項目 | 情報 |
---|---|
CAS登録番号 | 1344-37-2 |
名称 | ピグメントイエロー 34 |
物質ID | m-nite-1344-37-2_v2 |
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項目 | 情報 |
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危険有害性項目 | 分類結果 | 絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | 分類実施年度 | 分類ガイダンス等 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 爆発物 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 爆発性に関連する原子団を含んでいない。参考として、本物質は、クロム酸鉛(CAS登録番号:7758-97-6)と硫酸鉛(CAS登録番号:7446-14-2)を含み、組成比は前者が61~76%(平均68%)、後者が20~38%(平均29%)と報告されている(Canada CMP(2008)、EU REACH SVHC (2009))。 | 令和4年度(2022年度) | ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
2 | 可燃性ガス | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 | 令和4年度(2022年度) | ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
3 | エアゾール | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | エアゾール製品でない。 | 令和4年度(2022年度) | ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
4 | 酸化性ガス | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 | 令和4年度(2022年度) | ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
5 | 高圧ガス | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 | 令和4年度(2022年度) | ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
6 | 引火性液体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 | 令和4年度(2022年度) | ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
7 | 可燃性固体 | 区分に該当しない |
- |
- | - | 不燃性(GESTIS (Accessed Aug. 2022))との情報により、区分に該当しない。 | 令和4年度(2022年度) | ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
8 | 自己反応性化学品 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。 | 令和4年度(2022年度) | ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
9 | 自然発火性液体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 | 令和4年度(2022年度) | ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
10 | 自然発火性固体 | 区分に該当しない |
- |
- | - | 不燃性(GESTIS (Accessed Aug. 2022))との情報により、区分に該当しない。 | 令和4年度(2022年度) | ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
11 | 自己発熱性化学品 | 区分に該当しない |
- |
- | - | 不燃性(GESTIS (Accessed Aug. 2022))との情報により、区分に該当しない。 | 令和4年度(2022年度) | ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
12 | 水反応可燃性化学品 | 区分に該当しない |
- |
- | - | 金属(Pb, Cr)を含むが、水に不溶(GESTIS (Accessed Aug. 2022))との情報があり、水と急激な反応をしないと考えられる。 | 令和4年度(2022年度) | ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
