NITE統合版 政府によるGHS分類結果

English



一般情報
項目 情報
CAS登録番号 65996-93-2
名称 高温コールタールピッチ
物質ID m-nite-65996-93-2_v2
Excelファイルのダウンロード Excel file

関連情報
項目 情報
分類ガイダンス等(外部リンク) ガイダンス一覧へ
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書へ
FAQ(よくある問い合わせ) よくある問い合わせへ
情報源のリスト(Excelファイル) 情報源のリストへ
用語のリスト(Excelファイル) 用語のリストへ
厚生労働省モデルラベル(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortalへ

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
1 爆発物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 爆発性に関連する原子団を含んでいないと推察される。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
2 可燃性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
3 エアゾール 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - エアゾール製品でない。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
4 酸化性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
5 高圧ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
6 引火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
7 可燃性固体 分類できない
-
-
- - データがなく分類できない。なお、可燃性 (ICSC (2002) との情報がある。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
8 自己反応性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいないと推察される。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
9 自然発火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
10 自然発火性固体 区分に該当しない
-
-
- - 発火点が> 500℃ (HSFS (2009)) であり常温で発火しないと考えられる。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
11 自己発熱性化学品 分類できない
-
-
- - データがなく分類できない (融点は30~180℃ (ICSC (2002))。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
12 水反応可燃性化学品 区分に該当しない
-
-
- - 水溶解度が測定されており、水と激しく反応しないと推定される。
水溶解度: 0.0035~0.0041 mg/L (25℃) (NITE総合検索 (Access on October 2015))
平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
13 酸化性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
14 酸化性固体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 酸素を含む有機化合物で、酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していないと推察される。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
15 有機過酸化物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物であると推察される。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
16 金属腐食性化学品 分類できない
-
-
- - データがなく分類できない (融点は30~180℃ (ICSC (2002))。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
17 鈍性化爆発物 -
-
-
- - - - -

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
1 急性毒性(経口) 区分に該当しない
-
-
- - ラットのLD50値として、3,300 mg/kg、> 5,000 mg/kg、6,200 mg/kg、> 15,000 mg/kgとの報告 (EU-RAR (2008)) に基づき、区分外とした。
平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
1 急性毒性(経皮) 区分に該当しない
-
-
- - ラットのLD50値として、> 400 mg/kg及び> 5,000 mg/kgとの2件の報告 (EU-RAR (2008)) がある。1件が分類できなく、1件が区分外であるので、区分外とした。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
1 急性毒性(吸入:ガス) 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。なお、EU-RAR (2008) では、動物及びヒトに対して、揮発性コールタールピッチのばく露 (光との同時ばく露を含む) において、皮膚症状が生じるが、これらが皮膚刺激性に起因するものかを特定できないとしている (EU-RAR (2008))。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。なお、コールタールピッチ (ヒューム、揮発物) の職業ばく露において、眼刺激性を有するものとして、眼に重篤な損傷のリスクがある (Xi, R41) と結論付けているEU-RAR (2008))。また、ウサギの眼に対してコールタールピッチ蒸留物を10μL適用した試験において、瞼の充血 (血管拡張)、流涙、僅かな粘液分泌が24時間後にみられたが回復したとの報告 (EU-RAR (2008)、IARC 35 (1985)) があるが、詳細不明である。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。

平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
4 皮膚感作性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。なお、EU-RAR (2008) は、コールタールピッチ (揮発物) について、単独もしくは光との同時ばく露によって、ヒト及び動物に対して皮膚症状を生じさせるが、原因は皮膚刺激性、皮膚感作性、光感作性のいずれであるかを特定できないとしている。しかしながら、本物質はベンゾ[a] ピレン (皮膚感作性物質) を1.5%含有するので、EU-CLP規則に従い、皮膚感作性物質とみなすことを推奨している (EU-RAR (2008))。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
5 生殖細胞変異原性 区分1B


危険
H340 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
本物質のIn vivoデータはなく、in vitroでは細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞のマウスリンフォーマ試験、姉妹染色分体交換試験で陽性、哺乳類培養細胞の遺伝子突然変異試験で陰性である (ECHA RAC (2011)、EU-RAR (2008)、IARC 35 (1985)、IARC 100F (2012))。本物質は1.5%のベンゾ[a]ピレン (Muta Cat. 1B) を含有することから、混合物 (ベンゾ[a]ピレン 0.1%以上含有) による分類として「区分1B」とした。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
6 発がん性 区分1A


