NITE統合版 政府によるGHS分類結果

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一般情報
 
項目 情報
CAS登録番号 7440-22-4
名称 銀(ナノ粒子以外)
物質ID m-nite-7440-22-4_v2
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関連情報
項目 情報
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物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
1 爆発物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に爆発性に関連する原子団を含んでいない物質。 平成18年度(2006年度) マニュアル(H18.2.10版)(GHS 初版)
2 可燃性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
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- - GHS定義による固体。 平成18年度(2006年度) マニュアル(H18.2.10版)(GHS 初版)
3 エアゾール 区分に該当しない(分類対象外)
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-
- - エアゾール製品ではない。 平成18年度(2006年度) マニュアル(H18.2.10版)(GHS 初版)
4 酸化性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
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-
- - GHS定義による固体。 平成18年度(2006年度) マニュアル(H18.2.10版)(GHS 初版)
5 高圧ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHS定義による固体。 平成18年度(2006年度) マニュアル(H18.2.10版)(GHS 初版)
6 引火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHS定義による固体。 平成18年度(2006年度) マニュアル(H18.2.10版)(GHS 初版)
7 可燃性固体 区分に該当しない
-
-
- - Not combustible(ICSC(1997)により区分外とした。 平成18年度(2006年度) マニュアル(H18.2.10版)(GHS 初版)
8 自己反応性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に爆発性に関連する原子団、あるいは自己反応性に関連する原子団を含んでいない物質。 平成18年度(2006年度) マニュアル(H18.2.10版)(GHS 初版)
9 自然発火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHS定義による固体。 平成18年度(2006年度) マニュアル(H18.2.10版)(GHS 初版)
10 自然発火性固体 区分に該当しない
-
-
- - Not combustible(ICSC(1997)により区分外とした。 平成18年度(2006年度) マニュアル(H18.2.10版)(GHS 初版)
11 自己発熱性化学品 区分に該当しない
-
-
- - Not combustible(ICSC(1997)により区分外とした。 平成18年度(2006年度) マニュアル(H18.2.10版)(GHS 初版)
12 水反応可燃性化学品 区分に該当しない
-
-
- - 水中で安定。 平成18年度(2006年度) マニュアル(H18.2.10版)(GHS 初版)
13 酸化性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHS定義による固体。 平成18年度(2006年度) マニュアル(H18.2.10版)(GHS 初版)
14 酸化性固体 区分に該当しない(分類対象外)
-
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- - 酸素、塩素、フッ素原子を含まない無機化合物。 平成18年度(2006年度) マニュアル(H18.2.10版)(GHS 初版)
15 有機過酸化物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 有機物ではない。 平成18年度(2006年度) マニュアル(H18.2.10版)(GHS 初版)
16 金属腐食性化学品 区分に該当しない
-
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- - イオン化傾向より鋼、アルミニウムを腐食しない。 平成18年度(2006年度) マニュアル(H18.2.10版)(GHS 初版)
17 鈍性化爆発物 -
-
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- - - - -

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
1 急性毒性(経口) 区分に該当しない
-
-
- - ラット LD50:>5000mg/kg(HSDB(2003))の記載より区分外とした。 平成18年度(2006年度) マニュアル(H18.2.10版)(GHS 初版)
1 急性毒性(経皮) 区分に該当しない
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- - ラット LD50:>2000mg/kg(HSDB(2003))の記載より区分外とした。 平成18年度(2006年度) マニュアル(H18.2.10版)(GHS 初版)
1 急性毒性(吸入:ガス) 区分に該当しない(分類対象外)
-
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- - GHS定義による固体。 平成18年度(2006年度) マニュアル(H18.2.10版)(GHS 初版)
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
-
-
- - データがなく分類できない。 平成18年度(2006年度) マニュアル(H18.2.10版)(GHS 初版)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-
-
- - データがなく分類できない。 平成18年度(2006年度) マニュアル(H18.2.10版)(GHS 初版)
2 皮膚腐食性/刺激性 区分に該当しない
-
-
- - ウサギによる試験でSlightly irritating(IUCLID(2000))の記載により区分外とした。 平成18年度(2006年度) マニュアル(H18.2.10版)(GHS 初版)
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2B
-
警告
H320 P305+P351+P338
P337+P313
P264
ウサギの試験で軽度の刺激性、48時間で回復している(IUCLID(2000))の記載より区分2Bとした。 平成18年度(2006年度) マニュアル(H18.2.10版)(GHS 初版)
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - データがない。 平成18年度(2006年度) マニュアル(H18.2.10版)(GHS 初版)
4 皮膚感作性 区分1


