NITE統合版 政府によるGHS分類結果

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一般情報
 
項目 情報
CAS登録番号 75-35-4
名称 1,1-ジクロロエチレン (別名:塩化ビニリデン)
物質ID m-nite-75-35-4_v2
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関連情報
項目 情報
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物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
1 爆発物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に爆発性に関連する原子団を含んでいないため、区分に該当しない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
2 可燃性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体であり、区分に該当しない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
3 エアゾール 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - エアゾール製品でないため、区分に該当しない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
4 酸化性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体であり、区分に該当しない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
5 高圧ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体であり、区分に該当しない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
6 引火性液体 区分1


危険
H224 P303+P361+P353
P370+P378
P403+P235
P210
P233
P240
P241
P242
P243
P280
P501
引火点-28℃ (closed cup)、沸点32℃ (NFPA (14th, 2010)) に基づき、区分1とした。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
7 可燃性固体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体であり、区分に該当しない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
8 自己反応性化学品 タイプG
-
-
- - 分子内に自己反応性に関連する原子団として不飽和結合を含むが、UNRTDGにおいて、安定剤入りのものがUN 1303、クラス3、PG Ⅰに分類されており、優先評価項目である自己反応性化学品には該当しないと考えられるためタイプGとした。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
9 自然発火性液体 区分に該当しない
-
-
- - 発火点が570℃ (NFPA (14th, 2010)) との情報より、常温で発火しないと考えられるため、区分に該当しない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
10 自然発火性固体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体であり、区分に該当しない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
11 自己発熱性化学品 分類できない
-
-
- - 液体状の物質に適した試験法が確立していないため、分類できない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
12 水反応可燃性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 金属及び半金属 (B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At) を含んでいないため、区分に該当しない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
13 酸化性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - フッ素及び酸素を含まず、塩素を含む有機化合物であるが、この塩素が炭素及び水素以外の元素と結合していないため、区分に該当しない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
14 酸化性固体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体であり、区分に該当しない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
15 有機過酸化物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物であり、区分に該当しない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
16 金属腐食性化学品 分類できない
-
-
- - 低沸点の液体に適した試験方法が確立していないため、分類できない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
17 鈍性化爆発物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 爆発性に関連する原子団を含まないため、区分に該当しない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
1 急性毒性(経口) 区分4


警告
H302 P301+P312
P264
P270
P330
P501
【分類根拠】
(1)~(6) より、区分4とした。

【根拠データ】
(1) ラットのLD50: 雄: 1,500 mg/kg (Patty (6th, 2012))
(2) ラットのLD50: 雄: 1,510 mg/kg (EHC 100 (1990)、MAK (DFG) vol.8 (1997)、ATSDR (2019))
(3) ラットのLD50: 雄: 1,550 mg/kg (EHC 100 (1990)、MAK (DFG) vol.8 (1997)、IRIS Tox Review (2002)、CICAD 51 (2003))
(4) ラットのLD50: 1,510~1,550 mg/kg (NITE初期リスク評価書 (2007))
(5) ラットのLD50: 雄: 1,800 mg/kg、雌: 1,500 mg/kg (EHC 100 (1990)、ECETOC JACC (1985)、IRIS Tox Review (2002)、CICAD 51 (2003)、ATSDR (2019))
(6) ラットのLD50: 雄: 2,500 mg/kg (ACGIH (7th, 2001))
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
1 急性毒性(経皮) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
1 急性毒性(吸入:ガス) 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
GHSの定義における液体であり、区分に該当しないとした。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分4


警告
H332 P304+P340
P261
P271
P312
【分類根拠】
(1)~(6) より、ばく露前に給餌したデータを用いて、区分4とした。但し、本物質は絶食により毒性が増強するため、(7)~(11) を根拠から除外した。なお、ばく露濃度が飽和蒸気圧濃度 (789,536 ppm) の90%よりも低いため、ミストがほとんど混在しないものとしてppmを単位とする基準値を適用した。

