項目 | 情報 |
---|---|
CAS登録番号 | 68515-48-0,28553-12-0 |
名称 | フタル酸ジイソノニル (DINP)(別名:フタル酸ジノニル) |
物質ID | m-nite-28553-12-0_v2 |
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項目 | 情報 |
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危険有害性項目 | 分類結果 | 絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | 分類実施年度 | 分類ガイダンス等 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 爆発物 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 爆発性に関連する原子団を含んでいない。 | 平成28年度(2016年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
2 | 可燃性ガス | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 | 平成28年度(2016年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
3 | エアゾール | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | エアゾール製品でない。 | 平成28年度(2016年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
4 | 酸化性ガス | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 | 平成28年度(2016年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
5 | 高圧ガス | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 | 平成28年度(2016年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
6 | 引火性液体 | 区分に該当しない |
- |
- | - | 引火点が240℃ (GESTIS (Access on June 2016)) であり、区分外に相当する。 | 平成28年度(2016年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
7 | 可燃性固体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 | 平成28年度(2016年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
8 | 自己反応性化学品 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。 | 平成28年度(2016年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
9 | 自然発火性液体 | 区分に該当しない |
- |
- | - | 発火点は375℃ (GESTIS (Access on June 2016)) であり常温で発火しないと考えられる。 | 平成28年度(2016年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
10 | 自然発火性固体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 | 平成28年度(2016年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない |
- |
- | - | 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。 | 平成28年度(2016年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
12 | 水反応可燃性化学品 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 金属及び半金属 (B,Si,P,Ge,As,Se,Sn,Sb,Te,Bi,Po,At) を含んでいない。 | 平成28年度(2016年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
13 | 酸化性液体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。 | 平成28年度(2016年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
14 | 酸化性固体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 | 平成28年度(2016年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
15 | 有機過酸化物 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物である。 | 平成28年度(2016年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
16 | 金属腐食性化学品 | 分類できない |
- |
- | - | データがなく分類できない。 | 平成28年度(2016年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
17 | 鈍性化爆発物 | - |
- |
- | - | - | - | - |
危険有害性項目 | 分類結果 | 絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | 分類実施年度 | 分類ガイダンス等 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 急性毒性(経口) | 区分に該当しない |
- |
