NITE統合版 政府によるGHS分類結果

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一般情報
 
項目 情報
CAS登録番号 50-32-8
名称 ベンゾ[a]ピレン
物質ID m-nite-50-32-8_v2
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関連情報
項目 情報
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物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
1 爆発物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 爆発性に関わる原子団を含んでいない。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
2 可燃性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
3 エアゾール 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - エアゾール製品でない。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
4 酸化性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
5 高圧ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
6 引火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
7 可燃性固体 分類できない
-
-
- - 可燃性との情報があるが(ICSC(J)(2005))、所定の試験法によるデータなし。
平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
8 自己反応性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 爆発性に関わる原子団を含んでいない、かつ自己反応性に関わる原子団を含んでいない。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
9 自然発火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
10 自然発火性固体 分類できない
-
-
- - データなし。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
11 自己発熱性化学品 分類できない
-
-
- - データなし。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
12 水反応可燃性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
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- - 金属および半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含んでいない。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
13 酸化性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
14 酸化性固体 区分に該当しない(分類対象外)
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- - 酸素、フッ素および塩素を含まない有機化合物である。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
15 有機過酸化物 区分に該当しない(分類対象外)
-
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- - -O-O-構造を有していない有機化合物である。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
16 金属腐食性化学品 分類できない
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- - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
17 鈍性化爆発物 -
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- - - - -

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
1 急性毒性(経口) 分類できない
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- - マウスのLD50値は >1600mg/kg(EHC 202(1998))と報告されているが、区分を特定できないので分類できない。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
1 急性毒性(経皮) 分類できない
-
-
- - データなし。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
1 急性毒性(吸入:ガス) 区分に該当しない(分類対象外)
-
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- - GHSの定義における固体である。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
-
-
- - データなし。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-
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- - データなし。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない
-
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- - データなし。なお、皮膚に発疹と灼熱感を伴う刺激を起こす可能性がある(HSDB(2010))と記載されているが、データへの具体的な言及はない。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 分類できない
-
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- - データなし。なお、眼に接触することにより、刺激と灼熱感を起こす可能性がある(HSDB(2010))と記載されているが、データへの具体的な言及はない。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - データなし。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
4 皮膚感作性 分類できない
-
-
- - データ不足。なお、モルモットおよびマウスを用いた皮膚感作性試験(それぞれAdjuvant and Patch TestおよびMouse Ear Swelling Test)において、陽性反応が報告されている(EHC 202(1998))が、いずれもOECDで承認されていない試験法であり、陽性率も不明なため、分類には採用しなかった。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
5 生殖細胞変異原性 区分1B


危険
H340 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
マウスを用いた優性致死試験(生殖細胞in vivo経世代変異原性試験)で陽性の結果(EHC 202(1998))に基づき、区分1Bとした。なお、マウスを用いた相互転座試験(生殖細胞in vivo経世代変異原性試験)は陰性(EHC 202(1998))であったが、体細胞in vivo変異原性試験として、マウスの骨髄を用いた複数の染色体異常試験は全て陽性、さらにマウススポット試験は陽性であり、小核試験も陽性の報告がある(EHC 202(1998)、NTP DB(Access on Aug. 2010))。また、体細胞in vivo遺伝毒性試験として、ほ乳類骨髄細胞を用いた姉妹染色分体交換試験、ほ乳類体細胞を用いたDNAとの結合試験や付加体形成試験の結果も全て陽性であった(EHC 202(1998)、NTP DB(Access on Aug. 2010))。一方、in vitro試験では、エームス試験、ほ乳類培養細胞を用いる遺伝子突然変異試験および染色体異常試験の結果は概ね陽性(EHC 202(1998)、NTP DB(Access on Aug. 2010))が報告されている。
平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
6 発がん性 区分1A


危険
H350 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
【分類根拠】
(1)、(2)から、ヒトで一定程度又は限定的な発がん性の証拠があること、ならびに動物での発がん機序がヒトでも関連するという強い証拠があることから、区分1Aとすることは妥当であると判断した。なお、(3)のようにIARC、EPAと日本産業衛生学会が区分1A相当、その他が区分1B相当に分類している。