13 | 酸化性液体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 | 令和4年度(2022年度) | ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
14 | 酸化性固体 | 分類できない |
- |
- | - | 酸素を含む無機化合物であるが、データがなく分類できない。 | 令和4年度(2022年度) | ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
15 | 有機過酸化物 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 無機化合物である。 | 令和4年度(2022年度) | ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
16 | 金属腐食性化学品 | 分類できない |
- |
- | - | 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。 | 令和4年度(2022年度) | ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
17 | 鈍性化爆発物 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 爆発性に関連する原子団を含んでいない。 | 令和4年度(2022年度) | ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
危険有害性項目 | 分類結果 | 絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | 分類実施年度 | 分類ガイダンス等 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 急性毒性(経口) | 区分に該当しない |
- |
- | - | 【分類根拠】 (1)より、区分に該当しない。なお、本物質はクロム酸鉛(CAS登録番号:7758-97-6)と硫酸鉛(CAS登録番号:7446-14-2)を含み、組成比は前者が61~76%(平均68%)、後者が20~38%(平均29%)と報告されている(Canada CMP(2008)、EU REACH SVHC (2009))。 【根拠データ】 (1)ラットのLD50: > 5,000 mg/kg(AICIS IMAP (2015)、Canada CMP Screening Assessment (2008)) |
令和4年度(2022年度) | ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
1 | 急性毒性(経皮) | 分類できない |
- |
- | - | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 |
令和4年度(2022年度) | ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 【分類根拠】 GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。 |
令和4年度(2022年度) | ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類できない |
- |
- | - | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 |
令和4年度(2022年度) | ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 分類できない |
- |
- | - | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 |
令和4年度(2022年度) | ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分に該当しない |
- |
- | - | 【分類根拠】 (1)より、区分に該当しない。 【根拠データ】 (1)ウサギ(n=3)を用いた皮膚刺激性試験(OECD TG 404、半閉塞、4時間適用、72時間観察)において、みられた刺激性影響は72時間以内に消失した(紅斑・痂皮スコア:0.3/0/0.7、浮腫スコア:0/0/0)との報告がある(AICIS IMAP (2015)、Canada CMP Screening Assessment (2008)、REACH登録情報 (Accessed Aug. 2022))。 |
令和4年度(2022年度) | ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 分類できない |
- |
- | - | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。なお、用いる知見を精査し、分類結果を変更した。旧分類の根拠データはC.I.ピグメントレッド104(CAS登録番号:12656-85-8)のものと考えられるため、採用しなかった。 |