- | - | ラットのLD50値として、> 9,800 mg/kg (EU-RAR (2003)、食品安全委員会 (2015)、HSDB (Access on August 2016))、> 10,000 mg/kg (EU-RAR (2003)、NICNAS (2012)、PATTY (6th, 2012)、食品安全委員会 (2015)、HSDB (Access on August 2016))、> 40,000 mg/kg、> 50,000 mg/kg (EU-RAR (2003)、NICNAS (2012)、食品安全委員会 (2015)) との4件の報告に基づき、区分外とした。 | 平成28年度(2016年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分に該当しない |
- |
- | - | ウサギのLD50値として、> 3,160 mg/kg (EU-RAR (2003)、NICNAS (2012)、PATTY (6th, 2012)、食品安全委員会 (2015)、HSDB (Access on August 2016)) の報告に基づき、区分外 (国連分類基準の区分5) とした。 | 平成28年度(2016年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 | 平成28年度(2016年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。 | 平成28年度(2016年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。 ラットのLC50値 (4時間) として、> 0.067 mg/L、> 0.07 mg/L (EU-RAR (2003)、食品安全委員会 (2015))、> 4.4 mg/L (EU-RAR (2003)、NICNAS (2012)、食品安全委員会 (2015)) の3件の報告があるが、これらの値のみからは区分を特定することができないため、分類できないとした。なお、これらのLC50値は飽和蒸気圧濃度 (11.2 ng/L) より高いため、ミストとしてmg/Lを単位とする基準値を適用した。 |
平成28年度(2016年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分に該当しない |
- |
- | - | ウサギの皮膚刺激性試験 (OECD TG 404、4時間貼付) では、24時間後にごく軽度の紅斑 (スコア1) がみられたが48時間後には消失した。24時間閉塞適用した過酷条件の試験でも一過性の軽度の紅斑、浮腫が発現したが、速やかに消失しており、いずれも平均スコアは1.0を下回っていた (EU-RAR (2003)、NICNAS (2012))。また、ボランティアによるヒトのパッチテストでも皮膚刺激性は認められなかった (EU-RAR (2003)、NICNAS (2012))。これらの結果から皮膚刺激性はごく軽度と結論されており (EU-RAR (2003)、NICNAS (2012))、区分外とした。 | 平成28年度(2016年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分に該当しない |
- |
- | - | ウサギの眼刺激性試験 (OECD TG 405)では、1時間後にごく軽度から中等度の結膜潮紅 (スコア4.3) がみられたが、24時間後には軽減し (スコア0.33)、以降は消失した。その他、ウサギの眼刺激性試験 (2試験) においても、一過性の結膜発赤あるいは分泌物がみられたが、48時間以降は消失した (EU-RAR (2003)、NICNAS (2012))。これらの結果から眼刺激性はごく軽度と結論され (EU-RAR (2003)、NICNAS (2012))、区分外とした。 | 平成28年度(2016年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。 | 平成28年度(2016年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
4 | 皮膚感作性 | 分類できない |
- |
- | - | モルモットの皮膚感作性試験 (ビューラー法) では、2週間後の誘発では陰性であったが、3週間後の再誘発では20例中14例に軽度の紅斑がみられ、1例に軽度の浮腫が認められたころから、弱い感作性が示唆された (EU-RAR (2003)、NICNAS (2012))。一方、その他のモルモット皮膚感作性試験 (ビューラー法) では陰性であった (EU-RAR (2003)、NICNAS (2012))。また、ボランティアによるヒトのパッチテストでは28人を対象としたパイロット試験および76人を対象とした本試験のいずれも皮膚反応は認められなかった (EU-RAR (2003)、NICNAS (2012))。相反する結果が得られていることから分類できないとした。 | 平成28年度(2016年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
5 | 生殖細胞変異原性 | 分類できない |
- |
- | - | In vivoでは、ラット骨髄細胞の染色体異常試験で陰性 (NICNAS (2012)、EU-RAR (2003))、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞のマウスリンフォーマ試験、染色体異常試験で陰性である (NICNAS (2012)、EU-RAR (2003)、NTP DB (Access on July 2016))。以上より、分類できないとした。 | 平成28年度(2016年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
6 | 発がん性 | 分類できない |
- |
