NITE統合版 政府によるGHS分類結果

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一般情報
 
項目 情報
CAS登録番号 541-69-5
名称 m-フェニレンジアミン二塩酸塩
物質ID m-nite-541-69-5_v1
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関連情報
項目 情報
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物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
1 爆発物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に爆発性に関連する原子団を含んでいないため、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。 令和元年度(2019年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用
2 可燃性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。 令和元年度(2019年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用
3 エアゾール 区分に該当しない(分類対象外)
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- - エアゾール製品でないため、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。 令和元年度(2019年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用
4 酸化性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
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- - GHSの定義における固体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。 令和元年度(2019年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用
5 高圧ガス 区分に該当しない(分類対象外)
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- - GHSの定義における固体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。 令和元年度(2019年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用
6 引火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
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- - GHSの定義における固体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。 令和元年度(2019年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用
7 可燃性固体 分類できない
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- - データがなく分類できない。なお、可燃性 (GESTIS (Access on July 2019)) との情報がある。 令和元年度(2019年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用
8 自己反応性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
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- - 分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいないため、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。 令和元年度(2019年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用
9 自然発火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
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- - GHSの定義における固体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。 令和元年度(2019年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用
10 自然発火性固体 区分に該当しない
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- - UNRTDGにおいて、UN 1673、クラス6.1 (毒物) PGⅢに分類されており、優先評価項目である自然発火性固体には該当しないと考えられ、ガイダンスにおける区分に該当しないに相当し、区分に該当しない。 令和元年度(2019年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用
11 自己発熱性化学品 分類できない
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- - 融点が140℃以下の固体状の物質に適した試験方法が確立していないため、分類できない。 令和元年度(2019年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用
12 水反応可燃性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
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- - 金属及び半金属 (B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At) を含んでいないため、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。 令和元年度(2019年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用
13 酸化性液体 区分に該当しない(分類対象外)
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- - GHSの定義における固体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。 令和元年度(2019年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用
14 酸化性固体 区分に該当しない(分類対象外)
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- - 酸素及びフッ素を含まず、塩素を含む有機化合物であるが、この塩素はアミンとイオン結合しており、他の物質の酸化には寄与しないため、ガイダンスでは分類対象外に相当し、区分に該当しない。 令和元年度(2019年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用
15 有機過酸化物 区分に該当しない(分類対象外)
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- - 分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。 令和元年度(2019年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用
16 金属腐食性化学品 分類できない
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- - 固体状の物質に適した試験方法が確立していないため、分類できない。 令和元年度(2019年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用
17 鈍性化爆発物 区分に該当しない
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- - 爆発性に関連する原子団を含まないため、区分に該当しない。 令和元年度(2019年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
1 急性毒性(経口) 区分3


危険
H301 P301+P310
P264
P270
P321
P330
P405
P501
【分類根拠】
(1)、(2) より、区分3とした。

【根拠データ】
(1) ラットのLD50: 400~800 mg/kg (NITE初期リスク評価書 (2008))
(2) ラットの死亡率: 雄: 800 mg/kgで10/10 例、471 mg/kgで9/10 例、277 mg/kgで1/10 例、雌: 800 mg/kgと471 mg/kgで10/10 例、277 mg/kgで5/10 例、163 mg/kgで1/10 例 (厚生労働省委託がん原性試験結果 (Access on July 2019))
令和元年度(2019年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用
1 急性毒性(経皮) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
令和元年度(2019年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用
1 急性毒性(吸入:ガス) 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 【分類根拠】
GHSの定義における固体であり、ガイダンスでは分類対象外に相当し、区分に該当しない。
令和元年度(2019年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
令和元年度(2019年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-
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- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
令和元年度(2019年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用
2 皮膚腐食性/刺激性 区分に該当しない
-
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- - 【分類根拠】
(1) より本物質の遊離体であるm-フェニレンジアミン (CAS 108-45-2) がガイダンスの区分に該当しない (国連分類基準の区分3) に相当するものと判断され、本物質も区分に該当しない (国連分類基準の区分3) とした。