【根拠データ】
(1) ラットのLC50 (4時間、給餌): 雄: 6,350 ppm (ECETOC JACC (1985)、EHC 100 (1990)、MAK (DFG) vol.8 (1997)、ACGIH (7th, 2001)、IRIS Tox Review (2002)、ATSDR (2019))
(2) ラットのLC50 (4時間、給餌): 雄: 7,145 ppm、雌: 10,275 ppm (ATSDR (2019))
(3) ラットのLC50 (4時間、給餌): 雄: 7,100 ppm、雌: 10300 ppm (MAK (DFG) vol.8 (1997))
(4) ラットのLC50 (4時間、給餌): 8,600 ppm (MAK (DFG) vol.8 (1997))
(5) ラットのLC50 (4時間、給餌): 1,5000 ppm (EHC 100 (1990)、ATSDR (2019))
(6) 本物質の蒸気圧: 600 mmHg (25℃) (飽和蒸気圧濃度換算値: 789,536 ppm) (HSDB (Access on April 2020))

【参考データ等】
(7) ラットのLC50 (4時間、絶食): 雄: 415 ppm、雌: 6,545 ppm (NITE初期リスク評価書 (2007)、ATSDR (2019))
(8) ラットのLC50 (4時間、絶食): 雄: 600 ppm (EHC 100 (1990))
(9) ラットのLC50 (4時間、絶食): 雄: 2,300 ppm (MAK (DFG) vol.8 (1997))
(10) ラットのLC50 (4時間、絶食): 4,100 ppm (MAK (DFG) vol.8 (1997))
(11) ラットのLC50 (4時間、絶食): 8,000 ppm (MAK (DFG) vol.8 (1997))
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
2 皮膚腐食性/刺激性 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)~(4) より、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) 本物質はヒト及び動物に適用すると皮膚刺激性を生じるが、その刺激はすぐに消失する。この刺激性は製品に含まれるp-ヒドロキシアニソールの影響の可能性がある (ATSDR (2019)、NITE初期リスク評価書 (2007)、NTP TR582 (2015)、ACGIH (7th, 2001)、EHC 100 (1990)、GESTIS (Access on May 2020)、HSDB (Access on May 2020))。
(2) 人工皮膚モデル (EST-1000) を用いたin vitro皮膚腐食性試験において3分、60分ばく露後、生存率はそれぞれ79%、53%であり、腐食性は否定された (AICIS IMAP (2016))。
(3) 本物質はEU Method B.40に準拠したin vitro皮膚腐食性試験 (経皮電気抵抗試験、TER) で腐食性は否定された (REACH登録情報 (Access on June 2020))。
(4) 人工皮膚モデル (EpiSkin) を用いたin vitro皮膚刺激性試験において、15分ばく露後の細胞生存率は96.6%であり、刺激性物質ではないと判定されている (AICIS IMAP (2016))。

【参考データ等】
(5) 本物質は眼、皮膚、気道を刺激する (MOE初期評価第14巻 (2016)、CICAD 51 (2003)、GESTIS (Access on May 2020))。
(6) 本物質は眼及び皮膚に対して中等度の刺激性を有する (MAK (DFG) vol.8 (1997))。
(7) 本物質は腐食性物質ではないが、皮膚刺激性は有する (AICIS IMAP (2016))。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2


警告
H319 P305+P351+P338
P337+P313
P264
P280
【分類根拠】
(1)、(2) より、区分2とした。新しいデータ (1)、(2) が得られたことから分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) 本物質は眼、皮膚、気道を刺激する (MOE初期評価第14巻 (2016)、CICAD 51 (2003)、GESTIS (Access on May 2020)。
(2) 本物質は眼及び皮膚に対して中等度の刺激性を有する (MAK (DFG) vol.8 (1997))。

