NITE統合版 政府によるGHS分類結果

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一般情報
 
項目 情報
CAS登録番号 90-04-0
名称 o-アニシジン
物質ID m-nite-90-04-0_v2
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関連情報
項目 情報
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物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
1 爆発物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に爆発性に関わる原子団を含まない。 平成21年度(2009年度) ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
2 可燃性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体である。 平成21年度(2009年度) ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
3 エアゾール 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - エアゾール製品でない。 平成21年度(2009年度) ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
4 酸化性ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体である。 平成21年度(2009年度) ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
5 高圧ガス 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体である。 平成21年度(2009年度) ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
6 引火性液体 区分に該当しない
-
-
- - 引火点:118℃(開放式)(ICSC(1999))というデータがあり、密閉式でも93℃を超えると判断した。 平成21年度(2009年度) ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
7 可燃性固体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体である。 平成21年度(2009年度) ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
8 自己反応性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 分子内に爆発性・自己反応性に関連する原子団を含まない。 平成21年度(2009年度) ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
9 自然発火性液体 区分に該当しない
-
-
- - 発火点が415℃(ICSC(1999))で70℃を超えている。 平成21年度(2009年度) ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
10 自然発火性固体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体である。 平成21年度(2009年度) ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
11 自己発熱性化学品 分類できない
-
-
- - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。 平成21年度(2009年度) ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
12 水反応可燃性化学品 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。 平成21年度(2009年度) ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
13 酸化性液体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - フッ素または塩素を含まず、酸素は炭素のみと化学結合している。 平成21年度(2009年度) ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
14 酸化性固体 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体である。 平成21年度(2009年度) ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
15 有機過酸化物 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - -O-O-構造を含まない有機化合物である。 平成21年度(2009年度) ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
16 金属腐食性化学品 分類できない
-
-
- - データなし。 平成21年度(2009年度) ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
17 鈍性化爆発物 -
-
-
- - - - -

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
1 急性毒性(経口) 区分4


警告
H302 P301+P312
P264
P270
P330
P501
ラットLD50 = 2000 mg/kg(ACGIH(2001))、1890 mg/kg(EU-RAR(2002)、1150 mg/kg(環境省リスク評価第4巻(2005))に基づき区分4とした。 平成21年度(2009年度) ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
1 急性毒性(経皮) 区分に該当しない
-
-
- - ラットにおいて2000 mg/kgで死亡例を認めなかったこと(EU-RAR(2002))に基づき区分外とした。 平成21年度(2009年度) ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
1 急性毒性(吸入:ガス) 区分に該当しない(分類対象外)
-
-
- - GHSの定義における液体である。 平成21年度(2009年度) ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
-
-
- - データなし。 平成21年度(2009年度) ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-
-
- - エアロゾルとして、ラットLC50>3.87 mg/L(EU-RAR(2002))。区分を特定できないので「分類できない」とした。 平成21年度(2009年度) ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
2 皮膚腐食性/刺激性 区分に該当しない
-
-
- - 【分類根拠】
(1)より、区分外とした。

【根拠データ】
(1)ウサギを用いた皮膚刺激性試験(OECD TG404、GLP準拠、n=3)で本物質原体を4時間半閉塞適用したところ、72時間後の紅斑スコア:1(2/3)、0.7(1/3)、浮腫スコア:0が得られ、72時間以内で完全に回復したとの報告がある(DFGOT vol.10(1998)、EU-RAR(2002)、NICNAS IMAP(Accessed Dec. 2018)、REACH登録情報(Accessed Dec. 2018))。

【参考データ等】
(2)ウサギを用いた皮膚刺激性試験(n=5)で本物質原体を5日間開放適用したところ、5日後に刺激による影響は見られなかったとの報告がある(REACH登録情報(Accessed Dec. 2018))。
平成30年度(2018年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2B
-
警告
H320 P305+P351+P338
P337+P313
P264
ウサギの眼刺激性試験(OECD TG404)において結膜の浮腫と発赤、虹彩炎、角膜炎が観察されているが、適用後7日以内に全て消失との記述(EU-RAR(2002))に基づき区分2Bとした。 平成21年度(2009年度) ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - データなし。 平成21年度(2009年度) ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
4 皮膚感作性 区分1


