NITE統合版 政府によるGHS分類結果

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一般情報
 
項目 情報
CAS登録番号 56-55-3
名称 ベンゾ[a]アントラセン
物質ID m-nite-56-55-3_v2
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関連情報
項目 情報
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物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
1 爆発物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に爆発性に関連する原子団を含まない。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
2 可燃性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
3 エアゾール 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - エアゾール製品でない。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
4 酸化性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
5 高圧ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
6 引火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
7 可燃性固体 分類できない
-
-
- - データなし。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
8 自己反応性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に爆発性ならびに自己反応性に関連する原子団を含んでいない。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
9 自然発火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
10 自然発火性固体 分類できない
-
-
- - データなし。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
11 自己発熱性化学品 分類できない
-
-
- - データなし。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
12 水反応可燃性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
-
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- - 金属および半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
13 酸化性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
14 酸化性固体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 酸素、フッ素および塩素を含んでいない有機化合物である。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
15 有機過酸化物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - -O-O-構造を有していない有機化合物である。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
16 金属腐食性化学品 分類できない
-
-
- - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
17 鈍性化爆発物 -
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-
- - - - -

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
1 急性毒性(経口) 分類できない
-
-
- - データなし。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
1 急性毒性(経皮) 分類できない
-
-
- - データなし。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
1 急性毒性(吸入:ガス) 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義による固体である。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
-
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- - データなし。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-
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- - データなし。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない
-
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- - データなし。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 分類できない
-
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- - データなし。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - データなし。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
4 皮膚感作性 分類できない
-
-
- - データなし。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
5 生殖細胞変異原性 区分2


警告
H341 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
チャイニーズハムスターに腹腔内投与による骨髄を用いた染色体異常試験(体細胞in vivo変異原性試験)および小核試験(体細胞in vivo変異原性試験)で陽性(IARC 32(1983))の結果により区分2とした。その他、体細胞in vivo遺伝毒性試験として、チャイニーズハムスターに腹腔内投与による骨髄を用いた姉妹染色分体交換試験(IARC 32(1983))、ラットの肺を用いたDNAとの付加体形成試験およびマウスの皮膚を用いたDNAとの結合試験(EHC 202(1998))でいずれも陽性の報告がある。一方、in vitro試験としては、エームス試験(EHC 202(1998)、IARC 32(1983))、およびマウスリンパ腫細胞を用いた遺伝子突然変異試験で概ね陽性の結果が得られている(NTP DB(Access on Oct. 2011))。なお、マウスに経口投与による卵母細胞を用いた染色体異常試験(生殖細胞in vivo変異原性試験)の陽性結果(IARC 32(1983))の報告があるが、信頼性や妥当性が不明なため分類の根拠としなかった。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
6 発がん性 区分1B


危険
H350 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
【分類根拠】
(1)~(4)より、実験動物では発がん性の十分な証拠があり、(3)より作用機序からヒトへの妥当性が高いと判断されることから、区分1Bとした。新たな情報源を利用し、分類結果を見直した(2022年度)。

【根拠データ】
(1)雄マウスを用いた本物質(3%溶液)の5週間強制経口投与試験(3回/週、総投与量:250 mg/マウス:500 mg/kg/day相当)において、投与開始後437~444日及び同547日目の両剖検時に肺腺腫及び肝がんの発生頻度の増加を認めた(437~444日観察時:肺腺腫発生率:投与群 37/39(95%) vs 対照群 10/38(26%)、肝がん発生率:投与群 18/39(46%)vs 対照群 0/38(0%))(IRIS (1990))。
(2)マウスを用いたTPAをプロモーターとした経皮投与による複数の二段階発がん性試験において、皮膚乳頭腫の発生率増加が認められ、本物質のイニシエーター作用が示されたとする報告、新生児マウスを用いた腹腔内投与試験で肺及び/又は肝臓腫瘍を認めたとの複数の報告がある(IARC 92 (2010)、厚労省リスク評価書 (2009)、ACGIH (7th, 2001))。
(3)本物質は(5)、(6)に記述のとおり、代謝活性化によりジオールエポキシド体を産生しDNA付加体を形成するとともに、代謝物が変異原性及び発がんイニシエーター活性を示すことが明らかにされている(IARC 92 (2010))。
(4)IARCではグループ2Bに(IARC 92 (2010))、日本産業衛生学会では多環芳香族炭化水素類(PAH)として第2群Bに(産衛学会 許容濃度の勧告等 (2021))、ACGIHでA2に(ACGIH (7th, 2001))、EPAでB2に(IRIS (1990))、NTPでRに(NTP RoC 15th (2021))、EUでCarc. 1Bに(CLP分類結果 (Accessed 2022))、DFGでCategory 2に(List of MAK and BAT values (2021))、それぞれ分類されている。

