NITE統合版 政府によるGHS分類結果

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一般情報
 
項目 情報
CAS登録番号 7718-54-9
名称 塩化ニッケル
物質ID m-nite-7718-54-9_v2
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関連情報
項目 情報
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物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
1 爆発物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に爆発性に関連する原子団を含まない。 平成21年度(2009年度) ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
2 可燃性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 平成21年度(2009年度) ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
3 エアゾール 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - エアゾール製品でない。 平成21年度(2009年度) ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
4 酸化性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 平成21年度(2009年度) ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
5 高圧ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 平成21年度(2009年度) ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
6 引火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 平成21年度(2009年度) ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
7 可燃性固体 区分に該当しない
-
-
- - 不燃性(HSDB, 2006)である。 平成21年度(2009年度) ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
8 自己反応性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に爆発性又は自己反応性に関連する原子団を含まない。 平成21年度(2009年度) ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
9 自然発火性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 平成21年度(2009年度) ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
10 自然発火性固体 区分に該当しない
-
-
- - 不燃性(HSDB, 2006)である。 平成21年度(2009年度) ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
11 自己発熱性化学品 区分に該当しない
-
-
- - 不燃性(HSDB, 2006)である。 平成21年度(2009年度) ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
12 水反応可燃性化学品 区分に該当しない
-
-
- - 水に対して安定(水溶解度642g/L(20℃)、Merck(13th, 2001))。水と反応しない(Weiss 2nd, 1986)。 平成21年度(2009年度) ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
13 酸化性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における固体である。 平成21年度(2009年度) ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
14 酸化性固体 分類できない
-
-
- - 塩素含む無機化合物であるが、データがなく分類できない。 平成21年度(2009年度) ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
15 有機過酸化物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 無機化合物である。 平成21年度(2009年度) ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
16 金属腐食性化学品 分類できない
-
-
- - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。 平成21年度(2009年度) ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
17 鈍性化爆発物 -
-
-
- - - - -

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
1 急性毒性(経口) 区分3


危険
H301 P301+P310
P264
P270
P321
P330
P405
P501
【分類根拠】
(1)~(3)より、区分3とした。なお、塩化ニッケル換算値に基づき分類結果を変更した。旧分類とEUで急性毒性(経口)のGHS区分に差異があったため、急性毒性項目のみ見直した(2021年)。

【根拠データ】
(1)ラット(雌)のLD50(塩化ニッケル六水和物(CAS番号:7718-54-9)):210 mg/kg(塩化ニッケル換算:115 mg/kg)(NITE初期リスク評価書(2017)、CERI有害性評価書(2008))
(2)ラット(雄)のLD50(塩化ニッケル六水和物):175 mg/kg(塩化ニッケル換算:95.4 mg/kg)(NITE初期リスク評価書(2017)、CERI有害性評価書(2008))
(3)ラット(雌)のLD50(塩化ニッケル六水和物):500 mg/kg(塩化ニッケル換算:273 mg/kg)(OECD TG 425)(AICIS IMAP(2014)、EU EFSA(2018))

【参考データ等】
(4)本物質はEU CLHにおいて、区分3に分類されている。
令和3年度(2021年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
1 急性毒性(経皮) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。旧分類とEUで急性毒性(経口)のGHS区分に差異があったため、急性毒性項目のみ見直した(2021年)。

令和3年度(2021年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
1 急性毒性(吸入:ガス) 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 【分類根拠】
GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
令和3年度(2021年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。旧分類とEUで急性毒性(経口)のGHS区分に差異があったため、急性毒性項目のみ見直したが、分類結果に変更はない(2021年)。

令和3年度(2021年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分2


危険
H330 P304+P340
P403+P233
P260
P271
P284
P310
P320
P405
P501
【分類根拠】
(1)、(2)より、区分2とした。なお、新たな知見に基づき分類結果を変更した。旧分類とEUで急性毒性(経口)のGHS区分に差異があったため、急性毒性項目のみ見直した(2021年)。

