NITE統合版 政府によるGHS分類結果

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一般情報
 
項目 情報
CAS登録番号 75-44-5
名称 ホスゲン
物質ID m-nite-75-44-5_v2
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関連情報
項目 情報
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物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
1 爆発物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義におけるガスであり、区分に該当しない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
2 可燃性ガス 区分に該当しない
-
-
- - 不燃性気体 (GESTIS (Access on May 2020)) という情報より、区分に該当しない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
3 エアゾール 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - エアゾール製品でないため、区分に該当しない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
4 酸化性ガス 区分に該当しない
-
-
- - UNRTDGにおいてUN 1076、クラス2.3、副次8に分類されており、副次危険性を含めてクラス5.1には分類されていないため、区分に該当しない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
5 高圧ガス 低圧液化ガス


警告
H280 P410+P403 臨界温度182.3℃ (GESTIS (Access on May 2020)) より、低圧液化ガスとした。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
6 引火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義におけるガスであり、区分に該当しない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
7 可燃性固体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義におけるガスであり、区分に該当しない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
8 自己反応性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義におけるガスであり、区分に該当しない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
9 自然発火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義におけるガスであり、区分に該当しない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
10 自然発火性固体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義におけるガスであり、区分に該当しない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
11 自己発熱性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義におけるガスであり、区分に該当しない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
12 水反応可燃性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義におけるガスであり、区分に該当しない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
13 酸化性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義におけるガスであり、区分に該当しない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
14 酸化性固体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義におけるガスであり、区分に該当しない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
15 有機過酸化物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義におけるガスであり、区分に該当しない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
16 金属腐食性化学品 分類できない
-
-
- - 気体状の物質に適した試験方法が確立していないため、分類できない。なお、水の存在下では塩酸を生成するので、多くの金属を侵す (ICSC (2013)) という情報がある。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
17 鈍性化爆発物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義におけるガスであり、区分に該当しない。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
1 急性毒性(経口) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
1 急性毒性(経皮) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
1 急性毒性(吸入:ガス) 区分1


危険
H330 P304+P340
P403+P233
P260
P271
P284
P310
P320
P405
P501
【分類根拠】
(1)、(2) より、区分1とした。

【根拠データ】
(1) ラットのLC50 (4時間): 0.0086 mg/L (2.1 ppm) (MAK (DFG) (2015))
(2) ヒトのLC50は500 ppm (1分間) であり、3 ppmの170分間ばく露と30 ppmの17分間ばく露は同等に致死的との報告がある (ACGIH (7th, 2001)、HSDB (Access on May 2020))。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
GHSの定義におけるガスであり、区分に該当しない。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
GHSの定義におけるガスであり、区分に該当しない。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2


警告
H315 P302+P352
P332+P313
P362+P364
P264
P280
P321
【分類根拠】
(1)~(5) より、区分2とした。

【根拠データ】
(1) 本物質は高濃度では皮膚刺激性を示す可能性がある (EHC 193 (1997))。
(2) 本物質は強い皮膚刺激性を示す (IPCS PIM 419 (1997))。
(3) ホスゲンによる皮膚障害及び前眼部障害は、労働基準法施行規則別表第一の二に掲げる業務上の疾病として定められている (労働省告示第三十三号 (1996))。
(4) 本物質 (液体) への接触は強い刺激性を示すとは考えられていない (GESTIS (Access on May 2020))。
(5) 本物質の皮膚への大量のばく露では火傷を生じる可能性があるが、少量では刺激を生じる (HSDB (Access on May 2020))。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2


警告
H319 P305+P351+P338
P337+P313
P264
P280
【分類根拠】
(1)~(5) より、区分2とした。細区分の明白な根拠が得られないため、分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) 本物質は非常に危険なガスであり、ばく露される初期症状として眼刺激性及び火傷を示す可能性がある (ACGIH (7th, 2001))。
(2) 本物質は非常に強い眼刺激性を示す (IPCS PIM 419 (1997))。
(3) 本物質は 4 ppm以上で眼刺激性を示し、10 ppm以上で強い眼刺激性と気道刺激性を示す (US AEGL (2002)、GESTIS (Access on May 2020))。
(4) ホスゲンによる皮膚障害及び前眼部障害は、労働基準法施行規則別表第一の二に掲げる業務上の疾病として定められている (労働省告示第三十三号 (1996))。
(5) 本物質 (液体) の眼への深刻なばく露では角膜混濁を生じる可能性がある (HSDB (Access on May 2020))。

