NITE統合版 政府によるGHS分類結果

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一般情報
 
項目 情報
CAS登録番号 1861-40-1
名称 N-ブチル-N-エチル-アルファ,アルファ,アルファ-トリフルオロ-2,6-ジニトロ-パラ-トルイジン(別名:ベスロジン又はベンフルラリン)
物質ID m-nite-1861-40-1_v2
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関連情報
項目 情報
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物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
1 爆発物 分類できない
-
-
- - 爆発性の原子団(ニトロ基)を含み、酸素収支が-143と判定基準の-200より高いが、データがなく分類できない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
2 可燃性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
3 エアゾール 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - エアゾール製品でない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
4 酸化性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
5 高圧ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
6 引火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
7 可燃性固体 分類できない
-
-
- - データがなく分類できない。なお、可燃性との情報(GESTIS(accessed sep. 2020))がある。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
8 自己反応性化学品 分類できない
-
-
- - 爆発性に関わる原子団(ニトロ基)を含むが、データがなく分類できない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
9 自然発火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
10 自然発火性固体 分類できない
-
-
- - データがなく分類できない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
11 自己発熱性化学品 分類できない
-
-
- - 融点が140℃以下の固体状の物質に適した試験方法が確立していないため、分類できない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
12 水反応可燃性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 金属及び半金属(B,Si,P,Ge,As,Se,Sn,Sb,Te,Bi,Po,At)を含んでいない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
13 酸化性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
14 酸化性固体 分類できない
-
-
- - 塩素を含まず、フッ素及び酸素を含む有機化合物であり、この酸素が炭素及び水素以外の元素 (N) と結合しているが、データがなく分類できない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
15 有機過酸化物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物である。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
16 金属腐食性化学品 分類できない
-
-
- - 固体状の物質に適した試験方法が確立していないため、分類できない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
17 鈍性化爆発物 分類できない
-
-
- - 爆発性の原子団(ニトロ基)を含むが、データがなく分類できない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
1 急性毒性(経口) 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)~(3)より、区分に該当しない。

【根拠データ】
(1)ラットのLD50:> 10,000 mg/kg(食安委 農薬評価書 (2010)、EPA Pesticides RED (2004))
(2)ラット(雄)のLD50:> 5,000 mg/kg(OECD TG 401、GLP)(CLH Report (2019)、EPA Pesticides RED (2004))
(3)ラット(雌)のLD50:> 5,000 mg/kg(OECD TG 401、GLP)(CLH Report (2019)、EPA Pesticides RED (2004))
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
1 急性毒性(経皮) 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)~(3)の3件の試験結果より、区分に該当しない。

【根拠データ】
(1)ウサギのLD50:> 5,000 mg/kg(食安委 農薬評価書 (2010)、EPA Pesticides RED (2004))
(2)ウサギのLD50:> 5,000 mg/kg(OECD TG 402、GLP)(CLH Report (2019))
(3)ウサギのLD50:> 5,000 mg/kg(OECD TG 402、GLP)(CLH Report (2019))
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
1 急性毒性(吸入:ガス) 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)~(3)より、区分4上限付近の用量における影響が不明のため、分類できない。

【根拠データ】
(1)ラットのLC50:> 2.3 mg/L(食安委 農薬評価書 (2010)、EPA Pesticides RED (2004))
(2)ラット(雄)のLC50:> 2.16 mg/L(OECD TG 403、GLP)(CLH Report (2019))
(3)ラット(雌)のLC50:> 2.16 mg/L(OECD TG 403、GLP)(CLH Report (2019))
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2


警告
H315 P302+P352
P332+P313
P362+P364
P264
P280
P321
【分類根拠】
(1)~(3)より、区分2とした。

【根拠データ】
(1)ウサギ(n=6)を用いた皮膚刺激性試験(OECD TG 404、GLP、半閉塞、4時間適用、14日観察)において、3例で15日後まで紅斑が持続した(紅斑・痂皮スコア:1/2/1.7/2/2/2、浮腫スコア:1/1/1/1/1/1.3)との報告がある(CLH Report (2019))。
(2)ウサギ(n=6)を用いた皮膚刺激性試験(OECD TG 404、GLP、4時間適用、9日観察)において、9日後に5例で落屑がみられた(紅斑・痂皮スコア:0/0/0.3/0.7/0.7/0.3、浮腫スコア:0.7/0.3/1/2/0.3/1.3)との報告がある(CLH Report (2019))。
(3)ウサギを用いた皮膚刺激性試験において、中等度の刺激性がみられた(食安委 農薬評価書 (2019)、EPA Pesticides RED (2004))。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2A


