NITE統合版 政府によるGHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 409-21-2
名称 炭化けい素ウィスカー
物質ID m-nite-409-21-2_v1
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関連情報
項目 情報
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物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
1 爆発物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に爆発性に関連する原子団を含んでいないため、区分に該当しない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
2 可燃性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
3 エアゾール 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - エアゾール製品でないため、区分に該当しない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
4 酸化性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
5 高圧ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
6 引火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
7 可燃性固体 区分に該当しない
-
-
- - 不燃性 (HSDB (Access on May 2020)) との情報より、区分に該当しない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
8 自己反応性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいないため、区分に該当しない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
9 自然発火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
10 自然発火性固体 区分に該当しない
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- - 不燃性 (HSDB (Access on May 2020)) との情報より、区分に該当しない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
11 自己発熱性化学品 区分に該当しない
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-
- - 不燃性 (HSDB (Access on May 2020)) との情報より、区分に該当しない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
12 水反応可燃性化学品 区分に該当しない
-
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- - 半金属 (Si) を含むが、水に不溶 (RAC Background Document (2018)) という情報が得られており、水と急激な反応をしないと考えられるため、区分に該当しない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
13 酸化性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
14 酸化性固体 区分に該当しない(分類対象外)
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- - 酸素及びハロゲン元素を含まない無機化合物であり、区分に該当しない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
15 有機過酸化物 区分に該当しない(分類対象外)
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- - 無機化合物であり、区分に該当しない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
16 金属腐食性化学品 分類できない
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- - 固体状の物質に適した試験方法が確立していないため、分類できない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
17 鈍性化爆発物 区分に該当しない(分類対象外)
-
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- - 爆発性に関連する原子団を含まないため、区分に該当しない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
1 急性毒性(経口) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
1 急性毒性(経皮) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
1 急性毒性(吸入:ガス) 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
(1) の記載はあるが、データ不足のため分類できない。

【参考データ等】
(1) OECD TG402に準拠したラットを用いた経皮投与による急性毒性試験において、皮膚刺激性は認められていない (REACH登録情報 (Access on August 2020))。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
4 皮膚感作性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
5 生殖細胞変異原性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない

【根拠データ】
(1) in vivoデータなし。
(2) in vitroでは、炭化けい素ウィスカー (SiCW) を被験物質としたヒト肺がん細胞及び哺乳類培養細胞 (CHL V79) を用いた DNA 鎖切断試験、ヒト胎児胚細胞を用いた染色体異常試験で陽性であった。このうち、 4 種 (幾何平均長さ12~14 μm、幾何平均径0.7~0.9 μm) の SiCW を用いた DNA 鎖切断試験では、陽性対照のクロシドライト (石綿) と同レベルであった。

【参考データ等】
(3) 炭化けい素の抽出物 (extract) の細菌を用いた復帰突然変異試験で陰性の報告 (EU CLP CLH (2018)、REACH 登録情報 (Access on July 2020))。
(4) 炭化けい素のナノ粒子、ウィスカー、 繊維状について、in vitro哺乳類培養細胞を用いて、細胞形質転換活性、染色体異常、小核等の検出が行われており、陰性、陽性の知見がある (IARC 111 (2017)、ACGIH (7th, 2001)、MAK (DFG) vol.8 (1997))。
(5) 炭化けい素の繊維 (詳細不明) の哺乳類培養細胞を用いた染色体異常試験及び小核試験で陽性の結果がある (産衛学会許容濃度の勧告等 (2019))。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
6 発がん性 区分1B


危険
H350 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
【分類根拠】
利用可能な本物質へのばく露に関するヒトを対象とした報告はない。(1)~(5) に基づき区分1Bとした。