【参考データ等】
(5)本物質はマウスの皮膚と肺において、C1―C4の湾領域部でジオールエポキシド機構によって代謝活性化される。本物質は無添加及び酵素誘導されたラット肝ミクロゾーム、再構成されたCYP系及びマウス皮膚移植片において、ベンゾ[a]アントラセン-3,4-ジオールに代謝される。ラット肝ミクロゾームにおける主なエナンチオマーは、(-)-ベンゾ[a]アントラセン-3R,4R-ジオールである。ラセミ体のベンゾ[a]アントラセン-3,4-ジオールはほ乳類細胞では遺伝毒性を有し、そのエナンチオマーの(-)-ベンゾ[a]アントラセン-3R,4R-ジオールはマウス皮膚腫瘍のイニシエーターとして、また新生児マウスの肺腫瘍誘発として最も高い活性を示した。(-)-ベンゾ[a]アントラセン-3R,4R-ジオールは、ラット肝ミクロソームではほ乳類細胞では全異性体の中で最も高い変異原性を示す(+)-アンチ-ベンゾ[a]アントラセン-3S,4R-ジオール-1R,2S-オキシドに代謝される(IARC 92 (2010))。
(6)マウス皮膚では本物質はジオールエポキシドのアンチ-ベンゾ[a]アントラセン-3,4-ジオール-1,2-オキシドに代謝され、1つのDNA付加体(恐らくアンチ-ベンゾ[a]アントラセン-3,4-ジオール-1,2-オキシド-デオキシグアノシン)を形成する。(+)-アンチ-ベンゾ[a]アントラセン-3S,4Rジオール-1R,2S-オキシドはマウスの肺がん誘発物質として最も高活性の異性体で、ラセミ体のアンチ-ベンゾ[a]アントラセン-3,4-ジオール-1,2-オキシドはマウス皮膚における腫瘍イニシエーターとして最も高活性の異性体であった(同上)。
(7)EUでは本物質はSVHC物質として指定され、制限物質にリストされている(EU REACH Restriction (2021))。

令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
7 生殖毒性 分類できない
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- - データ不足。なお、ラット2匹に妊娠1日目から 5 mg/匹を皮下投与により、胎仔の死亡および吸収を起こした(IARC 32(1983))との記載がある。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 分類できない
-
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- - データなし。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない
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- - データなし。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
10 誤えん有害性 分類できない
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- - データなし。 平成23年度(2011年度) ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
11 水生環境有害性 短期(急性) 区分1


警告
H400 P273
P391
P501
甲殻類(オオミジンコ)48時間LC50 = 0.0091 mg/L(EU REACH SVHC, 2017)であることから、区分1とした。 令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
11 水生環境有害性 長期(慢性) 区分1


警告
H410 P273
P391
P501
慢性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく(BIOWIN)、藻類(ムレミカヅキモ)の72時間のErC10 = 0.0012 mg/L(EU REACH SVHC, 2017)から、区分1となる。
慢性毒性データが得られていない栄養段階(魚類)に対して信頼性のある急性毒性データは得られていないことから、分類できないとなる。
以上の結果から、区分1とした。
令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
12 オゾン層への有害性 分類できない
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- - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。

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