令和4年度(2022年度) | ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
4 | 呼吸器感作性 | 区分1A |
危険 |
H334 | P304+P340 P342+P311 P261 P284 P501 |
【分類根拠】 (1)~(3)より、区分1Aとした。なお、新たな知見に基づき、分類結果を変更した。 【根拠データ】 (1)本物質は六価クロム化合物であるクロム酸鉛(CAS登録番号:7758-97-6)を約68%含む顔料である(EU REACH SVHC (2009)、Canada CMP Screening Assessment (2008))。 (2)六価クロム化合物については、EUのリスク評価でクロム化合物の呼吸器感作性の潜在能力が調査され、症例報告と気管支誘発性テスト結果に基づいて、六価クロム化合物は職業性喘息を生じるおそれがあり、呼吸器感作性物質と同時に皮膚感作性物質に分類すべきと結論された(REACH登録情報 (Accessed Aug. 2022))。 (3)日本産業衛生学会ではクロム及びクロム化合物は感作性物質気道第2群に分類されている(産衛学会許容濃度の勧告等 (2021))。 |
令和4年度(2022年度) | ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
4 | 皮膚感作性 | 区分1A |
警告 |
H317 | P302+P352 P333+P313 P362+P364 P261 P272 P280 P321 P501 |
【分類根拠】 (1)、(2)より、区分1Aとした。なお、新たな知見に基づき、分類結果を変更した。 【根拠データ】 (1)本物質は六価クロム化合物であるクロム酸鉛(CAS登録番号:7758-97-6)を約68%含む顔料である(EU REACH SVHC (2009)、Canada CMP Screening Assessment (2008))。 (2)日本産業衛生学会ではクロム及びクロム化合物は感作性物質皮膚第1群に分類されている(産衛学会許容濃度の勧告等 (2021))。 |
令和4年度(2022年度) | ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
5 | 生殖細胞変異原性 | 区分1B |
危険 |
H340 | P308+P313 P201 P202 P280 P405 P501 |
【分類根拠】 本物質及びその構成成分のクロム酸鉛の試験データ(1)~(3)での陽性の報告、(4)及び(5)の六価クロム化合物の陽性の報告から区分1Bとした。 【根拠データ】 (1)In vivoでは、本物質についてマウスを用いた小核試験(腹腔内投与、25~100 mg/kg単回、又は100 mg/kgで2回投与)では、陰性の結果であった(REACH登録情報 (Accessed Aug. 2022))。しかし、原著者は検体が標的組織まで到達したという証拠がないため、この結果は確定的なものではないと報告した(Canada CMP Screening Assessment (2008))。 (2)本物質の構成成分であるクロム酸鉛(CAS登録番号:7758-97-6)について、マウスを用いた小核試験(腹腔内投与)では、結果は陽性であった(Canada CMP Screening Assessment (2008)、AICIS IMAP (2015))。 (3)In vitroでは、本物質について、細菌(ネズミチフス菌TA100)を用いた2つの復帰突然変異試験では、陽性(NaOHに溶解又はニトリロ三酢酸に懸濁)又は陰性(水に懸濁)、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)を用いた染色体異常試験で陽性(NaOHに溶解又は培養培地で懸濁)又は陰性(水に懸濁)の結果が得られている(REACH登録情報、Canada CMP Screening Assessment (2008))。 (4)クロム酸鉛は六価クロム化合物であり、in vivoではマウス及びラットに腹腔内投与した遺伝子突然変異試験、染色体異常試験、小核試験及びDNA損傷試験で陽性の結果、マウスに強制経口投与したDNA損傷試験で陽性、マウスに飲水投与した小核試験でほぼ陰性の報告がある (食安委 清涼飲料水評価書 (2018))。 (5)クロム酸鉛は六価クロム化合物であり、in vitroでは、細菌た復帰突然変異試験は陽性及び陰性であった。哺乳類培養細胞を用いた染色体異常試験、不定期DNA合成試験及び形質転換試験では陽性の報告がある (食安委 清涼飲料水評価書 (2018))。 (6)鉛及び鉛化合物の遺伝毒性について、国際がん研究機関(International Agency for Research on Cancer:IARC)(2006)によれば、細菌を用いた復帰突然変異試験でほぼ陰性の結果が得られている。また、in vivo の試験系において、動物を用いた小核試験で陽性の結果が得られている。これらの結果から、鉛は直接的な遺伝毒性物質ではなく、観察された遺伝毒性は間接的な影響によるものであると考えられた(食安委 評価書 (2021))。 【参考データ等】 (7)国内外の分類機関による既存分類では、EUでMuta.1Bに分類されている (CLP分類結果 (Access June 2019))。 |