警告
H317 P302+P352
P333+P313
P362+P364
P261
P272
P280
P321
P501
粉体の暴露でアレルギー性の接触皮膚炎を起こす(ACGIH(2001))、銀を含有する装身具への接触によりアレルギー反応を生じた(PATTY(5th, 2001))の記載より区分1とした。 平成18年度(2006年度) マニュアル(H18.2.10版)(GHS 初版)
5 生殖細胞変異原性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。CLHでは変異原性について区分2が提案されたことから見直しを行った。銀ナノ粒子についていくつかの試験結果が得られているが、銀イオンに対する直接的評価への利用は困難と判断された。そのため、区分の変更はない(2022年度)。

【参考データ等】
(1)銀粒子(平均粒子径:10-20 μm)について、in vitro試験では代謝活性化系(S9)添加の有無にかかわらずネズミチフス菌で遺伝子突然変異、チャイニーズハムスター肺細胞(CHL)で染色体異常はみられなかったと報告されている(MOE 初期評価 (2018))。
(2)EUはナノ粒子からも銀イオンを放出するだろうという整理のもとナノ銀のデータを基に銀(塊、粉体)をMuta. 2に分類提案している(CLH Report (2020))。
(3)銀ナノ粒子(粒子径:52.7~70.99 nm (平均60 nm))について、in vivoでラットを用いた経口投与による小核試験(OECD TG474、最大1,000 mg/kg/day)では弱陽性と報告されている。一方、銀ナノ粒子(粒子径:1.98~64.9 nm)について、ラットを用いた90日間吸入ばく露による小核試験(OECD TG474、最大515 μg/m3)の結果は陰性と判断されたと報告されている(CLH Report (2020))。
(4)銀ナノ粒子(粒子径:5~150 nm(平均33.6 nm(単量体と凝集体含む))について、in vivoでは、マウスを用いた強制経口投与によるDNA損傷試験の結果、胎児では骨髄における非可逆性の染色体損傷に加えて、骨髄の単核細胞と末梢血中白血球におけるDNA二重鎖切断の顕著な増加がみられた(CLH Report (2020))。
(5)銀ナノ粒子(詳細不明)について、in vivoでは、ラットの赤血球を用いた小核試験(OECD TG475、単回腹腔内投与、最大80 mg/kg)で、陽性(構造異常(主に染色分体切断)の頻度増加)と報告されている(CLH Report (2020))。
(6)銀ナノ粒子(粒子径:20 nm又は200 nm)について、in vivoでは、ラットの赤血球を用いた小核試験(単回静脈内投与、5及び10 mg/kg(20 nm)、5 mg/kg (200 nm))では、いずれのナノ粒子も赤血球で陽性と報告されている(CLH Report (2020))。
(7)銀ナノ粒子(15~100 nm PVP被覆、10~80 nm シリコン被覆)について、in vivoでは、マウスの肝臓を標的とした静脈内投与によるコメット試験では標準的な試験法では陰性、酵素処理した変法(hOCG1)では肝臓で酸化的DNA損傷の有意な誘導がみられた(CLH Report (2020))。
(8)(3)~(7)のほか、銀ナノ粒子について、in vivoでは、小核試験で陰性2件、染色体異常試験で陽性1件、ほ乳類を用いたコメット試験3報告のうち陽性2件、陽性疑い1件がそれぞれ報告されている(CLH Report (2020))。
令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
6 発がん性 分類できない
-
-
- - ラットに粉末を筋肉内注射した試験で発がん性は認められなかった(PATTY(5th, 2001))、及びヒトにたいしての発がん性の証拠はない(PATTY(5th, 2001)、(HSDB(2003))との記載あるが、IARC等の分類評価機関の情報はなく分類できないとした。 平成18年度(2006年度) マニュアル(H18.2.10版)(GHS 初版)
7 生殖毒性 区分1B


