NITE統合版 政府によるGHS分類結果

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一般情報
 
項目 情報
CAS登録番号 137-30-4
名称 ビス(N,N-ジメチルジチオカルバミン酸)亜鉛 (別名:ジラム)
物質ID m-nite-137-30-4_v2
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関連情報
項目 情報
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物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
1 爆発物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に爆発性に関連する原子団を含んでいないため、区分に該当しない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
2 可燃性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
3 エアゾール 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - エアゾール製品でないため、区分に該当しない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
4 酸化性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
5 高圧ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
6 引火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
7 可燃性固体 分類できない
-
-
- - データがなく分類できない。なお、可燃性 (ICSC (2005)) という情報がある。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
8 自己反応性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいないため、区分に該当しない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
9 自然発火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
10 自然発火性固体 区分に該当しない
-
-
- - UNRTDGにおいてUN 2757、クラス6.1に分類されていることから、優先評価項目の自然発火性物質には該当しないため、区分に該当しない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
11 自己発熱性化学品 分類できない
-
-
- - データがなく分類できない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
12 水反応可燃性化学品 区分に該当しない
-
-
- - 金属 (Zn) を含むが、水溶解度が65 mg/L (25℃) (HSDB (Access on May 2020)) というデータが得られており、水と急激な反応をしないと考えられるため、区分に該当しない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
13 酸化性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
14 酸化性固体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 酸素、フッ素及び塩素を含まない有機化合物であり、区分に該当しない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
15 有機過酸化物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物であり、区分に該当しない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
16 金属腐食性化学品 分類できない
-
-
- - 固体状の物質に適した試験方法が確立していないため、分類できない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
17 鈍性化爆発物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 爆発性に関連する原子団を含まないため、区分に該当しない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
1 急性毒性(経口) 区分3


危険
H301 P301+P310
P264
P270
P321
P330
P405
P501
【分類根拠】
(1)~(7) より、区分3とした。
なお、新たな情報源の使用により、旧分類から分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) ラットのLD50: 200~400 mg/kg (JMPR (1996))
(2) ラットのLD50: 267 mg/kg (Canada Pesticides (2016)、MOE初期評価第9巻:暫定的有害性評価シート (2011)、GESTIS (Access on May 2020))
(3) ラットのLD50: 270 mg/kg (JMPR (1996)、MAK (DFG) (2016)、GESTIS (Access on May 2020))
(4) ラットのLD50: 320 mg/kg (Canada Pesticides (2016)、EPA Pesticides RED (2003)、MAK (DFG) (2016)、HSDB (Access on May 2020))
(5) ラットのLD50: 雄: 380 mg/kg (MAK (DFG) (2016)、GESTIS (Access on May 2020))
(6) ラットのLD50: 雄: 1,208 mg/kg、雌: 873 mg/kg (農薬工業会「日本農薬学会誌」第17巻 第2号 (1992))
(7) ラットのLD50: 1,400 mg/kg (MAK (DFG) (2016))
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
1 急性毒性(経皮) 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)~(5) より、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) ラットのLD50: > 2,000 mg/kg (AICIS (旧NICNAS) IMAP (2014))
(2) ラットのLD50: > 5,000 mg/kg (農薬工業会「日本農薬学会誌」第17巻 第2号 (1992))
(3) ラットのLD50: > 6,000 mg/kg (GESTIS (Access on May 2020)、HSDB (Access on May 2020))
(4) ウサギのLD50: > 2,000 mg/kg (MAK (DFG) (2016)、GESTIS (Access on May 2020))
(5) ウサギのLD50: > 5,010 mg/kg (GESTIS (Access on May 2020))
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
1 急性毒性(吸入:ガス) 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分2


危険
H330 P304+P340
P403+P233
P260
P271
P284
P310
P320
P405
P501
【分類根拠】
(1)~(7) より、区分2とした。
なお、ばく露濃度が飽和蒸気圧濃度 (1.2E-007 mg/L) よりも高いため、粉じんとしてmg/Lを単位とする基準値を適用した。
飽和蒸気圧濃度は0℃のデータを用いて算出した。