危険
H350 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
IARCは2010年にコールタールピッチ にばく露 (一部ビチューメン (アスファルト) と同時ばく露例を含む) された可能性がある舗装工事作業者、屋根職人では発がんリスクの増加が示唆されたとの疫学研究結果に基づき、道路舗装や屋根の作業中の本物質への職業ばく露はヒト発がん性の十分な証拠があると結論された (IARC 100F (2012))。特に、肺がんの過剰リスクが米国、英国の屋根職人又は舗装工事作業者を対象とした疫学研究の結果、明らかにされ、フィンランドとオランダの舗装作業者を対象とした発がん頻度の追跡研究においても確認された (IARC 100F (2012))。また、フランスでは1970年以前、ノルウェー及びスウェーデンでは1965年以前にコールタールを含むアスファルト混合物に初期にばく露された作業者の間で肺がんによる高い死亡率、発生率が報告されたが、アスファルトの品質改良により、2003年の報告では死亡率、発生率ともに有意な増加は示されなかった (IARC 100F (2012))。さらに、フィンランドの道路舗装作業者を対象とした研究ではコ-ルタールのばく露レベルを半定量的にランク付け (スコア-年数積) 解析された結果、肺がんの相対リスクが非ばく露群1に対し、低レベルばく露群で1.49、中レベルばく露群で10.7に上昇したとの記述もある (IARC 100F (2012))。
実験動物ではマウスにコールタールピッチを経皮適用した6件の試験、及びコールタールピッチの抽出物を経皮適用した3件の試験全てにおいて、皮膚がんを含む皮膚腫瘍の発生が認められた (IARC 35 (1985)、IARC 100F (2012))。以上、IARCは舗装作業、屋根塗装作業に伴うコールピッチばく露によるヒトでの発がん性には十分な証拠があり、作業中の本物質は肺がんの原因物質となること、実験動物における本物質の発がん性も十分な証拠があるとして、グループ1に分類した (IARC 100F (2012))。その他、本物質 (揮発物含む) に対して、EUがピッチ、コールタール、高温 (Pitch, coal tar, high-temp) に対し、「Carc. 1A」 に (ECHA Termination of Evaluation (2014))、日本産業衛生学会がコールタール、コールタールピッチ揮発物に対し、「第1群」に (許容濃度の勧告 (2015)) 分類している。以上より、本項は区分1Aとした。
平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
7 生殖毒性 区分1B


危険
H360 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
本物質自体 (Coal-tar, Pitch, High Temperature (CTPHT)) のデータはない。EUはCTPHTの生殖影響を評価するのに利用可能でないデータとして、高温煮沸コール液 (high-boiling coal liquid)、コールタール派生産物及びクレオソートの試験データがあり、妊娠ラットを用いた発生毒性試験で母動物毒性発現量で胎児毒性がみられたが、分類には利用できないとした。しかし、本物質が1.5%以下のベンゾ[a]ピレン (Repr. 1B) を含んでおり、これを0.5%以上含む混合物として本物質の生殖毒性は Repr. 1B に分類提案された。EUのリスク評価委員会はこれを了承した (ECHA RAC Opinion (2011))。よって、本項の分類もEUに倣い、ベンゾ[a]ピレン (CAS番号: 50-32-8) の本項分類結果 (区分1B (H23年度)) に基づき、混合物 (ベンゾ[a]ピレン 0.3%以上含有) による分類として「区分1B」とした。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3 (気道刺激性)


警告
H335 P304+P340
P403+P233
P261
P271
P312
P405
P501
本物質は気道刺激性があり、咳、くしゃみ、鼻腔粘膜の腫脹を引き起こすとの報告がある (PATTY (6th, 2012))。なお、神経毒性があり手足の痺れ及び疼きを引き起こすとの記載があり (PATTY (6th, 2012))、不明確であったが、反復によるものと推定し判断した。
以上より、本物質は気道刺激性があることから、区分3 (気道刺激性) とした。

平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1 (神経系)


危険
H372 P260
P264
P270
P314
P501
本物質は、神経毒性があり手足の痺れ及び疼きを引き起こすとの報告がある (PATTY (6th, 2012))。
以上より、本物質は神経毒性があることから、区分1 (神経系) とした。
平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
10 誤えん有害性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。 平成27年度(2015年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
11 水生環境有害性 短期(急性) 分類できない
-
-
- - 分類に適切なデータが得られておらず分類できない。専門家判断に基づく情報の再検討により、旧分類から分類結果を変更した。 令和3年度(2021年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
11 水生環境有害性 長期(慢性) 分類できない
-
-
- - 分類に適切なデータが得られておらず分類できない。専門家判断に基づく情報の再検討により、旧分類から分類結果を変更した。 令和3年度(2021年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
12 オゾン層への有害性 分類できない
-
-
- - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 令和3年度(2021年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。

GHS関連情報トップページに戻る