NITE統合版 政府によるGHS分類結果

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一般情報
 
項目 情報
CAS登録番号 584-84-9
名称 2,4-トリレンジイソシアネート (別名:2,4-トルエンジイソシアネート)
物質ID m-nite-584-84-9_v1
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関連情報
項目 情報
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物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
1 爆発物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 爆発性に関連する原子団を含んでいない。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
2 可燃性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
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-
- - GHSの定義における固体である。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
3 エアゾール 区分に該当しない(分類対象外)
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- - エアゾール製品ではない。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
4 酸化性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
5 高圧ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
6 引火性液体 区分に該当しない
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- - GHSの定義における固体ではあるが、融点が21℃付近であって、引火点は127℃ (closed cup) (GESTIS (Access on June 2017)) である。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
7 可燃性固体 分類できない
-
-
- - データがなく分類できない。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
8 自己反応性化学品 タイプG
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- - 分子内に自己反応性に関連する原子団 (シアン酸化合物) を含むが、UN 2078、クラス6.1、PGⅡに分類されており、優先評価項目の自己反応性には該当しないと考えられる。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
9 自然発火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
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- - GHSの定義における固体である。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
10 自然発火性固体 区分に該当しない
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- - 発火点は620℃ (GESTIS (Access on June 2017)) であり常温で発火しないと考えられる。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
11 自己発熱性化学品 分類できない
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- - 融点が140℃以下の固体状の物質に適した試験方法が確立していない。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
12 水反応可燃性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
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- - 金属及び半金属 (B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At) を含んでいない。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
13 酸化性液体 区分に該当しない(分類対象外)
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-
- - GHSの定義における固体である。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
14 酸化性固体 区分に該当しない(分類対象外)
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- - フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
15 有機過酸化物 区分に該当しない(分類対象外)
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- - 分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物である。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
16 金属腐食性化学品 分類できない
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- - 融点が55℃以下の物質ではあるが、データがなく分類できない。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
17 鈍性化爆発物 -
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健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
1 急性毒性(経口) 区分に該当しない
-
-
- - ラットのLD50値として、5,800 mg/kg (ACGIH (7th, 2004)、PATTY (6th, 2012)、NITE初期リスク評価書 (2008)) との報告に基づき、区分外とした。
  なお、市販のm-トリレンジイソシアネート (TDI) は、本物質と異性体の2,6-トリレンジイソシアネート (2,6-TDI、CAS番号 91-08-7) の混合物 (一般的には本物質と2,6-異性体の混合比80:20) であり、2,4-異性体と2,6-異性体間に重要な毒性学的差異は認められていないとの記載がある (ACGIH (7th, 2004))。
平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
1 急性毒性(経皮) 区分に該当しない
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- - ウサギのLD50値として、10,000 mg/kg、> 16,000 mg/kg (いずれもNITE初期リスク評価書 (2008)、DFGOT vol. 20 (2003)) に基づき、区分外とした。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
1 急性毒性(吸入:ガス) 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。なお、融点が20.5℃ (HSDB (Access on June 2017)) であるため、それ以上の温度では液体と考えられる。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分1


危険
H330 P304+P340
P403+P233
P260
P271
P284
P310
P320
P405
P501
GHSの定義における固体ではあるが、融点が20.5℃ (HSDB (Access on June 2017)) であるため、それ以上の温度では液体と考えられる。本物質単独のLC50値の情報はないが、本物質と2,6-TDIの混合物であるTDI市販品 (以下TDI。通常2,4-TDIと2,6-TDI の混合比80:20) では、ラットの4時間吸入ばく露試験のLC50値として、13.9~49.8 ppm (0.1~0.36 mg/L) との報告がある (NITE初期リスク評価書 (2008)) 。2,4-異性体と2,6-異性体間に重要な毒性学的差異は認められていないとの記載 (ACGIH (7th, 2004)) があるため、TDIの情報を本物質の分類にも用いることが可能と考えられる。最小値の13.9 ppm は、TDIの飽和蒸気圧濃度 (26.4 ppm) の90%よりも低いため、ミストがほとんど混在しないものとしてppmを単位とする基準値を適用すると、区分1に該当する。したがって、区分1とした。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分2