【根拠データ】
(1) 本物質の遊離体であるm-フェニレンジアミンのウサギを用いた皮膚刺激性試験 (EEC Directive 93/21、Annex VIに準拠) で試験物質を除去1時間後から24時間後の全例にわずかな~軽度の紅斑、48時間には2/6例にわずかな紅斑が認められ、浮腫は24時間後の4例にわずかな浮腫が認められたのみであり、1、24、48時間後の平均スコアは1.39であった (REACH登録情報 (Access on June 2019))。

【参考データ等】
(2) 本物質の遊離体であるm-フェニレンジアミン500 mgをウサギの耳介に24 時間閉塞適用した試験で刺激なし (NITE初期リスク評価書 (2008))
(3) 本物質の遊離体であるm-フェニレンジアミンは眼、皮膚を刺激する (環境省リスク評価第13巻 (2015))。
令和元年度(2019年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2B
-
警告
H320 P305+P351+P338
P337+P313
P264
【分類根拠】
(1) より本物質の遊離体であるm-フェニレンジアミンが区分2Bに区分されていることから、本物質も区分2Bとした。

【根拠データ】
(1) 本物質の遊離体であるm-フェニレンジアミンのOECD TG405に準拠したウサギ眼刺激性試験で重度の結膜発赤、中程度の角膜混濁、中程度の虹彩炎、出血、結膜浮腫、および角膜の損傷を生じた。 さらに、非洗浄ウサギの眼に重度の浮腫が観察されたが、いずれも7日までに回復。非洗浄群の24/48/72hの角膜混濁、虹彩、結膜発赤、結膜浮腫の平均スコアは0.67、0、2.7、2.0であった (REACH登録情報 (Accessed on June 2019))。

【参考データ等】
(2) 本物質の遊離体であるm-フェニレンジアミンの20%水溶液0.1 mL (20 mg 相当) をウサギに点眼した試験で結膜の発赤と角膜の混濁が認められ、7 日以内に回復との報告や50 mg を適用した試験では角膜の混濁を示し、7日以内には回復しなかったとの報告がある (NITE初期リスク評価書 (2008))。
(3) EU-CLP分類でEye Irrit. 2 (H319) に分類されている (EU CLP分類 (Access on July 2019))。
令和元年度(2019年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
(1) のデータはあるが、呼吸器感作性を確定できないため、分類できないとした。

【参考データ等】
(1) 米国での本物質の遊離体であるm-フェニレンジアミン漏出事故で、繰り返し本物質にばく露された作業者で、吸入ばく露により皮膚症状に加えて、湿咳、疲労、息切れを呈し、肺活量低下、胸部X線所見、開胸による生検で肺線維症を認め、強皮症と診断された。同部門の他の作業者にも同様の症例がみられたことから、本物質が原因物質と考えられた (環境省リスク評価第13巻 (2015))。
令和元年度(2019年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用
4 皮膚感作性 区分1A


警告
H317 P302+P352
P333+P313
P362+P364
P261
P272
P280
P321
P501
【分類根拠】
(1)、(2) より本物質の遊離体であるm-フェニレンジアミンが区分1Aに区分されてことから、本物質も区分1Aとした。

【根拠データ】
(1) OECD TG 429に準拠した本物質の遊離体であるm-フェニレンジアミンのマウス局所リンパ節試験 (LLNA) において陽性を示し、EC3は0.49と推定されている (REACH登録情報 (Accessed on June 2019))。
(2) 本物質の遊離体であるm-フェニレンジアミンは産衛学会 感作性分類 皮膚3群に分類されている (産衛学会許容濃度の提案理由書 (2010))。

【参考データ】
(3) EU-CLP分類でSkin Sens. 1 (H317) に分類されている (EU CLP分類 (Access on May 2019))。
令和元年度(2019年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用
5 生殖細胞変異原性 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
本物質のin vivoデータはないが、本物質の遊離塩基であるm-フェニレンジアミンの知見・分類をふまえ、ガイダンスにおける分類できないに相当し、区分に該当しない。