令和4年度(2022年度) | ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
6 | 発がん性 | 区分1A |
危険 |
H350 | P308+P313 P201 P202 P280 P405 P501 |
【分類根拠】 (1)~(3)より本物質は六価クロム(CAS登録番号:18540-29-9)を含むことから、六価クロムのデータに基づき区分1Aとした。 【根拠データ】 (1) 国内外の分類機関による既存分類では、六価クロム化合物として、IARCでグループ1 (IARC 100C (2012))、ACGIHでA1 (ACGIH (7th, 2018))、EUでCarc.1B (EU CLP分類 (Access on July 2019)) に分類されている。 (2)クロム酸鉛は六価クロム化合物であり、六価クロムはIARCでグループ1に分類されている(IARC 100C (2012))。本物質はそのクロム酸鉛を約68%含むUVCB物質である(EU REACH SVHC (2009))。 (3)労働基準法施行規則別表第1の2 において、「クロム酸塩又は重クロム酸塩を製造する工程における業務による肺がん又は上気道のがん」が業務上疾病の対象になっている(労働基準法施行規則別表第1の2 (Accessed Oct. 2022))。 【参考データ等】 (4)本物質は、クロム酸鉛(CAS登録番号:7758-97-6)と硫酸鉛(CAS登録番号:7446-14-2)を含み、組成比は前者が61~76%(平均68%)、後者が20~38%(平均29%)と報告されている(Canada CMP(2008)、EU REACH SVHC (2009))。 (5)本物質の構成成分の一つであるクロム酸鉛(CAS登録番号:7758-97-6)について、2 mgをラットの気管支内に2年間埋植した結果、本物質埋植群の各1例の雄に気管支癌が発生した。本結果は統計的には有意ではなかった。気管支の炎症、扁平上皮化生、異形成が認められたと報告されている(Canada CMP Screening Assessment (2008)、IARC 87 (2006))。 (6)本物質の構成成分の一つであるクロム酸鉛(CAS登録番号:7758-97-6)をラットに単回皮下投与後に注射部位に肉腫を生じたとの報告、ラットに筋肉内注射した後に腎臓腫瘍(腎臓がん)を生じたとの報告がある。クロム酸鉛を含む無機鉛化合物としては実験動物で発がん性の十分な証拠があると結論された(IARC 87 (2006))。 |
令和4年度(2022年度) | ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
7 | 生殖毒性 | 区分1A、授乳に対するまたは授乳を介した影響に関する追加区分 |
危険 |
H360 H362 |
P308+P313 P201 P202 P260 P263 P264 P270 P280 P405 P501 |
【分類根拠】 (1)~(10)より、区分1Aとした。また(11)より、授乳に対する又は授乳を介した影響の追加区分とした。なお、本物質については、生殖毒性物質として知られている無機鉛化合物のデータを基に分類した。 【根拠データ】 (1)職業的鉛ばく露を受けた男性では、血中鉛濃度が40 μg/dL 以上で精液中の精子数等に変化がみられ、血中鉛最高濃度51 μg/dL以上で妊娠するまでの時間の長期化、血中鉛濃度31 μg/dL 以上で自然流産のリスクが高まり、平均血中鉛濃度46.3 μg/dL で出生率が低下したとの報告がある(食安委 評価書 (2021))。 (2)血中Pb濃度が10 μg/dL以下の集団において、精子障害の証拠が示されており、10 μg/dL以上では授精能低下、精巣への組織学的傷害を含めより重度の影響みられたとの報告がある(ATSDR (2020))。 (3)日本産業衛生学会は鉛及び鉛化合物を生殖毒性物質第1群に分類している(産衛学会許容濃度等の提案理由書 (2013))。 (4)ロシアの8~9 歳の男児489人を対象として、血中鉛濃度と発育並びに医師が評価した精巣容積及び思春期開始との関連性について調査された横断的研究において、血中鉛濃度の中央値は3 μg/dLであった。多変量解析では、血中鉛濃度が5 μg/dL 以上の男児は、それより低い濃度の男児と比較して生殖器の成熟度のオッズが43%減少した (オッズ比=0.57、p=0.03)。これらの結果から、比較的低い血中鉛濃度においても、青年期前後の男児の発育不良や思春期開始の遅れには関連性があると報告された(食安委 評価書 (2021))。 (5)米国人少女(血中鉛濃度0.7~21.7 μg/dL)の解析では、血中鉛濃度の高値は初潮遅延・恥毛発達遅延と関連していたが、乳房発達とは関連しなかったとの報告がある。