【根拠データ】
(1) 国内外の分類機関による既存分類では、IARCでSilicon carbide whiskers (直径< 5 micro m、長さ> 20 micro m) についてグループ2A、Fibrous silicon carbide (粒径> 5 μm、幅< 3 μm、アスペクト比> 3) についてグループ2B (IARC 111 (2017))、ACGIHでA2 (ACGIH (7th, 2003))、産衛学会で炭化けい素ウィスカーについて第2群A (産業衛生学雑誌許容濃度等の勧告 (2019年提案))、MAK (DFG) で2 (DFG List of MAK and BAT Values 2019) に分類されている。
(2) ラットに炭化けい素ウィスカーを1年間吸入ばく露した2つの発がん性試験において、一方の試験では肺がん、肺腺腫及び胸膜中皮腫が認められ、もう一方の試験では肺腫瘍の発生は認められなかった (産業衛生学会許容濃度等の勧告 提案理由 (2019)、IARC 111 (2017))。
(3) ラットに炭化けい素ウィスカーを腹腔内注入した4つの試験のうち、3つの試験で腹腔内に中皮腫の発生が認められた。また、ラットに炭化けい素ウィスカーを胸膜内注入した試験では胸膜中皮腫の発生が認められた (産業衛生学会許容濃度等の勧告 提案理由 (2019))。雌ラットに腹腔内投与した1件の研究は、陰性の結果であった (IARC 111 (2017))。
(4) 雌ラットに2種類の炭化けい素ウィスカーを気管内投与した研究は、投与に関連した腫瘍発生は観察されなかったが、IARCは投与期間が短く限定的な研究であると判断した (IARC 111 (2017))。
(5) 炭化けい素ウィスカーに関する研究から、ラットの肺における生体内持続性が示された。IARCは、実験動物の胸腔への炭化けい素材料の移行に関する研究の欠如に言及した。実験動物における炭化けい素ウィスカーへの肺へのばく露は、肺細胞の損傷、炎症、線維化反応と関連している。 酸化ストレスはin vitro試験で報告されている。 1つの遺伝毒性試験では、炭化けい素ウィスカーにばく露されたヒト胚性肺細胞で染色体異常が見られた。 いくつかの利用可能な研究は、アスベストとエリオナイトで提案された発がん性メカニズムと完全に一致するデータを報告した (IARC 111 (2017))。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
7 生殖毒性 分類できない
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- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1 (肺)


危険
H370 P308+P311
P260
P264
P270
P321
P405
P501
【分類根拠】
本物質のヒトでの急性ばく露に関する報告はない。(1)、(2) より、気管内投与試験は吸入ばく露試験の代替法として用いられており、用量からの区分判定はできないが、本物質は石綿より炎症や線維化能を有することが報告されていることから、区分1 (肺) とした。なお、新たな情報源の使用により、旧分類から分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) 最近の報告では、炭化けい素ウィスカー (SiCW) (幾何平均径0.3 μm 、幾何平均長さ5.1 μm)、結晶質シリカ、クロシドライト (石綿) を 2 mg気管内注入し、6ヵ月後まで肺の病変を観察した結果、肺の炎症と線維化はSiCWでは一過性であったが、結晶質シリカとクロシドライトでは持続性であった (産衛学会許容濃度の勧告等 (2019))。
(2) 2種類のSiCW (SiCW1: 幾何平均径 0.8 μm 、幾何平均長さ18.1 μm 、 SiCW2: 幾何平均径 1.5 μm 、幾何平均長さ19.0 μm)、クロシドライト (石綿) をラットに気管内注入 (0.1又は 0.5 mg/rat) し、1、7及び 28日後に気管支肺胞洗浄液中の炎症細胞を検討した結果、 気管支肺胞洗浄液中のマクロファージはSiCW1では7日後から28日後まで増加し、SiCW2も半分程度増加した。18 ヵ月後にSiCW1、SiCW2ともに低、高用量群で肉芽腫を認めたのに対し、クロシドライトでは高用量群のみで認められた。SiCWは石綿より炎症や線維化能を有することが示された (産衛学会許容濃度の勧告等 (2019))。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1 (肺)


危険
H372 P260
P264
P270
P314
P501
【分類根拠】
(1) より、区分1 (肺) とした。

【根拠データ】
(1) ラットに炭化けい素ウィスカー (平均直径0.577 μm、長さ4.68 μmの繊維状) 0.09~60.5 mg/m3を13週間 (6時間/日、5日/週) (ガイダンス値換算: 0.0001~0.04 mg/L、区分1又は区分2の範囲) で吸入ばく露した結果、濃度に依存した肺病変発生率の増加 (炎症性病変、気管支及び縦隔のリンパ節病変におけるリンパ系過形成、細気管支、肺胞及び胸膜壁の肥厚および胸膜線維症) がみられた (ACGIH (7th, 2003)、RAC (2018))。

【参考データ等】
(2) 炭化けい素を取り扱う作業者において、塵肺症、肺のX線写真の陰影 (結節性陰影等)、肺機能のパラメーターの変化等が報告されている (ACGIH (7th, 2003)、MAK (DFG) (2019))。
(3) 炭化けい素について、ACGIHでは、非繊維状粒子と繊維状に分けてTLV-TWAを設定しており、非繊維状粒子 (Nonficrous particles (containing no asbenos and < 1% crystalline silica)) のTLV-TWAは10 mg/m3 (Inharable particles mass)、3 mg/m3 (Respirable particle mass)、ウィスカーを含む繊維状 (Fibrous forms (including whiskers)) のTLV-TWAは0.1 f/cc (Respirable fibers) である (ACGIH (7th, 2003))。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
10 誤えん有害性 分類できない
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- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
11 水生環境有害性 短期(急性) -
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11 水生環境有害性 長期(慢性) -
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12 オゾン層への有害性 -
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分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。

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