NITE統合版 政府によるGHS分類結果

English



一般情報
 
項目 情報
CAS登録番号 68-11-1
名称 メルカプト酢酸
物質ID m-nite-68-11-1_v1
Excelファイルのダウンロード Excel file

関連情報
項目 情報
分類ガイダンス等(外部リンク) ガイダンス一覧へ
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書へ
FAQ(よくある問い合わせ) よくある問い合わせへ
情報源のリスト(Excelファイル) 情報源のリストへ
用語のリスト(Excelファイル) 用語のリストへ
厚生労働省モデルラベル(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortalへ

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
1 爆発物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 爆発性に関連する原子団を含んでいない。 平成26年度(2014年度) ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
2 可燃性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体である。 平成26年度(2014年度) ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
3 エアゾール 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - エアゾール製品でない。 平成26年度(2014年度) ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
4 酸化性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体である。 平成26年度(2014年度) ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
5 高圧ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体である。 平成26年度(2014年度) ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
6 引火性液体 区分に該当しない
-
-
- - 引火点126℃ (open cup) (ICSC (1998)) という情報があり、所定の密閉法測定でも93℃以上になると判断し、区分外とした。 平成26年度(2014年度) ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
7 可燃性固体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体である。 平成26年度(2014年度) ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
8 自己反応性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。 平成26年度(2014年度) ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
9 自然発火性液体 区分に該当しない
-
-
- - 発火点が350℃ (ICSC (1998)) であり、常温で発火しないと考えられる。 平成26年度(2014年度) ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
10 自然発火性固体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体である。 平成26年度(2014年度) ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
11 自己発熱性化学品 分類できない
-
-
- - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。 平成26年度(2014年度) ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
12 水反応可燃性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 金属及び半金属 (B,Si,P,Ge,As,Se,Sn,Sb,Te,Bi,Po,At) を含んでいない。 平成26年度(2014年度) ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
13 酸化性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。 平成26年度(2014年度) ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
14 酸化性固体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体である。 平成26年度(2014年度) ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
15 有機過酸化物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物である。 平成26年度(2014年度) ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
16 金属腐食性化学品 分類できない
-
-
- - データがなく分類できない。なお、スチール、ステンレス鋼、アルミニウムを侵すとの記述がある (ICSC(1998))。 平成26年度(2014年度) ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
17 鈍性化爆発物 -
-
-
- - - - -

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
1 急性毒性(経口) 区分3


危険
H301 P301+P310
P264
P270
P321
P330
P405
P501
ラットのLD50値として、< 50 mg/kg (ACGIH (7th, 2001))、73 mg/kg (SIDS (2010))、114-136 mg/kg (NITE初期リスク評価書 (2008)) との3件の報告がある。最も多くのデータが該当する区分3とした。 平成26年度(2014年度) ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
1 急性毒性(経皮) 区分3


危険
H311 P302+P352
P361+P364
P280
P312
P321
P405
P501
ウサギのLD50値として、848 mg/kg との報告 (SIDS (2010)、ACGIH (7th, 2001)) に基づき、区分3とした。 平成26年度(2014年度) ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
1 急性毒性(吸入:ガス) 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体である。 平成26年度(2014年度) ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。旧分類根拠となっているデータは原著が確認できないList 3のデータであるため、分類には採用しなかった。 平成26年度(2014年度) ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分4


警告
H332 P304+P340
P261
P271
P312
ラットのLC50値 (4時間) (OECD TG 403) として、2.172 mg/L (雄)、1.098 mg/L (雌) との報告 (SIDS (2010)) に基づき、区分4とした。なお、試験はエアロゾルで行われたとの記載、及びLC50値が飽和蒸気圧濃度(0.595 mg/L) より高いため、ミストの基準値を適用した。新たな情報源 (SIDS (2010)) を追加し、区分を見直した。 平成26年度(2014年度) ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
2 皮膚腐食性/刺激性 区分1


危険
H314 P301+P330+P331
P303+P361+P353
P305+P351+P338
P304+P340
P260
P264
P280
P310
P321
P363
P405
P501
ウサギの皮膚に本物質の原液を適用した結果、5分以内に壊死がみられたことから、本物質は腐食性を持つと判断されている (SIDS (2010))。ヒトでは、高濃度の本物質にばく露された結果、皮膚に第2 度の火傷を引き起こしたとの報告や (NITE初期リスク評価書 (2008))、潰瘍、永続的な瘢痕がみられたとの報告がある (NITE初期リスク評価書 (2008))。以上の結果から区分1とした。なお、本物質はEU DSD分類で「R34」、EU CLP分類で「Skin Corr. 1B H314」に分類されている。 平成26年度(2014年度) ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分1


危険
H318 P305+P351+P338
P280
P310
ウサギの眼に本物質を適用した結果、強度の結膜炎、角膜混濁がみられ14日以内に回復性がみられなかったとの記載がある (ACGIH (7th, 2001))。また、本物質は皮膚腐食性/刺激性で区分1に分類されている。以上の結果から区分1とした。 平成26年度(2014年度) ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。 平成26年度(2014年度) ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
4 皮膚感作性 区分1