【根拠データ】
(1) ラットのLC50 (4時間): 雌: 0.06 mg/L (MAK (DFG) (2016))
(2) ラットのLC50 (4時間): 0.08 mg/L (MAK (DFG) (2016))
(3) ラットのLC50 (鼻部ばく露、4時間): 0.13 mg/L (MAK (DFG) (2016))
(4) ラットのLC50 (4時間): 雄: 0.18 mg/L (MAK (DFG) (2016))
(5) ラットのLC50 (4時間): 0.06~0.18 mg/L (GESTIS (Access on May 2020))
(6) ラットのLC50 (4時間): 0.081 mg/L (HSDB (Access on May 2020))
(7) ラットのLC50 (4時間): 雄: 0.12 mg/L、雌: 0.16 mg/L (農薬工業会「日本農薬学会誌」第17巻 第2号 (1992))
(8) 本物質の蒸気圧: 7.5E-009 mmHg (0℃) (HSDB (Access on May 2020)) (飽和蒸気圧濃度換算値: 1.2E-007 mg/L)
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
2 皮膚腐食性/刺激性 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)~(3) より、区分に該当しないとした。旧分類はラットの適用時間不明のデータを基に決定されており、新たなデータが得られたことから分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) ウサギを用いた皮膚刺激性試験で、刺激性を示さない (JMPR (1996)、Canada Pesticides (2016)、EPA Pesticides RED (2003)、GESTIS (Access on May 2020))。
(2) 本物質は皮膚刺激性を示さない (MAK (DFG) (2016))。
(3) OECD TG 404に準拠したウサギを用いた皮膚刺激性試験で24/48/72hの平均スコアは全て0であった (REACH登録情報 (Access on July 2020))。

【参考データ等】
(4) 眼を重度に刺激し、皮膚及び気道を刺激する。眼に入ったり、皮膚に付くと発赤、痛みを生じる (MOE初期評価第9巻:暫定的有害性評価シート (2011))。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分1


危険
H318 P305+P351+P338
P280
P310
【分類根拠】
(1)~(5) より、区分1とした。新たなデータが得られたことにより、分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) ウサギを用いた眼刺激性試験で、重度の刺激性を示す (JMPR (1996)、Canada Pesticides (2016)、EPA Pesticides RED (2003)、GESTIS (Access on May 2020))。
(2) 本物質は皮膚刺激性を示さないが、眼に対しては腐食性を示す (MAK (DFG) (2016))。
(3) OECD TG 405に準拠したウサギを用いた眼刺激性試験で適用24時間後のスコアは角膜混濁 3、虹彩 2、結膜発赤 3、結膜浮腫 4であり、瞬膜の壊死や破壊がみられたことが記載されており、動物は適用24時間後に安楽死させた (REACH登録情報 (Access on July 2020))。
(4) 眼を重度に刺激し、皮膚及び気道を刺激する。眼に入ったり、皮膚に付くと発赤、痛みを生じる (MOE初期評価第9巻:暫定的有害性評価シート (2011))。
(5) 本物質のウサギを用いた眼刺激性試験で角膜、虹彩、結膜に刺激性反応がみられ、角膜及び結膜には高度な壊死性変化が認められた (農薬工業会「日本農薬学会誌」第17巻 第2号 (1992))。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため、分類できない。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
4 皮膚感作性 区分1


警告
H317 P302+P352
P333+P313
P362+P364
P261
P272
P280
P321
P501
【分類根拠】
(1)~(3) より、区分1とした。新しいデータが得られたことから分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) モルモットを用いた皮膚感作性性試験で、中等度の感作性を示す (JMPR (1996)、Canada Pesticides (2016)、EPA Pesticides RED (2003)、GESTIS (Access on May 2020))。
(2) OECD TG 406及びEPA OPP 81-6に準拠したモルモットを用いた皮膚感作性試験 (Split adjuvant法) で陽性と報告されている (REACH登録情報 (Access on July 2020))。
(3) 反復または長期の接触により、皮膚感作を引き起こすことがある (MOE初期評価第9巻:暫定的有害性評価シート (2011))。

