NITE統合版 政府によるGHS分類結果

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一般情報
 
項目 情報
CAS登録番号 15663-27-1
名称 (SP‐4‐2)‐ジアンミンジクロロ白金 (別名シスプラチン)
物質ID m-nite-15663-27-1_v1
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項目 情報
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物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
1 爆発物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に爆発性に関連する原子団を含まない。 平成21年度(2009年度) ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
2 可燃性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 平成21年度(2009年度) ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
3 エアゾール 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - エアゾール製品でない。 平成21年度(2009年度) ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
4 酸化性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 平成21年度(2009年度) ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
5 高圧ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 平成21年度(2009年度) ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
6 引火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 平成21年度(2009年度) ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
7 可燃性固体 分類できない
-
-
- - データなし。 平成21年度(2009年度) ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
8 自己反応性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に爆発性・自己反応性に関連する原子団を含まない。 平成21年度(2009年度) ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
9 自然発火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 平成21年度(2009年度) ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
10 自然発火性固体 分類できない
-
-
- - データなし。 平成21年度(2009年度) ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
11 自己発熱性化学品 分類できない
-
-
- - データなし。 平成21年度(2009年度) ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
12 水反応可燃性化学品 区分に該当しない
-
-
- - 金属を含む化合物であるが、水溶解度(0.253 g/100 g(25℃))が示されている(Merck(14th, 2006))。 平成21年度(2009年度) ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
13 酸化性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 平成21年度(2009年度) ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
14 酸化性固体 分類できない
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-
- - ハロゲン元素(Cl)を含む無機化合物であるが、試験データがないため分類できない。 平成21年度(2009年度) ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
15 有機過酸化物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 無機化合物である。 平成21年度(2009年度) ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
16 金属腐食性化学品 分類できない
-
-
- - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。 平成21年度(2009年度) ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
17 鈍性化爆発物 -
-
-
- - - - -

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
1 急性毒性(経口) 区分2


危険
H300 P301+P310
P264
P270
P321
P330
P405
P501
ラットLD50値は約20 mg/kg(EHC No.125(1991))であるとの報告に基づき、区分2とした。 平成21年度(2009年度) ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
1 急性毒性(経皮) 分類できない
-
-
- - データなし。 平成21年度(2009年度) ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
1 急性毒性(吸入:ガス) 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 平成21年度(2009年度) ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
-
-
- - データなし。 平成21年度(2009年度) ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-
-
- - データなし。 平成21年度(2009年度) ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
2 皮膚腐食性/刺激性 区分に該当しない
-
-
- - ウサギを用いたパッチテスト(24時間適用)において、皮膚一次刺激指数0.13で軽度の刺激性(mild irritant)がみられる(EHC No.125(1991))ため、JIS分類基準の区分外(国連分類基準の区分3)とした。 平成21年度(2009年度) ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2A


警告
H319 P305+P351+P338
P337+P313
P264
P280
ウサギを用いた試験において、重度の刺激性(severely irritant)がみられる(EHC No.125(1991))ため、区分2Aとした。なお、水溶性の白金塩として「粉末は眼に対して灼熱感、流涙、結膜充血、時に羞明を引き起こし、角膜上皮に影響を与える可能性が示唆される。」(HSDB(2009))との記載がある。 平成21年度(2009年度) ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - 呼吸器感作性に関するデータはなく、分類できないとした。なお、EHC No.125(1991)において「本物質のような白金の中性錯体にアレルギー誘発性はない。これは、恐らく本物質が完全抗原を形成するタンパク質と反応しないためである。」との記載がある。

平成21年度(2009年度) ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
4 皮膚感作性 区分に該当しない
-
-
- - EHC No.125(1991)において「本物質のような白金の中性錯体にアレルギー誘発性はない。これは、恐らく本物質が完全抗原を形成するタンパク質と反応しないためである。」との記載があり、区分外とした。 平成21年度(2009年度) ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
5 生殖細胞変異原性 区分1B


危険
H340 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
in vivo試験では、マウスの精母細胞を用いた染色体異常試験で陽性であり(PATTY(5th, 2001))、区分1Bとした。なお、その他in vivo試験では、マウスを用いた優性致死試験で陰性(IARC Suppl. No.7(1987))、マウスおよびラットの骨髄を用いた染色体異常試験で陽性(EHC No.125(1991)、PATTY(5th, 2001))、マウスの骨髄を用いた姉妹染色分体交換試験で陽性(EHC No.125(1991))、ラット体細胞DNAとの付加体形成試験で陽性(PATTY(5th, 2001))である。in vitro試験では、全てのエームス試験、染色体異常試験、小核試験で陽性である(EHC No.125(1991)、IARC vol.26(1981)、NTP DB(access on Oct. 2009))。 平成21年度(2009年度) ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
6 発がん性 区分1B


危険
H350 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
【分類根拠】
(1)~(3)のIARCの分類結果及び(4)~(6)の試験結果に基づき、区分1Bとした。
IARCの分類見直しに伴い、旧分類を見直したが、他物質と併用された場合の分類であったため、本物質の分類は変更せず1Bのままとした。
(7)、(8)に示すようにエトポシドと本物質とブレオマイシンの併用療法は、ヒトに発がん性を示す。