警告
H317 P302+P352
P333+P313
P362+P364
P261
P272
P280
P321
P501
【分類根拠】
(1)、(2)より、区分1とした。新たな情報源を用いることにより旧分類から区分を変更した。

【根拠データ】
(1)マウスを用いたLLNA試験(OECD TG429、GLP準拠、n=4/群)で本物質25、50、100%溶液(DMSO)を適用したところ、SI値:2.26(25%)、3.43(50%)、1.27(100%)が得られ用量反応関係は見られないものの、最高用量群では1/4例が死亡しており毒性発現量での結果であり、一方で中用量群ではSI値が3を超えていることから、感作性ありと判断できるとの報告がある(REACH登録情報(Accessed Dec. 2018))。
(2)モルモットを用いたMaximization試験において、本物質を0.5及び2.5 mg/kg/week投与したところ、弱い感作性を示したとの報告がある(EU-RAR(2002)、REACH登録情報(Accessed Dec. 2018))。

【参考データ等】
(3)本物質は、平成8年労働省告示第33号(平成25年厚生労働省告示第316号により改正)において、労働基準法施行規則別表第一の二第四号1の厚生労働大臣が指定する単体たる化学物質及び化合物(合金を含む。)に「アニシジン」として指定されており、本物質にさらされる業務による、特定の症状又は障害を主たる症状又は障害とする疾病(頭痛、めまい、嘔吐等の自覚症状、皮膚障害、溶血性貧血又はメトヘモグロビン血)が、業務上の疾病として定められている。
(4)本物質は、平成15年厚生労働省労働基準局長通知基発第0811001号において、労働安全衛生規則第594条に規定する皮膚障害防止用保護具の備付けが必要な皮膚に障害を与える物のうち「アニシジン」として指定されている。
平成30年度(2018年度) ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
5 生殖細胞変異原性 区分2


警告
H341 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
マウスの骨髄細胞を用いた小核試験・ラットの肝細胞を用いた小核試験(体細胞in vivo変異原性試験)において陰性(DFGOT vol.10(1998))であるが、BigBlueマウス系を用いたトランスジェニックマウス変異原性試験における陽性結果(EU-RAR(2002))に基づき、区分2とした。なお、一部のin vivo DNA合成または付加体試験、宿主経由試験でも陽性結果(DFGOT vol.10(1998))があり、Ames試験・CHO細胞やヒトリンパ球を用いた染色体異常試験(in vitro変異原性試験)では+S9の有無にかかわらず陽性、陰性両方の試験結果の報告がなされている。また、EU分類では、MutaCat.3;R68に分類されている。

平成21年度(2009年度) ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
6 発がん性 区分1B


危険
H350 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
【分類根拠】
(1)~(6)より、区分1Bとした。旧分類からIARCの分類が変更されたため、発がん性項目のみ見直した(2021年)。