【参考データ等】
(6) イヌにおいて致死量のばく露で眼に刺激性及び角膜浮腫が報告されている (EHC 193 (1997))。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
4 皮膚感作性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
5 生殖細胞変異原性 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)、(2) より、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) in vivoでは、マウスに本物質を6時間吸入ばく露による染色体異常誘発性、異数性誘発性、姉妹染色分体交換及び小核の誘発性は認められなかった報告がある (MAK (DFG) (2015)、IRIS Tox. Review (2006)、HSDB (Access on May 2020))。
(2) in vitroでは、本物質をガス状ばく露による細菌の復帰突然変異試験で陰性の報告の報告がある (MAK (DFG) (2015)、IRIS Tox. Review (2006)、HSDB (Access on May 2020))
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
6 発がん性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
利用可能なヒトを対象とした報告はない。(1) より分類できないとした。

【根拠データ】
(1) 国内外の分類機関による既存分類では、EPAでI (inadequate information to assess carcinogenic potential) (IRIS (2006)) に分類されている。

【参考データ等】
(2) 同期間に雇用された男性労働者について、本物質に毎日ばく露された労働者694人とばく露されなかった労働者9,280人を比較したコホート研究 (ばく露期間は2ヵ月~1年、フォローアップ期間は30年) では、呼吸器疾患と肺がんのSMRは対照群とばく露した労働者で有意差はみられなかった。本研究はサンプルサイズが小さく、ヒトの発がんリスクを評価するには適切でない (IRIS (2006))。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
7 生殖毒性 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1 (呼吸器)


危険
H370 P308+P311
P260
P264
P270
P321
P405
P501
【分類根拠】
(1)~(5) より、区分1 (呼吸器) とした。

【根拠データ】
(1) ヒトの死因の多くはホスゲン無酸素症に関連しており、生存例では肺の広範な線維化、肺気腫、無気肺、気管支炎がみられた。初期症状 (咳、呼吸困難、眼刺激及び熱感) に続いて数時間後に、細気管支炎、気管支周囲浮腫及び広範な肺のうっ血がみられた (ACGIH (7th, 2001))。
(2) 本物質は吸入した場合、肺胞内で徐々に加水分解され、塩化水素と塩素を放出し、通常ばく露6~24時間後の遅延死を生じる (ACGIH (7th, 2001))。
(3) 本物質は1.6 mg/m3で臭いを感じ、12 mg/m3で眼、鼻、喉の刺激、120 mg/m3-分以上で肺の傷害、600 mg/m3-分以上で肺水腫を起こす (MOE初期評価第3巻:暫定的有害性評価シート (2004))。
(4) 国内で 1966年に起きた本物質の漏洩事故で382人がばく露され、うち12人が入院しており、頭痛、吐き気、咳、呼吸異常、疲労、咽頭痛、胸部締付感、胸の痛み、発熱の他に1人で流涙及び眼の発赤がみられた。また、48時間後のX線検査で7人が肺水腫と診断されており、眼や鼻の刺激症状がない場合でも、肺水腫の起こり得ることが示されている (MOE初期評価第3巻 (2004)、EHC 193 (1997))。
(5) ホスゲンによる頭痛、めまい、嘔吐等の自覚症状、皮膚障害、前眼部障害又は気道・肺障害は、労働基準法施行規則別表第一の二に掲げる業務上の疾病として定められている (労働省告示第三十三号 (1996))。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1 (呼吸器)


危険
H372 P260
P264
P270
P314
P501
【分類根拠】
(1)~(3) より、区分1 (呼吸器) とした。

【根拠データ】
(1) 本物質は水分と接触すると、塩酸と二酸化炭素に加水分解される。体内でも同様で、吸入すると細気管支、肺胞などに侵入した後、徐々に分解され、生じた塩酸によって肺充血、肺水腫などを起こし、さらに肺炎へと進む。肺水腫では、循環血漿の30~50%までが肺に集まることさえあり、いわゆる“陸上溺死”の状態になる。このため血液は濃縮し、血流が障害され、組織は酸素不足をきたす。心臓の負担がしだいに増し、心衰弱へと進む。ときには肺膿瘍を起こす。激しい咳、褐色の痰、呼吸困難、チアノーゼ、脈の頻小などが現れ、ついには窒息と心衰弱により死に至る。また、肺障害の原因として、塩酸の他に、生体成分のアシル化反応も関与するといわれている (MOE初期評価第3巻:暫定的有害性評価シート (2004))。
(2) 少量の本物質に1.5~3.5年の間繰り返しばく露された5名の労働者を調査した結果、肺気腫が2例、換気異常が全員にみられた (HSDB (Access on May 2020))。
(3) ホスゲンによる頭痛、めまい、嘔吐等の自覚症状、皮膚障害、前眼部障害又は気道・肺障害は、労働基準法施行規則別表第一の二に掲げる業務上の疾病として定められている (労働省告示第三十三号 (1996))。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
10 誤えん有害性 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
GHSの定義におけるガスである。
令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
11 水生環境有害性 短期(急性) 分類できない
-
-
- - データがなく分類できない 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
11 水生環境有害性 長期(慢性) 分類できない
-
-
- - データがなく分類できない 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
12 オゾン層への有害性 分類できない
-
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- - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 令和2年度(2020年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。

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