【根拠データ】
(1)本物質単独での発がん性分類はIARCによりグループ2A(IARC Suppl. 7(1987))、NTPによりR(NTP RoC(14th, 2016))に分類されている。
(2)IARCは、1990年代のコホート調査報告の再評価結果である急性骨髄性白血病の増加に基づき、エトポシドと本物質とブレオマイシンの併用をグループ1に分類している(IARC 100A(2012))。
(3)誘発された急性骨髄性白血病にはエトポシドのようなトポイソメラーゼII 阻害剤によるものの顕著な特徴があったが、本物質はトポイソメラーゼII 阻害に関与しない。エトポシドは単独でもグループ1に分類されている(IARC 100A(2012))。
(4)マウスに複数回腹腔内投与した試験において、肺腺腫の発生増加がみられた(IARC Suppl. No.7(1987))。
(5)マウスの皮膚にプロモーターとしてクロトン油を塗布し腹腔内投与した試験において、皮膚乳頭腫の発生増加がみられた(IARC Suppl. No.7(1987))。
(6)ラットに複数回腹腔内投与した2つの試験において、白血病を誘発した(IARC Suppl. No.7(1987))。

【参考データ等】
(7)1990年代に実施されたエトポシドと本物質とブレオマイシンの併用療法に関する多数のコホート調査の再評価により、急性骨髄性白血病の増加が認められた(IARC 100A(2012))。
(8)本物質は、通常併用化学療法処方の主成分として、特にブレオマイシンやエトポシドとともに、精巣腫瘍の治療に用いられている(IARC 100A(2012))。
平成30年度(2018年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
7 生殖毒性 区分1B、授乳に対するまたは授乳を介した影響に関する追加区分


危険
H360
H362
P308+P313
P201
P202
P260
P263
P264
P270
P280
P405
P501
ヒトでは、本物質を含む抗がん剤の治療を妊娠初期に受けた13人の女性のうち、子供が生まれるまで妊娠を継続した5人中2人に新生児の低体重がみられ、自然流産が4人にみられた(PATTY(5th, 2001))との報告、本物質の治療開始後2ヶ月以内に無精子症が発症することが示された(HSDB(2009))との報告があり、医薬品添付文書において、「妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと。(動物実験で、ラットにおいて催奇形作用、胎児致死率の増加、ウサギにおいて胎児致死率の増加が認められ、また、マウスにおいて催奇形作用、胎児致死作用が報告されている。)」、「授乳婦に投与する場合には、授乳を中止させること。(母乳中に移行することが報告されている。)」との記述があるため(ランダ注(シスプラチン製剤)添付文書(2009))、以上の結果より生殖毒性については区分1B、また授乳に対するまたは授乳を介した影響に関する追加区分とした。 平成21年度(2009年度) ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(消化器、骨髄、腎臓、神経系)


危険
H370 P308+P311
P260
P264
P270
P321
P405
P501
本物質は抗がん剤として使用されており、ヒトのデータは、本物質を投与された患者における副作用を報告したものである。経口、経皮、吸入経路のデータは無く、単回か反復かの判断も困難であるが、急性影響として記載されている症状は、消化器への影響として難治性の吐気と嘔吐、骨髄の影響として白血球減少症、血小板減少症(IARC vol.26(1981))、腎臓への影響として尿細管の損傷、神経系への影響として聴力の低下、不明瞭な話し方、味覚障害、手の無感覚、歩行困難、深部腱反射の消失または減少、見当識障害、妄想症、感覚機能低下、運動機能低下がみられる(いずれもPIM 132(1992))ため、区分1(消化器、骨髄、腎臓、神経系)とした。なお、その他一時的で軽度の肝臓毒性がみられるが、肝臓への影響は稀である(PIM 132(1992))との記載があるため、分類には考慮しなかった。 平成21年度(2009年度) ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(骨髄、腎臓、神経系、消化器系、全身毒性)


危険
H372 P260
P264
P270
P314
P501
本物質は抗がん剤として使用されており、ヒトのデータは、本物質を投与された患者における副作用を報告したものである。経口、経皮、吸入経路のデータは無いが、長期治療においてみられる症状は、骨髄への影響として骨髄抑制、貧血、血小板減少症、白血球減少症、腎臓への影響として糸球体ろ過率の著しい低下、神経系への影響として末梢神経障害、眼の神経炎、乳頭浮腫、足首の振動感覚と反射の減少、てんかん性発作、消化器への影響として強い吐気、嘔吐、胃腸疾患が記載されている(PATTY(5th, 2001)、PIM 132(1992))。よって、区分1(骨髄、腎臓、神経系、消化器系)とした。また、医薬品添付文書においては、重大な副作用として「急性腎不全、汎血球減少等の骨髄抑制、ショック、アナフィラキシー様症状、聴力低下・難聴、耳鳴、うっ血乳頭、球後視神経炎、皮質盲、脳梗塞、一過性脳虚血発作、溶血性尿毒症症候群、心筋梗塞、狭心症、うっ血性心不全、不整脈、溶血性貧血、間質性肺炎、抗利尿ホルモン不適合分泌症候群、劇症肝炎、肝機能障害、黄疸、消化管出血、消化性潰瘍、消化管穿孔、急性膵炎、高血糖、糖尿病の悪化、横紋筋融解症」(ランダ注(シスプラチン製剤)添付文書(2009))との記載があることから全身毒性とした。
平成21年度(2009年度) ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
10 誤えん有害性 分類できない
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- - データなし。 平成21年度(2009年度) ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
11 水生環境有害性 短期(急性) 分類できない
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- - データなし。 平成21年度(2009年度) ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
11 水生環境有害性 長期(慢性) 分類できない
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- - データなし。 平成21年度(2009年度) ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
12 オゾン層への有害性 -
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分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
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