【参考データ等】
(4) 本物質のモルモットを用いた皮膚感作性試験 (マキシマイゼーション法、皮内投与 5%) で陰性と報告されている (農薬工業会「日本農薬学会誌」第17巻 第2号 (1992))。
(5) EU-CLP分類でSkin Sens. 1 (H317)に分類されている(EU CLP分類 (Access on July 2020))。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
5 生殖細胞変異原性 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)~(4) より、専門家判断に基づき区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) in vivoでは、マウスの骨髄を用いた染色体異常試験及び姉妹染色分体交換試験では陰性の報告がある (EHC 78 (1988)、IARC 53 (1991)、CEBS (Access on May 2020)、MAK (DFG) (2016))。
(2) in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陽性及び陰性の報告、マウスリンパ腫細胞を用いた遺伝子突然変異試験、ほ乳類培養細胞を用いた染色体異常試験において陽性の報告がある。マウス肺細胞を用いた遺伝子突然変異試験、ほ乳類培養細胞を用いた姉妹染色分体交換試験は陰性の報告がある (同上)。MAK (DFG) ではin vitroの染色体損傷試験における陽性は細胞毒性に関連したものとしている (MAK (DFG) (2016))。
(3) 本物質にばく露された労働者の末梢血において、染色体異常の増加が報告されている (IARC 53 (1991))が、MAK (DFG) では遺伝毒性の証拠とはみなせないとしている (MAK (DFG) (2016))。
(4) MAK (DFG) は本物質は非遺伝毒性と見なされるとしている (MAK (DFG) (2016))。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
6 発がん性 区分2


警告
H351 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
【分類根拠】
利用可能なヒトを対象とした報告はない。(1) の既存分類結果において、IARCではグループ3に分類しているが、(2) の実験動物の結果及びEPAの分類結果に基づき、区分2とした。情報の再検討により分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) 国内外の分類機関による既存分類では、IARCでグループ3 (IARC 53 (1991))、EPAでS (Suggestive Evidence of Carcinogenicity, but not Sufficient to Assess Human Carcinogenic Potential) (EPA Cancer Annual Report 2019 (Access on July 2020):2003年分類) に分類されている。
(2) 雌雄のラット及びマウスに本物質 (純度89%、チラム (thiram) 6.5%) を2年間混餌投与した発がん性試験において、ラットの雄で甲状腺のC細胞がんの発生率の有意な増加が、マウスの雌で肺胞/細気管支腺腫及び肺胞/細気管支腺腫とがんの合計の発生率の有意な増加が認められた。ラットの雌及びマウスの雄では腫瘍の発生は認められなかった (NTP TR 238 (1983)、IARC 53 (1991)、EPA Pesticides RED (2003))。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
7 生殖毒性 区分2


警告
H361 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
【分類根拠】
(1) より、区分2とした。

【根拠データ】
(1) 雌ウサギの妊娠7~19日に強制経口投与した発生毒性試験において、母動物毒性 (体重増加の抑制) がみられる用量で、同腹児数減少、胎児体重及び頭臀長の低下がみられている (MOE初期評価第9巻:暫定的有害性評価シート (2011)、JMPR (1996)、MAK (DFG) (2016))。