警告
H319 P305+P351+P338
P337+P313
P264
P280
【分類根拠】
(1)より、区分2Aとした。

【根拠データ】
(1)ウサギ(n=6)を用いた眼刺激性試験(OECD TG 405、GLP、14日観察)において、みられた眼刺激性反応の多くは7日以内に回復し、14日後には完全に回復した(角膜混濁スコア:1/1/1/1/1/1.3、虹彩炎スコア:0/1/0.7/0.7/0.3/1、結膜発赤スコア:2.3/2/2/2.3/2.7/2.7、結膜浮腫スコア:2/1.3/3/2/2.3/4)との報告がある(CLH Report (2019))。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
4 皮膚感作性 区分1


警告
H317 P302+P352
P333+P313
P362+P364
P261
P272
P280
P321
P501
【分類根拠】
(1)、(2)より、区分1とした。なお、(1)は区分1Bを、(2)は区分1Aを支持しており、細区分せず区分1とした。

【根拠データ】
(1)モルモット(n=20)を用いたMaximisation試験(OECD TG 406、GLP、皮内投与:5%溶液)において、感作率は95%であったとの報告がある(CLH Report (2019))。
(2)モルモット(n=12)を用いた改変Buehler試験(OECD TG 406、GLP、局所投与:5%溶液)において、感作率は75%であったとの報告がある(CLH Report (2019))。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
5 生殖細胞変異原性 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)~(7)より、区分に該当しない。

【根拠データ】
(1)マウスの骨髄細胞を用いた小核試験(強制経口投与)において、不確定な結果(equivocal)との報告がある(CLH Report (2019)、Annexes to the CLH Report (2019))。
(2)ラットの骨髄細胞を用いた2つの小核試験(強制経口投与、2回)において、陰性との報告がある(CLH Report (2019)、Annexes to the CLH Report (2019))。
(3)ハムスターを用いた姉妹染色分体交換試験(単回経口投与)において、陰性との報告がある(食安委 農薬評価書 (2010))。
(4)細菌復帰突然変異試験において、3件の陰性との報告がある(CLH Report (2019)、Annexes to the CLH Report (2019))。
(5)マウスリンパ腫細胞を用いた遺伝子突然変異試験において、3件の陰性との報告がある(CLH Report (2019)、Annexes to the CLH Report (2019))。
(6)ヒトリンパ球を用いた小核試験において、2件の陰性との報告がある(CLH Report (2019)、Annexes to the CLH Report (2019))
(7)チャイニーズハムスター卵巣(CHO)由来細胞を用いた染色体異常試験において、陰性の報告がある(食安委 農薬評価書 (2010))。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
6 発がん性 区分2


警告
H351 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
【分類根拠】
(1)~(3)より、区分2とした。

【根拠データ】
(1)国内外の分類機関による既存分類としては、EPAがS (Suggestive Evidence of Carcinogenicity, but not Sufficient to Assess Human Carcinogenic Potential:発がん性を示唆する証拠はあるが、ヒトの発がん性を評価するには十分ではない) に分類した(EPA Annual Cancer Report 2018 (Accessed September 2020): 2001年分類)。
(2)ラットを用いた2年間混餌投与による慢性毒性/発がん性併合試験(OECD TG 453、GLP)では、2,500 ppm以上の投与群の雄で肝細胞腺腫の発生率の増加、並びに同雌雄で甲状腺濾胞細胞の腺腫とがんの合計発生率の増加が認められた(食安委 農薬評価書 (2010)、CLH Report (2019))。
(3)マウスを用いた2年間混餌投与による慢性毒性/発がん性併合試験(OECD TG 451、GLP)では、1,500 ppmの雌で肝細胞腺腫とがんの合計発生率の増加が認められた(食安委 農薬評価書 (2010))。CLH Report (2019) では、背景データの解析を踏まえ、雌では肝細胞腺腫(1,500 ppm)及び肝細胞がん(50、300及び1,500 ppm)の発生率増加がみられた。一方、雄マウスでは1,500 ppm投与群で肝臓腫瘍発生数の高値を示したが、対照群における肝臓腫瘍発生率が高かったため統計的有意差が得られなかったとしている。

