NITE統合版 政府によるGHS分類結果

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一般情報
 
項目 情報
CAS登録番号 50-00-0
名称 ホルムアルデヒド
物質ID m-nite-50-00-0_v2
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関連情報
項目 情報
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物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
1 爆発物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
2 可燃性ガス 区分1


危険
H220 P210
P377
P381
P403
爆発限界 (7~73% (GESTIS (Access on June 2017)) から区分1とした。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
3 エアゾール 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - エアゾール製品ではない。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
4 酸化性ガス 分類できない
-
-
- - データがなく分類できない。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
5 高圧ガス 液化ガス


警告
H280 P410+P403 沸点-20℃ (ICSC (J) (2012)) であり、それ以下の温度域では常圧で部分的に液相が存在する。低圧液化ガス (臨界温度 137.2~141.2℃ (HSDB (Access on June 2017))。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
6 引火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
7 可燃性固体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
8 自己反応性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
9 自然発火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
10 自然発火性固体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
11 自己発熱性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
12 水反応可燃性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
13 酸化性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
14 酸化性固体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
15 有機過酸化物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
16 金属腐食性化学品 分類できない
-
-
- - 気体状の物質に適した試験方法が確立していない。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
17 鈍性化爆発物 -
-
-
- - - - -

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
1 急性毒性(経口) 区分4


警告
H302 P301+P312
P264
P270
P330
P501
GHSの定義におけるガスであるが、本物質の2~4%水溶液をラットに経口投与した試験のLD50値として、600~700 mg/kg及び800 mg/kg (いずれもSIDS (2003)) との報告がある。この報告に基づき、区分4とした。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
1 急性毒性(経皮) 区分3


危険
H311 P302+P352
P361+P364
P280
P312
P321
P405
P501
GHSの定義におけるガスであるが、本物質の水溶液であるホルマリンを用いたウサギの経皮ばく露試験のLD50値として、270 mg/kg (HSDB (Access on June 2017)) との報告がある。この報告に基づき、区分3とした。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
1 急性毒性(吸入:ガス) 区分2


危険
H330 P304+P340
P403+P233
P260
P271
P284
P310
P320
P405
P501
ラットの4時間吸入ばく露試験のLC50値として、480 ppm (SIDS (2003)) との報告に基づき、区分2とした。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。水溶液由来のミストの情報もないので分類できないとした。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
2 皮膚腐食性/刺激性 区分1


危険
H314 P301+P330+P331
P303+P361+P353
P305+P351+P338
P304+P340
P260
P264
P280
P310
P321
P363
P405
P501
【分類根拠】
(1)より、区分1とした。なお、新たな知見に基づき、分類結果を変更した(2022年度)。

【根拠データ】
(1)ホルマリン(本物質37%水溶液)をラットに40分間経皮ばく露した試験で、皮膚損傷が認められた。微小血管漏出は本物質の2.5%以上の濃度で生じた(REACH登録情報 (Accessed Oct. 2022))。

【参考データ等】
(2)本物質の3~37%水溶液をラット(n=6/群)に1 mL/kg(約0.4 mL/例)を適用した結果、37%水溶液投与群では皮膚潰瘍、15~18%水溶液でも潰瘍がみられた。7~9%水溶液でも同様に潰瘍がみられたが、独立した2回目の試験では発赤と浮腫がみられただけであった。3%水溶液は無影響であったとの報告がある(REACH登録情報 (Accessed Oct. 2022))。
(3)ホルマリン(本物質40%水溶液)について、ウサギ(n= 2)を用いた皮膚刺激性試験(OECD TG404相当、20時間閉塞、8日間観察)では、ばく露終了24時間後に2匹とも紅斑及び浮腫以外に表層壊死が明瞭に認められ、その後全層に及ぶ壊死(full thickness necrosis)に進展した(REACH登録情報 (Accessed Oct. 2022))。
(4)REACH登録事業者によれば、刺激性影響は3%以上の濃度で生じるとされた。この結論はラットの皮膚の微小血管漏出に関する新たな試験で確認されたが、皮膚傷害がホルムアルデヒドの2.5%以上の濃度で示された(EU REACH CoRAP (2018))。
(5)EU ではSkin Corr. 1Bに分類されている(CLP分類 (Accessed Oct. 2022))。
令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2