【参考データ等】
(2) ラットを用いた混餌投与による2世代生殖毒性試験において、親動物に摂餌量、飲水量の減少、体重増加抑制がみられ、児動物の育成期にも同様の変化がみられたが、繁殖に対する影響及び催奇形性はみられていない (農薬工業会「日本農薬学会誌」第17巻 第2号 (1992))。
(3) ラットを用いた混餌投与による2世代生殖毒性試験において、親動物に体重増加抑制がみられ、児動物にも体重増加抑制がみられるが生殖影響はみられていない (MOE初期評価第9巻:暫定的有害性評価シート (2011)、JMPR (1996)、MAK (DFG) (2016))。
(4) 雌ラットの妊娠6~15日に強制経口投与した発生毒性試験において、母動物毒性 (流涎、体重増加の抑制) がみられる用量で、胎児に体重の低値がみられたが、催奇形性はみられていない (MOE初期評価第9巻:暫定的有害性評価シート (2011)、JMPR (1996)、MAK (DFG) (2016))。
(5) 雌ウサギの妊娠6~18日に強制経口投与した発生毒性試験において、母動物毒性 (摂餌量減少、死亡 (1/15例)、流産 (1例) がみられる用量において、胎児に骨化遅延、骨格変異の増加がみられたが、催奇形性はみられていない (農薬工業会「日本農薬学会誌」第17巻 第2号 (1992))。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分2 (神経系)、区分3 (麻酔作用、気道刺激性)



警告
H371
H336
H335
P308+P311
P260
P264
P270
P405
P501
P304+P340
P403+P233
P261
P271
P312
【分類根拠】
(1)~(3) より、区分2 (神経系)、区分3 (麻酔作用、気道刺激性) とした。なお、新たな情報源の使用により、旧分類から分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) ラットを用いた本物質 (純度: 98.5%) の単回吸入ばく露試験では、喘ぎ、呼吸数の減少、嗜眠、立毛、運動失調及び眼瞼下垂がみられ、死亡例の剖検では肺の赤色化及び膨化が認められた。4時間LC50 (0.13 mg/L) より、区分2範囲の影響と考えられる (MAK (DFG) (2016))。
(2) ラットの単回経口投与試験では、300 mg/kg以上 (区分2範囲) でチアノーゼ、低体温、眼球陥没、不安定歩行、低活動性、眼瞼下垂、呼吸異常、軟便、FOBの変化 (姿勢の変化、閉眼、流涙、流涎、呼吸数の変化)、自発運動減少、尾刺激と嗅覚刺激に対する感受性低下、驚愕反応なし、雌で前肢と後肢の伸展 (反射)、死亡 (雌)、600 mg/kg (区分2範囲) では筋緊張低下、削痩 (雌)、死亡 (雌雄) がみられた (MAK (DFG) (2016))。
(3) 眼を重度に刺激し、皮膚及び気道を刺激する。眼に入ったり、皮膚に付くと発赤、痛み、吸入すると咳、咽頭痛、腹痛、吐き気、嘔吐、経口摂取すると腹痛、吐き気、嘔吐を生じる (MOE初期評価第9巻:暫定的有害性評価シート (2011))。

【参考データ等】
(4) 0.5 Lの本物質の溶液 (詳細は記載なし) の経口摂取により、数時間以内にヒトが死亡した。病理組織検査では、小腸粘膜の限局性壊死、多臓器の出血と浮腫、肺への損傷 (限局性の無気肺、急性肺気腫、肺胞及び気管支上皮の剥離) を示し、病理学的には非特異的な症状であった (GESTIS (Access on May 2020)、HSDB (Access on May 2020))。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1 (神経系、呼吸器、血液系、肝臓、筋肉、甲状腺、副腎)