【根拠データ】
(1) in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陽性、マウスリンフォーマ試験で陰性の報告がある (安衛法 (変異原性試験結果) (Access on September 2019))。
(2) 本物質の遊離塩基であるm-フェニレンジアミン (CAS番号 108-45-2) は、区分に該当しない (2019年度GHS分類結果)。
令和元年度(2019年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用
6 発がん性 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1) の本物質の遊離塩基の既存分類結果及び (2) の実験動物の結果より、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) 国内外の分類機関による既存分類では、本物質の遊離塩基 (CAS番号 108-45-2) がIARCでグループ3 (IARC Suppl.7 (1987)) に分類されている。
(2) ラット及びマウスに本物質を104週間飲水投与した発がん性試験において、雌雄とも発がん性は示されなかった (厚生労働省委託がん原性試験結果 (Access on July 2019))。
令和元年度(2019年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用
7 生殖毒性 分類できない
-
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- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。なお、本物質の遊離塩基であるm-フェニレンジアミン (CAS番号 108-45-2) についても、データ不足のため分類できないとされている。なお、m-フェニレンジアミンの2019年度分類結果を参照のこと。

【参考データ等】
(1) 雌ラットの妊娠6~15日にm-フェニレンジアミンを経口投与した発生毒性試験において、母動物の体重増加抑制あるいは死亡(6/25例)がみられた用量で、吸収胚の増加、生存胎児数の減少、胎児の低体重、胸骨の骨化遅延が認められた (環境省リスク評価第13巻 (2015)、ACGIH (7th, 2001)、DFGOT vol.6 (1994))。このデータは母動物毒性 (6/25例死亡、死亡率25%) がみられる用量でのみ胚/胎児に影響がみられていることから分類根拠としない。
(2) 雌ラットの妊娠6~15日にm-フェニレンジアミンを経口投与した発生毒性試験において、母動物の体重増加抑制が認められたが、胎児の発生に影響はみられていない(環境省リスク評価第13巻 (2015)、NITE初期リスク評価書 (2008)、ACGIH (7th, 2001)、DFGOT vol.6 (1994))。このデータは母動物数が7~9匹/群と少ないことから影響を判断できない。
令和元年度(2019年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(中枢神経系、血液系)


危険
H370 P308+P311
P260
P264
P270
P321
P405
P501
【分類根拠】
本物質のヒトでの単回ばく露に関する報告はない。本物質の遊離塩基であるm-フェニレンジアミン (CAS番号 108-45-2) は、(1)、(2) のように、実験動物で区分1相当の用量で、中枢神経系と血液系への影響がみられている。(3) で、本物質の毒性影響はm-フェニレンジアミンと本質的に相違はないとされていることから、区分1 (中枢神経系、血液系) とした。(4) の報告は、死亡動物での所見であるため根拠としなかった。

【根拠データ】
(1) ネコの単回経口投与試験において、m-フェニレンジアミン10及び25 mg/kg (本物質換算値: 16.7及び41.9 mg/kg、区分1相当) で、チアノーゼ、食欲不振、呼吸障害、鎮静、痙攣、メトヘモグロビンの生成がみられた (NITE初期リスク評価書 (2008)、BUA 97 (1992))。
(2) ラットの単回経口投与試験において、m-フェニレンジアミン200 mg/kg (本物質換算値: 335 mg/kg、区分2相当) で、痙攣と消化管の炎症がみられた (NITE初期リスク評価書 (2008)、BUA 97 (1992))。
(3) 本物質の毒性影響はm-フェニレンジアミンと本質的に相違はないとの記載がある (GESTIS (Access on July 2019))。

【参考データ等】
(4) ラットに本物質96~800 mg/kgを単回経口投与した試験において、死亡例 (277 mg/kg以上、区分2相当) に肺のうっ血と浮腫、腎臓の近位尿細管壊死と蚤白円柱、小腸の壊死、鼻腔上皮の変性が認められた。 (厚生労働省委託がん原性試験結果 (Access on July 2019))。

令和元年度(2019年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(膀胱)、区分2(腎臓、血液系)