警告
H319 P305+P351+P338
P337+P313
P264
P280
本物質 (ガス) に0.06 mg/m3 以上の濃度で短時間ばく露されたヒトに眼刺激性がみられた事例や、0.39~0.6 mg/m3 で8時間/週、8週間ばく露された医学生53人中9人で眼に灼熱感を認めたなど、本物質が眼刺激性を示す複数の事例 (EHC 89 (1989)) がある。また、マウスを用いた本物質 (ガス) 0.6 mg/m3 による眼刺激性試験において眼刺激性を示したとの記述 (EHC 89 (1989)) から、区分2とした。なお、本物質の水溶液については、ウサギを用いた眼刺激性試験で、5%及び15%水溶液がグレード8 (最大値10) の眼刺激性を示したとの記載 (EHC 89 (1989)) がある。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
4 呼吸器感作性 区分1


危険
H334 P304+P340
P342+P311
P261
P284
P501
日本産業衛生学会において感作性物質の気道第2群に分類されている (産衛学会許容濃度の提案理由書 (2007)) ことから、区分1とした。なお、マウス及びモルモットを用いた感作性試験において本物質が吸入性アレルゲンへの感作性を増強させたとの記述 (CICAD 40 (2002))、ヒトにおける本物質の継続ばく露による呼吸障害の発症などの複数の事例の記述 (DFGOT (2014) (Access on June 2017)) がある。
平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
4 皮膚感作性 区分1A


警告
H317 P302+P352
P333+P313
P362+P364
P261
P272
P280
P321
P501
【分類根拠】
(1)~(5)より、区分1Aとした。なお、新たな知見に基づき、分類結果を変更した(2022年度)。

【根拠データ】
(1)ホルマリン(37%ホルムアルデヒド水溶液)について、マウスを用いた局所リンパ節試験(LLNA)において、EC3(本物質換算値)は0.33%(溶媒:DMF)、0.54%(溶媒:アセトン)であったとの報告がある(EU CLP CLH (2021))。
(2)ホルマリン(37%ホルムアルデヒド水溶液)について、(1)とは別のマウスを用いた局所リンパ節試験(LLNA)において、EC3(本物質換算値)は0.35%であったとの報告がある(EU CLP CLH (2021))。
(3)ホルマリン(37%ホルムアルデヒド水溶液)について、モルモット(n= 10)を用いたMaximisation試験(皮内投与:0.25%(本物質換算))では、陽性率は100%(10/10例)であったとの報告がある(EU CLP CLH (2021))。
(4)ホルマリン(37%ホルムアルデヒド水溶液)について、モルモット(n= 10)を用いたBuehler試験(局所感作:5%(本物質換算))では、陽性率は70%(7/10例)であったとの報告がある(EU CLP CLH (2021))。
(5)日本産業衛生学会では感作性物質皮膚第1群に分類されている(産衛学会 許容濃度の勧告等 (2021))

【参考データ等】
(6)EUではSkin Sens. 1に分類されている(CLP分類 (Accessed Oct. 2022))。
令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
5 生殖細胞変異原性 区分2


警告
H341 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
In vivoでは、吸入ばく露、腹腔内投与によるラット、マウスの優性致死試験で弱陽性及び陰性の結果が得られているが、弱陽性の結果については遺伝毒性を示す証拠でないと評価されている (NITE初期リスク評価書 (2006)、ACGIH (7th, 2015)、NICNAS (2006)、ECETOC TR2 (1981))。本物質の蒸気によるヒトの職業ばく露事例で、鼻粘膜細胞に小核誘発が認められ、またラットの経口投与において胃腸管細胞に小核誘発が認められている (ATSDR (1999)、NITE初期リスク評価書 (2006)) が、マウスの腹腔内投与において骨髄細胞の小核試験は陰性である (NITE初期リスク評価書 (2006)、NICNAS (2006))。さらに、本物質の蒸気によるヒトの職業ばく露事例で末梢血リンパ球に染色体異常及び姉妹染色分体交換が、また、ラットの末梢血、肺細胞、マウスの脾臓リンパ球を用いた染色体異常試験で陽性結果が認められているが (CICAD 40 (2002)、NITE初期リスク評価書 (2006)、NICNAS (2006)、ATSDR (1999))、ラットの骨髄細胞、マウスの末梢血を用いた染色体異常試験、ラットの末梢血を用いた姉妹染色分体交換試験で陰性、マウス精母細胞の染色体異常試験で陰性の報告もある (NITE初期リスク評価書 (2006)、NICNAS (2006)、ATSDR (1999))。In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞の遺伝子突然変異試験、染色体異常試験、姉妹染色分体交換試験で陽性である (NITE初期リスク評価書 (2006)、NICNAS (2006)、ATSDR (1999))。以上より、ガイダンスに従い区分2とした。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
6 発がん性 区分1A