危険
H360 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
【分類根拠】
(1)、(2)の水溶性銀化合物を用いた試験結果より、銀イオンが親動物に大きな負担がない用量で受胎能低下、胚/胎児死亡増加、内臓の形態異常が生じる報告があり、区分1Bとした。なお新たな情報源を利用し生殖毒性項目を見直した(2022年度)。

【根拠データ】
(1)酢酸銀(CAS登録番号:563-63-3)について、ラットを用いた飲水投与による一世代生殖毒性試験において、雌雄親動物には摂水量の減少がみられた高用量(40 mg/kg/day:26 mg Ag/kg/day)群で受胎率の低下がみられた。摂水量の減少は嗜好性(味覚忌避)によるものと解され、全身毒性を反映したものではない。児動物には中用量群で出生児生率の低下と低体重、高用量群では妊娠期から授乳期早期の死亡例が多く生存児数の減少が明らかであった。親動物には剖検時に銀の沈着が様々な組織にみられたが、全体として雌雄親動物に投与による明白な毒性は認められていない。以上、親動物に毒性影響がないか僅かな影響の用量で、受胎率の低下、出生時の生存児数減少、出生後の新生児生存率の低下がみられたとの報告がある(EFSA (2016)、CLH Report (2020))。
(2)塩化銀(CAS登録番号:7783-90-6)について、ラットを用いた混餌投与による発生毒性試験(妊娠1~20日)では、250 mg/kg/day(188 mg Ag/kg/day)で、着床後胚死亡の増加(36% vs 対照群9.6%)、内臓異常(水腎症、潜伏睾丸)を有する胎児数の高値、新生児の全例死亡(24時間以内)がみられた。しかし、塩化銀を妊娠7~15日に同様に混餌投与した場合には、これらの発生影響はみられなかった。これに対する説明として、銀は銅がセルロプラスミン(銅輸送タンパク)に結合するのを阻害し、胎児による銅、鉄などの利用を低下させることにより、発生毒性を生じるという仮説である。妊娠期間に銀によるセルロプラスミン阻害の期間が長いほど発生影響が出やすいということで説明が可能とされている。ヒトでもセルロプラスミンの機能的な役割は同様であるので、銀の発生毒性の作用機序はヒトには当てはまらないとは言い切れないとの報告がある(EFSA (2016)、CLH Report (2020))。

【参考データ等】
(3)EUでは銀(CAS登録番号:7440-22-4)(銀、銀ナノ粒子、銀水溶性化合物の区別無し)についてRepr. 1Bが提案されている(CLH Report (2020))。
令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(呼吸器系)


危険
H370 P308+P311
P260
P264
P270
P321
P405
P501
加熱した金属銀ヒュウムへの4時間暴露で肺水腫を伴う肺の障害が起きた(ACGIH(2001))、粉塵の職業暴露で気道の刺激を生じる(ATSDR ToxFAQs(1997))の記載により区分1(呼吸器系)に分類した。 平成18年度(2006年度) マニュアル(H18.2.10版)(GHS 初版)
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(眼)、区分1(呼吸器)


危険
H372 P260
P264
P270
P314
P501
粉体への職業暴露で皮膚、粘膜に色素が沈着する銀中毒(argyria)を生じるが(ACGIH(2001))、(PATTY(5th, 2001))、機能障害として現れるのは夜間視力の減少である(ATSDR ToxFAQs(1997))との記載により区分1(眼)とした。粉塵の長期間吸入による肺への沈着から気管支炎になった(PATTY(5th, 2001))、(HSDB(2003))との記載があり、区分1(吸入:呼吸器)とした。 平成18年度(2006年度) マニュアル(H18.2.10版)(GHS 初版)
10 誤えん有害性 区分に該当しない(分類対象外)
-
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- - GHS定義による固体。 平成18年度(2006年度) マニュアル(H18.2.10版)(GHS 初版)

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
11 水生環境有害性 短期(急性) 分類できない
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- - データがなく分類できない。 令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
11 水生環境有害性 長期(慢性) 分類できない
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- - データがなく分類できない。 令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
12 オゾン層への有害性 分類できない
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- - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 令和4年度(2022年度) ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。

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