害性 分類できない
-
-
- - データなし 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。

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