【根拠データ】
(1)国内外の評価機関における既存分類として、IARCでは(2)~(5)のデータを踏まえて従来のグループ2B(IARC 73 (1999))からグループ2A(IARC 127 (2021))に変更した。その他、NTPではR(NTP RoC (14th, 2016))、EUではCarc. 1B(CLP分類結果 (Accessed Sep. 2021))に分類している。なお、ACGIHではA3(ACGIH (7th, 2001))、日本産業衛生学会では第2群B(産衛学会許容濃度の勧告等 (1997)、DFGではCarc. 2 (DFG MAK(2021))にそれぞれ分類している。
(2)本物質の塩酸塩(o-アニシジン塩酸塩:CAS番号 134-29-2)を被験物質としたラットへの2年間混餌投与による発がん性試験において、雌雄に膀胱(移行上皮がん、移行上皮乳頭腫+がん)、雄に腎臓の腎盂(移行上皮がん)及び甲状腺(濾胞細胞腺腫+嚢胞腺腫+乳頭状嚢胞腺腫+濾胞細胞がん+乳頭状嚢胞腺がん)の腫瘍がみられたとの報告がある(MOE初期評価 (2021)、厚労省リスク評価書 (2009)、IARC 127 (2021)、EU RAR (2002)、ACGIH (2001)、産衛学会許容濃度の勧告等 (1996)、NTP TR89 (1978))。
(3)o-アニシジン塩酸塩を被験物質としたマウスへの2年間混餌投与による発がん性試験において、雌雄の膀胱(移行上皮がん、移行上皮乳頭腫+がん)の腫瘍がみられたとの報告がある(MOE初期評価 (2021)、厚労省リスク評価書 (2009)、IARC 127 (2021)、EU RAR (2002)、ACGIH (2001)、産衛学会許容濃度の勧告等 (1996)、NTP TR89 (1978))。
(4)o-アニシジン塩酸塩の親化合物である本物質は塩基性化合物で、酸-塩基反応に耐えるはずであり、o-アニシジンとその塩酸塩とは生体内でpH依存性の酸-塩基平衡が成立するはずである。したがって、発がん分類は両者に適用可能である(IARC 127 (2021))。
(5)本物質の作用機序を考慮した結果、いくつかのメンバー化合物が既知ヒト発がん物質に分類されている芳香族アミンのクラスと共通する作用機序を有するという強固な証拠がある。本物質はこのクラスの他のメンバー化合物と構造的類似性を有し、DNA反応部分に対する生体内活性化機構、遺伝毒性及び長期動物試験における発がん性の標的器官に関して一致している(IARC 127 (2021))。
(6)ヒトの発がんの証拠は不十分であるが、(2)~(5)より、IARCは本物質及び本物質の塩酸塩ともに発がん性分類はグループ2Aと結論した(IARC 127 (2021))。
令和3年度(2021年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
7 生殖毒性 分類できない
-
-
- - データなし。 平成21年度(2009年度) ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分2(血液、中枢神経)


警告
H371 P308+P311
P260
P264
P270
P405
P501
ラットに用量690 mg/kg以上の経口投与後、メトヘモグロビン増加(EU-RAR(2002))が観察され、また別のラットの経口投与による試験(DFGOT vol.10(1998)、EU-RAR(2002))では、うずくまり、よろめき、自発運動低下、眩暈などの中枢症状が用量1250~2000 mg/kgで認められている。さらに、呼吸障害、反射神経損傷等の中枢症状が用量3.87 mg/Lの吸入ばく露でも軽度ながら見られる(DFGOT vol.10(1998))、以上より区分2(血液、中枢神経系)とした。 平成21年度(2009年度) ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2(血液)


警告
H373 P260
P314
P501
ラットの経口投与による4週間の試験において、溶血性貧血が80 mg/kg(90日補正:24.8 mg/kg)以上で認められている(EU-RAR(2002)、DFGOT vol.10(1998))ことに基づき区分2(血液)とした。なお、ヒトへの影響としてオルト・アニシジン(0.4ml/m3)に1日3.5時間、6ヶ月間のばく露を受けた労働者に貧血症状は現れなかったものの、スルホヘモグロビンとメトヘモグロビンの増加、さらには赤血球内においてハインツ小体が認められた(DFGOT vol.10(1998))との報告があるが、1例報告であることからヒトのデータは分類に採用しなかった。 平成21年度(2009年度) ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
10 誤えん有害性 分類できない
-
-
- - データなし。 平成21年度(2009年度) ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点 分類実施年度 分類ガイダンス等
11 水生環境有害性 短期(急性) 区分2
-
-
H401 P273
P501
甲殻類(オオミジンコ)48時間EC50 = 2.18 mg/L(MOE初期評価, 2021)であることから、区分2とした。 令和3年度(2021年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
11 水生環境有害性 長期(慢性) 区分2


-
H411 P273
P391
P501
慢性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく(BIOWIN)、甲殻類(オオミジンコ)の21日間NOEC = 0.25 mg/L(MOE既存点検結果, 1996、MOE初期評価, 2003、MOE初期評価, 2021)から、区分2となる。
慢性毒性データが得られていない栄養段階(魚類)に対して急性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく、魚類(メダカ)の96時間LC50 = 196 mg/L(MOE既存点検結果, 1996、MOE初期評価, 2003、MOE初期評価, 2021)から、区分に該当しないとなる。
以上の結果を比較し、区分2とした。慢性毒性の分類方法の変更及び新たな情報の使用により、旧分類から分類結果が変更となった。
令和3年度(2021年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
12 オゾン層への有害性 分類できない
-
-
- - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 令和3年度(2021年度) ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。

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