項目 | 情報 |
---|---|
CAS登録番号 | 84-74-2 |
名称 | フタル酸ジ-n-ブチル |
物質ID | m-nite-84-74-2_v2 |
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項目 | 情報 |
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危険有害性項目 | 分類結果 | 絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | 分類実施年度 | 分類ガイダンス等 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 爆発物 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 爆発性に関連する原子団を含んでいない。 | 平成25年度(2013年度) | ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
2 | 可燃性ガス | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 | 平成25年度(2013年度) | ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
3 | エアゾール | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | エアゾール製品でない。 | 平成25年度(2013年度) | ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
4 | 酸化性ガス | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 | 平成25年度(2013年度) | ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
5 | 高圧ガス | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 | 平成25年度(2013年度) | ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
6 | 引火性液体 | 区分に該当しない |
- |
- | - | 引火点157℃(closed cup)(HSDB(Access on July 2013))であり、93℃を超える。 | 平成25年度(2013年度) | ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
7 | 可燃性固体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 | 平成25年度(2013年度) | ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
8 | 自己反応性化学品 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。 | 平成25年度(2013年度) | ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
9 | 自然発火性液体 | 区分に該当しない |
- |
- | - | 発火点が402℃(HSDB(Access on July 2013))であり、常温で発火しないと考えられる。 | 平成25年度(2013年度) | ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
10 | 自然発火性固体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 | 平成25年度(2013年度) | ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない |
- |
- | - | 液体状の物質に適した試験法が確立していない。 | 平成25年度(2013年度) | ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
12 | 水反応可燃性化学品 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 金属及び半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含んでいない。 | 平成25年度(2013年度) | ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
13 | 酸化性液体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。 | 平成25年度(2013年度) | ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
14 | 酸化性固体 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 | 平成25年度(2013年度) | ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
15 | 有機過酸化物 | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物である。 | 平成25年度(2013年度) | ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
16 | 金属腐食性化学品 | 分類できない |
- |
- | - | データがなく分類できない。 | 平成25年度(2013年度) | ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
17 | 鈍性化爆発物 | - |
- |
- | - | - | - | - |
危険有害性項目 | 分類結果 | 絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | 分類実施年度 | 分類ガイダンス等 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 急性毒性(経口) | 区分に該当しない |
- |