しかし、同国のアフリカ系及びヒスパニック系の少女では、血中鉛濃度が3μg/dLの群では1 μg/dL群比べて乳房・恥毛の発達が遅れていたが、白人系少女では乳房・恥毛の発達の差はみられなかったとの報告がある(食安委 評価書 (2021))。 (6)生殖器官への影響については、ラットを用いた試験において、血中鉛濃度が30 μg/dL 以上で、雄の精子数への影響及び精巣萎縮がみられ、雌の性周期に影響がみられたとの報告がある(食安委 評価書 (2021))。 (7)ラットを用いた経口投与による発生毒性試験(30日間、0.013、0.26 mg Pb/kg/day)において、雄の発情周期の不規則化、雌の発情周期の不規則化及び卵巣黄体嚢胞数の減少を伴う卵胞嚢胞の発達等がみられたとの報告がある。(食安委 評価書 (2021))。 (8)ラットを用いた経口投与による発生毒性試験(妊娠期間を通して、32~64 mg Pb/kg 体重/日)において、胎児の発育阻害がみられたとの報告がある(食安委 評価書 (2021))。 (9)ラットを用いた飲水経口投与による発生毒性試験(妊娠5~21日、0.6%)において、死産児発生率の増加等がみられたとの報告がある(食安委 評価書 (2021))。 (10)女性のばく露について、5 μg/dL以下の母体血中鉛(PbB)レベルにおいて、胎児の成長遅延や出生体重の低下との関連を示す十分な証拠があるとの報告がある(日本産業衛生学会 許容濃度等の提案理由書 (2013))。 (11)授乳期に鉛は母乳へ移行し、母乳中鉛濃度は母体血中鉛濃度の10~30%とされている(食安委 評価書 (2021))。 【参考データ等】 (12)EUではRepr. 1Aに分類されている(CLP分類結果 (Accessed Aug. 2022))。 (13)日本産業衛生学会はクロムおよびクロム化合物を生殖毒性第3群に分類している。(日本産業衛生学会 許容濃度等の提案理由書 (2014))。 |
令和4年度(2022年度) | ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分1(神経系、呼吸器、心血管系、血液系、消化管、肝臓、腎臓) |
危険 |
H370 | P308+P311 P260 P264 P270 P321 P405 P501 |
【分類根拠】 本物質については、無機鉛化合物及び六価クロム化合物のデータを基に分類するものとする。(1)~(4)より、神経系、呼吸器、心血管系、血液系、消化管、肝臓、腎臓を標的臓器と判断し、区分1(神経系、呼吸器、心血管系、血液系、消化管、肝臓、腎臓)とした。なお、新たな知見に基づき、分類結果を変更した。 【根拠データ】 (1)鉛による急性影響は、通常、短期高濃度ばく露によって発症し、溶血、肝細胞障害を伴うことが多い。極めて強いばく露の場合には、腎尿細管障害と急性脳障害がみられるが、軽症では関節痛・頭痛にとどまるとの報告がある(食安委 食品健康評価書 (2021))。 (2)急性中毒の明らかな症状として、感情鈍麻、落ち着かない、怒りっぽい、注意力散漫、頭痛、筋肉の震え、腹部痙攣、腎障害、幻覚、記憶の喪失などがあり、脳障害は血中鉛濃度が成人で100~200μg/dL、小児で80~100 μg/dLで起こるとの報告がある(食安委 食品健康評価書 (2021))。 (3)極めて高用量の六価クロム化合物をヒトが事故又は意図的に摂取した場合、呼吸器、心血管系、消化管、血液系、肝臓、腎臓、及び神経系影響を生じた。また疥癬の治療目的に、六価クロム化合物(クロム酸カリウム)を経皮適用後に腎不全、心臓の脂肪変性、腎尿細管の充血と壊死、胃粘膜の充血を生じたとの報告がある(CICAD 73 (2013)、ATSDR (2012))。 (4)22 か月の男児が重クロム酸ナトリウム(VI)(量不明)を摂取し、18.5 時間後に心肺停止で死亡した。解剖の結果、全身性浮腫、両側性胸水、肺水腫、重度の気管支炎、急性気管支肺炎、心筋における初期の低酸素性変化並びに尿細管及び消化管の壊死等がみられたとの報告がある(食安委 清涼飲料水評価書 (2018)) |
令和4年度(2022年度) | ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分1(神経系、呼吸器、血液系、消化管、腎臓、生殖器(男性)) |
危険 |
H372 | P260 P264 P270 P314 P501 |
【分類根拠】 本物質については、無機鉛化合物及び六価クロム化合物のデータを基に分類するものとする。(1)~(5)より、ヒト知見において標的臓器は神経系、呼吸器、血液系、消化管、腎臓、生殖器(男性)と考えられることから、区分1(神経系、呼吸器、血液系、消化管、腎臓、生殖器(男性))とした。なお、新たな知見に基づき、分類結果を変更した。 【根拠データ】 (1)鉛による慢性影響は、通常、継続的な鉛ばく露を受けている人にみられ、神経系及び内分泌系障害が特徴的であるが、臨床所見は明らかでないことも多い。また筋骨格系やその他の非特異的な自覚症状が多い。高尿酸血症がみられるが、貧血、疝痛、腎糸球体障害は重くない。遅発症状(‘late’ syndrome)は、痛風、慢性腎障害、脳障害を特徴とし、高濃度ばく露のあと多くの年月を経てから発症する。急性中毒の発症が既往症としてみられることも多い(食安委 食品健康評価書 (2021))。 (2)小児は、一般的に手から口への動作を行い、これが成人よりも高いレベルの鉛ばく露につながる。また、小児の鉛の吸収と蓄積は成人よりも大きいことから、小児の体重当たりの体内負荷量は成人よりも高い傾向を示す。小児における相対的に大きなばく露と体内負荷は、成長期の敏感な時期に起こり、小児の様々なエンドポイント(鉛脳症、貧血、神経行動学発達障害、運動神経伝導速度低下など)における最小作用量(LOEL)は、成人よりも低い(食安委 食品健康評価書 (2021))。 (3)職業的鉛曝露を受けた男性では、血中鉛濃度が40 μg/dL 以上で精液中の精子数等に変化が認められ、血中鉛最高濃度51 μg/dL以上で妊娠するまでの時間の長期化、血中鉛濃度31 μg/dL 以上で自然流産のリスクが高まり、平均血中鉛濃度46.3 μg/dL で出生率が低下したと報告された(食安委 評価書 (2020))。ATSDRでは、血中Pb濃度が10 μg/dL以下の集団でも精子障害の証拠が示されており、10 μg/dL以上では授精能低下、精巣への組織学的傷害を含めより重度の影響が数件の報告から示されるとしている(ATSDR (2020))。 (4)空中に浮遊する六価クロム化合物にヒトが職業性ばく露された場合の影響には、気道や眼の刺激が含まれ、これらは鼻中隔潰瘍、鼻中隔穿孔及び呼吸器癌の発生頻度の増加につながる可能性があるとの報告がある(食安委 清涼飲料水評価書 (2018))。 (5)六価クロム化合物について、ヒトと動物で用量反応関係のデータが利用可能なデータで、最も感度の高い非腫瘍性の影響は呼吸器(鼻腔と肺の刺激、肺機能低下)、消化管(刺激、潰瘍、胃腸の非腫瘍性病変)、血液系(小球性低色素性貧血)、生殖器(精子数、精巣上体の組織変化など男性生殖器への影響)であるとの報告がある(ATSDR (2012))。 【参考データ等】 (6)イヌを用いた混餌投与による90日間反復経口投与試験において、2,000 ppm(75.4 mg/kg/day、区分2の範囲)で僅かな血液影響(ヘモグロビン・ヘマトクリット及びMCVの減少、分葉核好中球比の減少、桿状好中球比の増加、赤血球形態の変化)、腎臓病変(尿細管の限局性変性:数例)、精巣の変性、小腸(粘膜上皮の分裂増殖促進)がみられ、高用量では神経症状、骨髄、肝臓への影響等もみられているとの報告がある(REACH登録情報 (Accessed Aug. 2022)、AICIS IMAP (2015))。 |
令和4年度(2022年度) | ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
10 | 誤えん有害性 | 分類できない |
- |
- | - | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 |
令和4年度(2022年度) | ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
危険有害性項目 | 分類結果 | 絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | 分類実施年度 | 分類ガイダンス等 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
11 | 水生環境有害性 短期(急性) | 区分に該当しない |
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- | - | 藻類(デスモデスムス属)72時間ErC50 > 100 mg/L(設定濃度)、甲殻類(オオミジンコ)48時間EC50 > 100 mg/L(設定濃度)、魚類(ニジマス)96時間LC50 > 100 mg/L(設定濃度)(いずれもREACH登録情報, 2022)であることから、区分に該当しない。新たな情報の使用により、旧分類から分類結果が変更となった。 | 令和4年度(2022年度) | ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
11 | 水生環境有害性 長期(慢性) | 区分に該当しない |
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- | - | 信頼性のある慢性毒性データが得られていない。急性毒性は区分に該当しないであるが、急速分解性に関する十分なデータが得られておらず、難水溶性ではないことから区分に該当しないとした。 | 令和4年度(2022年度) | ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない |
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- | - | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 | 令和4年度(2022年度) | ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
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