危険
警告
H372
H373
P260
P264
P270
P314
P501
【分類根拠】
(1) より、ヒトへの本物質の遊離塩基であるm-フェニレンジアミン (CAS番号 108-45-2) のばく露により膀胱への影響がみられ、(2)~(4) より、ラット、マウスへの本物質又はm-フェニレンジアミンの経口投与により区分2の範囲で腎臓、血液系への影響みられていることから、区分1 (膀胱)、区分2 (腎臓、血液系) とした。分子量換算によりm-フェニレンジアミンと分類結果が異なる結果となった。

【根拠データ】
(1) ロシアのフェニレンジアミン製造工場で30~50歳代の労働者112人が、m-フェニレンジアミン1~2 mg/m3に5~10年間ばく露され、うち15人が排尿障害を訴えた。m-フェニレンジアミンを用いたスクラッチテストで、112人中9人がアレルギー陽性反応を示し、陽性反応を示した人の膀胱内視鏡検査で膀胱三角部及び頸部に粘膜の水腫、ポリープ性腫脹が観察され、9人とも好酸球尿症と診断された。また、m-フェニレンジアミンが尿中に0.003~0.40 mg/L検出された (DFGOT vol.6 (1994)、ACGIH (7th, 2001)、NITE初期リスク評価書 (2008)、環境省リスク評価第13巻 (2015))。
(2) ラットに本物質 62.5~1,000 ppmを13週間飲水投与した結果、250 ppm (23 mg/kg/day、区分2の範囲) 以上の雌で腎臓重量増加、腎臓における色素沈着が、500 ppm (雄: 30 mg/kg/day、雌: 32 mg/kg/day、区分2の範囲) 以上の雌雄で腎乳頭部の軽度の変性等、1000 ppm (雄: 54 mg/kg/day、雌: 57 mg/kg/day、区分2の範囲) の雌雄で血小板数の減少等がみられた (厚生労働省委託がん原性試験結果 (Access on July 2019))。
(3) マウスに本物質 24.4~2,000 ppmを13週間飲水投与した結果、222 ppm (雄: 29 mg/kg/day、雌: 52 mg/kg/day、区分2の範囲) でAST、ALP、総コレステロールの増加、肝臓におけるクッパー細胞及び脾臓の色素顆粒、667 ppm (雄: 49 mg/kg/day、雌: 67 mg/kg/day、区分2の範囲) 以上で赤血球数、ヘモグロビン、ヘマトクリットの減少等が、2,000 ppm (雄: 108 mg/kg/day、雌: 132 mg/kg/day、区分2超) で死亡がみられ、死亡又は瀕死例で心臓の拡張、筋肉の壊死等がみられた (同上)。
(4) ラットにm-フェニレンジアミンを90日間経口投与した結果、18 mg/kg/day (本物質換算: 30 mg/kg/day、区分2の範囲) で肝臓重量増加、肝細胞の核濃縮、腎臓重量増加がみられた (IRIS (1987)、DFGOT vol.6 (1994)、ACGIH (7th, 2001)、NITE初期リスク評価書 (2008)、環境省リスク評価第13巻 (2015))。

【参考データ等】
(5) m-フェニレンジアミンを主成分とするアミン類にばく露された化学工場労働者男性2人が全身性硬化症を患ったという報告がある (NITE初期リスク評価書 (2008)、環境省リスク評価第13巻 (2015))。
(6) マウスにm-フェニレンジアミン0.02、0.04% (区分2の範囲) を78週間飲水投与した結果、臓器重量増加、色素沈着等がみられたが、組織への毒性学的な影響はみられなかった (同上)。
令和元年度(2019年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用
10 誤えん有害性 分類できない
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- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
令和元年度(2019年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
11 水生環境有害性 短期(急性) 分類できない
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- - データ不足のため分類できない。 令和元年度(2019年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用
11 水生環境有害性 長期(慢性) 分類できない
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- - データ不足のため分類できない。 令和元年度(2019年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用
12 オゾン層への有害性 分類できない
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- - データ不足のため分類できない。 令和元年度(2019年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)※一部JIS Z7252:2019(GHS 6版準拠)を採用


分類結果の利用に関する注意事項:
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  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。

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