- | - | ラット又はマウスに2年間混餌投与した発がん性試験において、肝細胞がんなど肝臓腫瘍の発生頻度の増加がみられたが、ペルオキシソーム増殖によるものと考えられている (EU-RAR (2003)、NICNAS (2012)、PATTY (6th, 2012))。DEHP (フタル酸ビス (2-エチルヘキシル)) を用いた研究からペルオキシソーム増殖を介する機序による肝臓腫瘍誘発はげっ歯類特異的な現象でヒトでは生じないと考えられている (EU-RAR (2003))。また、Fischer 344 ラットを用いた2つの2年間混餌投与試験で単核細胞白血病 (MNCL) が認められたが、MNCLはこの系統のラットでよく生じる腫瘍で、IARCがMNCLをヒトで対応する白血病型が不明の分類不能の白血病としており、ヒトへの外挿可能性は低いと結論されている (EU-RAR (2003)、NICNAS (2012)、PATTY (6th, 2012))。この他、雄ラットの1試験で腎尿細管腫瘍がみられたが、α2uグロブリン介在性の機序によるもので、ヒトには当てはまらないとされている (EU-RAR (2003)、NICNAS (2012)、PATTY (6th, 2012))。以上、実験動物では肝臓、腎臓の腫瘍、及び白血病が認められたが、いずれも実験動物特異的でヒトには当てはまらないと考えられている。すなわち、本物質のヒト発がん性については依然不明であり、本項は分類できないとした。 | 平成28年度(2016年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
7 | 生殖毒性 | 区分2 |
警告 |
H361 | P308+P313 P201 P202 P280 P405 P501 |
【分類根拠】 本物質は、o-フタル酸のC9 を中心としたC8~C10 分岐鎖ジアルキルエステルの混合物であり、3種類のDINP(DINP-1(CAS登録番号:68515-48-0)、DINP-2及びDINP-3(CAS登録番号:28553-12-0))が存在するが、(1)より、3種を区別せずに分類に利用した。(2)~(9)より、受胎能への有害影響はみられなかったが、発生影響として主に骨格・内臓変異、雄児の精子及び生殖器の発達障害や、親動物の一般毒性用量で体重低値、出生率及び生存率の低下がみられたことから区分2とした。なお、旧分類の分類時点ではEUでは区分1Bが提案されていたが、その後RACは区分に該当しない判断を公表したことから、生殖毒性を検討して見直したが分類結果に変更はない(2022年度)。 【根拠データ】 (1)DINP-1(CAS登録番号:68515-48-0)、DINP-2(CAS登録番号:28553-12-0)及びDINP-3(CAS登録番号:28553-12-0)について、比較可能な試験結果などから、動物体内において毒性学的影響に大きな差異がなく、3 種を区別せずに評価することが適当と判断した。(食安委 器具・容器包装評価書 (2015)) (2)DINP(CAS登録番号:68515-48-0)について、ラットを用いた混餌投与による一世代生殖毒性試験において、F0雌雄親動物に体重低下及び精巣重量増加/卵巣重量減少がみられる高用量では、F1の出生率減少、授乳期(生後4、14日)及び離乳時(生後21日)の生存率低下がみられたとの報告がある(食安委 器具・容器包装評価書 (2015)、EU CLP CLH (2018)、NICNAS PEC (2012))。 (3)DINP(CAS登録番号:68515-48-0)について、ラットを用いた混餌投与による二世代生殖毒性試験において、F0及びF1雌雄親動物に肝臓組織変化(肝細胞肥大、細胞質好酸性化)がみられる低用量以上でF0及びF1雌親動物に一腹当たりの産児数の増加、及びF1児動物の体重低値、F0雌雄親動物に腎臓重量増加(雄)又は肝臓重量増加(雌)が中用量以上でF2雌雄児動物に体重低値がみられた。なお、高用量群のF0雌及びF1雌雄親動物に体重低下がみられたとの報告がある(食安委 器具・容器包装評価書 (2015)、EU CLP CLH (2018)、NICNAS PEC (2012))。 (4)DINP-1(CAS登録番号:68515-48-0)について、ラットの妊娠6~15日に強制経口投与した発生毒性試験では、母動物毒性(摂餌量減少、膣出血、腎臓相対重量増加等)がみられる高用量で、一腹当たりの変異を有する胎児の割合の増加、骨格変異(痕跡過剰頚肋、第14過剰腰肋)、腎盂拡張がみられたとの報告がある(食安委 器具・容器包装評価書 (2015)、EU CLP CLH (2018)、NICNAS PEC (2012))。 (5)DINP(CAS登録番号:68515-48-0)について、ラットを用いた強制経口投与による複数の発生毒性試験(妊娠6~15日)において、母動物毒性が見られないか、またはわずかな体重低値(有意差なし)がみられる用量で、胎児に内臓異常(腎盂拡張、水尿管)と骨格変異(痕跡頸骨、第14過剰肋骨)、出生児の雄に乳輪遺残と雄生殖器官の奇形発生に頻度増加、精巣の精子産生の低下、テストステロン合成抑制、テストステロン産生の減少等がみられたとの報告がある(EU CLP CLH (2018)、NICNAS PEC (2012))。 (6)DINP(CAS登録番号:68515-48-0)について、ラットを用いた強制経口投与による発生毒性試験(妊娠12日~生後14日)において、母動物に体重増加抑制がみられた高用量で雄児に低体重(生後2日)、肛門生殖器突起間距離(AGD)及び補正AGD値の低値(生後14日)、ライデッヒ細胞の集合体及び多核精原細胞出現の頻度増加(生後2日)、LABC(肛門挙筋/球海綿体筋)絶対重量の減少(生後56日)がみられた。多核精原細胞(生後2日)を有する児動物数の増加と雄児動物の体重低値(生後14日)は中用量からみられたとの報告がある(EU CLP CLH (2018)、NICNAS PEC (2012))。 (7)DINP-2(CAS登録番号:28553-12-0)について、ラットを用いた強制経口投与による発生毒性試験(妊娠6~15日)において、母動物には1例に膣出血がみられた以外に明瞭な毒性がない高用量(1,000 mg/kg/day)で胎児に骨格変異(痕跡過剰頚肋、痕跡過剰腰肋)及び内臓変異(腎盂拡張)がみられた(食安委 器具・容器包装評価書 (2015)、EU CLP CLH (2018)、NICNAS PEC (2012))。 (8)DINP-3(CAS登録番号:28553-12-0)について、ラットの発生毒性試験では、母動物毒性(体重増加抑制、摂餌量減少、肝臓相対重量増加)がみられる高用量で一腹当たりの奇形(主に泌尿器及び長骨の奇形)・変異を有する胎児の割合増加、水尿管・腎盂拡張の増加、胸骨分節の骨化遅延がみられた(食安委 器具・容器包装評価書 (2015))。本試験結果について、EU、オーストラリアではDINP-3は製造中止になったため、評価対象から除外する旨記載され、DINP-2の試験結果のみ記載されている(EU CLP CLH (2018)、NICNAS PEC (2012))。 (9)DINP(CAS登録番号:28553-12-0)について、ラットを用いた混餌投与による発生毒性試験(妊娠15日~出生10日)において、母動物毒性(体重増加抑制、摂餌量減少)がみられる高用量で、児動物に体重増加抑制、膣開口及び包皮分離日の体重低下、生後27日(離乳後)又は生後11週目(成獣)の剖検では精巣・精巣上体(重量減少(生後27日)、精巣管のステージXIVの減数分裂している細胞の精母細胞の変性・セルトリ細胞の空胞変性・精巣上体の散在性管腔内細胞残渣(生後11週))、卵巣・子宮(卵巣・子宮重量減少(生後27日)、黄体数の減少(生後11週))への影響がみられた(食安委 器具・容器包装評価書 (2015)、NICNAS PEC (2012))。本試験結果について、EUでは雄の性成熟期から成熟後の影響については記載されているが、雌の影響についての記載はない(EU CLP CLH (2018))。 【参考データ等】 (10)ヒト成人を対象とした複数の横断研究からは、本物質(DINP:非特定)ばく露と受胎能に関する指標値(精子パラメータ、ホルモンレベル、妊娠までの時間等)との間に相関はみられなかった。健常な少年555人を対象として人体計測、思春期と女性化乳房の有無を評価した横断研究では、尿中フタル酸代謝物レベルと思春期の時期、血清テストステロンレベル、女性化乳房の有無に相関はみられなかった(EU CLP CLH (2018))。 (11)入手可能なデータからはDINPは発生毒性を生じ、生殖器官と精子数と精子運動能に悪影響を及ぼし、繁殖影響をきたす可能性が示唆される。発育中の動物に対しては、肛門生殖突起間距離(AGD)への影響並びに雄児における乳頭遺残の増加等、発生影響がいくつか報告されている。これらの影響は特異的で他の毒性影響による二次的な非特異的な結果ではないと考えられ、作用機序としては抗アンドロゲン作用が示唆される。入手可能なデータからは発生影響については明らかな証拠があり、CLP分類としてRepr. 1Bが妥当であると提案された(CLH Report (2016))。 (12)(11)の提案に対し、RACはDINPではラットに尿道下裂や停留精巣のような明らかな奇形を生じない。また、持続性のAGDの減少も持続性の乳頭遺残も生じない(成獣になる過程で影響が消失する)。胎児の精巣における可逆的な組織変化やテストステロン産生への影響だけでは分類を正当化できるとは考えられない。すなわち、DINPは発生毒性として分類する必要はないと結論した。全体的にいって、DINPは性機能、受胎能、発生毒性のいずれも分類区分なし(no classification:区分に該当しない)が保証されると結論した(ECHA RAC Opinion(2018))。 |
令和4年度(2022年度) | ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 分類できない |
- |
- | - | 本物質のヒトでの単回ばく露のデータはない。動物実験では、ラットに区分2のガイダンス値範囲を超える非常に大量の本物質を経口投与した後に、健康状態の不良、呼吸困難、外見の変化 (立毛と被毛の汚れなど) がみられたが、死亡例はなく、剖検でも異常は認められなかった (EU-RAR (2003))。また、ウサギに区分2のガイダンス値範囲を超える量の経皮投与により、皮膚の紅斑がみられたが、全例が生存し、全身毒性症状も認めらなかった (EU-RAR (2003))。さらに、ラットを用いた区分2のガイダンス値範囲内の用量の急性吸入ばく露試験では、軽度の流涙と鼻汁が認められた以外には、体重減少や肉眼的病変はみられず、肺、肝臓、腎臓の顕微鏡観察による異常所見もみられなかった (EU-RAR (2003)。以上より動物実験における本物質の影響は非常に大量の本物質にばく露された場合にのみ認められる。したがって分類できないとした。 | 平成28年度(2016年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 分類できない |
- |
- | - | ヒトについては、本物質との関連性が明確な情報はない。 実験動物については、ラット、マウス、イヌ、サルを用いた経口経路での反復投与毒性試験等が複数実施され、肝臓、腎臓、精巣等の病変が報告されているが、区分2の範囲内で分類根拠となる毒性影響はみられていない (NICNAS (2012)、食品安全委員会 (2015)、EU-RAR (2003))。 したがって、分類できないとした。 |
平成28年度(2016年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
10 | 誤えん有害性 | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。なお、40℃付近での動粘性率が37 mm2/sec (37.8℃) とのデータがある (HSDB (Access on July 2016))。 | 平成28年度(2016年度) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
危険有害性項目 | 分類結果 | 絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | 分類実施年度 | 分類ガイダンス等 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
11 | 水生環境有害性 短期(急性) | 区分に該当しない |
- |
- | - | 甲殻類(オオミジンコ)48時間EC50 ≧ 0.086 mg/L、魚類(ファットヘッドミノー)96時間LC50 ≧ 0.14 mg/L(いずれもEU-RAR, 2003)であることから、区分に該当しないとした。 | 令和4年度(2022年度) | ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
11 | 水生環境有害性 長期(慢性) | 区分に該当しない |
- |
- | - | 信頼性のある慢性毒性データが得られていない。難水溶性であるが、急速分解性がある(BODによる分解度:74%(METI既存点検結果, 2001))ことから、区分に該当しないとした。 | 令和4年度(2022年度) | ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない |
- |
- | - | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 | 令和4年度(2022年度) | ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
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