危険
H350 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
多くの疫学研究から、ホルムアルデヒドは鼻咽頭がん及び白血病を生じること、また本物質へのばく露と副鼻腔がんとの間に正の相関のあることが報告されており、IARCはヒトでの発がん性について十分な証拠があると結論した (IARC 100F (2012))。実験動物でもラット、又はマウスに吸入ばく露した発がん性試験において、ラットで鼻腔の腫瘍 (主に扁平上皮がん、その他扁平上皮乳頭腫、ポリープ状腺腫・がんなど)、マウスで鼻腔の扁平上皮がん、リンパ腫がみられたとの報告など発がん性を示す十分な証拠があるとされた (IARC 100F (2012))。以上より、IARCは本物質をグループ1に分類した (IARC 100F (2012))。この他、EPAがB1に (IRIS (1989))、NTPがKに (NTP RoC (14th, 2016))、ACGIHがA1に (ACGIH (7th, 2017))、EUがCarc. 1Bに (ECHA CL Inventory (Access on June 2017))、日本産業衛生学会が第2群Aに (許容濃度の勧告 (2016): 1991年提案) それぞれ分類している。以上、既存分類結果からは区分1A又は区分1Bとなるが、IARC、ACGIH等の分類結果を優先し、区分1Aとした。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
7 生殖毒性 分類できない
-
-
- - ホルムアルデヒドにばく露された女性作業者では妊娠期間の増加がみられたとの報告、及びばく露された作業者において女性の妊娠及び男性の精子数及び精子の形態には対照群との間に差はなかったとの報告はいずれも研究計画等の制限から信頼性のある結論を導けないとNICNASは記述している (NICNAS (2006))。実験動物では妊娠ラットに吸入ばく露した2つの発生毒性試験において、母動物に体重増加抑制が生じる濃度 (10 ppm、39 ppm) で胎児には軽微な影響 (胎児体重の低値) がみられただけであり (CICAD 40 (2002)、NITE初期リスク評価書 (2006))、その他、妊娠マウスに飲水投与した試験でも母動物の致死量でも発生影響はみられていない (NITE初期リスク評価書 (2006))。NICNASはヒト及び実験動物のデータに基づくと、ホルムアルデヒドは生殖毒性物質、発生毒性物質としての分類基準を満たさないと結論している (NICNAS (2006))。また、ACGIHにはホルムアルデヒドによるばく露が動物やヒトに有害な生殖発生影響を生じるという決定的な証拠はないとの記述がある (ACGIH (7th, 2015))。
  以上、ヒトの情報は不十分で、かつ実験動物では発生影響はないと考えられるものの、生殖能・性機能に関する情報が欠落している。したがって、データ不足のため分類できない。
平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(神経系、呼吸器)


危険
H370 P308+P311
P260
P264
P270
P321
P405
P501
ヒトでは本物質の急性吸入ばく露により、鼻、喉の刺激を生じ、濃度依存的に不快感、流涙、くしゃみ、咳、吐き気、呼吸困難を伴い、死に至る場合もあるとの記載がある (NITE初期リスク評価書 (2006))。鼻及び喉への刺激性は0.6 mg/m3 (0.48 ppm) 以上で認められたと報告されている (NITE初期リスク評価書 (2006))。実験動物では、ラットの単回吸入ばく露試験で、10 ppm、4時間の吸入ばく露で鼻腔粘膜における線毛損傷、細胞の腫脹、杯細胞の粘液分泌が認められたとの報告がある (SIDS (2003))。また、別のラットの30分単回吸入ばく露試験で、120 mg/m3 (100 ppm相当。4時間換算値: 35.36 ppm) 以上で流涎、呼吸困難、嘔吐、筋肉及び全身の痙攣、死亡がみられ、病理組織学的解析の結果、気道の炎症、細気管支肺胞部の狭窄、肺水腫が認められたとの報告がある (SIDS (2003)、EHC 89 (1989)、NITE初期リスク評価書 (2006))。実験動物で影響がみられた用量は、区分1範囲に該当する。したがって区分1 (神経系、呼吸器) とした。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(中枢神経系、呼吸器)