【参考データ等】
(3) OECD TG 437に準拠し、ウシ角膜を用いたin vitro眼損傷性試験 (BCOP) において、平均刺激性スコア (IVIS) は43.9であり、中等度の眼刺激性物質と判定された (AICIS IMAP (2016)、REACH登録情報 (Access on June 2020))。
(4) 本物質はヒト及び動物に適用すると眼刺激性を生じるが、その刺激はすぐに消失する。この刺激性は製品に含まれるp-ヒドロキシアニソールの影響の可能性がある (ATSDR (2019)、NITE初期リスク評価書 (2007)、NTP TR582 (2015)、ACGIH (7th, 2001)、EHC 100 (1990)、GESTIS (Access on May 2020)、HSDB (Access on May 2020))。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため、分類できない。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
4 皮膚感作性 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)より、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) TG 429に準拠したマウス局所リンパ節試験 (LLNA) において、陰性と判定された (AICIS IMAP (2016)、REACH登録情報 (Access on June 2020))。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
5 生殖細胞変異原性 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)、(2) より、専門家判断に基づき区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) in vivoでは、ラット、マウスの優性致死試験で陰性、マウス骨髄細胞及び末梢血の小核試験、マウスまたはラット骨髄細胞の染色体異常試験で陰性、チャイニーズハムスター骨髄細胞の染色体異常試験で陽性の報告がある(食安委 清涼飲料水評価書 (2007)、MOE初期評価第14巻 (2016)、IARC 119 (2019)、ATSDR (2019)、NITE初期リスク評価書 (2007)、ACGIH (7th, 2001)、ATSDR (1994)、CICAD 51 (2003)、MAK (DFG) vol.8 (1997)、EHC 100 (1990)、IRIS Tox Review (2002)、IARC 71 (1999)、NTP TR582 (2015))。マウスの腎臓を標的としたDNA損傷試験で弱陽性の報告がある (ATSDR (2019))。
(2) in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陽性、哺乳類培養細胞のマウスリンフォーマ試験で陽性、遺伝子突然変異試験で陰性、染色体異常試験で陽性、陰性の結果、姉妹染色分体交換試験で陽性の報告がある(食安委 清涼飲料水評価書 (2007)、MOE初期評価第14巻 (2016)、IARC 119 (2019)、ATSDR (2019)、NITE初期リスク評価書 (2007)、ATSDR (1994)、CICAD 51 (2003)、MAK (DFG) vol.8 (1997)、EHC 100 (2007)、EPA IRIS Tox Review (2002)、IARC 71 (1999)、NTP TR582 (2015))。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
6 発がん性 区分2


警告
H351 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
【分類根拠】
(1)~(3) より、最新の既存分類結果に基づき区分2とした。最新の既存分類結果に基づき分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) 国内外の分類機関による既存分類では、IARCでグループ2B (IARC 119 (2019))、産衛学会で第2群B (産業衛生学会誌許容濃度の勧告 (2018年提案))、ACGIHでA4 (ACGIH (7th, 2001))、EPAでGroup C (possible human carcinogen) (IRIS (2002))、EU-CLPでCarc.2 (EU CLP分類 (Access on April 2020))、MAK (DFG) で3B (DFG List of MAK and BAT Values 2019) に分類されている。
(2) 雌雄のラットに本物質を2年間吸入ばく露した発がん性試験において、雄で悪性中皮腫、雌で甲状腺腺腫、甲状腺腺腫及びがんの合計、単核細胞白血病の発生率に有意な増加がみられた。また、有意差はなかたものの、雄では腎尿細管がん及び鼻の呼吸上皮腺腫の発生率の増加もみられた (NTP TR582 (2015)、IARC 119 (2019)、MOE初期評価第14巻 (2016))。これより、本物質の発がん性に関して、雄のラットには明らかな証拠 (clear evidence) が、雌ラットにはある程度の証拠 (some evidence) があると結論された (NTP TR582 (2015))。
(3) 雌雄のマウスに本物質を2年間吸入ばく露した発がん性試験において、雄で腎尿細管腺腫及びがん、雌で肝細胞腺腫及びがん、肝臓の血管肉腫及び血管腫の発生率の有意な増加がみられた。また、有意差はなかったものの、雌雄で肝胆管細胞がんの発生率の増加もみられた (NTP TR582 (2015)、IARC 119 (2019)、MOE初期評価第14巻 (2016))。これより、本物質の発がん性に関して、雌雄マウスには明らかな証拠 (clear evidence) があると結論された (NTP TR582 (2015))。
(4) 米国のプラスチック製造工場の労働者における肺がんによる死亡率に関する質の高いコホート研究では、肺がんと本物質へのばく露との間に関連は見らなかった。

【参考データ等】
(5) ラット及びマウスの経口経路での試験では発がん性の証拠はなかった。 吸入経路での試験ではハムスターには投与に関連した腫瘍性変化はなかった (IARC 119 (2019))。
(6) IARCは (2)、(3) のNTPの発がん性試験結果に基づき、最新の評価で発がん性分類をグループ3からグループ2Bに変更したが、少数のグループは、 ヒトに対して発がん性があると分類される塩化ビニル (CAS番号 75-01-4、IARC発がん性分類グループ1) との類似性に基づいて、本物質のより高い分類 (グループ2A) を主張した (IARC 119 (2019))。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
7 生殖毒性 区分2


警告
H361 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
【分類根拠】
(1)~(3) より、区分2とした。