- | - | ラットに対する経口投与のLD50 = 6,300 mg/kg(EU-RAR(2004))、8,000 mg/kg(EU-RAR(2004), PATTY(6th, 2012))に基づき、区分外とした。なお、23歳の男性労働者がおよそ10 gを誤飲したヒト事例において、嘔吐、めまい、数時間後に流涙、眼の痛みを生じ、重度の角膜炎を生じた。尿検査で、顕微血尿、シュウ酸結晶、白血球が認められた(EU-RAR(2004))との記載がある。 | 平成25年度(2013年度) | ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分に該当しない |
- |
- | - | ウサギに対する経皮投与のLD50 ≧4,000 mg/kg(EHC 189(1997))、> 20,000 mg/kg(EU-RAR(2004)、PATTY(6th, 2012)、NITE 初期リスク評価書(2005))に基づいて、区分外とした。 |
平成25年度(2013年度) | ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 区分に該当しない(分類対象外) |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 | 平成25年度(2013年度) | ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。 | 平成25年度(2013年度) | ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 区分に該当しない |
- |
- | - | ラットにおけるLC50(ミスト)≧15.68 mg/L(EU-RAR(2004))に基づいて、区分外とした。なお、エアロゾル吸入試験によるとの記載に基づき、分類にはミストとして mg/Lを単位とする基準値を適用した。 | 平成25年度(2013年度) | ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分に該当しない |
- |
- | - | NITE初期リスク評価書(2005)、EU-RAR(2003)には、皮膚刺激性がみられたとの記載があるが、EU-RAR(2003)の補遺EU-RAR(2004)(Addendum to the Environmental Section)にて、OECD TG404に準拠した試験で刺激性となしの結果が記載され、補遺 EU-RAR(2004)の結論として刺激性なしとしていることから、区分外(国連分類基準の区分3)とした。 | 平成25年度(2013年度) | ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分に該当しない |
- |
- | - | NITE初期リスク評価書(2005)、EU-RAR(2003)には、眼刺激性がみられ、48又は72時間後に回復しているとの記載があるが、EU-RAR(2003)の補遺EU-RAR(2004)(Addendum to the Environmental Section)にて、OECD TG405に準拠した試験で刺激性となしの結果が記載され、補遺EU-RAR(2004)の結論として刺激性なしとしていることから、区分外(国連分類基準の区分3)とした。 |
平成25年度(2013年度) | ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。 | 平成25年度(2013年度) | ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
4 | 皮膚感作性 | 区分1 |
警告 |
H317 | P302+P352 P333+P313 P362+P364 P261 P272 P280 P321 P501 |
EU-RAR(2004)、EHC 189(1997)の記述から、動物実験ではフタル酸ジブチルは皮膚感作性を示していないが、ヒトの事例研究から陽性を示唆する結果があり、産衛学会勧告(2012)は皮膚感作性を第2群に、日本職業・環境アレルギー学会特設委員会(2004)は皮膚感作性有りに分類しているため、区分1とした。 | 平成25年度(2013年度) | ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
5 | 生殖細胞変異原性 | 分類できない |
- |
- | - | 分類ガイダンスの改訂により、「区分外」が選択できなくなったため、「分類できない」とした。すなわち、In vivoでは、マウスの末梢血赤血球を用いる小核試験で陰性の結果が報告されている(NITE初期リスク評価書(2005)、 EHC 189(1997)、EU-RAR(2004))。さらに、in vitroでは、細菌を用いる復帰突然変異試験の1例で代謝活性化系非存在下のTA100において陽性がみられているが、その他の復帰突然変異試験ではすべて陰性である。また、哺乳類培養細胞を用いる染色体異常試験も陰性である。哺乳類培養細胞を用いるマウスリンフォーマ試験では陰性及び陽性結果が認められるものの、EU-RAR(2004)、EHC 189(1997)、SIDS(2001)、CaPSAR(1994)では、本物質は変異原性なしと結論している。 | 平成25年度(2013年度) | ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
6 | 発がん性 | 分類できない |
- |
- | - | 【分類根拠】 (1)~(5)より、本物質の類似物質のDEHP(フタル酸ジ(2-エチルヘキシル)CAS登録番号:117-81-7)の肝臓等への腫瘍誘発性も未解明な部分が多く確定的ではないと考えられ、DBPについては既存知見から肝臓、精巣等への腫瘍誘発を示唆する証拠はない。(6)、(7)より、ヒトについて発がん性を懸念すべき報告はこれまでないため、データ不足のため分類できない。 【根拠データ】 (1)本物質(フタル酸ジ-n-ブチル(DBP)CAS登録番号:84-74-2)の実験動物を用いた十分な発がん性試験報告はない(EU RAR (2004)、NICNAS (2013)、食安委 器具・容器包装評価書 (2014))。 (2)DBPと類似の構造を持つDEHPにはげっ歯類への肝発がん作用が知られ、DEHPのげっ歯類における肝発がんの主要な作用機序は当初はPPARαを介した経路によると考えられ、DBPにもげっ歯類へのペルオキシゾーム増殖活性が認められることから、より高用量、長期間のDBP 投与によりげっ歯類に肝発がんを引き起こす可能性も考えられた(食安委 器具・容器包装評価書 (2014)、NICNAS (2013))。 (3)その後の研究動向からDEHPの肝発がん作用機序についてのPPARαの関与はげっ歯類特異的でヒトには当てはまらないとされ、IARCはDEHPの発がん分類をグループ3に変更した(IARC 77 (2000))。なお、DEHPの肝発がんについてはPPARα以外の核内受容体(CAR、PXR等)の関与も示唆されており、IARCは発がん分類を当初(IARC Suppl. 7 (1987))のグループ2Bに再び戻した(IARC 103 (2013))。