【根拠データ】
(1)EPAの発がんリスク評価の2005年ガイドラインの下では、本物質は動物とヒトにおける強力で一貫性のある証拠に基づいて、CaH(Carcinogenic to Humans:ヒト発がん性を有する物質)に該当する。証拠には全ての投与経路を介して暴露された複数動物種で発がん性を証明する数的に豊富な動物試験、及び本物質を含む様々な多環芳香族炭化水素化合物(PAH)混合物に暴露されたヒトで認められた発がん性(特に肺と皮膚のがん)のリスク増加が含まれる。作用機序的な研究からは本物質が腫瘍発生へと進行する遺伝子のキーとなる変異事象を伴うDNA反応性物質に代謝されることと関連する強力な支持的証拠が得られる。キー遺伝子の変異の事象には特異的なDNA付加体の形成及びPAH混合物に暴露されたヒトでみられた発がん遺伝子と腫瘍抑制遺伝子の特徴的な変異が含まれた。ヒト、動物及び作用機序の組み合わせは本物質をCaHとして特徴づける根拠となる(EPA Tox. Review (2017))。
(2)日本産業衛生学会では2017年に本物質の発がん性について、再度検討した結果、BaP単独暴露によるヒト発がんの疫学データはなく、ヒト発がん性についての証拠は限定的だが、多くの動物実験において、肺、皮膚、肝臓等に腫瘍の発生を認め、動物発がんについての発がんの証拠は十分であった。また、動物におけるBaPの発がんメカニズムがヒトでも機能する十分な証拠が示された。以上より、日本産業衛生学会はBaPの発がん性分類を第2群Aから第1群へと変更するとされた(産衛学会発がん性分類物質の提案理由書 (2017))。
(3)国内外の評価機関による既存分類結果としては、IARCでグループ1に(IARC 100F (2012):2010年分類)、EPAでCaH(Carcinogenic to Humans)(EPA Tox. Review (2017))、NTPでRに(NTP RoC 15th. (2021):1981年)、ACGIHでA2に(ACGIH (7th, 2001))、日本産業衛生学会で第1群に(産衛学会発がん性分類物質の提案理由書 (2017))、EUでCarc. 1Bに(CLP分類結果 (Accessed Sep. 2022))、DFGでカテゴリー2に(List of MAK and BAT values 2020)、それぞれ分類されている。
令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
7 生殖毒性 区分1B


危険
H360 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
マウスの妊娠7-16日に経口投与した試験(投与量:0, 10, 40, 160 mg/kg)で、160 mg/kg/day 群の妊娠率及び出産率の有意な減少が認められ、各群から得られたF1雌雄を用い、それぞれ無処置の雌雄と繁殖試験を行った結果、10 mg/kg/day 以上の群のペアで妊娠率の有意な低下を認め、F1 雌では40 mg/kg/day以上の群、F1 雄では160 mg/kg/day 群が不妊であった。10 mg/kg/day 以上の群のF1 では生殖腺は著しく小さく睾丸重量は低値を示し、精細管は萎縮し、40 mg/kg/day 群では無精液状態であった。また、F1 雌では多くの卵巣が欠損又は痕跡程度しかなく、40 mg/kg/day群では濾胞形成の徴候もなかった(環境省リスク評価 第5巻(2006))。ラットでは妊娠中の経口投与による死産が報告されている(PATTY(5th, 2001))。以上の知見から、親動物の一般毒性に関する記述がないものの明らかに生殖への悪影響が認められ、それに加えEU分類ではRepr. Cat.2 ; R60-R61に分類されていることから区分1Bとした。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 分類できない
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- - データなし。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2(造血系)


警告
H373 P260
P314
P501
雄ラットを用いた90日間強制経口投与試験において、10 mg/kg/day以上で赤血球数、ヘモグロビン濃度、ヘマトクリット値、脾臓B細胞百分率の有意な減少、90 mg/kg/dayでリンパ節の重量減少に加え、白血球数、骨髄細胞、脾臓ナチュラルキラー細胞の有意な減少が認められ、また、赤血球数、ヘモグロビン濃度、ヘマトクリット値の減少は90日間の混餌投与試験の50 mg/kg/day以上でも観察されている(環境省リスク評価 第5巻(2006))。一方、遺伝的に代謝能の異なる2系統(応答型と非応答型)のマウスに120 mg/kg/dayを3週間経口投与(90日換算値:28 mg/kg/day)した試験で、応答型マウスに骨髄毒性は認められなかったが、非応答型マウスでは骨髄毒性(再生不良性貧血、汎血球減少)が現れ、全例が3週間以内に死亡し、造血系に対する有害影響として報告されている(ATSDR(1995))。以上の所見は用量的にガイダンス値区分2の範囲に相当しており、区分2(造血系)とした。
平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
10 誤えん有害性 分類できない
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- - データなし。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
11 水生環境有害性 短期(急性) 区分1


警告
H400 P273
P391
P501
藻類(Scenedesmus acutus)72時間ErC50 = 0.005 mg/L(環境省初期評価, 2006、EHC, 1998)、甲殻類(ミジンコ)96時間LC50 = 0.005 mg/L(環境省初期評価, 2003, 2006、CEPA PSAR, 1994、EHC, 1998、HSDB, 2022)であることから、区分1とした。 令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
11 水生環境有害性 長期(慢性) 区分1


警告
H410 P273
P391
P501
慢性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく(BIOWIN)、魚類(ニジマス)の36日間NOEC = 0.0024 mg/L(EHC, 1998、環境省初期評価, 2006)から、区分1となる。
慢性毒性データが得られていない栄養段階(藻類、甲殻類)に対して急性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく、藻類(Scenedesmus acutus)の72時間ErC50 = 0.005 mg/L(環境省初期評価, 2006、EHC, 1998)から、区分1となる。
以上の結果から、区分1とした。
令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
12 オゾン層への有害性 分類できない
-
-
- - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。

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