危険
H372 P260
P264
P270
P314
P501
ヒトについては、0.07~0.7 ppm のホルムアルデヒドに10.5年間ばく露された75名の木製品製造労働者に、鼻粘膜上皮の線毛消失及び杯細胞過形成 (11%)、扁平上皮化生 (78%) 及び軽度の異形性 (8%) 等が観察されている (産衛学会許容濃度の提案理由書 (2007)) 等、鼻腔の刺激が複数報告されている。また、職業的にホルムアルデヒドにばく露された組織学研究所の技術者において、ふらつき、めまい、平衡感覚の消失、手先の器用さの低下がみられたとの報告もある (ACGIH (7th, 2015))。
  実験動物については、ラットを用いた蒸気による13週間吸入毒性試験 (6時間/日、5日/週) において、区分1のガイダンス値の範囲内である3.6 mg/m3 (90日換算値: 0.0026 mg/L) 以上で鼻部前方に局所的に扁平上皮過形成・化生・配列不正の報告 (NITE初期リスク評価書 (2006)、CICAD 40 (2002)、CaPSAR (1999)、EHC 89 (1989))、ラット、マウスを用いた蒸気による2年間吸入毒性試験において、ラットでは区分1のガイダンス値の範囲内である2 ppm (0.0025 mg/L) 以上で鼻腔の上皮異形成、扁平上皮化生、鼻炎、杯細胞過形成、15 ppm (0.018 mg/L) で嗅上皮萎縮、過角化、扁平上皮異形性、呼吸上皮過形成、嗅上皮の杯細胞化生・扁平上皮過形成、気管の上皮異形成・扁平上皮化生、骨髄の過形成、マウスでは区分1のガイダンス値の範囲内である6 ppm (0.0074 mg/L) 以上で鼻腔の上皮異形成、扁平上皮化生、15 ppm (0.018 mg/L) で鼻炎、嗅上皮萎縮、鼻涙管の上皮過形成の報告がある (ECETOC TR6 (1982))。また、経口経路では、ラットを用いた飲水投与による24ヵ月間反復経口投与毒性試験において区分2のガイダンス値の範囲内である1,900 mg/L (82 mg/kg/day) で腺胃の過形成、前胃の限局性角化亢進、胃炎がみられている (NITE初期リスク評価書 (2006)、CICAD 40 (2002)、CaPSAR (1999)、環境省リスク評価第1巻 (2002))。
  以上より、区分1 (中枢神経系、呼吸器) とした。なお、経口経路での胃の所見は刺激に起因したと考えられるため分類根拠としなかった。
平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
10 誤えん有害性 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
11 水生環境有害性 短期(急性) 区分2
-
-
H401 P273
P501
藻類(セネデスムス属)72時間ErC50 = 4.89 a.i. mg/L(REACH登録情報, 2022、Ecotoxicol Environ Safety 54: 346-354)であることから、区分2とした。(a.i.: active ingredient) 令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
11 水生環境有害性 長期(慢性) 区分3
-
-
H412 P273
P501
慢性毒性データを用いた場合、急速分解性があり(BODによる分解度:87~96%(METI既存点検結果, 1988))、甲殻類(ニセネコゼミジンコ)の7日間NOEC = 1.0 mg/L(AICIS IMAP, 2006)から、区分3となる。
慢性毒性データが得られていない栄養段階(藻類、魚類)に対して急性毒性データを用いた場合、藻類(セネデスムス属)72時間EC50 = 4.89 a.i. mg/L(REACH登録情報, 2022、Ecotoxicol Environ Safety 54: 346-354)であるが、難水溶性ではなく(水溶解度 = 400000 mg/L(PHYSPROP Database (SRC, 2005)) )、急速分解性があり、生物蓄積性が低いと推定される(log Kow=0.35(PHYSPROP Database (SRC, 2005)))ことから、区分に該当しないとなる。
以上の結果より、区分3とした。(a.i.: active ingredient)
令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
12 オゾン層への有害性 分類できない
-
-
- - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。

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