危険
H372 P260
P264
P270
P314
P501
【分類根拠】
吸入経路では、(1) より、ヒトで神経系、呼吸器への影響がみられ、実験動物では、(2) より、区分1の範囲で呼吸器ヘの影響がみられた。経口経路では、(3)~(5) より、区分1の範囲で血液、肝臓、筋肉、甲状腺、副腎に影響がみられた。このほか、刺激性によると考えられる胃の非腺上皮の過形成、浮腫がみられている。したがって、区分1 (神経系、呼吸器、血液系、肝臓、筋肉、甲状腺、副腎) とした。なお、新たな情報源を加えて検討した結果、旧分類から分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) ヒトにおいて、長期間の吸入ばく露で神経及び視覚の障害、皮膚炎、上気道の刺激症状が生じたとの報告がある (MOE初期評価第9巻:暫定的有害性評価シート (2011))。
(2) ラットを用いた28日間吸入毒性試験 (6時間/日、5日/週) において、0.3 mg/m3 (ガイダンス値換算: 0.000093 mg/L、区分1の範囲) 以上で喉頭の炎症、扁平上皮化生、過形成及び壊死、MCHC減少、1 mg/m3 (ガイダンス値換算: 0.00031mg/L、区分1の範囲) 以上で肺胞管の線維症及び細気管支の杯細胞の顕在化、肺胞管の細気管支化生及び細気管支炎がみられた (MAK (DFG) (2016))。
(3) ラットを用いた1年間混餌投与試験おいて、3 mg/kg/day (区分1の範囲) 以上で赤血球数減少、9.1/12 mg/kg/day (区分1の範囲) 以上で体重増加抑制、T3、T4減少、血中尿素増加、脂肪組織の置換及び骨格筋の筋線維の狭窄、脾臓のヘモジデローシス、肝臓の胆管過形成及び類洞肝細胞の色素沈着、甲状腺の後鰓体部の嚢胞、胃の非腺上皮の過形成、膵臓の脂肪組織置換、空胞化を伴う副腎肥大、胃の非腺上皮の浮腫、ヘマトクリット値及びヘモグロビン減少、副腎嚢胞性変性、27/38 mg/kg/day (区分2の範囲) で肝臓の類洞細胞の褐色色素沈着、甲状腺C細胞過形成、膵臓の外分泌組織の萎縮、黄体欠損がみられた (MAK (DFG) (2016))。
(4) マウスを用いた80週間混餌投与試験において、3/4 mg/kg/day (区分1の範囲) 以上で小葉中心肝細胞肥大、27/33 mg/kg/day (区分2の範囲) 以上で、体重増加抑制、膀胱の上皮過形成、82 mg/kg/day (区分2の範囲) で脂肪組織の量減少、腎臓の皮質瘢痕、褐色腎臓、95 mg/kg/day (区分2の範囲) で膀胱の上皮過形成がみられた (MAK (DFG) (2016))。
(5) イヌを用いた1年間混餌試験において、6.6/6.7 mg/kg/day (区分1の範囲) 以上で色素沈着した肝臓のクッパー細胞増加、脾臓の色素沈着したマクロファージの増加、ALT、ALP及びAST活性増加、肝臓の小葉中心性線維細胞の増加、17.4/20.6 mg/kg/day (初期24/30mg/kg/day) (区分2の範囲) で変性肝細胞を伴う肝病巣、肝静脈の炎症細胞、肝細胞壊死がみられた (MAK (DFG) (2016))。

【参考データ等】
(6) ラット、マウス、イヌに本物質を経口投与した研究では、主に肝臓、甲状腺、副腎、筋肉、造血及び神経系、精巣への影響が明らかになった (MAK (DFG) (2016)) 。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
10 誤えん有害性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
11 水生環境有害性 短期(急性) 区分1


警告
H400 P273
P391
P501
魚類(ファットヘッドミノー)96時間LC50 = 0.008 mg/L(U.S.EPA: RED, 2004)であることから、区分1とした。 令和元年度(2019年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用
11 水生環境有害性 長期(慢性) 区分1


警告
H410 P273
P391
P501
急速分解性がなく(BODによる分解度:0%(通産省公報, 1994))、魚類(シープスヘッドミノー)の34日間NOEC = 0.027 mg/L(U.S.EPA: OPP Pesticide Ecotoxicity Database, 2020)であることから、区分1とした。 令和元年度(2019年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用
12 オゾン層への有害性 分類できない
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- - データ不足のため分類できない。 令和元年度(2019年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用


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