危険
H330 P304+P340
P403+P233
P260
P271
P284
P310
P320
P405
P501
GHSの定義における固体ではあるが、融点が20.5℃ (HSDB (Access on June 2017)) であるため、それ以上の温度では液体と考えられる。本物質単独のLC50値の情報はないが、本物質と2,6-TDIの混合物であるTDI市販品 (以下TDI。通常2,4-TDIと2,6-TDI の混合比80:20) では、ラットの4時間吸入ばく露試験のLC50値として、13.9~49.8 ppm (0.1~0.36 mg/L) との報告がある (NITE初期リスク評価書 (2008)) 。2,4-異性体と2,6-異性体間に重要な毒性学的差異は認められていないとの記載 (ACGIH (7th, 2004)) があるため、TDIの情報を本物質の分類にも用いることが可能と考えられる。最大値の49.8 ppm (0.36 mg/L) は、TDIの飽和蒸気圧濃度 (26.4 ppm) よりも高いため、ミストとしてmg/Lを単位とする基準値を適用すると、区分2に該当する。したがって、区分2とした。
  なお、旧分類が使用したラットの6時間吸入ばく露試験のLC50値として、600 ppm (4時間換算値: 734.8 ppm、5.23 mg/Lに相当) との報告 (PATTY (6th, 2012)) は、出典がList 3の情報源であるRTECSで詳細不明のため、不採用とした。そのため、旧分類から分類結果が変更になった。
平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2


警告
H315 P302+P352
P332+P313
P362+P364
P264
P280
P321
ヒトにおいて強い皮膚刺激性物質であるとの記述 (HSDB (Access on June 2017)) や、ウサギ及びモルモットを用いた皮膚刺激性試験において、本物質が皮膚刺激性を示すとの報告 (NITE初期リスク評価書 (2008)) から、区分2とした。 なお、EU CLP分類において本物質はSkin Irrit. 2 に分類されている (ECHA CL Inventory (Access on June 2017))。また、異性体の区別はないが「労働基準法施行規則別表第一の二第四号1の厚生労働大臣が指定する単体たる化学物質及び化合物並びに厚生労働大臣が定める疾病」に、トリレンジイソシアネート (別名:TDI) が、皮膚障害を起こす化学物質として記載されている。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2


警告
H319 P305+P351+P338
P337+P313
P264
P280
ヒトの眼刺激性試験において、本物質により鋭い眼の痛み (stinging in the eyes) を生じるとの報告 (DFGOT vol. 20 (2003))、及びウサギを用いた眼刺激性試験において本物質が眼瞼結膜に中等度の刺激性と角膜上皮に軽度の損傷を生じるとの報告 (NITE初期リスク評価書 (2008)) から、区分2とした。なお、EU CLP分類において本物質はEye Irrit. 2に分類されている (ECHA CL Inventory (Access on June 2017))。また、異性体の区別はないが「労働基準法施行規則別表第一の二第四号1の厚生労働大臣が指定する単体たる化学物質及び化合物並びに厚生労働大臣が定める疾病」に、トリレンジイソシアネート (別名:TDI) が、前眼部障害を起こす化学物質として記載されている。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
4 呼吸器感作性 区分1


危険
H334 P304+P340
P342+P311
P261
P284
P501
ヒトでは、本物質 (2,4-TDI) 及び異性体 (2,6-TDI、CAS番号 91-08-7) の混合物であるTDI市販品I (2,4-TDIと2,6-TDIの混合比は通常80:20) は、喘息を発症させ、呼吸器刺激性と呼吸器感作性を示し、慢性気管支炎、限局性呼吸器疾患などを生じるとの記載 (NITE初期リスク評価書 (2008)) がある。日本産業衛生学会において、トルエンジイソシアネート類は感作性物質の気道第1群に分類されており (日本産業衛生学会許容濃度等の勧告 (2016))、本物質はトルエンジイソシアネート類に含まれる。よって、区分1とした。なお、EU CLP分類において本物質はResp. Sens. 1 に分類されている (ECHA CL Inventory (Access on June 2017))。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
4 皮膚感作性 区分1