【根拠データ】
(1) 雌ラットの妊娠6~15日に吸入ばく露 (7時間/日) した発生毒性試験において、母動物毒性 (記載なし) がみられる用量で、胎児に波状肋骨、頭蓋骨骨化遅延がみられている (NITE初期リスク評価書 (2007))。
(2) 雌ウサギの妊娠6~19日に吸入ばく露 (7時間/日) した発生毒性試験において、母動物毒性 (記載なし) がみられる用量で、吸収胎児、骨格変異増加がみられている (NITE初期リスク評価書 (2007))。
(3) 雌マウスの妊娠6~16日に吸入ばく露 (22~23時間/日) した発生毒性試験において、母動物毒性がみられない用量で胎児に骨化遅延がみられている (NITE初期リスク評価書 (2007)、CICAD 51 (2003))。

【参考データ等】
(4) 雌ラットの妊娠6~19日に吸入ばく露 (22~23時間/日) した発生毒性試験において、母動物毒性 (体重減少、死亡 (2/18例)) がみられる用量で胎児に側脳室性水頭症、胸骨分節の骨化遅延がみられている (NITE初期リスク評価書 (2007)、CICAD 51 (2003))。CICAD 51 (2003) は、この試験は厳しい母体毒性のため、発生毒性の評価には有用ではないとしている。
(5) ラットを用いた飲水投与による3世代生殖毒性試験において、親動物毒性 (肝臓のごく軽度の肝細胞脂肪変性等) 用量においても、生殖毒性はみられていない (食安委 清涼飲料水評価書 (2007)、CICAD 51 (2003)、NITE初期リスク評価書 (2007))。
(6) 雌ラットの妊娠6~15日に飲水投与した発生毒性試験において、母動物毒性、胎児に対する影響は認められていない (食安委 清涼飲料水評価書 (2007)、CICAD 51 (2003)、NITE初期リスク評価書 (2007))。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1 (呼吸器、肝臓、腎臓)、区分3 (麻酔作用)



危険
警告
H370
H336
P308+P311
P260
P264
P270
P321
P405
P501
P304+P340
P403+P233
P261
P271
P312
【分類根拠】
(2)~(4) より、区分1 (呼吸器、肝臓、腎臓)、(1) より区分3(麻酔作用) とした。なお、旧分類で特定標的臓器として神経系が含まれていたが、根拠と考えられる (6) については本物質そのものの毒性影響ではないことから根拠から除外し、分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) ヒトでは本物質の急性吸入ばく露により、中枢神経系の抑制ないし興奮症状を示し、重篤な場合は意識不明になることが報告されている (NITE初期リスク評価書 (2007))。
(2) ラットを用いた複数の単回強制経口投与試験が実施されており、肝臓に対する影響として25 mg/kg (区分1の範囲) 以上で毛細胆管の障害、50 mg/kg (区分1の範囲) 以上でAST及びALTの増加、200 mg/kg (区分1の範囲) 以上で尿素窒素 (BUN) の増加がみられている。腎臓に対する影響として、400 mg/kg (区分2の範囲) でクレアチニンの増加と組織変化 (尿細管上皮の空胞化・色素沈着・壊死、尿細管拡張) がみられている (NITE初期リスク評価書 (2007))。
(3) マウスを用いた複数の単回強制経口投与試験では、腎臓に対する影響として200 mg/kg (区分1の範囲) で投与後8 時間以内に近位尿細管の障害が約半数の動物で認められ、呼吸器に対する影響として200 mg/kg (区分1の範囲) で肺水腫と出血、及び24 時間以内にクララ細胞の壊死と剥離が認められた (NITE初期リスク評価書 (2007))。
(4) ラットを用いた単回吸入毒性試験 (4時間ばく露) において、200~250 ppm (800~1,000 mg/m3) (区分1の範囲) で血清ソルビトールデヒドロゲナーゼとオルニチンカルバモイルトランスフェラーゼ活性の増加、及び肝細胞の小葉中心性壊死が認められている (NITE初期リスク評価書 (2007))。

【参考データ等】
(5) 経口投与、吸入ばく露後の急性毒性の標的臓器は、肝臓、腎臓、肺のクララ細胞である。肝臓における作用には、血清中の肝臓酵素値の上昇、毛細胆管破裂、細胞質空胞変性、出血性壊死などの重度の病理組織学的損傷、本物質の共有結合の増加、ならびにGSHの減少などがあることが報告されている (CICAD 51 (2003)、食安委 清涼飲料水評価書 (2007))。
(6) 本物質共重合体の水分散液輸送に使用していたタンクを清掃中に持続性の脳神経障害を発症した2症例では、三叉神経への影響が最も強く現れ、後頭耳介神経や頸部皮神経、咀嚼筋、眼筋、舌下神経にも影響がみられた。なお、清掃時に用いた石鹸と本物質が反応して生成したジクロロアセチレンが原因物質として考えられている (MOE初期評価第14巻 (2016))。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1 (血液、呼吸器、肝臓、腎臓、生殖器(男性))