【根拠データ】
(1)ラット(雄)のLC50(塩化ニッケル六水和物(CAS番号:7718-54-9)、4時間):0.593 mg/L(塩化ニッケル換算:0.323 mg/L)(OECD TG 403、GLP)(REACH登録情報 (Accessed Jan. 2022))
(2)ラット(雌)のLC50(塩化ニッケル六水和物、4時間):0.746 mg/L(塩化ニッケル換算:0.407 mg/L)(OECD TG 403、GLP)(REACH登録情報 (Accessed Jan. 2022))

令和3年度(2021年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2


警告
H315 P302+P352
P332+P313
P362+P364
P264
P280
P321
動物を用いた試験データはないが、ヒトにおける刺激性閾値として、塩化ニッケル水溶液濃度が閉塞系で1 %、非閉塞系で10 %としている(EHC No. 108, 1991)こと、EU分類においてはXi; R38に分類されていることから区分2とした。 平成21年度(2009年度) ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 分類できない
-
-
- - データなし。 平成21年度(2009年度) ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
4 呼吸器感作性 区分1


危険
H334 P304+P340
P342+P311
P261
P284
P501
EU分類R42/43 でありEU-Annex I(access on Jan. 2009)、ニッケルないしニッケル化合物として日本産業衛生学会の許容濃度等の勧告(2008)で気道感作性物質(第2群)に、DFG(MAK/BAT No43(2007))で気道感作性物質に分類されていることから、区分1とした。 平成21年度(2009年度) ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
4 皮膚感作性 区分1


警告
H317 P302+P352
P333+P313
P362+P364
P261
P272
P280
P321
P501
モルモットを用いたマキシマイゼーション試験およびポラック法で感作性を示し(NITE初期リスク評価書 ver. 1.0 No. 115, 2008)、U分類R42/43 であり、ニッケルないしニッケル化合物として日本産業衛生学会の許容濃度等の勧告(2008)で皮膚感作性物質(第1群)に、DFG(MAK/BAT No43(2007))で皮膚感作性物質に分類されていることから、区分1とした。 平成21年度(2009年度) ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
5 生殖細胞変異原性 区分に該当しない
-
-
- - ラットおよびマウスの優性致死試験(EHC 108(1991))、マウスの骨髄細胞を用いた2つの小核試験(EHC 108(1991))の結果は陰性であることに基づき区分外とした。なお、チャイニーズハムスターの骨髄細胞を用いた染色体異常試験とマウスの骨髄細胞を用いた染色体異常試験は陽性(IARC 49(1990; ATSDR(2005)である。In vitro変異原性試験;チャイニーズハムスターV79細胞、CHOAS52細胞を用いる突然変異試験で陽性、CHO細胞を用いる突然変異試験で陰性、マウスのリンパ球細胞を用いた遺伝子突然変異試験で陽性、エームス試験陰性、CHO細胞を用いた染色体異常試験において陽性結果が確認されている(IARC 49, 1990; ATSDR, 2005; EHC No. 108, 1991; ECETOC TR. 33, 1989)。そしてFm3Aマウス乳癌細胞を用いた染色体異常試験(IARC 49, 1990; EHC No. 108, 1991)。ヒト末梢血リンパ球細胞を用いた染色体異常試験(EHC No. 108, 1991)において陽性結果が確認されている。 平成21年度(2009年度) ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
6 発がん性 区分1A


危険
H350 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
IARC(1990)でグループ1(IARC 49(1990))、EUはカテゴリー1(EU-Annex I(2009))、日本産業衛生学会では第1群(産衛学会勧告(2008))、NTPではK(NTP RoC(11th, 2005))に分類していることより区分1Aとした。また、ラットの筋肉内投与試験においては腫瘍形成が見られなかったが(IARC vol. 49, 1990)、雄ラットの経口投与試験において本物質が腎臓がんのプロモーターであると結論付けられており(NITE初期リスク評価書 ver. 1.0 No. 115, 2008)、雌ラットの腹腔内投与試験においても32 匹中4 匹に腹部腫瘍が確認されている(1 匹は腹膜中皮腫、3 匹は肉腫; NITE初期リスク評価書 ver. 1.0 No. 115, 2008)。なお、可溶性無機ニッケルをACGIHはA4(ACGIH(2001))に分類している。 平成21年度(2009年度) ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
7 生殖毒性 区分1B