このように、DEHPのげっ歯類の肝発がん作用機序もヒトへの外挿性についても未だ明らかではない。 (4)DEHPでは、肝臓腫瘍以外に、ラットの発がん性試験で精巣間細胞(ライデッヒ)腫瘍の増加が報告された。しかし、精巣腫瘍の報告はラットの1試験のみで、ラットを用いた複数の他試験を含め、マウス、モルモット、イヌを用いた多くの試験で確認されていない(ATSDR (2022))。 (5)国内外の評価機関による本物質の既存分類では、EPAでグループDに分類されているだけである(IRIS (1990))。 (6)近年、DBPの主要な尿中代謝物であるMBPの尿中濃度をDBP暴露の指標として、様々な影響指標との関連を調べた疫学調査が実施されており、最近10年ほどの間に比較的多数の報告が公表されている。主な調査結果は生殖・発生及び神経発達への影響に関するものであった(食安委 器具・容器包装評価書 (2014))。 (7)北メキシコに在住する女性で乳がんと診断された症例群233名(平均53.4 歳)と年齢をマッチさせた対照群221名(平均53.8 歳)による症例対照研究において、治療開始前の早朝尿中の9種類のフタル酸エステル代謝物濃度と乳がんとの関係が調査された結果、MBP(DBP代謝物)尿中濃度と乳がんのオッズ比や用量反応関係に有意な関連はみられなかった(食安委 器具・容器包装評価書 (2014))。 |
令和4年度(2022年度) | ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
7 | 生殖毒性 | 区分1B |
危険 |
H360 | P308+P313 P201 P202 P280 P405 P501 |
NITE初期リスク評価書(2005)の記述から、ラット及びマウスに経口(混餌)投与した生殖毒性試験でF0の生殖能低下、精巣の萎縮、精子生産能の低下、妊娠中期の流産、出産児数(率)の低下がみられ、また、妊娠ラット及びマウスに経口(強制または混餌)投与した複数の発生毒性試験で胎児、児動物に奇形(外表奇形、骨格奇形)が見られ、さらに、ラットでは次世代雄の精巣及び副生殖腺の発生異常が見られている。ラットの生殖毒性及びラット、マウスにおける発生毒性影響の多くは親動物に体重増加抑制、肝臓重量増加などの一般毒性影響がみられない用量から発現している。したがって、分類ガイダンスに従い区分1Bに分類した。 | 平成25年度(2013年度) | ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分3(気道刺激性) |
警告 |
H335 | P304+P340 P403+P233 P261 P271 P312 P405 P501 |
マウスに吸入ばく露(エアロゾル)した試験で、250 mg/m3(ガイダンス値換算: 0.125 mg/L/4hr)で上気道刺激、呼吸抑制症状などがみられており(ACGIH(7th, 2001))、区分3(気道刺激性)に分類した。なお、旧分類では区分1(腎臓)も分類に採用していたが、ヒトの腎臓への影響に関する報告は1例のみの症例報告であり、ヒトの神経系への影響は本物質による影響と結論できない(NITE 初期リスク評価書(2005))など、ヒトへの影響に関して分類に用いるのに適切なデータはないと判断した。 | 平成25年度(2013年度) | ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分1(呼吸器) |
危険 |
H372 | P260 P264 P270 P314 P501 |
ラットの4週間吸入(エアロゾル)ばく露試験で、区分1のガイダンス値の範囲内の低濃度(118 mg/m3: ガイダンス値換算濃度: 0.00036 mg/L/6 hr)から、局所影響として鼻腔粘膜細胞の過形成及び喉頭の扁平上皮化生が認められたとの記述(EU-RAR(2004))があり、区分1(呼吸器)に分類した。経口投与ではマウス及びラットのいずれの試験も区分2のガイダンス値を超える高用量(238 mg/kg/day以上)で、肝臓、血液、精巣などに有害性影響が見られた(NITE初期リスク評価書(2005))。したがって、区分1(呼吸器)とした。なお、ヒトへの影響に関して信頼できる報告はない。また、旧分類の区分2(肝臓)は旧分類で分類根拠を示しておらず、今回も標的臓器に含まれないことを確認したため、削除した。 | 平成25年度(2013年度) | ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
10 | 誤えん有害性 | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。 | 平成25年度(2013年度) | ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) |
危険有害性項目 | 分類結果 | 絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | 分類実施年度 | 分類ガイダンス等 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
11 | 水生環境有害性 短期(急性) | 区分1 |
警告 |
H400 | P273 P391 P501 |
藻類(Pseudokirchneriella subcapitata)96時間EC50 = 0.4 mg/L(環境省リスク評価第1巻, 2002、AICS IMAP, 2019、Adams WJ et al., 1995)であることから、区分1とした。 | 令和4年度(2022年度) | ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
11 | 水生環境有害性 長期(慢性) | 区分2 |
- |
H411 | P273 P391 P501 |
急速分解性があり(2週間BOD分解度=69%(J-CHECK, 2023)、魚類(ニジマス)の99日間NOEC = 0.1 mg/L(NITE初期リスク評価, 2005、環境省リスク評価第1巻, 2002、CEPA PSAR, 1994、EHC 189, 1997、REACH登録情報, 2022)から、区分2とした。 | 令和4年度(2022年度) | ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない |
- |
- | - | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 | 令和4年度(2022年度) | ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) |
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