警告
H317 P302+P352
P333+P313
P362+P364
P261
P272
P280
P321
P501
ヒトにおいて本物質のパッチテストにより陽性反応がみられたとの報告が複数ある (NITE初期リスク評価書 (2008))。一方、モルモットを用いた皮膚感作性試験では陰性であったとの報告がある (SIDS (2010))。ヒトにおいて陽性の報告が複数あることから区分1とした。 平成26年度(2014年度) ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
5 生殖細胞変異原性 分類できない
-
-
- - In vivoでは、マウス骨髄細胞の小核試験で陰性 (SIDS (2010))、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞の染色体異常試験で陰性である(NITE初期リスク評価書 (2008)、SIDS (2010)、NTP DB (Access on October 2014))。以上より、ガイダンスに従い、「分類できない」とした。 平成26年度(2014年度) ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
6 発がん性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。 平成26年度(2014年度) ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
7 生殖毒性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。 平成26年度(2014年度) ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1 (中枢神経系、呼吸器、全身毒性)


危険
H370 P308+P311
P260
P264
P270
P321
P405
P501
本物質は気道刺激性がある (SIDS (2010))。ヒトにおいては、経路不明の事故例で、急性肺水腫、肺傷害 (出血性線維性気管支炎)、重度の乳酸血症、腎不全、成人呼吸促迫症候群、肝不全、横紋筋融解からなる多臓器不全、経口摂取又は経皮ばく露で、嚥下困難を伴う口腔、咽頭、食道粘膜の腐食、吐き気・嘔吐を伴う胃痛、胃出血、頻脈、浅呼吸、乏尿、循環虚脱による死亡、声門水腫による窒息死、その他、接触部位粘膜の潰瘍が報告されている (NITE初期リスク評価書 (2008))。
実験動物では、ラットの吸入ばく露で、鼻刺激、呼吸困難、緩徐呼吸、努力呼吸、不規則呼吸、活動低下、無関心、振戦、麻痺、衰弱、反射消失、閉眼、不穏、屈曲姿勢、死亡例で肺のうっ血、ラットの経口投与で、喘ぎ呼吸、立毛、嗜眠、眼瞼下垂、衰弱、痙攣、マウスの経皮ばく露で振戦、痙攣がみられている (NITE初期リスク評価書 (2008)、SIDS (2010)、ACGIH (7th, 2001))。これらの中枢神経系及び呼吸器への影響は区分1に相当する範囲の用量でみられた。
以上より、区分1 (中枢神経系、呼吸器、全身毒性) とした。
平成26年度(2014年度) ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2 (血液系、肝臓、腎臓)


警告
H373 P260
P314
P501
ヒトでの反復ばく露影響に関する知見はない。実験動物を用いた試験では、本物質が腐食性を有するため、試験は本物質ナトリウム塩 (CAS No.: 367-51-1) を用いて行われており、体内では本物質及びそのナトリウム塩はほぼ等価の毒性を示すものと考え、ナトリウム塩を用いた試験結果により分類を行うこととした。
すなわち、ラットに本物質ナトリウム塩を13週間強制経口投与した試験において、最高用量の60 mg/kg/day (区分2に該当) で、血液系 (総白血球数及びリンパ球の減少、赤血球数、ヘモグロビン濃度の軽度増加、凝固時間 (PT) の延長など)、肝臓 (重量増加、血清AST、ALT、LDH の上昇、門脈周囲肝細胞内の微小空胞化、単細胞壊死)、腎臓 (血清尿素及びクレアチニンの増加、近位尿細管の空胞化) への影響がみられた (SIDS (2010))。この他、脾臓、肝臓に髄外造血亢進、胸腺に皮質の萎縮、骨髄にM/E比 (顆粒球系細胞数/赤血球系細胞数) の低下がみられた (SIDS (2010)) が、これらは血液影響に関連した所見と考えられた。一方、ラット又はマウスに本物質ナトリウム塩を13週間経皮適用した試験では、いずれの動物種にも適用部皮膚への局所刺激性影響がみられた以外に、ほぼ区分2までの用量範囲 (最高用量: ラットで180 mg/kg/day、マウスで360 mg/kg/day) で特定の標的臓器はなく (SIDS (2010))、経皮経路では概ね区分外相当と考えられた。
以上より、区分2 (血液系、肝臓、腎臓) に分類した。なお、旧分類時以降に発行されたSIDS (2010) を利用したため、今回は分類が可能となった。
平成26年度(2014年度) ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
10 誤えん有害性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。 平成26年度(2014年度) ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
11 水生環境有害性 短期(急性) 区分3
-
-
H402 P273
P501
甲殻類 (オオミジンコ) による48時間EC50 = 35.8 mg/L (環境省リスク評価第11巻, 2013、NITE初期リスク評価書, 2008) であることから、区分3とした。 平成26年度(2014年度) ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
11 水生環境有害性 長期(慢性) 区分に該当しない
-
-
- - 慢性毒性データを用いた場合、急速分解性があり(28日後の分解度:67%(SIDS, 2010))、藻類(Pseudokirchneriella subcapitata)の72時間NOEC=2.2 mg/L(NITE初期リスク評価書, 2008)であることから、区分外となる。
慢性毒性データが得られていない栄養段階に対して急性毒性データを用いた場合、魚類(メダカ)の96時間LC50 = 39.8 mg/L(環境省リスク評価第11巻, 2013、NITE初期リスク評価書, 2008)であるが、急速分解性があり(28日後の分解度:67%(SIDS, 2010))、生物蓄積性が低いと推定される(log Kow= 0.09 (PHYSPROP Database、2009))ことから、区分外となる。
以上の結果から、区分外とした。
平成26年度(2014年度) ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
12 オゾン層への有害性 分類できない
-
-
- - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 平成26年度(2014年度) ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。

GHS関連情報トップページに戻る