【参考データ等】
(4)発がん性試験結果からは、結論としてラットでは肝臓及び甲状腺の腫瘍、マウスでは肝臓腫瘍が認められた。これらの腫瘍の発生機序はある程度明らかにされてはいるが、ヒトへの外挿の妥当性がないということは明確には証明できず、したがって分類基準ではカテゴリー2になると思われる(EFSA (2019))。
(5)(3)のマウスの発がん性試験では、被験物質として用いた本物質バッチに不純物として既知発がん物質の構造類似体のEBNA(ethyl-butyl-nitrosamine:CAS番号 4549-44-4) が本物質の変異原性/遺伝毒性評価に用いたられたバッチよりも高レベルで含有していることに留意すべき(CLH Report (2019))。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
7 生殖毒性 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)~(3)より、区分に該当しない。

【根拠データ】
(1)ラットを用いた混餌投与による二世代繁殖試験において、親動物に顕著な一般毒性影響(死亡(F0及びF1の雌1又は2/30例)、体重増加抑制、摂餌量減少、肝臓・腎臓の病変(肝細胞肥大、慢性腎症、腎盂腎炎等))がみられる用量で、F0及びF1雌親に腹当たりの産児数の減少、F1雌に妊娠期間延長、生後4日の生存児数/腹の減少及び離乳率の減少、F1児動物に生時体重低値及び生後4日から離乳までの体重低値がみられた。なお、繁殖能に対する影響は認められなかったとの報告がある(CLH Report (2019)、食安委 農薬評価書 (2010))。
(2)ラットを用いた強制経口投与した発生毒性試験(妊娠6~15日)では、母動物に体重増加抑制がみられる用量で、胎児に軽微な骨格変異(椎骨/胸骨分節の変異)の頻度増加がみられたが、催奇形性は認められなかったとの報告がある(CLH Report (2019)、食安委 農薬評価書 (2010))。
(3)ウサギを用いた強制経口投与した発生毒性試験(妊娠6~18日)では、母動物に体重増加抑制、摂餌量減少がみられる用量で胎児には無影響であったが、母動物に死亡、流産が認められる高用量で骨格変異(頭蓋骨)頻度の増加がみられたとの報告がある(CLH Report (2019)、食安委 農薬評価書 (2010))。

【参考データ等】
(4)ラットを用いた二世代繁殖試験において、児動物には胃内にミルクがない例数が用量依存的に認められた。CLP分類提案者は、この知見とウシを用いた本物質のADME試験結果から本物質及び代謝物が乳汁中に分泌されることを併せ考え、本物質は乳汁移行性があり、母乳を介して乳児ラットに有害影響として成長抑制を生じたものと考え、追加区分としての授乳影響を提案している(CLH Report (2019))。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3(気道刺激性)


警告
H335 P304+P340
P403+P233
P261
P271
P312
P405
P501
【分類根拠】
(1)より、区分3(気道刺激性)とした。

【根拠データ】
(1)ラットを用いた単回吸入(粉塵)ばく露試験(OECD TG 403、GLP)において、1.12 mg/L(区分2の範囲)で一時的な活動低下・体重減少が、2.16 mg/L(区分2の範囲)で死亡(雄2/5例、雌1/5例、剖検の結果、肝臓・肺にうっ血)、呼吸困難、活動性低下、体重減少がみられたとの報告がある(CLH Report (2019)、EU EFSA (2019))。

【参考データ等】
(2)ラットを用いた強制経口投与による急性経口毒性試験(OECD TG 401、GLP)において、5,000 mg/kg(区分該当しない範囲)で投与後に低活動性、会陰部の尿による汚れ、流涙がみられたが、14日には全例正常であった。剖検の結果、投与に関連した異常はみられなかった。なお、誤投与により雌2/5例が死亡がみられたとの報告がある(CLH Report (2019))。
(3)ウサギを用いた急性経皮毒性試験(OECD TG 402、GLP)において、5,000 mg/kg(区分該当しない範囲)で剥離と皮膚刺激症状(中程度から重度の紅斑及び浮腫)がみられたが28日以内に消失した。その他、投与に関連した影響はみられなかったとの報告がある(CLH Report (2019))。
(4)ウサギを用いた単回経皮投与試験(OECD TG 402、GLP)において、5,000 mg/kg(区分該当しない範囲)で軽度の紅斑及び浮腫、火傷・亀裂(雄)、落屑・痂皮がみられたとの報告がある(CLH Report (2019))。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(肝臓、腎臓)


危険
H372 P260
P264
P270
P314
P501
【分類根拠】
(1)~(5)より、区分1(肝臓、腎臓)とした。なお、腎臓に関して、(1)でみられるα2μグロブリン腎症は一般に雄ラット特有の症状ではあるが、雌ラットにも腎臓影響がみられることから、標的臓器として採用した。