警告
H317 P302+P352
P333+P313
P362+P364
P261
P272
P280
P321
P501
日本産業衛生学会において、トルエンジイソシアネート類は感作性物質の皮膚第2群に分類されており (日本産業衛生学会許容濃度等の勧告 (2016))、本物質はトルエンジイソシアネート類に含まれる。よって、区分1とした。なお、EU CLP分類において本物質はSkin. Sens. 1 に分類されている (ECHA CL Inventory (Access on June 2017))。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
5 生殖細胞変異原性 分類できない
-
-
- - TDI市販品 (本物質80%及び2,6-異性体20%) を用いたin vivo試験では、ラット、マウスの骨髄細胞小核試験で陰性、ラットの肝臓細胞を用いた不定期DNA合成試験で陰性 (IARC 71 (1999)、DFGOT vol. 20 (2003))、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陽性、哺乳類培養細胞のマウスリンフォーマ試験で陽性、染色体異常試験で陰性、姉妹染色分体交換試験で不明確な結果である (NITE初期リスク評価書 (2008)、環境省リスク評価第14巻 (2016)、DFGOT vol. 20 (2003)、ATSDR (2015))。以上より、ガイダンスに従い分類できないとした。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
6 発がん性 区分2


警告
H351 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
TDI市販品 (本物質約86%及び2,6-異性体14%) をラット、又はマウスに2年間強制経口投与した発がん性試験において、ラットでは雌雄に皮下組織の良性及び悪性腫瘍 (線維腫及び線維肉腫) の合計頻度の増加、雄に膵臓の良性腫瘍 (腺房細胞腺腫) の頻度増加、雌に乳腺の線維腺腫、膵臓の良性腫瘍 (ラ氏島細胞腺腫) の頻度増加がみられた (IARC 39 (1986)、NTP RoC (14th, 2016))。マウスでは雄には腫瘍発生率の増加はなかったが、雌には血管の良性及び悪性腫瘍 (血管腫及び血管肉腫) の合計頻度増加、及び肝臓腫瘍 (肝細胞腺腫) の頻度増加が認められた (IARC 39 (1986)、NTP RoC (14th, 2016))。IARCは実験動物では発がん性の十分な証拠があるとして、グループ2Bに分類した (IARC 71 (1999))。その他、ACGIHはA3に (ACGIH (7th, 2016))、NTPはRに (NTP RoC (14th, 2016))、EUはCarc. 2に (ECHA CL Inventory (Access on June 2016))、また日本産業衛生学会はトルエンジイソシアネート類 (CAS番号 26471-62-5) に対し第2群Bに (許容濃度の勧告 (2016): 1991年提案) 分類している。以上、各機関の既存分類結果に基づき、区分2とした。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
7 生殖毒性 分類できない
-
-
- - TDI市販品 (本物質80%と2,6-異性体20%のTDI混合物) をラットに吸入ばく露した2世代試験において、F0及びF1親動物には雌雄とも0.02 ppm以上で鼻腔の炎症、0.08 ppm以上で体重増加抑制、一般状態の変化 (鼻周囲の痂皮など) がみられたが、生殖能に有害影響はなく、児動物への影響も軽微な影響 (F2の0.08 ppm以上で体重の低値) だけであった (環境省リスク評価第14巻 (2016)、NITE初期リスク評価書 (2008))。また、妊娠ラットの器官形成期 (妊娠6~15日) にTDI (80:20) を吸入ばく露した試験では母動物毒性 (体重増加抑制、摂餌量減少など) がみられた0.5 ppmで胎児には軽微な影響 (第5頸椎の骨化遅延) がみられただけであった (環境省リスク評価第14巻 (2016)、NITE初期リスク評価書 (2008))。
  以上、吸入経路では区分外の可能性も考えられるが、他の経路での毒性情報がなく、データ不足のため分類できないとした。
平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(呼吸器)


危険
H370 P308+P311
P260
P264
P270
P321
P405
P501
ヒトではボランティアによる本物質の吸入試験で、0.08 ppm、30分の吸入により鼻の穿痛感がみられたとの報告がある (DFGOT vol. 20 (2003))。また、本物質と異性体の2,6-TDI (CAS番号 91-08-7) の混合物であるTDI市販品 (以下TDI。通常2,4-TDIと2,6-TDI の混合比80:20) のばく露の影響が報告されている。事故によるTDIの大量ばく露により、急性の呼吸器不全を発症した症例が複数報告されている (DFGOT vol. 20 (2003))。更にTDIの急性ばく露は粘膜、気道を刺激し、高濃度のばく露により、重篤な気管支痙攣、肺炎、肺水腫を伴う化学性気管支炎を引き起こす可能性があるとの記載がある (ACGIH (7th, 2004))。実験動物では、マウス、ラット、モルモット、ウサギを用いたTDIの4時間単回吸入ばく露試験において、2 ppmで気管及び気管支表面上皮の巣状凝固壊死と痂皮形成が認められ、5 ppmでは気管及び気管支上皮の凝固と壊死及び発症部位周辺への急性炎症細胞の凝集に引き続いて、ばく露後4週間で細気管支の重度の損傷と線維組織による完全な閉塞が認められたとの報告がある (NITE初期リスク評価書 (2008))。実験動物での用量は区分1に相当する。2,4-異性体と2,6-異性体間で重要な毒性学的差異は認められていないとされている (ACGIH (7th, 2004)) ため、混合物TDIの毒性情報を根拠とすることは妥当と考えられる。したがって、区分1 (呼吸器) とした。
  なお、異性体の区別はないが、トリレンジイソシアネート (別名:TDI) は「労働基準法施行規則別表第一の二第四号1の厚生労働大臣が指定する単体たる化学物質及び化合物並びに厚生労働大臣が定める疾病」に、気道・肺障害を起こす化学物質として記載されている。
平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(呼吸器)