危険
H372 P260
P264
P270
P314
P501
【分類根拠】
(1)~(4) より、区分1 (血液、呼吸器、肝臓、腎臓、生殖器 (男性)) とした。

【根拠データ】
(1) ヒトについては、6年以下のばく露期間で作業していた重合工場作業者27/46人 (59%) に肝機能障害が認められたとの報告がある (NITE初期リスク評価書 (2007)、ATSDR (1994))。
(2) ラットを用いた飲水投与による2年間反復投与毒性試験において、50 ppm (雄:7 mg/kg/day、雌:9 mg/kg/day、区分1の範囲) 以上の雌、200 ppm (雄: 20 mg/kg/day、雌: 30 mg/kg/day、区分2の範囲) の雄で小葉中心性肝細胞脂肪変性、肝細胞腫脹がみられている (食安委 清涼飲料水評価書 (2007)、NITE初期リスク評価書 (2007)、ATSDR (1994))。
(3) ラットを用いた14週間吸入毒性試験 (6時間/日、5日/週) において6.25~50 ppm (ガイダンス値換算: 0.017~0.132 mg/L、区分1の範囲) で呼吸器への影響 (嗅上皮の萎縮・鉱質沈着・壊死、鼻甲介の萎縮等)、肝臓への影響 (小葉中心性細胞質変性、細胞質空胞化等)、100 ppm (ガイダンス値換算: 0.26 mg/L、区分2の範囲) で上記に加えさらに精巣への影響 (精子の運動性低下、精子数減少) がみられている (NTP TR582 (2015))。
(4) マウスを用いた14週間吸入毒性試験 (6時間/日、5日/週) において、25~50 ppm (ガイダンス値換算: 0.017~0.132 mg/L、区分1の範囲) で血液への影響 (赤血球数・ヘモグロビン濃度・ヘマトクリット値の減少)、呼吸器への影響 (喉頭の呼吸上皮の扁平上皮化生)、精巣への影響 (精巣上体尾部精子数減少)、腎臓への影響 (腎症、尿細管壊死・タンパク円柱)、100 ppm (ガイダンス値換算: 0.26 mg/L、区分2の範囲) で上記に加えさらに肝臓への影響 (肝臓の壊死・小葉中心性肝細胞肥大) がみられている (NTP TR582 (2015))。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
10 誤えん有害性 分類できない
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- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。なお、(1)より、動粘性率は20℃で0.27 mm2/secと算出され、40℃の動粘性率が14 mm2/s以下であるが、その他の情報は得られなかった。

【参考データ】
(1)動粘性率が20℃で0.27 mm2/s(20℃での粘性率0.33 mPa・s(HSDB (Access on April 2020)) と密度(比重)1.21 g/cm3 (HSDB (Access on April 2020)) から算出)である。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
11 水生環境有害性 短期(急性) 区分2
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H401 P273
P501
藻類(クラミドモナス)72時間EbC50 = 9.12 mg/L(MOE初期評価第14巻, 2016、CICAD 51, 2003)であることから、区分2とした。なお、分類に用いた藻類のデータはバイオマス法によるものであるが、甲殻類、魚類のいずれのデータよりも小さい値が報告されており、より厳しい区分となることから、本データを採用して分類を行った。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
11 水生環境有害性 長期(慢性) 区分3
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H412 P273
P501
慢性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく(OECD TG301D における4週間分解度:0%(METI既存点検結果, 1991))、藻類(セネデスムス)の96時間EC10 = 240 mg/L(CICAD 51, 2003)から、区分に該当しない。
慢性毒性データが得られていない栄養段階に対して急性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく(Closed bottle法でのBODによる4週間分解度:0%(METI既存点検結果, 1991))、甲殻類(オオミジンコ)の48時間EC50 = 11.6 mg/L(CICAD 51, 2003)から、区分3となる。
以上の結果を比較し、区分3とした。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
12 オゾン層への有害性 分類できない
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- - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)


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