【根拠データ】
(1)ラットを用いた混餌投与によるげっ歯類における90日間反復経口投与毒性試験(OECD TG 408、GLP)において、250 ppm(17 mg/kg/day(雄)、20 mg/kg/day(雌)、区分2の範囲)で慢性腎症(雄の所見はα2μグロブリン蓄積による二次的影響)、腎皮質尿細管上皮細胞色素沈着(雌)、肝・腎絶対相対重量増加(雌)が、500 ppm(25 mg/kg/day、区分2の範囲)で尿中AST増加(雄)、腎臓影響(硝子滴形成、腎皮質尿細管上皮細胞再生)(雄)、肝臓肥大(雄)がみられたとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2010)、CLH Report (2019))。
(2)イヌを用いた強制経口投与による90日間反復経口投与毒性試験(OECD TG 409、GLP)において、5 mg/kg/day(区分1の範囲)で検体と同色の嘔吐物(雌)が、25 mg/kg/day(区分2の範囲)で脾臓影響(ヘモジデリン色素沈着)、検体と同色の嘔吐物(雄)が、125 mg/kg/day(区分該当しない範囲)で肝臓影響(細胞肥大、絶対相対重量増加(雄)、ヘモジデリン色素沈着)がみられたとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2010)、CLH Report (2019))。
(3)イヌを用いた強制経口による慢性毒性試験(OECD TG 452、GLP)において、25 mg/kg/day(区分2の範囲)で肝臓影響(相対重量増加)、ALT増加(雌)、肝臓影響(類洞細胞の色素沈着)(雌)が、125 mg/kg/day(区分該当しない範囲)でALT 増加(雄)、肝臓影響(類洞細胞の色素沈着)(雄)がみられたとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2010)、CLH Report (2019))。
(4)ラットを用いた混餌投与による慢性毒性/発がん性併合試験(OECD TG 453、GLP)において、100 ppm(5.4 mg/kg/day(雄)、6.8 mg/kg/day(雌)、区分1の範囲)で腎臓影響(硝子滴形成、腎盂結石)、尿細管上皮細胞巨核化(雄)、移行上皮過形成(雄)、肝臓影響(細胞肥大、細胞内色素沈着)(雌)が、2,500 ppm(136 mg/kg/day(雄)、168 mg/kg/day(雌)、区分該当しない範囲)で血液影響(RBC・Hb・Ht減少、PLT増加、BUN・Cre・TP・Alb・Glob 増加)、肝臓影響(絶対相対重量増加・慢性炎症、肝細胞肥大(雄)、肝細胞内色素沈着(雄)、肝単細胞壊死(雄))、慢性腎症、膀胱上皮過形成、坐骨神経及び大腿筋変性、肺慢性炎症がみられたとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2010)、 CLH Report (2019))。
(5)マウスを用いた混餌投与による慢性毒性/発がん性併合試験(OECD TG 451、GLP)において、300 ppm(36.4 mg/kg/day(雄)、41.8 mg/kg/day(雌)、区分2の範囲)で尿路系障害、肝臓の結節(雌)が、1,500 ppm(185 mg/kg/day(雄)、224 mg/kg/day(雌)、区分該当しない範囲)で明黄色尿、肝臓影響(絶対相対重量増加、多発性巣状過形成(雌))、ALT・ALP増加(雌)がみられたとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2010)、CLH Report (2019))。

【参考データ等】
(6)ラット、イヌ、マウスに短期及び長期投与後に、本物質は肝臓に標的臓器毒性を示した。ラットでは短期ばく露で赤血球及び腎臓に、長期ばく露では甲状腺に影響がみられ、イヌでは左記に加え赤血球に影響がみられたとの報告がある(EFSA (2019))。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
10 誤えん有害性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
11 水生環境有害性 短期(急性) 区分1


警告
H400 P273
P391
P501
甲殻類(ミシッドシュリンプ)96時間LC50 = 0.043 mg/L(EPA Pesticides RED, 2004、EU CLP CLH, 2019、OPP Pesticide Ecotoxicity Database)であることから、区分1とした。 令和3年度(2021年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
11 水生環境有害性 長期(慢性) 区分1


警告
H410 P273
P391
P501
急速分解性がなく(BIOWIN)、魚類(ニジマス)の49日間NOEC = 0.0019 mg/L(EPA Pesticides RED, 2004、EU CLP CLH, 2019、OPP Pesticide Ecotoxicity Database)から、区分1とした。 令和3年度(2021年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
12 オゾン層への有害性 分類できない
-
-
- - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 令和3年度(2021年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)


分類結果の利用に関する注意事項:
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  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。

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