危険
H372 P260
P264
P270
P314
P501
ヒトについては、本物質 (2,4-TDI) 及び異性体 (2,6-TDI) の混合物であるm-トリレンジイソシアネート (TDI) (2,4-TDIと2,6-TDIの混合比は通常80:20) の情報があり、「TDIはヒトに対して、喘息を発症させ、呼吸器刺激性と呼吸器感作性を示し、慢性気管支炎、限局性呼吸器疾患などを生ずる。」との記載がある (NITE初期リスク評価書 (2008)) 。
  実験動物については、ラットを用いた21日間吸入毒性試験 (6時間/日、5日/週) において、区分1のガイダンス値の範囲である0.24 ppm (1.74 mg/m3) (90日換算: 0.00041 mg/L) 以上で呼吸困難、喉頭の修復性過形成・扁平上皮化生、鼻炎、肺のわずかな影響 (組織球増殖症)、0.67 ppm (4.85 mg/m3) (90日換算: 0.0011 mg/L) で気管の修復性過形成、壊死性気管支炎/細気管支炎、過形成・化生、肺の水腫・肺胞炎、2.83 ppm (20.49 mg/m3) (90日換算: 0.0048 mg/L) で死亡率増加 (25%)、体重減少、尿量及び尿中蛋白質減少、血中尿素窒素増加、ヘモグロビン・ヘマトクリット値・赤血球数増加、血小板数・白血球数減少の報告がある (DFGOT vol. 20 (2003))。ラットを用いた79日間吸入毒性試験 (6時間/日) において区分1のガイダンス値の範囲内 (蒸気) である1.5 ppm (10.8 mg/m3) (ガイダンス値換算: 0.0094 mg/L) で気管支炎、30日間吸入毒性試験 (6時間/日) において区分1のガイダンス値の範囲内 (蒸気) である1 ppm (7.2 mg/m3) (ガイダンス値換算: 0.0024 mg/L) 以上で気管・気管支炎の報告がある (NITE初期リスク評価書 (2008))。
  以上のうち、血液系への影響については赤血球パラメータは増加であること、血小板数・白血球数減少についても、25%の動物が死亡する濃度での所見であることから分類根拠としなかった。
  したがって、区分1 (呼吸器) とした。
  なお、異性体の区別はないが、トリレンジイソシアネート (別名:TDI) は「労働基準法施行規則別表第一の二第四号1の厚生労働大臣が指定する単体たる化学物質及び化合物並びに厚生労働大臣が定める疾病」に、気道・肺障害を起こす化学物質として記載されている。
平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
10 誤えん有害性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
11 水生環境有害性 短期(急性) 区分3
-
-
H402 P273
P501
甲殻類(Palaemonetes pugio) 96時間LC50 <508.3 mg/L(環境省環境リスク評価(第14巻):2016 )であることから、区分3とした。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
11 水生環境有害性 長期(慢性) 区分3
-
-
H412 P273
P501
急速分解性があり(難分解性、BODによる平均分解度:0%であるが、GCによる分解度:100%であり、水中では100%分解していると判断された (化審法DB:2003))、蓄積性がなく(LogKow:3.74 (PHYSPROP Database:2017))、甲殻類(オオミジンコ)の21日間NOEC(繁殖阻害)1.1 mg/L(環境省環境リスク評価(第14巻):2016)であることから、区分3とした。 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
12 オゾン層への有害性 分類できない
-
-
- - データなし 平成29年度(2017年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。

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