危険
H360 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
雌マウスの経口投与試験における自然流産の増加(ATSDR, 2005)、雌ラットの経口投与試験における胚死亡率の増加(IARC No. 49, 1990)、仔動物の小型化、そして出産前および新生仔死亡率の増加(EHC No. 108, 1991)、ラットの腹腔内投与試験における水頭、水腎、心臓欠損などの催奇形性(IARC No. 49, 1990)などが見られている。親動物で一般毒性が発現しない用量で明確な仔動物への生殖毒性が見られることから区分1Bとした。なお、EU分類においてはRepr. Cat 2; R61に区分されている。 平成21年度(2009年度) ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分2(神経系)


警告
H371 P308+P311
P260
P264
P270
P405
P501
ラットの吸入暴露試験において「気管支の過形成およびそれに伴う気管上皮細胞におけるリンパ球の浸潤」が起こった(EHC No. 108, 1991)とあるが投与時間が不明で分類できない。ラットの経口投与試験においてガイダンスの区分2に相当する430 mg/kg(雄), 529 mg/kg(雌)の用量で「興奮、運動量の増加に続き、神経系の機能低下を起こした。」とある(ECETOC TR33, 1989)ことより区分2(神経系)とした。 平成21年度(2009年度) ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2(肺、中枢神経系)


警告
H373 P260
P314
P501
ラットの90日間経口投与試験において、ガイダンスの区分2に相当する35 mg/kg/日の投与群で雌(10/25 匹)、雄(7/25 匹)に肺胞マクロファージの肺胞内蓄積に特徴付けられる肺の炎症及びII型肺胞上皮細胞の萎縮がみられたことから(NITE初期リスク評価書 ver. 1.0 No. 115, 2008)区分2(肺)とした。また、ラットの77日間経口投与による学習能力試験においてガイダンスの区分2に相当する20 mg Ni/kg/day投与群は対照群に比較し、レバーを押す割合が少なかったとされている。著者によると、レバーを押す頻度の低下は、ニッケルによる基本的な知覚の低下、協調運動作用の低下、または動機達成意欲の阻害に基づくとしている(NITE初期リスク評価書 ver. 1.0 No. 115, 2008)。また、ラットの90日間経口投与試験においてガイダンスの区分2の上限」である100 mg/kg/dayの濃度において試験終了までに100 %の死亡および症状として雌雄ともに毛先端脱色、流涎、協調運動失調、不規則呼吸、体温低下、嗜眠がみられた(NITE初期リスク評価書 ver. 1.0 No. 115, 2008)こと、さらに既存分類として、ACGIHでは可溶性無機ニッケルとして中枢神経系への影響を示唆している(ACGIH TLV-Basis-Critical Effects: Central Nervous System; ACGIH-TLV, 2004)ことから区分2(中枢神経系)とした。 平成21年度(2009年度) ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
10 誤えん有害性 分類できない
-
-
- - データなし。 平成21年度(2009年度) ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
11 水生環境有害性 短期(急性) 区分1


警告
H400 P273
P391
P501
甲殻類(ニセネコゼミジンコ)48時間LC50 = 0.013mg Ni/L (本物質換算値: 0.029 mg/L)(NITE初期リスク評価書, 2008)であることから、区分1とした。 令和3年度(2021年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
11 水生環境有害性 長期(慢性) 区分1


警告
H410 P273
P391
P501
急速分解性に関する十分なデータが得られていない。甲殻類(ネコゼミジンコ)の17日間NOEC = 0.002 mg/L(EU RAR, 2008)から、区分1とした。 令和3年度(2021年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
12 オゾン層への有害性 分類できない
-
-
- - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 令和3年度(2021年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
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